《1》
広大な草原を駆け抜ける馬車。
馬車の前を走る巨体ことアンセム。
馬車と並走するルーク。
馬車を御者であるルシア。
その横に座る一護。
一行は無事にレベル8の宝物殿を抜け出して、帰路についていた。
「随分と長いこと、宝物殿の中にいた気がするぜ」
遠ざかっていく
一人で果敢に挑んだレベル8の宝物殿。
乗り込んで進むとリィズと再会し、外側から飛んでいくとルシアとも再会。そしてボスを打倒してからの、現れたルークとの斬り合い。
終わったかと思えば『
この功績は武勲を得て、武勇伝として誇っていいのではと思うほどの有終完美の結末となった。
「ええ、長かったです。主に一護さんとルークさんの戦いがほとんどの時間を占めてますけどね」
そんな振り返りをする中、ルシアが呆れた声を上げた。
少し非難の感情が滲み出ていたので、一護は謝罪するように言葉を返す。
「ああ、悪い。この埋め合わせはいつかするぜ。アンセムもな」
「当然です」
「うむ」
一護とルークの戦いを、一切手出しせず観戦に徹してくれていたので面目次第もない気持ちだった。
すると馬車と並走しているルークが一護に近づきつつ声を上げた。
「だったら一護。俺にもちゃんと埋め合わせ頼むぜ。次も本気で斬り合いてえからな!」
「うるせえよ。お前とはしばらく剣なんて交える予定はいれねえ」
「何だよ、一護も不完全燃焼だろ! あの白服の連中との戦いは、最後の決着をつける前に終わったんだからよ」
「俺をお前と一緒にするんじゃねえよ。つか今更だけど、何で走ってんだよルーク」
「は? そんなの修行のために決まってるだろ? なに当たり前のことを聞いてるんだ」
「いや馬車と並走する修行なんて聞いたことねえよ」
修行馬鹿にも程があるだろう。
昔から何でも剣の修行と称して身体を鍛えてきたが、十年以上の時を経てもそこは変わっていないようだ。
「それより何で一護は走らねえんだ?」
「馬車があるのに何で走るんだよ。さも当然のように聞いてくるんじゃねえ」
「おいおい、まさか宝物殿での戦いに疲れたのか? 体力落ちたんじゃねえのか一護」
「人の話を聞いてねえのかよ。馬車があるのに走る必要性を感じねえだけだ」
「それって言い訳じゃねえのか? 馬車に脚力で勝てねえって俺には聞こえたぜ」
「何だと?」
ルークの言い方にピクリと青筋を立てる。
一護自身、こんな安い挑発には乗りたくはなかったが、舐められたままなのも癪なのである。
故に、とても行動に出やすい。
「上等だ! やってやらァア!」
「よっしゃ! バテんじゃねえぞ一護!」
「あ! 一護さんまで何やってるんですかもう!?」
馬車から飛び降りた一護は、慣性の法則などを完全に無視して着地から即座に走り出した。
ルシアから盛大に溜息をつかれたが、そこは男の矜持が許さない場であったので蚊帳の外へとやった。
「一護! どっちが先に走って帝都まで付くか競争だ! 俺に勝てたら帝都で飯でも奢ってやる!」
「俺に勝てると思ってんじゃねえよ。こっちは帝都まで馬車を使わず走ってきたんだぜ!」
そうして駆ける馬車を優に超える速さで、二人は火花を散らしながら駆け始めた。
「は〜、何なんですか……。これじゃもう本当に馬車に乗ってきた意味がありませんよ。一護さんも、昔から負けず嫌いなところがありましたが、そこは一切変わっていませんね」
「うむ」
「……私も、一緒に走ろうかな」
「う、うむ」
遠ざかる二人の背中を見つめながら、ルシアはどこか不貞腐れていた。
***
ゼブルディア帝国では、一護たちが
レベル3の宝物殿{白狼の巣}での異常事態に始まり、アカシャの塔の介入、竜殺しアーノルド・ヘイルの来襲に、そしてクライが何より楽しみにしている宝具を取り扱うゼブルディアオークション。
そんな胃の痛くなるイベントと、胸踊るイベントを、クライは漠然とこなしていった。
それらのイベントという名のトラブルも含めて終幕した矢先のことだった。
