その頃、鎮宮鍵臣の部下が雅仁の生存を鍵臣に報告し生存を喜んでいたが同時に傭兵として雇っていたベリアルから契約の解消を受けて苛立ちの表情を浮かべた。
鍵臣「影正は見つかったか?」
部下「呉島貴虎、地下の連中と共にいるようです」
鍵臣「すぐに実行部隊を送って報告しろ。地下の連中の小汚いネズミも殺して構わん!!」
部下「はっ!!」
鍵臣「わしに歯向かったらどうなるか教えてやれ!!」
鍵臣は部下が去りゆく様子を見届けながら杖を強く握り締めた。
鍵臣「貴様もさっさと侵入者を始末しろ…これ以上私の国で好き勝手されては困るからな…」
物陰から黒のジャケットに黒のタイトスカートを身に付けた女性が現れて鍵臣の足元に膝を付いた。
三津子「はっ…」
鍵臣「呉島葉月と言ったか…まさかあの呉島貴虎が結婚していたとはな…それにまさか朱月藤果まで生きておったとは…」
三津子「私も驚いています…しかも彼女は呉島葉月と行動を共にしています…」
鍵臣「さっさと始末しろ…呉島葉月と一緒にな…」
三津子「そ、それは…」
鍵臣「何だ?出来ないと言うのか?」
三津子「いえ…私は…」
鍵臣は三津子の顔に杖を叩きつけると三津子の髪を掴んで持ち上げた。
三津子「ぐっ…あぁっ…」
鍵臣「人体実験によって死にかけていたお前を拾い、暗殺者として育てたわしへの恩を忘れたか!!わしの力で貴様を死亡扱いにして密かに育てた事に感謝しろ!!」
三津子「はい…」
鍵臣「わしの期待を裏切るなよ三津子!!」
三津子「わかり…ました…」
貴虎Side
雅仁から逃げ出した貴虎達はベリアルとオレンジライドのメンバーと合流していたがアイムが居ない事に気がついた貴虎はパイモンに問いかけていた。
貴虎「アイムはどうした?」
グシオン「俺達を助ける為にインベスに…」
貴虎「そうか…」
ベリアル「情けないわね〜」
パイモン「当たり前だろ!!自分の仲間を…自分の手で!!」
ベリアル「貴方達殺し合いしてるんでしょ…他人の命を奪うのは良くて?仲間の命を奪えないんて調子のいい事言って…」
パイモン「そんな事言ったって…」
貴虎「その男の言う通りだ!!」
パイモン「おっさんまで!?」
貴虎「これで分かった筈だ。お前達の敵はお前達を戦わせている貴族だ!!」
グシオン「それは…」
貴虎「私は貴族の調査の為にこの国へやって来た…」
パイモン「記憶が戻ったのか!?」
貴虎「つまり奴らは私の敵でもある」
その時、鍵臣が向かわせた刺客が大勢現れて貴虎達の周りを取り囲んでしまった。
グシオン「こいつら!!」
ベリアル「あら…ワタシを始末しに来たのかしら?ケツの穴の小さい男は嫌いよ!!」
貴虎「まとめて私達を始末するつもりだろう…」
一斉に刺客が襲い掛かり、貴虎達はそれぞれわけ背中合わせて刺客を迎え撃ったがベリアルが刺客に拳を入れながら貴虎に声を掛けた。
ベリアル「ワタシを雇う気はない?」
貴虎「いいだろう!!報酬は全てが片付いてからだ!!」
ベリアル「報酬にお金なんて要らない!!ワタシが欲しいのは貴方の熱い抱擁とキス。それだけでいい!!」
貴虎「受け取れ!!」
貴虎は刺客の体を掴むとベリアルの方へと放り投げてしまいベリアルは慌てて刺客を殴り飛ばした。
ベリアル「いや要らない要らない!!」
貴虎「アイムの元に連れて行ってくれ!!」
パイモン「わかった…おっさん!!」
去り行く貴虎の後を追ってベリアルは刺客を蹴り飛ばしながら必死に後を追いかけた。
ベリアル「貴虎!!ワタシが欲しいのは貴方の熱い抱擁とキス!!」
グラシャSide
その頃グラシャは雅仁と共に鎮宮鍵臣のいる場所に案内されて鍵臣本人と正面から向き合っていた。
グラシャ「貴様か…俺達に殺し合いをさせたのは…」
