スケバン憑依おじさん   作:百合豚丼

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ワイルズ楽し過ぎたのと、今後の展開考えたら遅れました。すみません。

おいはごろもフーズと焼きダコ、いい加減最小金冠出せ
レールガンは逆にいい加減最大金管出せ

アルシュベルドけしかけて絶滅させんぞ


宣戦布告

 ブラックマーケットをグレーマーケットへと作り替えてしまった巨大暴力組織 荒事屋。

 

 その規模は日を追う事にジワジワと、しかし明確に拡大の一途を辿っている。

 気に入らなければ弾丸をぶちこんでやる、そんな倫理観が蔓延るキヴォトスにおいて荒事を生業とする荒事屋は大変重宝される存在であり、同時に悪事を働くもの達にとっては畏怖の対象でもあった。

 

 中にはそんな組織を飼い慣らす事が出来れば箔を付け、競合他社に優位を取れると考え依頼という体で接触した企業や会社も存在するにはしたものの、その手の組織は今はもう無い。

 

「うわぁっ!?!?」

 

 グレーマーケットがブラックマーケットと呼ばれていた頃から店を構え、巻き上げた資金を武器や兵器類に変えて更なる犯罪行為の助長をしている犯罪組織 闇銀行の正面入口が突然爆発した。

 

 悲鳴を上げたのは融資を受けようと来店していた客か、それとも闇銀行の職員なのか、それは分からない。

 

「ったく…俺たちのナワバリだってんだから、少しはオドオドおっかなびっくりしながら商売すりゃあ良いものを」

 

 爆発が引き起きた煙に紛れて乗り込んできたタイコの姿に、闇銀行の中は一挙に騒がしくなる。

 

 荒事屋頭目 栗浜タイコ

 

 先端に火を点けたタバコを咥えながら竹刀を担ぐその表情には、明らかな不快感と憤怒が浮かんでいた。

 

「なっ、なんだお前は!! 何をしに」

 

 銀行員が叫ぶ間もなく、続々と荒事屋構成員達が闇銀行の店舗内へ流れ込んでくる。

 

 グレーマーケットにアビドス高等学校を守るべく日夜励む少女達が来訪した時点で、彼女は事を起こすつもりでいた。

 

 そう決めさせたきっかけは他ならぬ黒見セリカ誘拐未遂事件。

 あの一件により、彼女は最低限でもアビドス自地区内で好き勝手に暴れ続けているカイザーコーポレーション傘下の企業の追い出しもしくは吸収を決定した。

 

「決まってんだろ。ゴミの掃除だよ」

 

 生徒には向けないと決めているサブマシンガンを左手に握り締めるタイコは、絶対に生徒には向けられない憎悪に塗れた鋭くて冷たい視線を銀行員へと向ける。

 

 セリカ誘拐未遂事件の際に現場に現れた理事には既に戦争だと啖呵を切ったものの、あの時点では場の空気で激昂したあまりに口走っただけだと思われている可能性をタイコは考慮した。

 

 それでは()()()()()

 折角の戦争なのだから、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「調度良い機会だ。どうせ理事やらジェネラルやらプレジデントやらは監視カメラ使って俺たちをどっか安全な場所に篭って見てんだろ。そのままで良いぜ、改めてテメェ等に()()()()()()

 

 これは、その挨拶代わりだ

 

 サブマシンガンの引き金を引いて銀行員ロボットの頭部を正確に撃ち抜き、タイコは口角を吊り上げる。

 

 獰猛な笑みも、その後の荒事屋による徹底的な破壊工作も、しっかりと監視カメラに捉えられている。

 その映像を遠隔で見ているカイザーPMC理事にも、プレジデントにも、ジェネラルにも、しっかりと届いている。

 

「金目の物は全部運び出せ。無論金も、受領証明書と一緒に全部だ。くすねたりするなよ、受領証明書と照らし合わせて不当に巻き上げられた犠牲者達に全額払い戻せ」

 

