-現実世界-
その頃、現実世界にて謎の男性がタブレットで葉月達と海東が戦う様子をチェックしていたが、レイカが変身したのを見て、驚きのあまり近くで映画を見ていた霞を呼び止めていた。
???「おい…霞…おい霞!!」
霞「何よもう…今、映画見てて忙し…」
???「羽原レイカが変身したぞ!!」
霞「そりゃするでしょ…彼女はヒートドーパント…」
???「違う!!仮面ライダーにだ!!」
霞「なんですって!?」
タイムジャッカーの服装ではなく私服に身を包んだ霞が慌ててタブレットをひったくると、その姿を見て驚きを隠せなかった。
霞「まさか…ロストドライバーでヒートメモリで変身するなんて…」
???「オリジナルの仮面ライダー…」
霞「え?何よ?」
???「呉島葉月に関わった人物は仮面ライダーになる…イレギュラーな事が立て続けに起こっている…」
霞「葉月…彼女こそオリジナルの化身であり新たなる物語を紡ぐ存在。やはり彼女こそ主人公なのね…」
???「霞…お前も呉島葉月の物語の登場人物の一員になった事を忘れるなよ?」
霞「わかってるわよ。アタシはタイムジャッカーのカスミって言う立ち位置で彼女の物語に介入しているんだからさ!!」
???「って言うかお前…アーマードライダーヴィーナスに変身してなかったか?」
霞「えぇ…変身したけど…」
???「なぁなぁ…ゲネシスドライバーをちょっと見せてくれね?」
霞「いいけど…はい。」
霞は葉月から託されたゲネシスドライバーを謎の人物に手渡すと、珍しそうにドライバーを眺め回していた。
???「へぇ…これが本物のゲネシスドライバーか…」
霞「えぇ…これが呉島葉月が使用した本物よ」
???「よしよし早速…あれ?いいのか?俺、変身しちゃうぜ?」
霞「勝手にすれば?どうせ無駄だからさ…」
???「なんだよ…あれ?なんでベルト帯が出ない!?」
謎の人物はゲネシスドライバーを装着しようと腰に当てるが、ベルト帯は出現する事はなかった。
霞「いくらやったって無駄よ。アタシも現実世界で試したからさ…」
???「なっ…おもちゃに変わってる!?なんでだ!?」
霞「アタシ達の現実世界では決して変身する事は出来ないわ。なぜならここは現実なのだから…物語の世界じゃないからさ」
???「やはりか…仮面ライダーは本当は居ない。テレビやネットの中のヒーローだから…現実って辛いな…」
霞「そう。アタシ達の世界ではアタシらはただの仮面ライダーファン…言ってしまえばオタクになるのかしらね」
???「こういう話ってまるで平成ジェネレーションFINALであったよな?」
霞「えぇ…仮面ライダーは現実には存在しないのよ。」
???「なぁ…彼女らをここに連れてくる事は出来ないのか?」
霞「なんでよ?」
???「だってこのままだとあの羽原レイカ死んじまうぜ?」
霞「あ、もう少しで細胞維持する注射器が無くなるんだっけ?」
???「あいつはこのままだと確実に死ぬ!!だったらこっちに連れて来て医者とかに見てもらった方がいいんじゃね?」
霞「バカ…医者になんて説明するのよ!!」
???「それにこっちの世界に連れてくれば、細胞の壊死が止まる可能性だってあるだろ?」
霞「なんでよ?」
???「お前がこっちの世界に持ち込んだゲネシスドライバーも本物からおもちゃへと変わっちまったじゃねぇか!!」
霞「つまり本物が偽物になる…今の症状も嘘になるって事?」
???「そうなるかもしれないだろ!!」
霞「…わかった…今から彼女を連れてくるよ。」
???「なら早速頼むわ!!霞…」
霞「任せて!!」
霞はタブレットを操作して何かのログインボタンを押すと、タブレットの中に吸い込まれてしまった。
霞「ログイン…アタシはタイムジャッカーのカスミ!!さぁ…いくわよ!!」
霞の姿はタイムジャッカーの服装ヘと変わり、ゲネシスドライバーを腰に当てると銀色のベルト帯が腰に巻き付いて固定された。
カスミ「時空転移システム起動!!」
カスミはタイムマジーンに乗り込むと葉月が存在する世界へと進路を設定して、時空のゲートを通り抜けた。
カスミ「今、行くよ!!」
葉月Side
葉月「レイカさんが仮面ライダーに…」
私はレイカさんがドーパントではなく仮面ライダーに変身したことに驚いた。地面に落ちたユニコンとりんねさんを拾い上げ、2人の戦いをじっと見つめた。
りんね(レイカさん仮面ライダーだったんだ?)
