Re:ゼロから始める幻想郷生活   作:半霊

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長らく更新が途絶えてすいませんでした。今日からぼちぼち更新を再開しようと思います。毎週水曜と日曜には必ず更新するつもりです。完結までは書き切るのでぜひお付き合いください。


S11 状況整理

死に戻りの問題点の一つとして、周囲と自分の認識がズレるというものがある。知らないはずのことを知っていたり、誰も知らない体験を覚えていたりするのだ。また、この能力は『死』がトリガーであるため、狙って発動することは基本的にはない。したがって、死に戻りをした直後は急に叫んだり顔色を悪くしたりといった状態になりがちである。スバルはもちろんこのことを経験則で知っていた。突然変な行動をすると周りのみんなに心配をかけることも百も承知である。それでもやはり、死に戻りをした時の衝撃は絶大なものなのだ。

 

脳が死に戻りを理解すると同時に、スバルはその場に崩れ落ちる。地面を見たまま息を荒くする尋常じゃない様子のスバルを見て、周りの面々は声をかけた。

 

「スバル!?急にどうしたかしら!」

「ちょっと、急にどうしたの。」

「なんか顔色悪いぞスバル。一体何があったんだ?」

 

三者三様の心配の言葉に、スバルは応えることなくひたすらに心を落ち着かせていた。そんなスバルの背中に、華奢な手が置かれる。

 

「落ち着くかしら。スバル。ベティーがついているのよ。」

 

ベアトリスに背中を撫でてもらったことでだんだん落ち着いてきたスバルは、立ち上がってみんなに笑いかける。

 

「ごめんごめん。別に何ともないから安心してくれ。」

「いや、そう言われてもねぇ・・・。」

「すごい焦りようだったぞ。・・・本当に大丈夫なのか?」

 

何ともないように振る舞おうとしたスバルだったが、さすがに無理があったようで霊夢や魔理沙から心配の声が上がる。どうしたもんかとスバルが思っていると、立ち上がったベアトリスと目が合う。

 

「ベティーはスバルのパートナーかしら。何か心配事とかがあるなら、今すぐにでも話して欲しいのよ。・・・けど、スバルが話したくなかったり、話せない理由があるのなら、ベティーは一旦何も言わないかしら。いつか話してくれるその時を、待っているのよ。」

 

ベアトリスの心遣いに、スバルは心から感謝する。そんなパートナーに甘えてばかりな自分が情けないと思いつつも、スバルはみんなの方を向くと笑って言った。

 

「まあ、そういうわけだからあまり追及しないでくれると助かる。」

「ふーん。まあ、それならいいけど。」

「私は正直気になるけどな?」

 

二人ともまだ腑に落ちてはいないようだったが、何とか納得してくれた。

 

「それで、私の家には来るのか?」

 

魔理沙が話の続きをしようとする。前回はここで魔理沙の家に言ったスバルたちだったが、死に戻りが発動してしまった以上は死を回避するために奔走する必要がある。今回は巻き戻る時間が少ないので、時間に余裕もないだろう。そこまで考えて、スバルは今回は魔理沙の家に行かないことにした。

 

「それなんだが、ちょっと後日にさせてくれ。ベア子も、それでいいか?」

「スバルが行かないのなら、ベティーも行かないのよ。魔理沙には悪いけど、またにするかしら。」

 

ベアトリスが行きたがるかと思ったが、スバルが拒否するのを見て、あっさりと行かないことにした。ベアトリスにはぜひ一緒にいて欲しかったので、ありがたい限りである。

 

「そうか。まあ今日は幻想郷魔法連盟も全員揃ってないしな。有識者は多い方がいいし、全員揃うタイミングにするか。それじゃ、私は帰るよ。またなー!」

 

二人の答えを聞くと、魔理沙はさっさと飛び立った。おそらくあの茶会があるからだろう。そして、スバルは心の中で決意する。

 

『もう2度とあんな展開にさせてたまるか。今回でループを切り抜けてやる!』

_____________________________________

夕食後、スバルは神社の中の部屋で一人になっていた。ここは本来ベアトリスと相部屋なのだが、一旦外に出てもらっている。スバルは死に戻りした時の記憶をできるだけ呼び覚まそうとしていた。

 

「まず、死に戻りが起きたのは今から2日後の朝。・・・王都の時並みに時間が短いな。」

 

スバルは今までの死に戻りの経験を思い浮かべるが、猶予2日というのは異世界に転移した最初の王都の時を除きどの時よりも短い。死に戻りまでの時間が短いということは打てる手段が少ないということであり、単純に難易度が上昇する。

 

「おそらく今回の死因は・・・紅い、霧だ。」

 

どこかから突然出てきた紅い霧。それに触れた瞬間、スバルの意識が闇に沈んだことから、これが死因と見て間違いないだろう。紅い霧なんて日本でもルグニカでも見たことがないので、なぜ霧に触れたら死んだのかはわからないが、ここは幻想郷だ。元の世界たちの常識に囚われてはいけないだろう。

 

「異変、だったか。」

 

異変。文から聞いたこの世界の常識。幻想郷でたびたび起こる不思議な現象のこと。この紅い霧はおそらくその異変なのだろう。それなら、あの時の霊夢の反応にも説明がつく。さらに霊夢の言葉で気になったこと、それは、

 

『・・・しくじったわ。まさかあいつらに新しい仲間がいたなんて・・・。桃髪のメイドなんて、いつ雇って・・・』

 

この言葉の中にある桃髪のメイド、という単語だ。この特徴に合う人をスバルは知っている。ラムだ。

 

