沢芽市での大きな戦いからさらに5年が経ち、それぞれの道へと進んでいた。私は20代後半となり身長もさらに伸びて湊先輩のような立派な女性に近づいた…?と思ったが私自身は特に目立って変わったような感じがしなかった。
葉月「湊先輩…私も20代後半です。少しは先輩みたいな立派な女性に近づけましたか?」
ふと空に向かって1人呟きながらダンスステージへと視線を向けた。
葉月「ダンス…盛り上がってるな…」
ダンスステージにて鎧武のパーカーやバロンの衣装など様々な衣装で踊るダンサーが一緒に踊っていたがかつてのメンバーの面々はおらず私は寂しい気持ちになってしまう。
葉月「みなさん…それぞれの道へと進んだんですよね…」
ザックさんとペコさんはダンスを極めるためにアメリカへ、城乃内さんはシャルモンのお店を、凰蓮さんは傭兵の仕事へと復帰してかつての傭兵仲間と一緒に世界中を飛び回っており、光実君は仕事仲間のミハイルさんとロシアにて任務中、シロちゃんは沢芽市神社にて神社の神主を続けていた。
葉月「あと…チャッキーさんとリカさん…」
そして大親友であるチャッキーはリカさんと一緒にダンサーを引退して女優となっており海外にて仕事をしているとの事であった。
葉月「2人に会いたいな…」
ふとチャッキーさんとリカさんに会いたい気持ちが強くなり私は2人のSNSが更新されていないか定期的にチェックしていたが突如着信が入り、私はつい慌ててスマホを落としそうになってしまった。
葉月「わっ…びっくりした…ん…チャッキーさん!?」
電話の相手はまさかのチャッキーさんでありビデオ通話のボタンを押すと素敵な女優へと成長したチャッキーさんとリカさんが画面に現れた。
チャッキー・リカ「「葉月さん!!やっほー!!」」
葉月「チャッキーさんにリカさんお久しぶりですー!!」
2人はどこかの国の民族衣装に身に纏っておりその背後にはスタッフらしき人達が忙しそうに動き回っていた。
葉月「今から撮影会ですか?えっと…確か場所は」
チャッキー「ベトナムだよ!!」
葉月「ベトナムって黄色の星に周りは赤の国旗でしたっけ?」
リカ「そうなの!!今、撮影をしながら観光を楽しんでるんだ!!」
チャッキー「葉月さんは?沢芽はどう?」
葉月「私も最近まで光実君とロシアで任務でしたが任務がひと段落したので私1人で先に帰って来ました。今の所は平和です!!」
チャッキー「そうだったんだ…ご苦労様!!私も葉月さんに会いに行きたいなぁ!!」
葉月「私もです…2人に会いたいですよ…」
スタッフ「千秋さん理香さんそろそろスタンバイお願いします!!」
リカ「あーあーもう休憩終わりか…」
チャッキー「もう少し話したかったんだけどな…」
2人は残念そうな顔をするが私は敢えて笑ってみせると2人は顔を丸くした。
葉月「ベトナム楽しそうじゃないですか!!楽しみながらお仕事頑張ってください!!」
チャッキー「っ!!ありがとう葉月さん!!」
リカ「写真集発売決まったらまた連絡するね!!」
葉月「はいっ!!ではまた…」
私は通話を切るとスマホを胸に抱えて空を見上げて1人静かに呟いた。
葉月「ふぅ…後は貴虎さんからの返事が来るのを待つだけ…」
自宅へと戻った私は1番連絡を取りたい人物からの連絡がまったく来ないことにため息を吐いた。
葉月「どうして返事をくれないんだろう?いつもは必ず返事をくれるのに…」
忙しいのかなと思ったのだが1週間も返事が来ないことに違和感を覚えて私は貴虎さんのメッセージアプリをじっと睨みつけた。
葉月「貴虎さん…任務で忙しいのかな?もしかしたら何かあったんじゃ?」
その時玄関のインターホンが鳴り私は慌てて玄関へと走りドアを開けるとそこにはまさかの人物が居て私は目を丸くした。
葉月「あれ…藤果さん?」
藤果「こんにちは。すみません…直接訪ねてしまって葉月さんに直接お会いしたかったので」
普段からメッセージでやりとりはしていたのだが直接訪ねて来るのはとても珍しく私はとても驚くがすぐに自宅へと招き入れた。
藤果「今日はアップルパイを作って来たので一緒に食べませんか?」
葉月「ぜひぜひ!!あ、夕食も作るので一緒に食べて行ってください!!」
藤果「本当ですか!?嬉しいです。」
その後私は藤果さんに夕食を振る舞い、一緒にアップルパイを堪能したが私が用意したハイボールを2缶飲んだ直後から私は記憶が無くなってしまった。
葉月「ヒック…」
藤果「は、葉月さん!?大丈夫ですか?」