鍵臣「わしは貴様達のような薄汚いネズミにチャンスを与えただけだ…」
グラシャ「チャンス?インベスになる事がか!?」
鍵臣「そうだ。貴様達は人類がインベスを超えた存在に進化するための貴重な実験体だ…ハッハッハッハッ…」
雅仁「あの時と同じか…」
グラシャ「あの時?」
雅仁「8年前。この国はスカラーシステムによって焼き払われた…その原因を作ったのがこいつさ!!」
グラシャ「こいつは何をした!?」
雅仁「オーバーロードを作り出そうとした!!」
グラシャ「オーバーロード?」
雅仁「かつてヘルヘイムの森の侵食を克服し進化を遂げた新しい種族さ」
グラシャ「ヘルヘイム…」
雅仁「呉島家との権力争いに敗れたこいつはユグドラシルの中から自分の地位を確固たる物にする為に戦極凌馬を借りて人間を無理やりオーバーロードに進化させようとした…違うか!?」
鍵臣「知っていたのか!!」
雅仁「そして今、同じ過ちを繰り返そうとしている」
鍵臣「過ち?何故過ちだとわかる?間違っているのは呉島の甘さだ!!自ら世界を支配するチャンスを逃したのだ…結果、ユグドラシルは解体!!なんと愚かな…」
雅仁「だが父さんの実験は失敗に終わった…」
鍵臣「何度失敗しようが諦めるつもりは無い…その為のモルモットは大勢居るのだからな!!」
鍵臣はグラシャの方へと指を刺すとグラシャは苛立ちを隠せないようで鍵臣を殴り飛ばそうと駆け出すが周りに鍵臣の部下が現れて囲まれてしまった。
グラシャ「くっ…貴様ぁぁぁっ!!」
鍵臣「用済みのモルモットは処分させて貰う」
雅仁「俺まで殺すつもりか?」
鍵臣「お前は既に死んだ存在。今のわしにとってはもう邪魔な男だ!!」
雅仁「実の息子だぞ?」
鍵臣「お前は死んだ!!わしの跡取りは… 影正がおれば良い!!」
雅仁「なんも変わって無いな…」
鍵臣「呉島の思想に染まりわしに歯向かう者など必要は無い…ただそれだけの事!!」
雅仁「呉島の思想か…あんたはなんか勘違いしているよ」
鍵臣「何?」
雅仁「俺は父さんの息子だ。あんたの意思を継ぎこの世界をこの手に収める!!」
鍵臣「やれっ!!」
雅仁「行けっ!!」
グラシャ「くっ…」
雅仁はグラシャを押し倒して部下が放った銃撃をその身に受けてしまうがゆっくりと立ち上がり手を翳すとそこからヘルヘイムの植物の蔦が放たれて部下を壁に貼り付けにしてしまった。
鍵臣「何っ!?」
雅仁「あんたのお陰で俺はあんたが喉から手が出るほど欲しかった力を手に入れた!!」
鍵臣「まさか!?」
雅仁「そのまさかだ…俺は人間を超え、インベスを超えてオーバーロードとなった!!もうあんたは必要無い!!」
鍵臣「ヒッ!!」
雅仁は鍵臣の首を掴み自身の元へと引き寄せると背中に槍を突き刺してしまった。
鍵臣「雅仁…お前…実の親を…」
雅仁「俺はもう人間では無い。全てを超越した存在となったのだ!!」
鍵臣の体から槍が勢いよく抜かれて鍵臣は地面に崩れ落ちてそのまま息絶えてしまい雅仁はグラシャへと歩み寄った。
雅仁「お前が望めば…俺はお前に力を与えてやる」
グラシャ「断ったら?」
雅仁「ここで死んで貰う…どうする?」
グラシャ「断る」
雅仁「死を選ぶか…」
グラシャ「死ぬつもりは無い…お前と戦って生き延びる!!」
雅仁「そうか…なら仕方無い!!」
雅仁は槍をグラシャに振り下ろしグラシャは拳を繰り出そうとしたが槍で殴りつけられて地面に倒されてしまいグラシャに槍を突きつけた。
グラシャ「どうして殺さない?」
雅仁「お前は俺と同じ匂いがする…己の力で世界を支配する!!そんな匂いがな…」
グラシャ「待てっ!!」
雅仁「強さを極めて…再び俺の前に立ちはだかると言うのなら次は容赦するつもりは無い…」
グラシャ「強さか…」