もしもエスデスを仲間にするには・・・?前篇   作:聖獅

5 / 5
子供と鬼の目にも涙

 

エス「タツミの子供が欲しいぞ」

 

タツ「あ、そー」

 

エス「な、なんだその冷たい反応は?」

 

タツ「そりゃお前みたいに強い奴は生まれてくるのは楽しいかもな、他人を・・人

だけじゃない動物植物含め平気で傷つけたり殺しても心が痛まない奴は生まれて来

て楽しいだろうな」

 

エス「わ、私はタツミに救われたんだ。そのタツミの子を作りたいと思って何がい

けないんだ?」

 

タツ「俺の中にだって悪はあるさ、それとの日々闘いだ。それに生きている以上他

の生物を殺さざるを得ないのは仕方ない事だな」

 

エス「なら!」

 

タツ「それが嫌なんだ。生きている者にとっては殺し殺されるはお互い様かもしれ

ないが、それでも嫌なんだ」

 

エス「・・・・・そこまで言われたら私は何も言えないぞ」

 

タツ「言わなくていい」

 

エス「タツミは生まれて来て良かったと思っていないのか?」

 

タツ「・・・さあな、どうとも思っていない。ただ生まれて来た。それだけの事だ」

 

エス「タツミはひょっとして生きている者を殺戮し尽くしたいのではないか?」

 

タツ「そう思う時もある。だが面倒臭い事はしない。」

 

エス「それでは以前の私と同じではないか?いや皆殺しにしたい時点でその私より

も性質が悪いぞ」

 

タツ「お前の場合はただ楽しんでいるだけだろ。俺は違う、殺戮の連鎖を終わらせ

たい。それにはどうすれば良いか、初めから誰も居無ければ良いと判断しただけだ」

 

エス「・・・・・」

 

タツ「安心しろ、始まりがあれば終わりもある。この国も革命軍の勝利で終わった

がいずれまた腐敗して次の勢力との闘いの繰り返しだ。この国も、この星もいずれ

終わりの時が来る。俺がわざわざ何かしなくても終わりが来るさ」

 

エス「・・・国は判るが、星とはどういう意味だ?」

 

タツ「簡単に言えば俺たちの居る世界全ての事だ・・・あの空に太陽、夜に輝く星

があるだろ?」

 

エス「ああ、それがどうした?」

 

タツ「あれを長い間の時を経た後、無くなる」

 

エス「タツミ、何を馬鹿な事を?あれが無くなるなんて事考えられん・・大体何故

それがわかる?」

 

タツ「自然の動きを見て学んだ。自然の弱肉強食というほんの一面しか見て無いお

前には判らん事だ」

 

エス「・・・・・・・」

 

タツ「つまりはそういう事だ」

 

エス「ど、どういう事だ?私には判らん」

 

タツ「子孫を残すのは無意味だと思うが、残したい奴は自分達で責任が持てるなら

好きにしろという事だ。

俺には秋に出てくるトンボが雨上がりの次の日干上がる水たまりに卵を残すような

行為にしか思えんがな」

 

エス「タツミは何がしたいんだ?」

 

タツ「俺はただ黙って静観するしか出来ない、それだけだ」

 

エス「隠居の爺さんみたいだぞ」

 

タツ「うるせえ」

 

エス「・・・はぁ・・・とにかくタツミが子を作りたくないのは判った」

 

タツ「・・・・・」

 

エス「だが、タツミが何と言おうと私は作りたい!」

 

タツ「そんなに自分の血を残したいか?その醜い心が色々な争いの種になったのを

お前は歴史を知らんのか?」

 

エス「タツミだって村の子供達と楽しそうに遊んでいたではないか?」

 

タツ「生まれてしまった以上仕方がないからな。よく育って貰いたいからあやして

いただけだ。」

 

エス「赤子が可愛いとか思わないのか?」

 

タツ「感情では思わなくはないが、その感情が・・・自分の血を受け継ぐ子が可愛

いと思うが故に暴走するきっかけに繋がると思うと素直に良いとは思えんな」

 

エス「む・・・・・」

 

タツ「それにそんなに欲しければみなし子でも拾ってこい。お前に殺された敵の中にも生き残

った子がいるかもしれんぞ」

 

エス「・・・あ!?・・むっ・・・・私だってそれなりに罪滅ぼしをしたではない

か?少しくらい何か褒美があっても良いと思うぞ。私はタツミと自分の子欲しいん

だ」

 

タツ「余り下らん事言ってると、その命消し飛ばすぞ!」

 

エス「・・・判った、とりあえず今日はもう良い。私が誰かによって変わったよう

に、タツミの心をいつか必ず変えて見せる!」

 

タツ「・・・一人で思うのは勝手だ」

 

 

 

 

 

 

タツ「お前の拷問・残虐好きは殺さなければ生きていけない動物らしい素直な感情

、過剰適応した一つ進化なのだろうな」

 

エス「む・・・」

 

タツ「動物らしいと言えば動物らしいが、俺がそんなの許す訳無いだろ。お前を慕

うペット共は、流石に人間としての良心の呵責でそこまでしないのか、自分にはそ

こまで出来ないが、タガが外れたお前の領域に憧れを抱くのか・・・」

 

エス「・・・・・」

 

タツ「だが俺にはお前の蛮行などただの標的にしか映らない。殺し殺されの世でもせ

めて楽に死なせてやるのが慈悲だ」

 

エス「・・・・・・」

 

タツ「もっともお前の行った拷問はまだ肉体を苦しめるものだからな、別の面で惨

いモノもある。お前はそれをしなかった点はまだマシだ・・・もっとも信念があっ

てそれをしなかった訳では無いだろがな!」

 

エス「?どういうものだ、それは?」

 

タツ「知らんでいい!もしお前がそれを行っていたら・・・俺は叩っ斬りたくてし

ょうがなかったろうな」

 

エス「!?・・・・・」

 

タツ「部下達はしてたろうがな、戦勝後、蹂躙で」

 

エス「そういう事か・・・私はその手の拷問に興味は無い」

 

タツ「・・・最低限知ってはいたか」

 

 

 

 

エス「私にも少しは判った、タツミは今までかなりの悲しみを味わってきたのだな

・・・」

 

タツ「何故お前が泣く?・・・鬼の目にも涙だな」

 

エス「タツミが泣かないから・・・泣いているのだ」

 

タツ「そうか・・・・・」

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。