とある貴族からの指名依頼、からの皇帝より『白剣の集い』の招待である。
通常なら喜ぶべき栄誉として受け取るべき物だが、クライからしたら面倒が舞い込んできたと言う認識。
ただでさえアーノルド・ヘイルというハンターには因縁をつけられて厄介なのに、その上でこのような吐きそうになる案件が来たとなるとクライの一手は一つとなる。
「よし、バカンスに行こう」
帝都からの逃避行である。
思いつくやその行動たるは迅速で、ティノとリィズ、シトリーを連れて帝都から抜け出したのだ。
実際、本当にバカンスには行きたいようで温泉で有名な村でのんびりしようと企てている。
そしてそのついでに
しかしそれは見事にすれ違うこととなる。
クライ達が帝都を出発した後日、一護たちは帝都へと帰還するのだから。
《2》
――ゼブルディア帝国。
トレジャーハンターの聖地と呼ばれ、国内には多数の宝物殿が存在する。トレジャーハンターの黄金時代と呼ばれる昨今では、周辺諸国よりも国力が高いと言えよう。
そんな帝都に一護、ルーク、ルシア、アンセムは無事帰還した。
「……久しぶりだな、この光景は」
大通りを絶え間なく行き来するハンターや馬車を引く商人たち、そして買い物をする人々。
圧巻としか言いようがない大勢の人々を眺めながら、一護は懐かしい思いに駆られていた。
「一護さんが過ごしていた頃より、少しは様変わりしているんじゃないですか?」
「そうだな。並んでる店とか、変わってる気はする。まぁ俺もそんなよく覚えてねえけど、この雰囲気は昔から変わってねえのは覚えてるぜ」
「親父さんの仕事だったよな。結局、そんな長いことは帝都にいなかったんだろ?」
「ああ。だから懐かしい反面、新鮮な気分だぜ。俺が今まで立ち寄ってきた都でも、ここまで大きいところはなかったからな」
一護たちは歩き出す。
アンセムが大きいあまり目立っていたが、住人は慣れているのかあまり注目されない。
逆に一護の方が目立っていた。
「何か、周りからジロジロと見られてるな。何でだ?」
「全身真っ黒の変わった服に、出刃包丁みたいな大剣を背負ってたら、そりゃ目立っちゃいますよ」
「だな。色んな格好をしたトレジャーハンターがいるけど、一護みてぇな奇抜な格好の奴はいないからな」
「異国の服だから、そりゃそうか。いっそ仮面でも付けて顔を隠しとくか」
「やめてください、もっと目立ちます。それに、通報されてしまいますよ?」
一護から時々出る素っ頓狂な言葉に、ルシアは溜息を漏らした。
そこでルークが何かを閃いたかのように言う。
「だったらコックみたいによ、エプロン付けたらどうだ? ちょうどその剣、見てくれは包丁みたいだしよ。俺は料理人だって名乗り上げたら、変な目で見られないと思うぜ」
「ルークさん、意味不明なことを言わないでください。一護さんも、それいいなって顔をしないでください」
「…………なぁなぁ、よく考えたら包丁は料理人にとっての武器だろ? コックってもしかして剣士になるのかな。今度、斬り込んでみるか?」
「本当にやめてください。帝都中のレストランから定食屋まで全て出禁になりますよ」
「それで済めばいいけどな」
何ていう他愛ない会話をしながらも、通行人たちは一護に目を走らせていた。
慣れない視線が嫌になり、ルシアに目的地について催促するように訊ねる。
「それで、今からどこに行くんだ? なるべく早く目的地に行きてぇんだけど」
「まずは探協に報告です。戻ってきたら真っ先に報告するように言われてますので。ついでに一護さんの昇格試験の手続きもしてしまいましょう。ガーク支部長にも挨拶した方がいいでしょうし」
「ああ、ならよろしく頼むぜルシア」
「ええ、しっかり感謝してくださいね」
そうして一護たちはゼブルディア支部の探索協会へと向かった。
***
「よく報告に来てくれた……。と、言いたいところだが、ルシア一人か?」