「あの時の霊夢は言動からして霧が発生しているところへ行ったはず。そしてボロボロになって帰ってきた。そうなると霊夢は異変を解決しようとして負けた、って考えるのが自然だ。」

 

思えば、文も霊夢や魔理沙が犯人をボコって異変を解決すると言っていた。彼女の言ってることが正しいとすると、スバルの説はより説得力を増す。

 

「まさか?いや、さすがにそんなことは・・・」

 

・・・ここまで考えて、スバルの中である考えが思い浮かんだ。それは気持ちとしては否定したいが、状況がそうさせてくれないという代物だった。

 

「ラムが、あの紅い霧の異変に加担している!?」

 

理由はわからない。しかし、状況を整理すればするほどこの説が真実味を帯びてくるのだ。霊夢がラムにやられたのなら、二人は敵対しているということになる。そして霊夢と敵対するということは、異変を起こしている奴と組んでいる、ということになるわけで。

 

「くそっ、わからねぇことだらけだ。」

 

考えれば考えるほど仮説と疑問が湧いて出てくる。しかし、それらを確証づける証拠が何一つない。情報が圧倒的に不足しているのだ。これでは何をすればいいのか、方針が立たない。とにかく、情報を集める必要がある。どうやって集めれば・・・

 

「って、普通に聞けばいいじゃん。」

_____________________________________

「異変の話が聞きたいって、これまた突然の話ね。」

 

考えがまとまってすぐ、スバルは霊夢に異変について聞くことにした。前のループで実際に異変を解決しようとしていた霊夢ならば、貴重な話が聞けそうだ。

 

「そもそも、なんでスバルが異変のこと知ってるの?私教えたっけ?」

 

言われてスバルは思い出す。スバルが異変について知っているのは文に言われたからで、その文の来訪について霊夢は知らないということを。

 

「ああ。今日射命丸文っていう新聞記者の人が来て、その時に教えてもらったんだよ。」

 

スバルの言葉を聞いて、なぜか霊夢はだるそうな顔をする。

 

「あいつが来たのね。スバルにインタビューってとこかしら。」

「そうだけど、よく分かったな。」

「あいつの考えてることなんて新聞のネタだけだしね。で、受けたの?」

「おう。その時に異変の話も聞いたんだが・・・なんか不味かった?」

 

話していくうちに霊夢の表情が憂鬱な感じになっていったので思わず聞いてしまった。

 

「別になんでもないわ。ただ、あいつは記事を捏造しがちだから。まあ、せいぜいひどい感じにかかれないことを祈ることね。」

「マジで!?」

 

会った時は丁寧な印象だったのでスバルは驚く。とても捏造なんてしそうではなかったが、人は見かけによらないということだろうか。人じゃないけど。

 

「まあそれはいいわ。で、異変の何について聞きたいの?」

 

霊夢が話を軌道修正する。

 

「そうそう、えーっと、紅い霧が出る異変・・・で通じるか?」

「紅霧異変ね。だいぶん昔のやつについて聞くわね。」

「そうなのか。えっと、その異変のことについて詳しく知りたくて。確か霊夢が解決したんだろ?」

「あいつどこまで教えたのよ。まあいいわ。」

 

霊夢はそうぼやきつつも、紅霧異変について話してくれた。

 

「紅霧異変を起こしたのはレミリアってやつで、吸血鬼よ。」

 

また新しい種族が登場した。しかし、吸血鬼はスバルも知っている。地球でも有名な妖怪だからだ。

 

「吸血鬼っていうと、めちゃくちゃ強い代わりに太陽とか流水とかに弱いっていう?」

「よく知ってるわね、その通りよ。」

 

幻想郷の吸血鬼はスバルがイメージするものと同じらしい。なんで吸血鬼が実在するのかは幻想郷だからということにして、スバルは話の続きを聞く。

 

「目的は確か太陽を防いで自由に歩き回りたかったからかしら?・・・今考えてもしょうもない動機ね。」

 

霊夢の言う通りかなりしょうもない動機だとスバルも思う。いや、本人からしたら死活問題なのかもしれないが、そんなことであんな騒ぎを起こされたらたまったもんじゃない。

 

「異変自体はどんな感じだったか?紅い霧は出て来たと思うが、それ以外には・・・」

 

ここで想定外の答えが返ってくる。

 

「特に目立つものはなかったわよ。太陽が塞がれたから、気温が少し下がったのと・・・あと霧がなんらかの特殊な効果を持ってたのか、人間が30分以上外に出たら気絶していたわ。」

「30分以上?」

 

あの時は、少しでも霧に触れただけで死んでいた。つまり、霊夢が解決した紅霧異変と威力がびっくりするぐらい違うのだ。もしかして別口か?とスバルは思ったが、それ以外の部分はびっくりするぐらい共通しているので何が何だかわからない。

 

「どうかした?」

 

急に黙り込んだスバルを見て、霊夢がキョトンとする。

 

「いや、なんでもない。紅霧異変を起こしたレミリアがいる場所ってわかるか?」

「スバルがきた次の日に行った紅魔館よ。あの物騒な紅い館。」

 

ここにきて知ってる場所が登場する。確かに、いかにも紅い霧の異変を起こしそうだ。

 

「紅霧異変といえば、これくらいね。何か参考になったかしら?」

「ああ。かなり助かった。ありがとう。」

 

話が終わり、スバルは再び部屋に戻る。おかしな点も少し見つかったが、昔にあったという紅霧異変と今回の異変は同一と考えていいだろう。つまり、これからするべきことが決まった。

 

「まずは、紅魔館にいく。おそらくそこにラムがいるはずだ。何を思ってやってるのか聞かねぇと。」

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