仮面ライダー鎧武 呉島貴虎の秘書   作:雨風歌

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279話 生きるという事

 

(注意)アギト超能力戦争のネタバレを含みます

 

 

 

ラケシス「あら?こんなところで無防備ですこと」  

 

???「わざわざ来たのかいラケシス?」

 

床に倒れている葉月の様子を黒いローブの少女が眺めていたが階段の上からラケシスが姿を現した。

 

ラケシス「呉島葉月…少しは楽しめると思いましたけど、この程度だったとは…がっかりですわ…」

 

???「……」

 

ラケシス「まぁ…いいですわ。でもそのドライバーは回収させて頂きますわ」

 

ラケシスは地面に倒れている葉月の体を蹴って仰向けにすると腰のアルケミスドライバーを葉月の腰から外してしまった。

 

ラケシス「ウフフ…これでグリオン様に褒めてもらえますわ!!後はもう1人の呉島葉月のドライバーがあれば…」

 

???「呉島葉月…本当にこのまま終わっていいのかい?」

 

ラケシス「アトロポス。呉島葉月からドライバーを回収出来ましたのよ?もっと喜んでもいいと言うのに…」

 

アトロポス?「ラケシス…そのドライバーをこっちに…」

 

ラケシス「?」

 

ラケシスはドライバーをアトロポスと呼んだ少女に手渡すと少女は受け取ったアルケミスドライバーをじっと見つめた。

 

アトロポス?「このドライバー…まだ足りない…」

 

ラケシス「何を言っているのアトロポス?」

 

アトロポス?「ラケシス…前にも話したけれど僕はアトロポスじゃない…姿は同じであっても別人だ。」

 

ラケシス「いや…でも今、自分のことを「僕」と呼んで…普段は「私」ですのに…」

 

アトロポス?「僕は裏切り者のアトロポスを参考に生み出された存在。たまに本来の彼女の口調になってもおかしくはない…」

 

ラケシス「まぁ…そうですわね…」

 

アトロポス?「それに僕の本当の名前はアポロだ…いい加減に慣れて欲しいな」

 

ラケシス「わ、わかっておりますわアポロ…」

 

アポロの名乗る少女はローブを脱ぎ捨てるとその姿はアトロポスと瓜二つでありその手に持つ葉月のアルケミスドライバーをじっと見つめた。

 

アポロ「僕の期待を裏切らないで欲しいな呉島葉月…そしてりんねちゃん。」

 

 

葉月Side

 

葉月「あれ…ここは…」

 

私は目を開けるとそこは灰色の空間が広がっており辺りを見渡すと私のすぐ側にりんねさんが倒れており、私はりんねさんの肩を揺さぶった。

 

葉月「りんねさん!!りんねさん!!」

 

りんね「ん…葉月さん?あれ…ここは?」

 

葉月「りんねさんとここに居ると言う事は…ここは精神世界か何かでしょうか?」

 

りんね「う、うん…」

 

私達は辺りを見渡すが霧が掛かっており精神世界全体を見渡す事は出来なかった。

 

???「呉島…」

 

葉月「?」

 

その時聞き覚えのある声が聞こえて来て私達は立ち上がり辺りを散策すると霧の中に1人の男性がいることに気がついた。

 

葉月「葦原さん!?」

 

涼「久しぶりだな…呉島…それとあんたは確か…」

 

りんね「九堂りんねです」

 

涼「あぁ…知ってる…お前達が共に戦っている事も見ていたからな…」

 

葉月「どうして…どうして死んでしまったんですか…」

 

涼「俺は…ギルスに勝つ事は出来なかった…と言う事だ…」

 

りんね「どう言う事ですか…」

 

涼「ギルスは不完全なアギトの力…その力は25年もの間、薄くなるどころか俺の体を蝕み続けた…」

 

葉月「不完全…?」

 

涼「アギトの力が不完全なまま覚醒したせいで俺の力は安定しなかった…ギルスに変身すると体が老化する現象が起こった…そして25年の間でだんだんと俺の体は弱く衰えて衰弱していった…」