 不当な手段、強行的な手段を用いて掻き集めた金品が次から次へとバケツリレー方式で運び出され、何処かへと持ち出されていく。

 

「邪魔する奴は全部仕留めろ。オートマタならぶっ壊して良い。贅沢を言えば、頭だけぶち抜いて肉体はバラして売り払いたいところだがな」

「「「了解(ヤー)!!」」」

 

 マーケットガードに所属しているオートマタも金品強奪を阻止しようと駆け付けるが、日夜荒事に関与したりアケミとタイコの超絶スパルタ鍛錬によってしごき倒されている荒事屋構成員の相手にとっては力不足も良い所。

 

 金目になるから可能ならヘッドショットで無駄な損傷なく鎮圧したいという頭目のワガママにも忠実に応え、狙撃班を主とするワンショット・ワンキル方式でオートマタを鎮圧する。

 指揮系統の最重要箇所を破壊されて機能停止したオートマタも金品や金庫と同様にバケツリレー方式で運び出され、蜘蛛の子を散らすように方々へと散開して何処かへ持ち去られた。

 

「クソッ!! 増援を送れ! 動ける奴は全員だ!」

 

 好き勝手に暴れ回り、奪い回る荒事屋の姿を見せ付けられて怒り心頭のカイザーPMC理事が増援の指示を怒鳴るが、それは既に怒鳴られるよりも先に行われている。

 

 しかし、指示は行き届かない。増援部隊を送り込もうとすることを見越しているタイコが、既に先の手を打っている。

 

「ダメです! 妨害されました!」

「なんだとォ!?」

 

 通信機器だけではない。

 通信が妨害された、オペレーターの発言にカイザーPMC理事が目を白黒させながら怒鳴ったと同時に、監視カメラの映像を彼等に見せ付けるために必要なものを除いた全電気系統が一瞬で電源を()()()()()

 

 オペレーション室の電源も落ち、真っ暗となった室内で荒事屋による闇銀行襲撃の光景が『他に見るものないんだからコレでも見とけよ』とでも言いたげに明るく映し出される。

 

「理事との通信が途絶えたか。ならばこちらから……む」

 

 カイザーPMC理事との通信が途絶したことを認識したジェネラルは、不甲斐ない彼の代わりにと幹部兼司令官として増援部隊を出そうとする。

 ハッキングに備えて理事とは別の拠点に身を潜め、別の通信経路を用いて部隊を動かすことが出来る彼だが、いざ部隊へ出撃命令を出そうとすると彼が居る拠点の電源も()()()()()

 

 そして理事の拠点と同様に、荒事屋が暴れ回り略奪を行う光景を見せつけられる。

 

 カイザーコーポレーションに名を連ねるカイザーPMC、それの子会社である警備会社のカイザーセキュリティ、その双方の電気系統やネットワークが瞬時にハッキングを受け、荒事屋に手を貸している組織の制御下へ置かれた。

 

『ご依頼の通り増援部隊の要請を試みたと同時に電気系統をハッキングしました。ここ最近の彼女の不穏な動き、話せる範囲で話すという約束は守ってくださいね?』

「無論、約束は違えないとも。そんな事をして自称天才美少女病弱ナンタラカンタラの機嫌を損ねたくないからな」

 

 竹刀や鎖といった武器類の調達や落第生の引き受けに関して荒事屋が関係を築いている巨大な学園、ミレニアムサイエンススクールに所属する協力者の不満気な声を無視してタイコは通信を切る。

 

 彼女は大して動いていない。

 先陣切って闇銀行へと乗り込み、従業員のアンドロイドやオートマタを数機破壊し、カイザーコーポレーションへの宣戦布告を叩き付けたくらいだ。

 

 彼女の立ち位置はほぼかわらず。

 それでも彼女が乗り込んでくる前と乗り込まれた後とで、闇銀行の有り様はまるで別物。数分前まで多数の利用者と従業員が居ながら、今では廃墟と見紛わんばかりに荒れ果てていた。

