それは私の知らないところで駆紋戒斗さんが初めてオーバーロードと交戦した時の話であり私はクラックの維持している装置の前でパソコンの監視映像をチェックしていたところでヘルヘイム側のクラックから傷だらけの駆紋戒斗さんが湊先輩に連れられて帰還しているところだった。
葉月「湊先輩!!」
湊「葉月!!救急箱を!!」
葉月「わ、わかりました!!」
激しい戦闘があったのか駆紋さんは傷だらけであり立ち去ろうとする駆紋さんを湊先輩は必死に抑えていた。
湊「見せなさい!!」
戒斗「離せ…もういい!!」
湊「本当頑固ね貴方…命知らずにも程があるわ…」
湊先輩は駆紋さんの頬にハンカチを当てようとしており駆紋さんは本気で嫌がっているのか必死に顔を背けておりそれを見た私は少しムッとしてしまう。
葉月(駆紋戒斗さん…湊先輩が最近気に掛けている男性…湊先輩は彼の事が気になっているようだけど彼はどう思ってるのかな?)
湊「今日は泊まって行きなさい?怪我の治療と今回の戦闘データを収集したいわ」
戒斗「帰る」
駆紋さんは湊先輩を振り切ってしまいそのまま会社の正面入口から出て行ってしまい湊先輩は会社の正面で駆紋さんの後ろ姿を見つめていた。
葉月(な…湊先輩みたいな美人の誘いを断った!?嘘っ…)
私は駆紋さんが実は湊先輩に全く魅力的な女性だと意識してないのではと感じてしまいだんだんと腹が立っていた。
葉月「湊先輩の魅力がわからないなんて…本当に先輩に興味が無いの…?」
湊「今から教えるのは変装の技術よ」
葉月「おおっ…スパイっぽいですね!!」
湊「こう見えても私は元スパイだったのよ…」
葉月「えぇっ…先輩は元々秘書では無くスパイだったんですか!?」
湊「意外だったかしら…?こんな私でも貴方の先輩でいれてよかったかしら?」
葉月「はい!!湊先輩は私の素敵な先輩ですよ!!」
私は湊先輩の衝撃のカミングアウトに衝撃を覚えるが私は湊先輩を讃美するように褒め称えると湊先輩は調子に乗るなと言わんばかりに私の頭を小突く。
湊「そうじゃなくて変装の話よ…私達秘書は仕事をする上でどうしても相手を油断させるために変装しなければならない時があるわ」
そう説明しながら机の上には様々な服がありコートやジャケットやスーツなどありその中にはなぜか私の予備のスーツがあった。
湊「他人に変装するにはまずは身なりを変えることと体型を変えるのが重要よ…」
そういうと湊先輩は高いヒールとロングコートとかつらを選ぶと隣の部屋にて変装の準備に入り3分程で変装が終わり私の前に姿を現した。
葉月「わぁ…別人だぁ!!」
湊「高いヒールを履くことで身長を誤魔化せるしコートだと体型を誤魔化しやすいわ…後はかつらで完全に他人に変身出来るのよ」
そして次に湊先輩は私の私物のスーツを選び私と同じ髪型のかつらと私のと同じパンプスと化粧道具を持って再び隣の部屋に入り10分程経った頃部屋の扉が開いて私は思わず目を見開いた。
葉月「え、えっ…私!?」
部屋から現れたのは私にそっくりに変装した湊先輩であり私の髪型まで完全に再現されていた。
湊「貴方の特殊な髪型は再現するのは少し大変だったわ…」
葉月「外ハネミディアムですね」
私の髪型は外ハネのミディアムであり顔まわりをふんわりとさせることが鍵であり両サイドの毛束に軽く波巻きを加えることで、女性らしいシルエットにするのが特徴でそれを湊先輩は見事に再現してみせた。
葉月「かつらなのにここまで出来るんですね?」
湊「いいえ…かつらだからこそ自由自在に変えられるのよ?後重要なのは仕草かしら?」
湊先輩は私の姿で部屋の中を歩き始めた。それは明らかに私と同じくあまり大股で歩かず小股でゆっくりと歩く歩き方を真似してみせた。
湊「普段の仕草まで模倣する事で相手を完全に油断させる事が出来るわ」
葉月「なるほど…」
湊先輩はそう言いながら机の上に白いスーツを置くとその隣にショットカットのかつらを置いた。
葉月「…?湊先輩これは?」
湊「じゃあ実践といきましょう…葉月…私に変装しなさい」
葉月「えっ…私が湊先輩に…?」
湊「私は貴方と違ってそこまで髪型もメイクも難しい物じゃ無いわ…簡単に私に変装出来るはずよ?」
葉月「私が…湊先輩になれる…」
その時湊先輩に着信が入り着信に出ると微かに凌馬さんの声が聞こえて来た。
凌馬「駆紋戒斗君がまた森に入って行ったみたいだ…例のアレの探索だと思うけど念の為に様子を見て来てくれるかい?」
湊「はい…プロフェッサー」
通話を切ると湊先輩は私に白いジャケットと白いタイトスカートとかつらを手渡して来て私は目を丸くした。
湊「丁度良いわ葉月…私に変装して彼に帰ってくるように説得して来なさい」
葉月「へ…何でですか?」
湊「彼は今手傷を負っている…今動かれては彼の体が持たないから上手く説得するのよ」
葉月「でも変装する意味は…?」
湊「私なら彼を上手く説得出来る…変装すれば貴方にも駆紋戒斗を上手く言いくるめる事が出来る筈よ!!」
葉月「わかりました…」
湊「…違うわ…私はそう言う感じで返事はしないわ」
葉月「…わかったわ…私に任せて頂戴」
湊「声を低くすれば私に近い声が出せる筈よ…頑張りなさい…」
その後私は湊先輩のアドバイスを受けながら湊先輩と同じ姿になるために白いスーツを身に纏い化粧も簡単な物にし直した上で最後にかつらを着用した。
葉月「あーあーあー私は湊耀子…私の湊耀子…私で湊耀子…私は湊耀子!!」
私は声を変えるために普段の高い声から低い声へと調整していると湊先輩は私にゲネシスドライバーを差し出した。
湊「私のドライバーとロックシードを持って行きなさい…貴方なら使える筈よ」
葉月「わかりました」
私は湊先輩からゲネシスドライバーとピーチエナジーロックシードを受け取ると現場に向かうために部屋から出た。
貴虎「湊…?任務か?」
葉月「あ、貴と…ゲホンゲホン…呉島主任!!」
貴虎「風邪か?」
葉月「えぇ…喉の調子が…」
貴虎「そうか…?水瀬の先輩であるお前が倒れたら水瀬が騒ぎ出すぞ…」
葉月「え、えぇ…」
貴虎「無理をしないようにな?」
そう言うと貴虎さんは去ってしまい廊下で1人残された私は呆気に取られてしまい心の中でツッコミを入れる。
葉月(騙せちゃうんかーい!!)