仮面ライダー鎧武 呉島貴虎の秘書   作:雨風歌

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290話 想いは力となる

 

-数日後-

 

-カフェ・マル・ダムール-

 

夕焼けの光が差し込むカフェ・マル・ダムールへと私は1人で訪れており、カウンターを覗いてマスターが居ないことを確認すると背後にこっそりと忍び寄る存在に向かって背中を向けたまま声を掛けた。

 

葉月「やっぱり…嶋さんならここを訪れると思っていましたよ。」

 

嶋「ウワァァァァッ!!」

 

嶋さんの叫ぶ声が響いてふと近くの鏡に視線を動かすとファンガイアへと変身する嶋さんが視界に映った。

 

嶋「ダァァァァァッ!!」

 

りんね(葉月さん!!)

 

私の腰には既にアルケミスドライバーが装着されており私の危機にザ・サンに宿るりんねさんとユニコンがホルダーから飛び出してドライバーへと装填されて私はレバーを引いた。

 

 

(ガガガガッチャーンコ!)

 

 

(プロミネンスホーン!)

 

 

(サン・ユニコーン!)

 

 

嶋「ウワァァッ!!なっ!?」

 

 

葉月「よっと…デヤアッ!!」

 

背後から襲い掛かって来た嶋さんの突進を受け止めるとそのまま体をがっしりと掴んで指輪を掲げた。

 

葉月「りんねさん!!」

 

りんね(任せて…ハアッ!!)

 

りんねさんの力で指輪の力が発動し窓が自動的に開いて、私は嶋さんを掴んだままカフェの外へと放り投げた。

 

嶋「どうわあああ!!」

 

私は私の腰に向かって突進する嶋さんを受け止めると膝を叩き込んでそのまま蹴り上げた。

 

嶋「ぐあっ…」

 

嶋さんは遠くに吹き飛び私は蹴り飛ばした嶋さんの後を追いかけながら昨日、恵さんとした会話を思い出していた。

 

 

-昨日-

 

葉月「嶋さんがファンガイア?」

 

恵「うん…嶋さんはこう言ったんだって…自分の中にあるファンガイアの力に呑み込まれそうになるって…だから名護君に自分を倒すように言ったんだって」

 

葉月「力に呑み込まれる…ですか?」

 

恵「けど…名護君は嶋さんを倒す事を躊躇ってしまったんだって…それで嶋さんは名護君に失望してどこかに行っちゃったんだって…」

 

葉月「自分を倒させようとしたんですね…」

 

恵「でも…私は信じてる!!同じキバの力を持つ渡君が渡君のままであるように、きっと嶋さんも嶋さんのままでいられる!!」

 

葉月「うん…わかります。その気持ち!!」

 

恵「お願い…嶋さんにどんな姿になっても嶋さんは嶋さんだって事を教えてあげて欲しいの!!」

 

葉月「私に出来るでしょうか?」

 

恵「大丈夫。葉月さんならきっと嶋さんに私達の想いを伝えられる!!」

 

 

-現在-

 

葉月「デヤアッ!!」

 

嶋「ウワァァァァッ!!」

 

私は嶋さんを工事現場へと蹴り飛ばすと再び向かって来る嶋さんを両手で受け止めた。

 

葉月・りんね「「ハアッ!!」」

 

嶋「おおっ!?」

 

私はりんねさんと息を合わせながら嶋さんを地面に引き倒してしまった。

 

嶋「ハァ…ハァ…どうした?俺はまだやれるぞ!?」

 

嶋さんは立ち上がりながらも深い息を漏らしており、それを見た私は嶋さんに向かって挑発するように声を掛けた。

 

葉月「嶋さんこそファンガイアの力はその程度ですか?この程度の実力じゃ私には勝てませんよ?」

 

嶋「なっ…何だと!?」

 

葉月「私が女だから遠慮してるんですか?情けないですね〜」

 

嶋「呉島…貴様っ!!」

 

私は嶋さんを挑発しながら自身の顔の頬の部分に指を当てながら叫んだ。

 

葉月「悔しかったら私の顔を殴って見てくださいよ!!ほらほら!!」

 

嶋「貴様…ウワァァァァァァッ!!」

 

嶋さんが怒りの表情で私に向かって足元の泥を跳ね散らしながら駆け出しており握り拳を作ると私に向かってパンチを繰り出した。

 

りんね(葉月さん!?危ない!!)