 

りんね「そんな…」

 

涼「木野薫が俺の体を悪用している事も知っている…俺の力で他の人間を巻き込むのは耐えられない…だから…俺の代わりに奴を止めて欲しい!!」

 

葉月「…でも葦原さんは!!」

 

涼「俺は普通に生きていく事が俺の夢だった…だから…普通の人間が普通じゃなくなるのは俺には耐えられない。」

 

葉月「わかっています…私達が彼を止めます!!」

 

涼「頼む…俺の代わりに戦ってくれ…アギトではなく…人間として!!」

 

葉月・りんね「「はい!!」」

 

私達の返事に葦原さんは僅かに笑みを浮かべるとその体は薄くなって完全に消えてしまい周りの景色もだんだんと薄くなって来た。

 

 

葉月「はっ!!ここはさっきの…」

 

アポロ「目覚めたんだね呉島葉月…りんねちゃん」

 

りんね(その話し方…まさかアトロポス…?)

 

私達が目を覚ますと私達の前に以前見かけた少女がおりその手には私から奪ったであろうアルケミスドライバーが握られていた。

 

りんね「貴方、アトロポス…?でも何かが違う?」

 

アポロ「へぇ…自由に人格を交代できるようになったんだ。さすがりんねちゃんだね…僕の事もわかるんだ。」

 

葉月(りんねさん…アトロポスって…)

 

りんね「元々は私達の敵だったけど味方になってくれたんだ…でもこの子は体はアトロポスだけど中身が別人だ…」

 

アポロ「そう僕の名前はアポロ。…やっぱり「私」より「僕」の方がしっくりくるね…」

 

りんね「貴方は一体何なの?」

 

アポロ「僕は裏切り者のアトロポスを参考にグリオン様から生み出されたんだ。」

 

りんね「アトロポスを参考に…」

 

ラケシス「さぁ行きましょうアポロ。もう彼女のドライバーは私達の物…私達の任務は完了ですわ。」

 

りんね「……」

 

葉月(りんねさん…ドライバーよりも私達は木野さんを追いかけないと…)

 

りんね(いいの?ドライバーが無いと私達は…)

 

葉月(今、ここでドライバーを取り返すために時間を割くわけにはいかないです。ドライバーなら後で取り返せばいいです!!)

 

りんね(葉月さんらしいね…わかった!!)

 

私達はアポロに背を向けると木野さんが開けた穴から外に出るために歩き始めた。

 

アポロ「何処へ行くんだい?」

 

葉月「木野さんを止めに行きます…」

 

アポロ「ふっ…君のドライバーは奪った…変身も出来ない君じゃ何も出来ないよ」

 

アポロは私のドライバーを自慢げにまるで見せつけるように大きく掲げた。

 

ラケシス「そうですわ。このドライバーがなければ貴方はただの人間。何も出来ませんわ」

 

葉月「人間…」

 

ふと普通の人間でありたいと願った葦原さんのことを思い出して私は葦原さんの想いに応えたい気持ちがより強くなりアポロから背を向けた。

 

アポロ「変身できなきゃ君は無力だ…このドライバーを僕から取り戻せるかな?」

 

アポロがまるで挑発するようにドライバーを横に振っておりオレンジ色のベルト帯が大きく跳ねた。

 

葉月「貴方に付き合ってる暇はありません…さようなら」

 

アポロ「なっ…ドライバーを取り返さないのかい?」

 

葉月「そんな事より私にはやるべき事があります。貴方に割く時間はありません!!それじゃ…」

 

ラケシス「なるほど。諦めたと…やはりその程度でしたか…」

 

アポロ「困るな…この僕を無視するなんてさ…」

 

直後、地面にガシャリと何かが落ちる音が響いて思わず振り返ると、私の足元にドライバーが落ちており、アポロが放り投げたと分かった。

 

ラケシス「アトロポス…いえ…アポロ!!どういうつもりですの!?せっかく奪ったドライバーを!!」

 