葉月「私、知らなかったです…」
レイカ「ハアッ!!フッ!!ダァッ!!」
海東「くっ…」
レイカさんは連続で蹴りを繰り出して海東さんの銃を蹴り落とそうとしていたが、海東さんは必死に銃を守るように手で防御に入っていた。
レイカ「甘いよ…セヤアッ!!」
海東「僕のお宝が!?」
レイカさんは海東さんの手元のカードの束に狙いを定めていたようで、カードの束を蹴り上げると私の足元にカードの束が落ちた。
葉月「銃じゃなくて狙いはカードだったんですね…」
海東「参ったな…お宝をそんな雑に扱われては…」
私はカードの束を急いで拾い上げると、海東さんは私に向かって銃を向けた。
海東「返したまえ…」
レイカ「アタシが見えないわけ!?ハアッ!!」
海東「ぐっ…調子に乗らないでくれたまえ!!」
(ATTACKRIDE BLAST)
レイカ「くっ…」
海東「ハッ!!」
海東さんは素早い動きでレイカさんを撹乱すると、横から銃撃を放ち吹き飛ばし、再び高速で動き始めた。
葉月「あの動きをどうかしなくちゃ…」
レイカ「ハッ!!甘いよ…デヤアッ!!」
海東「うわっ…」
レイカさんが拳を強く握ると炎の力が宿っており、そのまま地面に向かって勢いよく拳を叩きつけた。すると周囲に火柱が登り、海東さんは思わず動きを止めた。
海東「ぐっ…熱っ!?」
レイカ「熱いだろう?この熱さが欲しくて…冷たい身体が嫌で、きっとあたしはヒートと引き合ったんだ!」
海東さんは火柱から放たれる火炎弾を浴びて大ダメージを負い、地面に倒れ伏した。それでもなんとか起きあがろうと膝を突いた。
(ヒート!マキシマムドライブ!!)
レイカ「これで…終わりに…うぐっ…!?」
レイカさんはガイアメモリを腰の横のスロットに刺して必殺技を放とうとしたが、突如苦しみ始めて同じように倒れてしまった。
葉月「レイカさん!?レイカさん!!」
私はレイカさんに駆け寄ってドライバーを縦に戻し、ガイアメモリをスロットから抜いて変身を解除させた。
葉月「っ!?細胞が壊死し始めてる!?進行が早すぎる!!」
レイカ「細胞維持の…注射を…」
葉月「わかりました!!」
私はレイカさんの黒いジャケットの中から注射器を2本取り出して刺すが、細胞壊死が止まらずレイカさんは苦しみの声を上げた。
レイカ「ぐっ…あああああ!!」
葉月「どうして!?壊死の進行が止まらない!!」
海東「ガイアメモリを使用したから、彼女の身体に負担が掛かったのだろう…」
海東さんが苦しむレイカさんに歩み寄ると、腰からドライバーを外した。
葉月「なんのつもりですか!?」
海東「ガイアメモリを直接体に刺して来たんだ…今更ドライバーを経由したところで、彼女の体はとっくに限界だったんだろう…」
葉月「そんな!?」
海東「さて…今のうちにお宝を…」
海東さんは地面に散らばったカードの1枚を拾い上た。その時、私は咄嗟に海東さんに飛び掛かった。
葉月「触らないで!!」
海東「ちっ…1枚しか奪えなかったか…まぁ、いい。いずれ君のお宝は僕が…」
インフェニックス「フェニーックス!!」
海東「なっ…」
海東さんが奪ったインフェニックスのカードが海東さんの手の中で抵抗し始めたが、海東さんはカードを無理やり押さえ込もうと力を込めた。
海東「大人しく…うわっ!!」
葉月「インフェニックス!?」
上空に跳ね上げられたインフェニックスは突如発生した時空の穴に吸い込まれてしまった。その直後に、突如空いた時空の穴からタイムマジーンが姿を現した。
葉月「あれは!?」
カスミ「葉月!!レイカ!!」
海東「うわあっ…」