 

私は防御体制に入るがギリギリで防御を解いてしまいそれを見たりんねさんが心配して左手を動かそうとするが私の右手がその手を掴んだ。

 

りんね(葉月さん!?どうして…)

 

葉月(大丈夫ですから心配しないでください…)

 

りんね(…わかった…)

 

嶋「ダァァァァァァァッ!!」

 

葉月「ぐはっ…」

 

防御をやめた私は嶋さんの本気のパンチを浴びて吹き飛ばされて泥を撒き散らしながら地面を転がった。

 

嶋「俺を舐めているのか!!ウワァァァァッ!!」

 

葉月「ぐふっ…あうっ…」

 

私は嶋さんに腰を殴打されて拳を振り上げるたびに泥が跳ねてマジェードの白い装甲が茶色の泥に染まった。

 

嶋「ウワァァァァァッ!!」

 

葉月「ぐああああああっ…」

 

あっという間に形成が逆転し、私は嶋さんに蹴り飛ばされて再び泥の中を何度も転がった。

 

名護「恵!!」

 

恵「名護君!?」

 

2人の戦いを見守っていた恵の元に名護が合流して嶋に一方的にやられている葉月の様子を見て名護は驚きのあまりイクサのベルトを取り出した。

 

名護「呉島葉月…今、行くぞ!!」

 

恵「待って名護君!!」

 

名護「離しなさい!!嶋さんを止めなければ…」

 

恵「大丈夫。今は、呉島さんを信じて!!」

 

名護「えっ…」

 

 

 

嶋「呉島ァァァァァッ!!」

 

葉月「ぐっ…うわああああ!!」

 

嶋さんのパンチが私を吹き飛ばしてしまい地面に転がった私に向かって嶋さんは再び拳を構えて突進して来た。

 

 

(サン・ユニコーン!ノヴァ!) 

 

 

葉月「ダァッ!!」

 

嶋「グッ…ウウウウウ…」

 

私の咄嗟に放ったキックと嶋さんの拳がぶつかり合うが、私は嶋さんに押し負け始めてそのまま嶋さんは私のキックを跳ね返してしまい、私はバランスを崩して泥水の中に落下した。

 

葉月「ぐはっ…」

 

嶋「ハァ…ハァ…ここまでだな…」

 

嶋さんは私の仮面の角を掴むと私をぐいと持ち上げてしまい私の顔に向かって拳を構えた。

 

嶋「覚悟はいいな?」

 

葉月「……」

 

嶋さんは私に向かって拳を振り上げるとそのまま私に向かってパンチを繰り出すがパンチは私の目の前で止まっていた。

 

嶋「くっ…なぜ…なぜだぁ!?」

 

葉月「貴方ならきっと止めると思ってましたよ…」

 

嶋さんは私の言葉に動揺して後ろに下がってしまい、元の嶋さんの姿に戻ってしまった。

 

嶋「なぜ…私はファンガイアだ…なのになぜ殴れない!!」

 

葉月「それは貴方が…嶋さんだからですよ!!」

 

嶋「何?」

 

私はアルケミスドライバーを操作して変身を解除して素顔を晒すと嶋さんは驚きの表情を浮かべた。

 

葉月「ファンガイアの姿になっても元の優しい嶋さんである事は変わらない…嶋さんは嶋さんのままなんですよ!!」

 

嶋「私は私のまま…」

 

葉月「名護さんが嶋さんを殴れなかったのは嶋さんがファンガイアの姿になろうと今だに人間の心を持っていると信じたかったんじゃないですか?」

 

嶋「名護君…」

 