葉月は貴虎に会えない事にイライラが募りハイボールを次々と開けて飲んでしまい顔を赤くさせて酔っ払ってしまった。
葉月「だから…貴虎さんは私の事を好きなのに私をほっぽって任務に行っちゃったんですよ!!」
藤果「葉月さん顔真っ赤!?」
葉月「どーせ貴虎さんなんて私の事なんてどうでもいいと思ってるんですよ」
藤果「貴虎に限ってそんな事は…」
葉月「ふーんだ…湊先輩もチャッキーさんもリカさんも皐月もみーんな私を置いていなくなっちゃうんですもん。私を置いてですよ!?」
藤果「葉月さん!!お酒はもうその辺で…って4本目!?」
葉月「藤果さんももっと飲みましょうよ〜」
藤果「葉月さん!?」
葉月はとうとう顔を真っ赤に机の上に突っ伏してしまい藤果は慌てて葉月の顔を覗き込んだ。
藤果「葉月さんしっかり!!」
葉月「貴虎さんのばーかばーか!!もう知ーらない!!」
藤果「あぁ…葉月さんもうお酒はやめてもう寝ましょう?」
葉月「ん〜?藤果さんが2人いますね…何でだろう…」
藤果はフラフラで動けない葉月を抱き起こすとそのままベッドへと運んで寝かせて毛布を着せて立ち去ろうとしたが葉月は藤果の手を掴んだ。
藤果「葉月さん?」
葉月「帰っちゃ嫌です!!今夜は私と一緒に居てください!!とーかさん!!」
藤果「仕方ありませんね…」
葉月「わーい!!とーかさん!!今夜は…寝かさないぜ?」
藤果「それ…もしかして貴虎にそう言われてます?」
葉月の隣に藤果が横になり葉月は顔を真っ赤にさせながら藤果の体を抱き枕のように抱きしめた。
藤果「とーかさん大好きです!!ぎゅー!!」
藤果「はいはい…」
藤果は普段は絶対見られない子供のように甘える葉月の姿に苦笑いを浮かべながら葉月の頭を優しく撫でてしばらくすると葉月は藤果を抱きしめたまま寝息を立て始めた。
藤果「葉月さん…」
葉月(藤果さん…なぜこんな事を…)
藤果(腐った果実は取り除かなければならないんです…私は呉島貴虎を殺さねばならない…)
葉月(そんな…私に近づいたのは…まさか…貴虎さんの情報を得るため…?)
藤果(気づいてももう遅いです…では…)
葉月(くっ…待って…ください…)
凌馬(天樹氏によろしく伝えといてくれたまえ)
(ロックオン)
凌馬(それではさよなら…)
(レモンエナジー)
藤果(うっ…ぐああああっ…)
凌馬(ハッハッハッハッ)
藤果(貴…虎…)
藤果(なぜ私を助けてくれたのですか?あのまま見捨てていれば…)
葉月(藤果さんの作るアップルパイ…作った人の心の優しさと気持ちがとても篭っているように感じました。そんな人が傷ついて誰も知らないところで1人で死んでしまうのは私には耐えられないです)
ふとかつての記憶が蘇り藤果は葉月の頭を撫でながら葉月の体を優しく包み込んだ。
藤果「本当だったら私はあのまま死んでいた…貴方のお陰で私は生き延びる事が出来ました。貴方には感謝しかありません。」
葉月「うぅーん…」
藤果「葉月さん?」
葉月「行かないで…貴虎さん…」
藤果「貴虎…」
葉月の寝言に耳を傾けて頭を撫でていると藤果自身も睡魔に襲われてそのまま夢の世界へと吸い込まれていった。
-翌日-
藤果「うーん」
先に藤果が目を覚まして昨日の片付けをしていていると深いいびきを立てる葉月の無防備な姿が目に入った。
葉月「くかー」
葉月はまるで子供のような寝相になっており寝巻きに着替える余裕もなくスーツのまま寝てしまっておりジャケットはベッドの下に脱ぎ捨てられて手と足は大きく広げてフレアスカートはシワになり寝相の悪さが目立っていた。
藤果「まるで子供の様ですね…ふふっ…」
藤果はクスリと笑みを浮かべると後片付けを再開するが突如机の上の葉月のスマホから着信音が鳴り、藤果は慌ててスマホを手に取ると電話の相手はミハイルであった。
藤果「どうしましょう…出るべきでしょうか?」
藤果は迷いながらも着信に出ると外人の男性のような声が聞こえてきた。
ミハイル「ハズキ!!朝早くからすまないが今大丈夫か?」
藤果「代わりに電話に出ています朱月藤果と申します。」
ミハイル「ハズキの友達か?ハズキはどこにいる?」
藤果「葉月さんならまだ寝ておりますが…」
ミハイル「緊急事態だ…起きたら折り返し連絡をくれと伝えてくれ!!」
藤果「あの…一体何が?」
ミハイルは藤果の問いに苦虫を噛み潰したような声を出した。
ミハイル「トルキア共和国にて呉島貴虎との信号が途絶えた…」