アポロ「勘違いしないで欲しいな…グリオン様の使命を叶えるのに必要なこのドライバーはまだ経験値が足りない…しばらく彼女に預けてレベルアップして貰わないと…」

 

葉月「アポロ…」

 

私はドライバーを拾い上げるとアポロの方へとじっと視線を向けた。

 

葉月「…ありがとう…」

 

アポロ「勘違いしないで欲しいな…君のドライバーはまだ成長段階だ…いつか必ず奪いに行くよ!!」

 

葉月「……」

 

私はじっとアポロの方から出口へと視線を戻してそのまま外へと飛び出して行った。

 

ラケシス「アポロ!!せっかくドライバーを奪ったのに…」

 

アポロ(強くなって僕を楽しませてよ…呉島葉月…りんねちゃん…)

 

 

小沢「呉島さん!?」

 

私は木野さんが通ったであろう道をトライチェイサーで走っていると、目の前に小沢さんの車が止まっているのを見つけて、思わず車にトライチェイサーを寄せて停車させた。

 

葉月「小沢さん!!氷川さんは!?」

 

小沢「今、ギル・アギトと交戦中よ!!貴方はどうだった?」

 

葉月「木野さんに会いました…木野さんが私の力の一部でおっきなギルアギトに…」

 

小沢「木野薫…厄介ね…人間を捨ててギル・アギト化するなんて…」

 

葉月「…小沢さん…私は人間であることを誇りに思っています。人間として生きるからこそ生きるって素晴らしい事だって思えるんです。」

 

小沢「呉島さん…」

 

葉月「私は人間として戦います!!」

 

小沢「分かったわ…改めて貴方の力を貸してくれるかしら?」

 

葉月「はい!!」

 

小沢「着いて来なさい!!」

 

私は小沢さんの先導でとある場所に向かうことになり、人間として戦う決意を胸にトライチェイサーのスロットルを勢いよく回した。

 

 

-病院-

 

杵島「ハァ…ハァ…小沢さんの力にならなきゃ…」

 

香川「杵島君…無茶だよそんな体じゃ…」

 

香川と呼ばれるG3の装着員が、杵島と呼ばれるG3-Xの装着員の体を支えながら病院を抜け出そうと、ベッドから立ちあがろうとしていた。

 

杵島「君だってもう歩くのも困難な筈だよ香川君!!」

 

香川「アギト因子と言ってたっけ…全身のネクロースか…うぐっ…」

 

杵島「大丈夫かい香川君!!うっ…」

 

看護師「ダメですよ大人しく寝ていないと!!」

 

2人は床に倒れてしまい看護師達が2人をベッドに押し戻し始めて2人は再び苦しげな声を上げた。

 

小沢「何をしているの貴方達!!」

 

杵島「僕達はただ…力になりたく…うぐっ…」

 

香川「杵島君…ぐふっ…うぅぅ…」

 

小沢「貴方達はアギト因子によって全身が壊死してかけているのよ…そんな状態で戦える訳がないでしょう!!」

 

杵島「うぅ…でも!!」

 

小沢「大丈夫。貴方達の戦う意思はこの人に託すことにしたから…貴方達は自分の体の回復に専念しなさい…」

 

香川「あ、貴方は誰ですか?」

 

私は病室に顔を出すとベッドの上で苦しげな表情を浮かべる男性2人に声を掛けた。

 

葉月「私は呉島葉月。25年前にG3量産化計画でテスト装着員をした物です。貴方達がG3-Xの装着員の杵島君とG3装着員の香川君ですね?」

 

香川「貴方が…G3のテスト装着員?びっくりだね杵島君…」

 

杵島「本当だね香川君…小沢さん同様お若くて美しい…美貌はやはり時空を超えている!!」

 

葉月「貴方達2人の分まで私が戦います!!だから…杵島君。貴方のG3-Xを貸して頂けませんか?」

 

杵島「分かりました…呉島さんお願いします…僕達のリーダーである葵るり子って人を助けて欲しいです!!」

 

香川「僕からもお願いします呉島さん!!」

 

葉月「分かりました…必ず助けます!!2人もどうか無理をなさらないで…」

 