名護さんの恵さんがこちらに歩いて来ており嶋さんは名護さんへと視線を向けた。

 

名護「嶋さんは嶋さんのままです…」

 

恵「そうですよ!!渡君がキバでありながら人間の心を捨てずに戦っているのと同じですよ!!」

 

嶋「まったく…呉島さん…君には敵わないな…負けたよ」

 

嶋さんは私の笑顔に釣られてなのか同じく笑みを浮かべると私の肩を掴んだ。

 

嶋「私も太牙とちゃんと向き合って見るよ」

 

葉月「えぇ…嶋さんの想いはきっと届く筈ですよ…」

 

 

-翌日-

 

マネージャー「本当に心配をお掛けしました。」

 

恵「貴方もう少し休んでてもよかったのよ?」

 

入院していたマネージャーが復帰を果たして私達は病院の玄関に集まっていた。

 

マネージャー「呉島さん。貴方には本当に感謝いたします…私の代わりに恵のマネージャー業務を押し付けてしまって申し訳ない…」

 

葉月「いえ…こちらこそ貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました…」

 

恵「それにしても驚いたわ…貴方が18年後の未来からやって来たって言うからとても驚いたわ!!」

 

葉月「そうですか?さっき話した時はあんまり驚いた感じではなかったですけど…」

 

恵「なーんか勘ってやつかな?キバやイクサとは違う戦士に変身出来るのにも驚いたけど、未来人なら納得って感じ!!」

 

葉月「未来人が全員変身出来るわけじゃないですけどね…」

 

恵「そう?でも呉島さん強いしかっこいいし…私も見習わなきゃって思った!!」

 

葉月「私も恵さんみたいに理想的な女性になりたいです」

 

恵「私が理想の女性?やだもう…褒めるのが上手いんだから!!」

 

恵さんに私の頭をわしゃわしゃと撫でられ、私は思わず頭を必死に守ろうとブロックした。

 

葉月「恵さん…髪はダメですよ〜」

 

恵「あははごめーん!!」

 

その時、撮影スタッフとマネージャーが慌てた様子で駆け寄って来て、私達はおふざけをやめてマネージャーの方へと視線を向けた。

 

マネージャー「すまないがもう1人のモデルさんが体調不良で来れなくなったそうだ…」

 

撮影スタッフ「今日はこの後はもう1人のモデルさんとのツーショットが控えてたのに…すみませんが本日は一旦取りやめで…」

 

恵「待って!!私が選んだ子とツーショットじゃ駄目?」

 

マネージャー「へ?」

 

恵「スタイルよくて私と同じくらーい綺麗でモデルのような助っ人を連れてくればいいんでしょ?」

 

撮影スタッフ「いや…いきなりそんな都合のいい人なんて…」

 

恵「ふふん」

 

葉月「?」

 

恵さんは私の方をじっと笑みを浮かべながら見つめており、ふと周りを見渡して見ると全員の視線が私に集中しており私は一気に顔が青ざめるのを感じた。

 

葉月「私!?」

 

マネージャー「呉島さん…衣装合わせしましょうか?」

 

葉月「えっ…えっ…えええ!?嘘でしょ!?」

 

恵「大丈夫大丈夫!!呉島さんなら大丈夫だから!!」

 

葉月「えっ…まっ…ええ〜」

 

恵「とにかく行くわよ〜!!」

 

私は恵さん達に捕まってしまいそのまま撮影スタジオにまで連れて行かれてしまった。

 

 

-撮影スタジオ-

 

カメラマン「いいよ恵ちゃん!!いい笑顔!!」

 

葉月「………」

 

私達は撮影のための衣装に着替えており、私は白いドレスに、恵さんはワインレッドのドレスを身に纏っていた。

 

カメラマン「呉島さんもう少し笑ってみようか?もうちょっと!!」

 

カメラマンの要求に応えるべく私は必死に作り笑顔を披露するが上手くいかずに、ふと恵さんの方へと視線を移した。

 

カメラマン「いいね恵ちゃん!!じゃあそこのソファーに足を掛けてみて!!」

 

