この世界で活躍しているのはアイドルだけじゃない 作:たかはすTR
そして、投稿が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。
俺、福島雅也は現在ドラマの撮影中である。
今回撮影中のドラマは学校が舞台で、リアル学生の俺にはとてもやり易いドラマだ。
「はい!オッケーです!次のシーン行きます」
このドラマは今年の夏放送予定のドラマで、俺は主役で出演させてもらっている。
若手の俳優をドラマの主役にするのは、俺以外はほとんどいないらしい。
今は俳優よりアイドルの方がレベルの高い人(容姿)が多いらしく、下手な若手俳優より、売れているアイドルを起用した方が視聴率が取れるからだそうだ。
ベテランの俳優さんはアイドルなんかよりずっと演技が上手いが、年齢的に学園ものや企業もののドラマだと、社長や教室など大人の役のほうが合うので、なかなか主役にはし辛いらしい。
そのため、学園もののドラマではアイドルが主役に抜擢されることが多い。
だが、アイドルと言ってもみんながみんな演技が上手い訳ではなく…
「カーット!卯月ちゃん、あんまり緊張しすぎないでいいんだよ?」
「は、はい!ごめんなさい!」
この様にドラマの出演に慣れていなくて、緊張して失敗してしまう人もいる。
これはまだいい方で、自分がやりたい様に勝手にセリフを変えたりするアイドルも見たことがある。
そのアイドルはもう芸能界にはいないが、アイドルだから何でも許されると思っているやつが、いない訳ではない。
あれには俺もよく思っていなかったので、辞めさせて正解だと思う。
そんなことを考えていると、1人の男の人が俺に声をかけてきた。
「あの子すっごい緊張してるね。まぁドラマの出演は初めてだって言ってたからしょうがないとは思うけど」
「あ、上野さん。こんにちは」
「ああ、いいっていいって。そんなに畏まらなくても」
この人は上野雄哉さん。事務所は違うけど、俺が初めてドラマの撮影に参加した時にお世話になった人だ。
「いえ、上野さんにはデビューからずっとお世話になっってますから」
「そんなの気にしなくていいよ。それより、あのアイドルの子、どう思う?」
「良い人だとは思いますよ、ちゃんと挨拶回りもしていたみたいですし」
「そうかい。俺はあの子のお尻が良いと思うんだが、どうだ」
「……………。」
「じょっ、冗談だよ、冗談!そんな変態を見るような目で俺を見ないでくれ」
はぁ、これがなければ上野さんを尊敬できるんだけどなぁ。
上野さんは時々、その人に聞かれたらセクハラだと言われそうな発言を時々する。
本人は冗談だと言っているが、こういった下ネタが嫌いな俺は本気で言ってるんじゃ、と思ってしまう。
話題の人物-島村卯月さんは自分が失敗しまくっているのにショックを受けているのか、顔を俯かせながら、とぼとぼと歩いて行ってしまった。
「確か雅也ってあの子と同い年だったよな?」
「はい、そうですけど」
「よし、なら励ましに行ってやれ」
「話が突拍子なさすぎませんか⁉」
上野さんの発言に俺は驚いてしまった。
「同い年なら話もしやすいだろうし、なによりあの子だってスーパースターのお前から激励の言葉をもらえば、元気が出るだろう」
「俺はスーパースターなんかじゃありませんよ。はぁ、わかりました。ちょっと言ってきます」
そう言って俺は卯月さんを励ますために上野さんと別れた。
「お前がスターじゃなかったら、今の日本にスターは存在しねぇよ。自分を卑下しすぎるのはあいつの悪い癖だな」
「はぁ〜……」
は、入りづれぇー。
卯月さんと話をするために、スタッフさんに何処にいるのか聴いて、3階の奥の部屋に来た俺はドアを開けようとしたが、予想以上に卯月さんが凹んでいて、どうやって励ませばいいの悩むことになった。
というか、部屋の片隅で体育座りをして落ち込んでる人なんて初めて見たぞ!
どう言葉をかければいいのか少し考えていたが、悩むことだけで時間をかける訳にはいかないので、とりあえずドア開け声をかけることにした。
「あの、卯月さん?」
「はっ、はい!なんでしょうか…って、えぇぇぇぇ〜!?!?ふ、福島さん!?」
……何で声をかけただけでこんなに驚かれたのだろうか。
まあいいか
「こんなところでなにしてるの?」
「い、いえ別に。何でもありませんよ!?」
彼女は必死に誤魔化そうとしているが、目元が赤くなっていて、さっきまで泣いていたことがわかった。
な、泣くほど落ち込んでるなんて聞いてませんよ、上野さん!