「はい。下にアンセムさんはいますけど」
ゼブルディア支部の探索者協会に到着したら、受付の女性に支部長室へと通された。
本日は来訪しているハンターが多く、アンセムは出入り口前で待機することにした。
ルークは気付いたら消えており、ルシア曰く強そうな剣士でも見つけたんじゃないか、と言うもの。これに関しては、もっと焦った方がいいと一護は思った。人斬り犯罪者が出てしまう。
結果、支部長室には一護とルシアのみとなってしまった。
「それで、お前さんは?」
禿頭こと巨漢のガーク支部長が、ルシアの横に座る一護を見て尋ねた。
「俺は黒崎一護。訳あってルシア達と一緒に宝物殿に挑んだトレジャーハンターだ」
「黒崎、一護? ……ああ、お前がそうか。話には聞いてるぜ」
ガークの反応に、一護とルシアはキョトンとしてしまう。
「いやなに、スヴェンの野郎から報告を受けていてな。一風変わったハンターに助けられたってよ。そうか、お前が黒崎一護か」
「スヴェン……?」
「ああ、成程な。ルシアには話さなかったけど、
「ええ、知っています。けどまさか、そんな偶然があるなんて」
「ここに来るまでに色んな偶然に合ってるよ。お前らとの再会が一番の偶然だったけどな」
「…………まさかと思うが、お前たちは以前からの知り合いか?」
傍から見ても気心が知れた親しい仲のように感じる。
二人の関係を知らないガークへの問いに、ルシアが簡潔に答えた。
「はい。私、と言うより私たち【
「まぁそんな訳です。将来は帝都で一緒にトレジャーハンターになろうって約束した感じで、それを果たしに帝都に来たんだ」
それを聞いたガークは、やっぱりなと得心した顔となった。
「黒崎一護と言うハンターが帝都に向かっている理由を聞いた時、クライの顔がチラついたからな。そんな気はしていたぜ」
頭をポリポリと掻きながら、ガークは一護に手を差し出してきた。
「改めて自己紹介だ。俺はこのゼブルディア支部の支部長を務めるガークだ。これからこの帝都で仕事をするのなら色々と顔を合わせることも多くなるだろう。よろしく頼むぜ」
「ああ、こっちもよろしく頼む」
そして一護とガークは握手を交わした。
***
そこからは事務的な会話となった。
一護は足跡のクランに所属し、
前者二つは流れるように終わったが、
しかし話せる内容はそこまで多くはなかったので、この話も一護たちの知る範囲のことを全て話して切り上げた。
そして一通り話し終えると、探協の支部を後にした。
「さて、一護さん。早速ですけど、足跡のクランに案内しますね」
「ああ、頼むぜ」
支部を出ると、次の目的地は足跡のクランに向かうこととなった。
そこにはクライがある。
懐かしい顔を思い出しながら、一護はルシアとアンセムと一緒に向かった。
【
帝都でも立地に良い場所に、この都市にこのクランありと誇示するように建っている。
クランハウスの中でも取り分け大きな建造物で、トレジャーハンターの聖地である帝都でも人気、実力共に平均値を大きく上回っている。
そんな足跡のクランの前までにやって来た一護は驚きの声を上げた。
「で、デケェ」
世界中を旅して来た一護でも、ここまで大きなクランハウスは滅多に見ない。
瞠目して見上げる一護を横目に、ルシアはほくそ笑んだ。
「驚きを隠せませんか一護さん。今日からここが、一護さんの所属するクランになるんですよ」
「ああ。つか、勝手に決めていいのか? クランに入るのって試験を受けたり、推薦が無かったりしないと入れなかったりするもんじゃねえのか?」
「クランに入団する方法は千差万別です。うちは年に一度、大々的にメンバー募集をしていますが、一護さんなら問題ありません。何たって、私たちの推薦ですからね」
「人気のクランに、レベル2の俺がそんな易々と入ったら、色々と反感を買うんじゃねえか?」
「こんなことを言うと傲慢に聞こえるかもですが、私たちの推薦で反対する人はいません。そこは心配しなくて大丈夫です」