杵島・香川「「はい!!」」

 

 

-本部-

 

小沢「用意はいい?」

 

葉月「いつでも!!」

 

私はレザースーツを身に纏い、G3-Xを装着すると最後に小沢さんが私の顔にメットを装着させた。

 

小沢「呉島さん。G3-X出動!!」

 

葉月「はいっ!!」

 

私はガードチェイサーに跨ると本部の倉庫から勢いよく飛び出して木野さんが戦っているスタジアムへと走り出した。

 

 

ラケシス「お待ちなさい!!」

 

葉月「なっ…」

 

りんね(ラケシス!?)

 

ガードチェイサーでスタジアムの側の駐車場に辿り着いたものの、駐車場にてラケシスが私の前に道を塞ぐように立ち塞がり、私達はガードチェイサーを停車させた。

 

葉月「そこを退いてください!!」

 

ラケシス「アポロは貴方の成長を期待してドライバーを返した…でも、私は貴方のことを認めるわけにはいきませんわ!!」

 

りんね(こんな時に…)

 

葉月「どうするんですか?貴方のケミーカードは私が持っています。マルガムに変身することは出来ませんよ!!」

 

ラケシス「違いますわ…貴方の相手はこの方ですわ」

 

突如ラケシスは何かの道具を起動させ、私達の目の前にオーロラカーテンを出現させた。

 

葉月「オーロラカーテンを出現させた!?」

 

りんね(そんな事が出来るなんて…)

 

ラケシス「それではごきげんよう…」

 

ラケシスはそのまま去ってしまい、私達が警戒しているとオーロラカーテンの向こうから黒い何かが歩いて来て、私はその迫力に圧倒されてしまうが、小沢さんから無線が入った。

 

小沢「呉島さん!?現場どうなってるの!?」

 

葉月「スタジアム付近まで来ましたが現在、襲撃を受けています…」

 

小沢「呉島さん。敵を殲滅し氷川君と合流して!!」

 

葉月「了解!!…あっ…あれは!?」

 

小沢「どうしたの呉島さ…あっ…嘘…」

 

小沢さんの息を呑む声が聞こえて来て私は目の前に現れた敵の姿に驚きを隠せなかった。

 

葉月「G…4…?」

 

小沢「あれは…氷川君が破壊した筈じゃ…」

 

その姿は黒いG3-Xのようで青い瞳に肩の部分にはG4と書かれていた。

 

 

士郎「お前に問う…お前は何を背負って戦っている?」

 

葉月「何を言って…」

 

士郎「俺は死を背負って闘っている」

 

葉月「死を背負って…?」

 

士郎「生の執着がある限り、十分な戦いはできない。死を背負う事で恐怖を振り払い実力以上の力を発揮する事が出来る…」

 

葉月「貴方は一体…」

 

小沢「そいつのいう事に耳を貸さないで!!」

 

葉月「小沢さん!?」

 

小沢「G4システムは装着者を死に至らしめるシステム。システムこそG3-Xより上だけど装着していればいずれ装着員を死に至らしめるシステムよ!!」

 

葉月「っ!?」

 

士郎「答えろ…どうなんだ?」

 

葉月「貴方は自分の命すら軽く見ているというのですか!?」

 

士郎「何?」

 

葉月「生きる事以上に幸せな事はありません…生きているからこそ、泣いたり笑ったり、美味しい物を食べて満足して、大切な人と喜びや悲しみを分かち合う事が出来る…」

 

小沢「呉島さん…」

 

葉月「普通に生きたくても生きられなかった人達だっている…そんな人達のためにも私は生きて…戦う!!」

 

士郎「あの男と同じ甘ちゃんの戯言だな…」

 

葉月「あの男…?」

 

士郎「いいだろう…俺は死を背負い、お前は生を背負っている。どちらが正しいか今この場で答えを出すか!」

 

 

葉月「貴方を倒して…氷川さんやるり子さんを助ける!!」

 

 

 

(注意)次回、アギト超能力戦争のネタバレあり

 

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