-霞の自宅-
仮面ライダーの雑誌を読んでいる男性の様子を、レイカは怪しげな表情で見つめていた。
レイカ「アンタ…そういえば名前名乗らないけど何者?」
???「俺の事は気にすんな…俺はただの仮面ライダーファン…」
レイカ「アンタ…ただのファンじゃないでしょ?」
???「何?」
レイカ「アンタは普通の人間とは違う気がする…」
???「何を根拠に…」
レイカ「じゃあさ…あのタブレット。あれは!?」
???「あぁ…あれのことか?」
レイカ「仮面ライダーがこの世界で虚構の存在なら、アタシ達の世界に接触出来るそのタブレットは一体何?」
???「こいつは…」
レイカ「アタシの勘だけどさ、そのタブレットもアンタ自身も本当はこの世界のモノじゃないでしょ?」
???「察しがいいなお前…」
レイカ「ねぇ…アンタは一体何者?」
???「俺の正体を知りたいならこの映画を見てみろ!!」
男性はBlu-rayのパッケージをレイカに手渡すとレイカは目を丸くした。
レイカ「何これ?平成ジェネレーションズ Forever?」
???「これを見れば俺の正体も察しがつく筈だ」
レイカ「再生して」
???「あぁ…ほらよ」
男性は1枚のBlu-rayを再生を始めるとレイカはテレビのモニターをじっと見つめていた。
葉月Side
葉月「はぁ…はぁ…霞さんすみません連れ出してもらっちゃって…」
霞「ごめん。まさかあそこまで注目を浴びるとは思わなかったから…」
私達は東京ビッグサイトを離れて電車へと飛び乗ると、カスミさんの行きたいと言う場所へと向かっていた。
葉月「仮面ライダーはこの世界では虚構の存在ってさっき言ってましたね」
霞「うん。」
葉月「なら…Blu-rayでの映像はどういう事ですか?あれはお芝居?」
霞「そう。仮面ライダーは娯楽のひとつ。日曜日に放送される番組のフィクションの作品の1つなんだ…」
葉月「娯楽…」
霞「今から向かうのはその撮影の裏側の話。仮面ライダーの撮影現場に行くよ。」
葉月「現場?」
私達は知らない土地の建物の側の噴水広場に行くと、いくつものカメラを構える人達の姿が見えた。
葉月「これが撮影?」
霞「うん。今日はここでロケがあるって聞いてたからね…今、仮面ライダーの撮影中なんだよ…」
既に撮影中のようで赤い猫のような仮面ライダーがアクションをしている様子であった。
葉月「なんだか見た事ない仮面ライダーですね?」
霞「新しい仮面ライダーの撮影なんだよ。ああやって俳優とスーツアクトレスの演技力によって作品が素晴らしいものになるんだよ」
葉月「あくとれす?」
霞「いわゆる仮面ライダーの中の人よ。俳優がそのままスーツを着てるわけじゃないんだよ…たまに例外はあるけどね。」
葉月「つまりアクション俳優ってわけですか…」
霞「そうだよ…葉月にとっては信じられないだろうけど…」
葉月「あの…カスミさんはなんでそこまで撮影の裏側に詳しいんですか?」
霞「実はね…アタシは新米スーツアクターなんだ。」
葉月「カスミさんが!?」
霞「昔から仮面ライダーのファンであると同時に、仮面ライダーみたいに強くなりたいって思うようになったんだ」
葉月「はぁ…登場人物を演じるのではなく、その俳優さんが演じるヒーローそのものになりたいと…?」
霞「女性ライダーをやりたくてね。勿論、仮面ライダーに限らず他の作品を演じたりもするけど…」
葉月「へぇ…」
霞「アタシはいつか女性ライダーを演じるのが夢なんだ。だから日々練習やいろんなロケに行って勉強してるんだ。」
葉月「俳優にスーツアクター、カメラマンなど様々な物が揃う事で1つの作品が出来上がるって事なんですね…それが仮面ライダーの撮影ですか…」
霞「うん」
葉月「あの…一つ気になった事があるんですけど…」
霞「何?」
葉月「仮面ライダーが虚構であるこの世界と仮面ライダーの世界を繋ぐあのタブレットは一体なんですか?」
霞「というと?」
葉月「タブレットでいろいろ操作していたじゃないですか…あれって恐らくですが…この世界の物じゃないですよね?どうやって手に入れたんですか?」
霞「……」
葉月「後もう一つ…家にいるあの男性…彼は一度も名乗らなかったですけど、一体何者ですか?」