「うむ」
「随分な自信だな。ハンターは血の気が多いやつばかりだから、変な因縁を付けられそうだぜ」
「まぁもし、一護さんのことが気に喰わなくて喧嘩を吹っかけられたら、返り討ちにしてしまっても構いませんよ?」
「冗談だろ? いやその場合は、そうするしかねえのか……」
どこか緊張、そして高揚感を覚えながら一護たちはクランハウスへと入った。
まず目に映ったのは、ホテルを思わせる広いロビー。正面に受付があり、女性職員らしき人が立っている。
レイアウトも凝っており、一つ一つの装飾から室内のデザインに至るまで、貴族の屋敷めいていた。
一護が驚嘆としていると、ロビーにいたトレジャーハンターから注目を受けた。
「お、アンセム。帰ってきたのか」
「ルシアさん、お帰りなさい」
「随分と速かったな。レベル8の宝物殿だから、もっと帰りが遅くなると思ってたぜ」
「ねぇ、何でリィズとシトリーは先に帰ってきてたの?」
「それより
「おーいお前らルシアとアンセムが帰ってきたぞ!」
とても慕われているのだろう。
クランに戻ってきたルシアとアンセムが、みんなの注目の的となった。
なのでその横に立つ一護は、どこかいたたまれない気持ちになった。
「あの皆さん、宝物殿の話を聞きたいのは分かりますが、喫緊の話が兄さ……リーダーにありますので、また後程でお願いします」
ルシアの言葉を聞いたハンター一同は、どこか気まずそうに押し黙ってしまった。
その反応に小首を傾げて問い質そうとすると、一人の聡明そうな女性が現れた。
「おかえりなさい。ルシアさん、アンセムさん」
眼鏡をかけた、端正な佇まいをしている女性。
トレジャーハンター独特の覇気を感じないので、恐らくこのクランの事務を担っているのだろう。
一護がそんな憶測を立てていると、その女性が一護の姿に気づいた。
「? こちらの方は?」
「それも踏まえてリーダーと話したいので、先にリーダーの所に。どうせ自室で宝具でも磨いているんでしょう」
「……では、そちらの件も踏まえてお話しをします。こちらへ」
そして女性に案内されるようにして、一護たちはこのクランの上層階へと向かった。
ちなみに一護は足跡に所属しているというスヴェンやティノ、アークがいないかキョロキョロとしたが見当たらなかった。
代わりに周りのハンターからは、誰だコイツ? 変な格好だな、などと言った目で見られているのに気づいたのだった。
***
「そうでしたか。はい、お話はクライさんより伺っております。申し遅れました。私はこの【
「黒崎一護だ。ハンターレベルは2。よろしく頼むぜエヴァ」
ルシアの紹介のもと、クランマスター室でソファに座りながらお互い自己紹介をする。
既にエヴァにはクライより話が通っているらしく、淡々と話が進んだ。
「それでリーダーはどこです? いつもあの椅子で休んでいるはずなのに見当たりませんが。どこかに出かけているのですか?」
「はい。クライさん及びリィズさんとシトリーさん、ティノさんも含めて、温泉に行くと言い帝都を出ました。何でもバカンスだと……」
「……は?」
エヴァの衝撃的な事を聞かされ、ルシアは唖然としてしまった。
こっちは薄氷どころではない危険極まる高難易度の宝物殿を攻略し疲労も溜まっているのに、リーダーであるクライは呑気にバカンス。
沸々と煮え滾るように怒りが湧き上がってきた。
「もお! もお! 何ですかうちのリーダーは! 労い一つもなく自分は優雅にバカンスですか!」
「お、落ち着いてくださいルシアさん。きっとクライさんにも何か考えが――」
「ある訳ありません!」
「そうか。クライは今留守か」
ようやく会えると思ったが、クライがいないことを知るとどこか拍子抜けしてしまった。
そもそもの疑問だが、レベル8のトレジャーハンターでありクランリーダーである男がそんな気軽にバカンスなど行けるのだろうか?