「目元、赤くなってるよ?」
「え⁉い、いやこれは…そ、そう!目が痒くてこすりすぎちゃいまして。あはははぁ」
卯月さん、その言い訳はどうかと思いますよ。
「泣いてたよね、卯月さん」
「い、いやぁ泣いてませんて、福島さんの勘違いですよ〜あはははは(汗)」
「実は、泣いてる姿、見ちゃってるんだ、ごめんね」
「えぇ!見られてたんですか⁉」
…この人、将来詐欺に遭いそうだな。。
ていうか、女の子が泣いていたこと隠してたのに、こんなに詮索したら失礼だったか?
「悩みがあるんだったら、先輩として話を聴くよ?」
「いや、福島さん私と同い年じゃ…」
「それはほら、俳優の先輩として…」
「私、俳優じゃありませんけど?」
「そ、それなら、あれだよ、あれ。えーと…」
俺が何の先輩ななのか考えていると、急に卯月さんが笑い出した。
「ふふふ、ごめんなさい、困らせてしまいましたね。」
そう言って笑う彼女の笑顔はとても可愛いと思った。
「はっ!お兄様が女の子とイチャイチャしている気がしますわ!」
「うわ⁉いきなり叫ばないでよユーリ。びっくりしたじゃない」
「むむ?兄さん、女の人とイチャイチャしているわね。帰ってきたらユーリと一緒にじんも…お話しましょう♪」
「何でそんなことがわかるのよ…ていうか尋問て…」
「いやね〜尋問だなんて。お話するだけよ、お・は・な・し♪」
「麻理のお兄さんが可哀想ね…」
「っ!?(ブルッ)」
「?どうしました?」
「い、いやぁ、何でもない」
何だ今の悪寒は。本気で体温が下がったような…
それは兎も角、卯月さんの話を一通り聴いてみた。
彼女がアイドルのオーディションに受かったのは俺と同じ2年前で、1年前に芸能界デビューしたそうだ。
しかし、同じオーディションを受けて仲良くなった彼女の友達は、受かったその年にデビューして、芸能界で活躍しているらしい。
それが彼女のプレッシャーになっているそうだ。
そんな中にこのドラマの出演のオファーが事務所来て、友達にこれ以上離される訳にはいかないと思って、無理を言ってこのドラマに出演させてもらったらしい。
事務所側も彼女が最近伸び悩んでいるのを知っていたらしく、何かきっかけを得られればと、許可を出してくれた。
しかし、歌とダンスの練習しかしておらず、更に緊張し過ぎていて、案の定失敗が続き、落ち込んでいたらしい。
「全部自業自得なんです。たいした演技もできないのに、凛ちゃんに追いつけるかもしれないなんて、そんな軽い気持ちでドラマに出ようなんて。それに、せっかく、事務所の、みんなが、応援し、てくれて、るのに、わたし、は、それに、ひっく、こたえられなくて…スタッフの人や、俳優さんに、迷惑ばっかりかけて、私、アイドルに、ひっくならなきゃよかったなって…」
…えっと、ごめんね。俺単純に失敗が続いてるから落ち込んでるだけだと思って、すっごい軽い気持ちで聴いちゃった。
どう考えてもこれ、軽い気持ちで聴いていいような話じゃないよね?
「と、とりあえず1回落ち着こう?」
「はい、すみ、ません…」
謝らないでー!?俺が泣かしてるみたいじゃん!?