霞「…わかった…家に帰る道中で話すよ。」
私達は再び電車に乗り込むと、隣のカスミさんが深刻な表情を浮かべていた。
葉月「カスミさん?」
霞「葉月の予想の通り。あのタブレットはこの世界のモノじゃない…あのタブレットを授けてくれたのは家にいるあの男なんだ。」
葉月「あの男性は一体何者なんですか?」
霞「あいつもこの世界の人間じゃない…そもそも人間ですらないよ…」
葉月「どういうことですか?」
霞「あいつの正体は…」
-霞の自宅-
Blu-rayの再生を止めると、レイカは男性の方へと視線を向けた。
レイカ「なるほど…そういうことね」
???「あぁ…俺は霞と共に生きると決めた…だからこうしてこの世界に居る。」
レイカ「ふぅん…」
???「羽原レイカ…お前はここに居ろよ」
レイカ「何?」
???「お前は本来は死んでいる人間…つまり物語からフェードアウトした人間だ。戻ればお前は細胞壊死が進行して死ぬだろう」
レイカ「アタシが死ぬ…」
???「呉島葉月の物語に介入したことでお前は再び生き残るチャンスを得たんだ。お前の細胞の壊死もこの世界に来てからは今は止まっているだろう?この世界に居ればお前は生き延びる事ができる筈だ!!」
レイカ「!!」
レイカは自身の体をじっと見つめると体の崩壊が止まっており、普通の健康体である事がすぐにわかった。
レイカ「そうね…このまま朽ち果てていくなら…」
???「そうだろう?なら、しばらくここに居ろよ!!」
葉月「レイカさん!!」
その時、帰って来た葉月と霞が悩めるレイカに向かって声を掛けた。
霞「レイカ…元の世界に戻るのが辛ければここに居てもいいよ?」
レイカ「アンタ…」
葉月「私は知っちゃったんです。この世界ならレイカさんの脅威となる存在は居ません…だって仮面ライダーも怪人も居ないんですから…」
レイカ「アタシは…」
葉月「貴方の話もさっきカスミさんから聞きました。貴方の正体についても…」
???「カスミが話したか…俺も今、映画をレイカに見せていたところだ…ホラ!!」
男性はBlu-rayの再生を巻き戻すと真実を語るシーンで映像を再生させた。
-映像-
アタル「えっ!?イマジン!?」
フータロス「やかましい!!お前の望みを言え!!どんな望みも叶えてやろう!!お前の払う代償はたった一つ!!」
アタル「仮面ライダーに会いたい!!ライダーなんて居ないのはわかってるさ…でも…会えるだけ会わせてくれ!!」
葉月「やっぱりそうだったんだ…貴方はフータロスと同じなんだね」
???「そうだ…俺はシン…シンタロスと言う…フータロスと同じくイマジンだ。」
レイカ「契約者はカスミってわけね…」
霞「そうよ…彼との契約でアタシは現実世界と仮面ライダーの存在する世界に干渉できるように繋げてもらったのよ」
葉月「その願いの結果に生まれたのが、このタブレットですか?」
シン「そうだ。そのタブレットを使って仮面ライダーの世界を繋ぐ事が出来る。」
霞「でもなんでも出来るわけじゃない…仮面ライダーの世界に介入するには、その世界に適した登場人物になる必要がある。」
シン「だから霞はタイムジャッカーカスミとして、仮面ライダーの世界にログインする事が出来ると言うわけだ」
レイカ「まだわからない事があるんだけど…」
シン「何?」
レイカ「シン…あんたは元々、アタシ達と同じライダーの世界出身じゃん…なのにそんなアンタがどうしてライダーの存在しないこの現実世界に介入しているわけ?」
霞「それは…アナザークウガが生まれたからだよ」
葉月「アナザー…クウガ?」
霞「本物のクウガに成り代わった存在。映画の中で平成ライダーの始まりである本来のクウガが存在しなくなったから、平成ライダーの歴史そのものが一度消えたのよ…」
葉月「歴史が消えた…」
シン「俺はフータロスと同時期にこの世界にやって来た。しかし歴史が元に戻ってからも俺は現実世界に残り、カスミと接触して契約を果たした。そして俺達は現実世界側でタブレットを使い仮面ライダーの世界にログインしていたと言うわけだ…」
