ポケモン廃人に転生。バトルスタンバイ!リメイク 作:エンパイア
バトルスタンバイ
「チッ、一体何なんだ」
俺の名はシンジ。新人トレーナーで、ナナカマド博士からナエトルを貰い旅に出ようとした所、バトルフロンティアに挑んでいる兄のレイジからバトルを見に来ないか、と誘われたので来たのだが、朝から頭痛がする。
「エオ……」
「ナエトル、折角のバトルだ。俺を心配をするなんてヌルイ事をする暇があるならバトルから目を離すな」
思わずナエトルに当たってしまった。この程度で苛つくとは俺もヌルイな、と思いながらも兄貴とジンダイさんとのバトルを見続けていた。
兄貴のバトルを見るのは初めてだがバトルフロンティアに挑戦するだけあってレベルが高い。
しかし、ジンダイさんは兄貴の全てを上回っていた。レジロック一体で兄貴のポケモン達を蹂躙している。
兄貴の最後のポケモン、ドラピオンもあっけなくやられた。
ジンダイさんは、
「お前ならではの強さはどこにある?」
と、言った。兄貴に向けて言ったのだろうが、俺はその言葉に聞き覚えがあった。
バトルフロンティア、ジンダイさん、ポケットモンスター、そして俺シンジ。
次の瞬間、頭痛が引くのと同時に今の状況がわかった。
「(俺、シンジになったのか)」
そう、俺はアニポケ主人公のサトシのライバルの一人であるシンジに転生してしまった様だ。
兄貴は暗い顔をしてフィールドから去るのが見えた。
「戻れ、ナエトル」
俺もナエトルをボールに戻し、兄貴を探す為観客席を後にした。
原作通りなら、兄貴はジンダイさんとのバトルをキッカケにトレーナーを引退して育て屋になるのだが、その前に確認しなくてはならない事がある。
兄貴を探していると、ベンチで俯いている兄貴を見つけた。
「……兄貴」
「……シンジか。折角、見に来てくれたのにカッコ悪い所を見せたな」
「俺は悪くないバトルだったと思う」
「ありがとう。でも、俺からしたら情け無いの一言に尽きるけどね」
これ以上の慰めは兄貴を侮辱なりかねないと思い、話題を変える事にした。
「ジンダイさんにリベンジすれば良い。一度負けても再チャレンジ出来るんだろ?」
「……それも考えたけど、リベンジするのは辞めようと思う」
「トレーナーを引退するつもりか?」
「驚いたな!?何で分かったんだ?」
「兄弟だからな。それよりも、本当に引退する気か?ジンダイに負けたとはいえ、兄貴のトレーナーとしてのレベルは高い。引退を決めるのは早いんじゃないか」
「いや、いいんだ。今回のバトルでおれが未熟者だと分かった。それに実家の育て屋を継いでみたいと思っていたから丁度いい」
兄貴の決心は俺が思っていた以上に固い様だ。
「……そうか」
「なんだ、心配してくれているのか?」
「そんなんじゃない。ただ、勿体無いと思っただけだ」
原作を見ていても分かっていた事だが、ジンダイに負けた事から逃げて育て屋になった訳では無いと分かっていたが、直接兄貴の口から聞けて安心した。
それと同時に言葉に出来ないモヤモヤしたものが胸に残った。やはり、俺は兄貴を尊敬していて、そんな兄貴がこんな形で引退した事が気に入らなくて、それがDP編のシンジになった理由の一端だったんだなと、思った。
「それじゃあ、明日には実家に帰るのか?」
「ああ、学ばなきゃいけない事が山程あるからね。シンジも一回実家に帰るか?」
「いや、俺はこのままカントーを旅してカントーリーグに出場しようと思う」
「シンジ……」
「勘違いをするな。俺は兄貴の敵討ちを考えている訳じゃないし、今日のバトルを見て焦っている訳じゃない」
「ならいいんだけど……」
「俺の心配をする暇があるなら自分の心配しろ」
「分かった。シンジ、俺も頑張るからお前もカントーリーグ優勝を目指して頑張れ!」
「手持ちをオーバーしたポケモンは実家に送る。世話は任せた」
「それじゃあ、これは俺からの餞別だ」
そう言って兄貴は自分のバックから色んな種類のボールや、『きずぐすり』や、更にはポケモン進化に必要なアイテムまでくれた。
「……兄貴、いくら何でもこんなに沢山貰うのは気が引ける」
「育て屋になる俺が持っていても宝の持ち腐れだろ?」
育て屋は時間の無いトレーナーが利用したりするが、預けられたポケモンを進化させるのはタブーだ。
実際に原作ではDP編では育て屋の娘のアオイが預けられたベロリンガをベロベルトに進化させてしまって問題になっていた。
なので、育て屋になる兄貴には不要な物だが、全てを買うとすると100万を超えかねない。
「使わないで埃が被るぐらいなら、お前に使って欲しいんだよ」
「……兄貴、お人好し過ぎるぞ」
甘過ぎる兄貴に呆れてしまうが、確かに俺に必要な物なのでありがたく頂いた。