ま、まずい、何とかしないと。
「…卯月さんは、どうしてアイドルになろうと思ったの?」
。
「え?」
「俺の場合はね、妹に勝手に応募されてて、たまたまオーディションでいい演技ができて、社長の目に止まったから俳優になれただけで、本当は俳優になるつもりは無かったんだ」
「え、……ええぇ〜!?そうなんですか!?」
「うん、俺の本当の夢は公務員になることだったんだけどね」
「福島さんが公務員…似合いませんね」
「よく言われるよ。あと、俺のことは雅也でいいよ」
「えっと、じゃあ雅也君でいいですか?」
「いいよ、それで、卯月さんがアイドルになった理由は?」
「私も呼び捨てでいいですよ。…私がアイドルになった理由は、アイドルに憧れていたからです」
「それは表向きの理由でしょ?本当の理由は別にあるんじゃないかな?」
「え!何でわかったんですか⁉…本当は自分を変えるためだったと思います。
私は小さい頃から普通の事しかできなくて、テストも良くて中間より少し良いぐらいの点数しか取れないし、徒競走も3位ばっかり。
ほんと、何でアイドルになれたのか不思議なくらい、普通の事しか出来ないんです。」
「…………。」
「でも、そんな自分を変えたくて、アイドルを目指したんです。
今思えば、アイドルじゃなくても自分を変えることはできるのに、おかしいですよね、私って」
「…俺はおかしくないと思うよ」
「え?」
「卯月さん…卯月は自分を変えたいって明確な理由があって、アイドルになったんでしょ?俳優になりたい理由がなかった俺より、ずっと良いと思うよ」
「でも、私は失敗ばっかりしちゃうし」
「そんなの、初めてやることなんだから、失敗して当たり前だよ。
その失敗を反省して次は失敗しないよう努力しできるなら、問題ないよ」
「みなさんに迷惑ばかりかけてるし…」
「誰だって最初はそんなものさ。それに、みんな迷惑だとは思ってないよ。
むしろ、卯月が失敗を気にしすぎてるんじゃないかって心配してるよ。」
「え…」
「卯月はセリフが覚えられない訳じゃなくて、緊張していて動きが硬いだけだよ。
緊張さえほぐれれば上手くできると俺は思うよ」
「ほ、本当ですか!」
「うん、だから緊張し過ぎないで、リラックスして演技をしてみるといいよ」
「はい!わかりました!」
「そうそう、そんな感じ、君は可愛いんだから笑ってたほうがいいよ」
「か、可愛い⁉⁉」
「うん?どうしたの?顔が赤いけど?」
「な、何でもありません!」
「そっか。じゃあ元気になったところで、早速撮影に戻ろうか」
「はい!…あ、あの、雅也君!」
「?」
「相談に乗ってくれてありがとうございました!」
「いいっていいって。ほら、そろそろ休憩の時間終わるよ」
「はい!」
「おい、雅也。あの子に何したんだ?」
「ただの相談に乗っただけですよ」
「絶対お前なんかしただろ。緊張ほぐれただけで、あんなに上手くなるもんかよ…」
「あ、やっぱりそう思います?」
俺たちが戻るとすぐに撮影が再開され、先ほど卯月が何回もやり直しをしていた場面からだったのだが、卯月は休憩前とは別人のような演技をしている。
その代わり様に最初は全員キョトンとしてしまった(卯月は「また失敗しちゃいましたか⁉」と言いながら、オロオロしていた)
元々セリフをちゃんと覚えれていたので、緊張が取れたら良くなるとは思ってたけど、まさかこれ程とは…
卯月はアイドルじゃなくて女優の方が向いてるんじゃないかな?て思うほど上手い。
「オッケー!卯月ちゃん良いよ!完璧だよ!」
「はい!ありがとうございます」
ちゃんと笑顔を見せるほど元気になってるし、もう心配はいらないかな。
2ヶ月後、福島雅也主演ということで注目されていたドラマだが、主題歌がとても良いということと、可愛いくて演技がうまい女の子がいるということが話題になった。
その女の子の名前は島村卯月。主題歌も監督の要望で彼女が歌っているということで、より注目されることになった。
このドラマをきっかけに、アイドル島村卯月の名は日本中に広がることとなり、同期のアイドルと一緒にバラエティに出演したり、音楽番組にも出演するようになった。
その中でも、ドラマでの演技が秀逸だったので「女性アイドル版福島雅也」と呼ばれ、ドラマへの出演が多くなった。
「ただい「お兄様!撮影先で女の子とイチャイチャしていませんでした!」うお⁉な、何だいきなり」
「ユーリのお兄様レーダーに反応があったのよ!」
「ゆ、ユーリ落ち着け!そんな証拠はないだろ!」
「兄さん、その人可愛かった?」
「可愛かったよ…って、麻理⁉お前余計なことを…」
「やっぱりお兄様、女の人とイチャイチャしていたのですね!」
「ち、違うんだユーリ!俺はイチャイチャ何かしてない!」
「言い訳は聞きたくありませんわ!お兄様の馬鹿〜!」
バチンッ!
今回は、アイドルマスターシンデレラガールズの島村卯月さんに登場して頂きました。
都合良すぎの展開と設定ばかりで申し訳ありません。
卯月さんにドラマは無理だったかな?