一護の中に不意に思った疑問だが、今までクランはおろかパーティにもまともに加入したことがないので口にはしなかった。
「それと黒崎さん、クライさんから言伝を預かっております。万が一、クランリーダーであるクライさんが不在の場合、副クランマスターである私の立場により【
「ああ。クランのことはよく知らねえが、クライ達と一緒にトレジャーハンターの高みを目指すのは、ガキの頃からの約束だからな。クランへの加入、よろしく頼むぜ」
エヴァの問いに、一護は二つ返事で了承した。
元々断るつもりはなかったし、ここまで話がスムーズに進むのは一護にとってもありがたい。
それに対して、エヴァはホッと胸を撫で下ろすかのように安堵していた。
「それは良かったです。クライさんから、もしかしたら黒崎さんは僕が直接言わないと入ってくれないかも、と仰っておりましたので。滞りなく話が進み助かりました」
「? 何でクライはそんなことを言ったんだ?」
「黒崎さんはご自分の筋を通さないと、クランに入ってくれないかもとクライさんは危惧されておりました。ご自分に厳しい方ゆえ試練か試験を行い、クランメンバーを認めさせた上でないと加入してくれないかもと」
「へ~、リーダーも少しは思案されていたんですね。珍しい。けど、それは杞憂でしたね」
「はい。私もそうならなくて良かったと思います」
「ちなみに何ですけど、俺がクランメンバーを認めさせる試練ってやつは考えてあったのか?」
「はい。何でもクラン内で反対派と模擬戦を行いたい派を集めて、黒崎さんと戦わせると言った奇抜なものでした」
「戦って認めさせる気でいたのかよ」
しかもそれだとリィズやルークは喜んで挑んできそうで面倒極まる。
了承しておいて良かったと、一護も安心した。
「それでは手続きは私の方で行っておきます。クランハウスのご説明は……」
「ええ、それは私に任せてください。一護さんには、私から説明しておきます」
「分かりました。ではルシアさん、お願いします」
そしてエヴァはソファから立ち上がった。
「それでは私はこれで失礼いたします」
「ああ、色々とありがとうな」
「いえ。これが仕事ですので」
そこでふと、エヴァは何かを思い出したかのように言った。
「お一つ忘れておりました。シトリーさんから言伝を預かっています。一護さんの為に持ち家の一つをご用意したと。そちらの住居を自由に使っていただいて構わないと許諾を頂いています」
「シトリーが? そいつはありがてぇが――」
「いえ、それは遠慮してください一護さん」
きっぱりとルシアが固辞するように一護に言ってくる。
少し訝しみ、理由を聞こうとしたが先にルシアが続けた。
「シトのことです。何か怪しい仕掛けがあるかもしれません。仮に住むにしても私が内見した後です」
「……お母さんかよ」
「何でお母さんですか。もっと別の例えがあると思うのですが……」
「まぁ、私があくまでお伝えしただけですので。もし見に行く場合は、場所をお教えしますのでお声がけください。では失礼します」
エヴァは恭しく出ていくと、改めて今後について話す。
「それで、どうするんだルシア。クライ達を追いかけに、その温泉のある村に向かうか?」
「そうですね。私的には一刻も早く追いかけて、兄さんに文句の一つでも言ってやりたいのですが、それは明日からにしましょう」
「だな。一日くらいゆっくりしても罰は当たらねえし」
帝都に着いても、いくらか必須事項がある。
クランメンバーに挨拶をし、このクランの規則を覚え、居住探し(シトリーの用意してくれた家でもいいがルシアに止められるだろう)を行い、ついでにルークが人を斬っていないかチェックしないといけない。
そんなことに頭を巡らしていると、ルシアが立ち上がって言った。
「と言うわけで、一護さんには今からこのクランの案内と、そして足跡の主要パーティを紹介します」
「おう、よろしく頼むぜルシア」
そして二人もクランマスター室を後にした。