 

「頭目。目に付く範囲での金品や金庫、全て運び出し終えました」

 

 眼帯を付けて両手には銃火器ではなくトンファーを持つ赤髪の女子がタイコに敬礼し、略奪完了を報告する。

 わかった、短く答えながら頷いたタイコは足元へと視線を向けると、竹刀の先端で闇銀行の床をゴンゴンと叩く。

 

「地上部の略奪は終わった。そっちはどうだ?」

 

 通信機器にではなく、視線を向けている地面へタイコが声を掛けたのと床から拳が飛び出してきたのは完全に同タイミング。

 拳が貫通して穿った穴を皮切りとして硬い床を殴り砕いて地面から現れた荒事屋の大頭目 栗浜アケミは土で顔や衣類が汚れるのをまるで気にしていない様子で満面の笑みを浮かべた。

 

「地下に隠されていた金庫も全て破壊しましたわ。無論、中身も全て搬出済み。奪えるものはもう何も無いですわ」

「それは重畳。お目当てのブツも手に入ったし、後はやることをやってさっさと帰るとしよう」

 

 カイザーコーポレーションにとって、最悪の展開となった。

 

 荒事屋とは既に何度か交戦経験があるが、そのどれもが散々な目に合わされている。

 オートマタや兵器類に被害が出た程度ならばまだマシな方であり、潰されてしまった企業や荒事屋に取り込まれてしまった企業も少なからず存在していた。

 

 プレジデントとしてはそんな企業うちには無い、うちとは無関係だと切り捨ててしまえばカイザーコーポレーションが被害を受けることは無い。

 潰された企業や取り込まれた企業も同様に切り捨てることでカイザーコーポレーションの体裁は守れているが、切り捨てた企業の技術や知識を荒事屋に吸収されてしまっている。

 

 ハッキングを受けて情報を抜き取られるケースも数回発生しており、カイザーコーポレーションは現状で荒事屋に対し不利な立場を強いられていた。

 そこに、荒事屋による宣戦布告が突き付けられる。奪える物は奪い尽くしたから後は潰すだけ、そう宣言されているのと大差無い。

 

「俺達荒事屋は今後、テメェ等カイザーコーポレーションの企業や事業を利用する人物の生活や人生を寄り良い方向へ導こうという純粋な気持ちで運営される物以外は全て俺達が破壊し、強奪する」

 

 アケミの綺麗な金髪に絡まっている土埃を取り除くついでに、タイコはカイザーコーポレーションに対して宣戦布告を叩き付ける。

 

「使えるものは全部使って、人様を食い物にしてきたテメェ等を今度は俺達が食い物にしてやる。好きなようにやったらいい、俺達も好きにやらせてもらうからよ」

 

 本来であれば廃校対策委員会と先生を中心として乗り越える場面を、タイコはより大規模な戦力でもって一気に片付けに掛かることにした。

 

 役者が揃ったのは勿論だが、最たる切っ掛けはセリカ誘拐未遂事件。

 

 本来よりも大規模な戦力でもって誘拐を企てたカイザーコーポレーションの姿に、タイコは自身の存在や存在しないはずの荒事屋という組織が物語の展開を歪めている事を理解している。

 

 ならば、歪めてしまった張本人としての責任は果たさなければならない。

 それ以前に一人の元先生として、元大人としての義務を、前途有望な若者達の今と未来を守らなければならない。

 

「俺達は常にテメェ等を見張っている。忘れるなよ、テメェ等は食い物なんだってこともな」

 

 唯一残されていた監視カメラをサブマシンガンで撃ち抜く前、タイコはそう言い残した。

 

 映像が途絶えたと同時に、今度はハッキングされていた全機能が協力者の制御下から外されて電源や通信系統が復旧。

 即座に理事とジェネラルが荒事屋の追撃を命令したが、武装したオートマタの増援部隊が闇銀行に駆け付けた頃には構成員はおろか、タイコとアケミも姿を消してしまっていた。

 

 

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