恵さんは私の視線に気づくと笑顔を浮かべてその瞬間をカメラマンは次々と写真に収めていく。

 

葉月「これが…モデル!!」

 

 

-撮影後-

 

葉月「あの…これ本当に頂いてもいいんですか?」

 

私は今、マネージャーの仕事の初日に恵さんなら着てみるように言われたあの最新のファッションコーデを再び身につけており、黒いブーツに白いスプリングロングコートを羽織っていた。

 

恵「本当に似合ってる!!やっぱり呉島さんモデル目指した方がいいよ!!」

 

葉月「そう言っていただけて嬉しいんですが私にはやるべき使命があるので…」

 

恵「そっか…そうだよね…呉島さんも戦ってるんだよね?私も自分の使命と向き合うから…母さんのように…」

 

葉月「恵さんもきっとお母さんのようになれますよ…」

 

私と恵さんはトライチェイサーを停めている場所まで来ると、私はトライチェイサーに跨った。

 

恵「未来に帰るんだ…」

 

葉月「えぇ…私のこの時代での使命は終わったので…」

 

恵「また会える?」

 

葉月「いつかきっと!!」

 

キバットバットⅢ世「おぉーい待ってくれよお姉ちゃん!!」

 

渡「呉島さん!!」

 

恵「渡君!?」

 

そこに渡君とキバットが息を切らせて駆けつけて来て、私達は目を丸くした。

 

渡「あの、呉島さん…どうしたら貴方みたいに強くなれるんでしょうか?」

 

葉月「強く?」

 

渡「僕はもっと強くなりたいんです。みんなを守れるくらいに強く!!」

 

葉月「渡君はもう充分強いじゃないですか…」

 

渡「いえ…僕なんてまだまだです。僕は常に迷ってばっかりです…迷った末に大切な人を守れない…僕はまだ戦士として未熟なんです…」

 

葉月「渡君…貴方はどうしてキバとして戦っているんですか?」

 

渡「え?」

 

葉月「質問を少し変えます…貴方はこれまでなんのために戦っていたんですか?辛いこともあった筈なのに、それでも貴方が戦う理由はなんですか?」

 

渡「僕には守りたい人がいる…守りたい人がいるかは僕は戦える…そう思います!!」

 

キバットバットⅢ世「おおっ…かっこいい事言うようになったなぁ…渡!!」

 

葉月「その気持ちがあれば貴方はもっと強くなれる筈ですよ」

 

渡「え…」

 

葉月「私も守りたい人達がいる…だからそのために私は戦うんです!!」

 

渡「呉島さんも?」

 

葉月「はい。守りたいという強い思いがあればきっと貴方はもっと強くなれると思います。人の想いは力となるから!!」

 

渡「想いが力になる…」

 

葉月「お互い…頑張りましょう?」

 

私は渡君に向かって微笑むとキバットバットⅢ世が周りをふよふよと飛び回り、渡君は僅かに笑みを浮かべた。

 

渡「はいっ!!」

 

葉月「それじゃ帰りましょう…りんねさん。」

 

りんね(うん!!)

 

タイムロード「ターイム…」

 

ポケットからタイムロードのカードを取り出すとタイムロードは動き始めて、トライチェイサーごと光に包まれた。

 

恵「呉島さん!!また会おうね!!絶対だよ〜!!」

 

葉月「えぇ…また!!」

 

 

私達は光に包まれると2008年から旅立ち、2026年へと帰還した様子を悔しそうな表情で見つめる者が居た。

 

アレクト「呉島葉月…これ以上あいつにケミーを集めさせてはならない…」

 

ラケシス「どうするつもりですの?彼女は成長を続けていますわ…」

 

アポロ「問題ない…もうすぐドレッドライバーが完成する。あの力さえあれば呉島葉月を簡単に倒せるだろう…最初の装着者は誰にする?」

 

アレクト「アタシがやる!!呉島葉月…貴様のケミーを貰う!!新しい力で!!」

 

 

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