タイムマジーンはそのまま海東さんを弾き飛ばすと、私とレイカさんを一瞬で乗せて、時空の穴の中へと飛び込んでしまった。
海東「タイムジャッカーか…他にも生き残りが居たのか?」
時空の穴に入った私達は、操縦するカスミさんに必死に声を掛けた。
カスミ「ギリギリセーフだったわね…このまま安全な場所に…」
葉月「インフェニックスのカードが穴の中に!!」
カスミ「なんですって!?」
前方に視線を向けると、インフェニックスのカードが時空の狭間を漂っており、気付いたカスミさんはタイムマジーンを接近させた。
カスミ「もう少しで…届く!!」
インフェニックス「フェニーックス!!」
葉月「しまった…インフェニックスが!?」
カスミ「異なる時間軸に飛ばされたか!!くっ…」
インフェニックスのカードは発生した別の時空の穴に吸い込まれ、姿が見えなくなってしまった。
葉月「まるで自分から他の時間軸の穴に飛び込んだようにも見えましたが…」
カスミ「もしかしたらインフェニックス自身を強く引き寄せる何かがその時間軸にはあったのかも…だから自ら時空の穴に飛び込んだのかも…」
葉月「急いでその時間軸に!!」
カスミ「ダメだ!!具体的な年代もわからない…それより今はレイカを!!」
葉月「そうでした…今はレイカさんを安全な場所に…」
カスミ「捕まって!!」
カスミさんは画面を操作してタブレットを横にセットすると、何かのコマンドを入力して私達の手を掴んだ。
カスミ「ログアウト!!ほら2人ともアタシの腕に捕まって!!」
葉月「えっ…うわっ…」
レイカ「ちっ…」
-現実世界-
葉月「ひゃあ…」
レイカ「くっ…」
霞「キャッ」
???「霞!?ってうわっ…お前ら!?」
私達はタイムマジーンの中から転移したのか、知らない部屋の天井から床に落下してしまい、ドスンと大きな音を立てた。
カスミ「なんとか帰って来れた…」
???「霞!!羽原レイカ連れて来たのか…って…呉島葉月!?」
葉月「あたた…あれ…貴方は…誰ですか?」
???「ホラ、俺だよ俺俺!!」
葉月「あ、オレオレ詐欺なら結構です…」
???「ちげーよ!!ほらっ!!何度か助けたろ!!2008年とかで!!」
葉月「え?そうでしたっけ!?」
りんね(葉月さん…この人、私を未来に連れて行ってくれた人だよ!!)
葉月「あぁ…そういえばレジェンドルガを倒す時に過去のりんねさんを送ってくれた人!?」
???「そうだ…やっと気づいたか。まぁ今はローブ着てないしわかんないか…」
レイカ「ここはどこ?」
???「俺の家だ。よく来たな…」
周りを見渡すと壁やあちこちに仮面ライダーのベルトなどが飾られており、私は思わずそのうちの1つに目が留まった。
葉月「戦極ドライバー!?」
霞「DX版だけどね。いわゆるおもちゃってわけ…」
葉月「ちょっと小さい…確かにおもちゃみたいですね」
他にも壁を見ると他の仮面ライダーのポスターが貼られており、私は棚の中にある鎧武が表紙の何かを見つけて思わず手に取った。
葉月「Blu-ray…仮面ライダー鎧武!?どういうことですかこれ!?」
???「見てみるか?ほら…」
Blu-rayを再生すると途中まで見てる途中だったのか、すぐに途中の映像が映し出された。
最終話 変身!そして未来へ
光実「まだ残ってるロックシードはあるんだよ!!」
コウガネ「ふっはっはっはっ… 葛葉紘汰ならともかくお前達如きではどうする事も出来んよ…」
光実「確かにあの人はヒーロだった…でも…もう紘汰さんは居ない…」
光実「だから僕達が…ヒーローにならなきゃいけないんだ!!」
光実「変身!!」
(ブドウ)
(ブドウアームズ!龍・砲・ハッハッハッ!)