葉月「シン…貴方も一緒になって仮面ライダーのファンになってライダーの世界を巡るようになったの?」
シン「そのつもりはなかったんだがな…カスミの影響で俺もライダーが好きになっちまったからな…」
葉月「カスミさん…貴方はどうして仮面ライダーの世界に介入したいと思ったんですか?」
霞「葉月…貴方ならわかる筈よ…誰にも死んでほしくない…仮面ライダーを見ていると不幸で死んでしまう人が出て来る…アタシはそのまま誰も目にも止まらずに朽ちて行くのを見過ごせなかった…」
-霞の回想-
カスミ「そんな…どうしてこんな…」
仮面ライダージオウを見ていたカスミはタイムジャッカーのオーラがスウォルツに敗北して命尽きるシーンを目撃していた。
カスミ「新たな王なんて擁立して何になるのよ…自分が死んだら意味はないでしょ!!」
もはや息をしていないオーラを抱えるとどこかへ向かって歩いて行き、その様子を見ていたシンタロスはその肩を掴んだ。
シン「おい…もういいだろう?そいつはもう死んじまった…連れて行ってどうするつもりだ?」
カスミ「この子の最期くらいは安らかな場所で眠らせてあげたいじゃん…」
シン「なんでだよ…ジオウの最終話ではウールもオーラも新しい世界で平和に暮らしてるからいいだろう!!」
カスミ「そう…新たな世界では幸せになってる。けどそれは全く異なる世界の人物…今、アタシの目の前にいるオーラはどうするの!?」
シン「それは…」
カスミ「アタシは今、目の前の人を救いたい…他の世界や時間軸では幸せに暮らしてるからって納得がいかない!!今のこの世界で幸せになれなきゃ意味が無い!!」
シン「そうか…」
-現在-
霞「アタシは仮面ライダーの世界に干渉しながら呉島葉月…あんたに接触を果たしたってわけ!!」
葉月「どうして私に!?」
シン「それはな…知ってると思うがお前は本来の仮面ライダー鎧武には存在しない…物語の結末を変えて欲しいと言う人々の純粋の想いが生み出した存在だ。」
葉月「それは以前聞いたことがあります…」
霞「アンタなら仮面ライダーの歴史に新たなる可能性をもたらしてくれるかもしれない…そう思って接触したのよ」
葉月「新たなる可能性?」
霞「アンタと関わった人は本来とは異なる未来になる…本来なら死んでいる筈がアンタと関わった事で生存、又は復活しているストーリーが展開されているのよ」
葉月「それってもしかして…」
シン「復活した湊耀子…そして本来は死ぬ筈だった朱月藤果…他にも本来は仮面ライダーに変身する筈の無かったチャッキーにオリジナルの美咲撫子…あんたが関わるとオリジナルストーリーが展開されていく…あんたはオリジナルの化身だよ…」
レイカ「オリジナル…」
2人の話を聞いているうちに、私はふと変身の叶わなかったインフェニックスのことを思い出してカードを取り出して見せた。
葉月「貴方達が仮面ライダーの作品に詳しい事はわかりました。ならこのカードについて聞きたいんですけど…」
霞「インフェニックス?」
霞さんはインフェニックスのカードを受け取るとシンも横からカードを覗き込んだ。
シン「確かクイーンである真夜の力が宿ったファイアマルスと力が上手く合わさらないって話だったな…」
葉月「そうなんですよ…上手く合わせるにはどうすればいいですか?」
シン「方法は力のバランスが取れるようにインフェニックスにも同じ炎の力を与えるしか無いな…しかし同じくらいの炎の力を持つ者なんて…」
霞「いえ…いるわ!!もしかしたらあのライダーの力なら、インフェニックスに力を与えられるかもしれないわ!!」
霞はBlu-rayの中から1枚を取り出してシンに見せると、シンも納得した表情を浮かべた。
シン「そうか…確かにあいつなら…」
霞さんはタブレットを操作すると、部屋の中に時空の穴のような物が開いて私達に手招きをした。
霞「まずは沢芽に送ってあげる!!それからタイムロードを使って過去に飛んで!!」
葉月「わ、わかりました!!」
レイカ「葉月!!アタシも…」
霞「レイカ…アンタは来ちゃだめよ!!この現実世界から離れればアンタは体の壊死が再び発生して死に至る…ここにいれば大丈夫だから!!」
レイカ「くっ…」
