織徒達が迷宮を絶賛攻略中の頃、Side優花
「…」
「園部それ…」
織徒と南雲が檜山達の攻撃魔法によって迷宮の底へと叩き落とされてしまって数日が経った。
喪失感のままに王都へ帰還した私達は聖教会側がとった檜山達に対しての処罰は全く甘過ぎるもので失望した。
奈落へと落ちたのが「無能職」だと揶揄された南雲、そしてステータスは高めだったとはいえ勇者の天之河とは違い変えの利く「火炎術師」だった織徒は王都側にとってそこまで重要視されてなどいなかったのだ。
ふざけるな!…何が代わりの利く存在だ!…私にとって織徒は変えなど効かない大切な存在なのだというのに!…
織徒が落ちる寸前に託していった指輪を握り絞めながら震える。
「…織徒が託したコレは信頼出来る人に渡すわ」
「…そうかでも俺は受け取れねえよ…そんな資格なんかねえ…」
「そう…」
私は黒い指輪を填めて、残りの物は信頼の置ける者に渡す事にした。
風間にも渡そうと考えていたが彼も酷く負い目を感じていたらしく頑なに受け取る事はなかった。
「そういう事なら有難く」
「余ったわね…」
青いライオンの様な指輪は日渡に渡した。
だが残りの黄色い恐竜と緑の鳥の指輪は余ってしまった。
これは今はまだ私が持っておくべきということか。
「「!」」
ふと私と日渡が填めた指輪が何かに呼応するかの様な反応を示したのだ。
「これって!…」
「恐らく…」
私は残りの指輪を見てみる。
だがその様子はない。
となれば…
「織徒君は少なくとも生きているんだ!…」
「!」
日渡の予想を聞いて私は安堵する。
「園部さんはこれからどうするつもりなんだい?」
「私は…とりあえず愛ちゃん先生を護衛する班に着くわ…貴方の方はどうするの?」
「んー…僕も君等にきらりちゃんと御一緒させてもらおうかな」
どうやら日渡も月島さんと一緒に来るつもりのようだ。
その頃、Side宙人
「なあ、坂上は何処行ったか知ってる奴居ないか?
何処にも見当たらないようなんだが…」
「坂上君なら金剛君達と一緒に修行の旅に出るって言って朝早くに出て行ったよー」
「そうか…」
いくら筋肉馬鹿の坂上でも流石に犯罪者を庇うような天之河についていく気はなかったようで早々に思い立ったようだ。
「そういうお前等は又向かうんだろ大迷宮に?」
「そうだけど…」
「俺も行く…お前等だけじゃ頼りねえからな特に天之河が…」
俺は勇者PTに同行する事にしたのだった。
Side織徒
「次の迷宮はこの渓谷を超えた先か」
「ああ、神代魔法を手に入れて俺達は日本に帰るんだ!」
俺達が次に目指すべきはライセン大迷宮。
ハジメは神代魔法を集め元の世界に戻る術を探る為、俺はセンタイリングを回収する為に挑まないとならない。
道中を進んでいた時の事だった。
「た、助けて下さーい!」
助けを呼ぶ声が聞こえてきたのでその方を見ると空飛ぶ蜥蜴型モンスター集団に襲われそうになっている兎耳の少女の姿があった。
「あんな所に兎人族?」
「兎に角助け出すぞ!ハジメは半分の相手を頼む!」
「OK!」
俺はテガソードを構え走り出す。
「エンゲージ!」
『クラップユアハンズ!』
「はっ!」
『ゴジュウウルフ!ウルオオーン!』
タン、タン!と手拍子リズムに乗りながら空に円を描き変身する。
『ウルフソードフィニッシュ!!』
「どりゃあ!」
即座に必殺技を繰り出し一匹を叩き落す。
「お次はコレ!エンゲージチェンジ!」
『センタイリング!♪~ジャッカー!』
「纏めて倒れろ!<スペードウィップ>!!」
『ジャッカーフィニッシュ!!』
スペードエースにエンゲージチェンジした俺は即座に赤い鞭を残りのモンスターに向かって振るう。
「「グギャアアアー!?……」」
「う、嘘ぉ!?ダイノヘドアの群れをほぼ一撃で…!?と、兎に角助かったあ~!…」
ハジメも撃ち落としたようで片が付く。
「~という諸々少々複雑な事情な訳でして…」
助けた兎人族の少女、シア・ハウリアから襲われていた経緯を聞いた。
どうやらいわれもない下らない理由で彼女は忌み子扱いされていてそれが他の部族にバレて一族毎追放処分、途方に暮れていた中で更にヘルシャー帝国という亜人差別が酷い国の軍隊に見つかってしまい散り散りになってしまったという。
「それで仲間を助けて欲しいという訳だな」
「はい…」
「OK、その軍隊は今後の為にも排除しておきたいから承った。ハジメもいいだろ?」
「仕方無えな…」
俺達は今後の旅の障害に成り得るとして動く事にした。
「止まれ」
「んあ?何だあ!?」
ドン!ハジメがまずは一人の帝国兵をみせしめに倒す。
「て、敵襲ー!?」
「遅いぞ!」
「なっ!?…」
驚く帝国兵達の隙を突いて俺はどんどんと斬り伏せる。
「雑魚だな」
シアさんの仲間を救出し俺達は予定を変更して亜人の国へと赴く事になった。
「ほうアレは…」