コウガネ「何処までも楽しませてくれる…」
葉月「これは…この映像はどういう事ですか?」
???「仮面ライダー鎧武の最終回だ。お前もあの場に居たから知っているだろう?」
葉月「そうじゃなくて、どうしてあの戦いがBlu-rayに!?っていうか私が居ない!!」
霞「葉月。落ち着いて聞いてね…貴方達は今、仮面ライダーの存在しない世界に居るのよ!!」
葉月「仮面ライダーが存在しない?」
レイカ「どういう事よ…」
霞「仮面ライダーは現実には存在しない。全てテレビやネットの中にしか存在しない虚構の産物なのよ」
葉月「私達が存在しない?いえ…私が他の誰かが生み出した存在って話はサガラさんから聞いたことが…」
霞「違うわ…貴方だけじゃない…仮面ライダーそのものが現実に存在しないのよ」
葉月「嘘…ですよね…仮面ライダーそのものが実際に存在しない?」
霞「葉月。アタシに着いてきて…見せてあげる…ワタシ達の世界をね…」
葉月「は、はい…」
-東京ビックサイト-
葉月「これは…!?」
東京ビックサイトと呼ばれる場所にやって来ると、様々なアニメのコスプレをしている人が大勢居て、私は思わず周りを見渡した。
霞「あれを見て」
葉月「あ、アーマードライダー鎧武が!!」
霞「よく見なさい…」
葉月「あ、あれ…コスプレ!?」
鎧武はヘルメットを外して素顔を晒して汗を吹いており、私はコスプレだとすぐに気がついた。
霞「ね?本当に変身なんて出来ないの…あぁやってコスプレするぐらいが限界なのよ…」
葉月「じゃあ仮面ライダーは本当にはおらず、ファン達の娯楽になってる!?」
霞「そうよ…それがアタシの住むこの現実世界よ」
女性「霞!!今日はどうしたの!?」
霞「あぁ…今日は友達を連れてきてね…コスプレ撮影会を見学に来たのよ」
葉月「あっ…その姿はもしかして…」
女性「あぁ…これはね仮面ライダーマリカよ!!」
女性はアーマードライダーマリカのコスプレをしており、ヘルメットを外して髪を掻き上げていた。
霞「この子はね、マリカが好きで毎年コスプレ撮影会をやってるのよ」
葉月「マ、マリカが…」
女性「あれ〜貴方…その格好は!?」
女性が私の全身を眺め回すように見つめると、私のスーツのジャケットに触れた。
女性「貴方もマリカ…湊耀子のファンなのね?」
葉月「え、え…え!?湊先輩!?」
カスミ「あ…やば…」
女性「その白スーツ上下はレアなのよ!!ネットでは正義に目覚めたから黒スーツから白スーツに変えたって話題になってた!!キャストは否定したんだけどね」
葉月「え、え、え…あの…なんの話ですか!?」
霞「ねぇ…その辺で…」
女性「ねぇ…みんなこの子の湊耀子のコスプレ凄くない!?見てよ!!」
葉月「うわ…うわわわわわ…わーっ!!」
りんね(は、葉月さんがファン達に囲まれたー!!)
気づけば一瞬で私は大勢の見物客に囲まれてしまい、一斉にカメラを向けられた。
男性「変身ポーズお願いします!!」
葉月「え?…え!?」
男性「目線こっちで!!」
女性「私のこれ使って!!あ、巻いてあげるね!!」
私の腰にゲネシスドライバーが巻かれており、気づけば手にピーチエナジーロックシードを持たされていた。
女性「はい、ポーズお願い!!」
葉月「え、あ…変身?」
私はピーチエナジーロックシードを開錠すると同時に、カメラのシャッター音とスラッシュが一斉に私に降り注いだ。
男性「はい、ありがとうございましたー!!」
葉月(はぁ…つ、疲れた…そろそろ交代してくれませんか?りんねさん?)
りんね(見て、葉月さん!!)
脳内で声が響いて思わず視線を向けると、そこには水色の錬金術師のローブを羽織った女性がおり、その隣には仮面ライダーマジェードが立っていた。
りんね(私のコスプレしてる人が居る!!マジェードと一緒だ!!)
葉月「ダメだこりゃ…」
私はため息を吐きながら再びカスミさんの元へと戻ろうとしたが、先程のマリカのコスプレしている女性が私の肩を叩いた。
女性「ねぇ…そのスーツどこのブランド物なの?」
葉月「え?あの…」
女性「似たようなやつ探してるんだけど、全く同じやつが見つからなくてさ〜」
葉月「え?いや…あの…」
女性「その襟なしのジャケットもそのフロントスリット入りの白のタイトスカートなんて、全く同じやつは見つからなかったのよ!!」
葉月「そうなんですか?」
女性「ねぇ…お願い!!どこのブランドか、どこで買ったかを教えて!!」
葉月「このスーツは…その…」
私は湊先輩から託されたとは口が裂けても言う事が出来ずにどう答えていいか迷ってしまい、思わず自身のスカートを強く握る事しか出来なかった。