霞さんはタブレットを操作すると再びタイムマジーンを呼び出した。私達は中に入り、霞さんは2026年と設定すると、再びタブレットを操作した。
葉月「霞さん…服が!?」
霞さんはピンク色の元々の服装へと一瞬で姿が変わり、タブレットをしまい込んだ。
カスミ「仮面ライダーの世界に戻るんだから、アタシもその登場人物に相応しい格好にならなきゃ…さぁ…行くわよ!!」
葉月と霞が元の沢芽市へと戻る中で、現実世界にいるシンはもう1つのタブレットを取り出すと、レイカが驚きの表情を浮かべた。
レイカ「そのタブレット…もう1つあったの!?」
シン「あぁ…これは俺専用のタブレットだ…これを使えば今の仮面ライダーの世界…つまり呉島葉月の居る世界を見る事が出来る!!」
シンはタブレットを操作してライブカメラを起動させると、映像をじっと見つめた。
シン「ほぅ…一ノ瀬宝太郎達が真・冥黒の三姉妹と接触したか…面白い事になったな…」
レイカ「何よそれ…覗き趣味なんてタチが悪いわね…」
シン「まぁ…そう言うなって…ほら、2人が到着したぞ!!あんたも見てみろよ!!」
レイカ「別に…アタシは…!?ねぇ…ちょっと!!」
シン「どうした?」
レイカ「2人から少し離れたところに誰かが居るんだけど…」
シン「何!?」
シンが慌ててタブレットに視線を戻すと、そこには白いコートに謎のタブレットPCを持った男性が葉月達の様子を伺っていた。
シン「バカな…アイツがなぜ沢芽市に!?」
レイカ「アイツの事知ってるの!?」
シン「アイツは…」
シンは仮面ライダーのBlu-rayの中から1枚を取り出すと、表紙をじっと見つめた。
葉月Side
葉月「あとはお願いします」
カスミ「沢芽は任せて…何かあればファイズフォンXで連絡して!!」
私達は沢芽市に戻って来たが、カスミさんにインフェニックスのパワーアップの手掛かりのある時代について教えてもらうと、すぐにタイムロードを起動させた。
葉月「行って来ます!!」
葉月はトライチェイサーに跨ったままタイムロードを起動させると一瞬で過去の世界へと旅立って行き、その様子をカスミが側から見守っていた。
カスミ「さてと…アタシは一旦現実へ戻ろうかしら…っ!?」
カスミは再びタイムマジーンを起動させようとしたが、突如背後から衝撃が襲い掛かり吹き飛ばされてしまった。
カスミ「がっ…攻撃!?一体誰が…」
???「その服装はタイムジャッカーだな?我が救世主の後を従者のように付き纏うとは…」
カスミ「なっ…アンタ!?アンタが何故ここに!?」
???「まぁ…いい。少し大人しくしていてもらおうか」
カスミ「なっ…体が動かな…なっ…何をするのよ!?」
白いコートの人物はカスミのポケットからファイズフォンXを取り出すと、そこに登録されている葉月のファイズフォンXの番号を調べた。
???「ふむ…これて我が救世主と連絡が取れる。感謝するよタイムジャッカー。」
カスミ「アンタ…葉月に何するつもり!?」
???「我が救世主を支えるのは君では無い…この私こそが従者に相応しいと言うわけだ!!」
カスミ「ふざけないで!!アンタの好きにはさせない!!」
カスミは葉月のゲネシスドライバーを取り出すが、白いコートの男性がタブレットPCに何かを書き記すと、カスミは体がふらついてしまった。
カスミ「しまった…そのタブレットは…未来の…うっ…」
カスミは意識を失い地面に倒れ込み、腰に装着しようとしたゲネシスドライバーが虚しく地面にガシャリと音を立てて落ちた。
???「さて…次は…」
突如背後からオーロラカーテンが出現してガーディアンと呼ばれる機械兵が姿を現した。
???「我が救世主の後を追うのを邪魔するつもりか?それならば…」
(ビヨンドライバー!)
緑色のベルトを取り出して腰に装着すると、時計のような物を取り出して起動させ、ベルトに装着した。
(ウォズ!)
(アクション!)
???「変身!!」
(投影!)
(フューチャータイム!)
(スゴイ! ジダイ! ミライ! 仮面ライダーウォズ!ウォズ!!)
男性は緑色の仮面ライダーである仮面ライダーウォズへと変身した。
白ウォズ「我が名はウォズ…未来の創造者である!!」