仮面ライダー鎧武 呉島貴虎の秘書   作:雨風歌

303 / 313
303話 魔法使いの仮面ライダー

 

耀子「デヤアッ!!」

 

その頃、沢芽市に出現したヘルヘイムの植物の対処に追われている耀子は、迫り来るインベスに次々とダメージを与えていた。

 

(ロックオン)

 

 

耀子「ハァーッ!!」

 

 

(ピーチエナジー!)

 

耀子のソニックアローの一撃がインベスをまとめて撃ち抜いて撃破するが、すぐにクラックの方へと視線を向けると、クラックは閉じて消滅していた。

 

耀子「閉じた…」

 

シロ(お疲れ様…一旦戻って来て!!)

 

耀子「わかったわ」

 

 

-ユグドラシル-

 

ユグドラシルの施設のホールの真ん中、かつて戦極凌馬が作業していた机にシロがパソコンと顕微鏡を用いてヘルヘイムの植物を調べており、そこにティーカップを持った耀子がやって来た。

 

耀子「何かわかったかしら?」

 

シロ「うん。湊君が採取してくれたヘルヘイムの植物を調べて色々とわかった事があるよ」

 

耀子「聞かせてくれるかしら?」

 

シロ「まず…街中に出現したヘルヘイムの植物なんだけど、以前この世界を侵食した植物とは別物だとわかったよ…」

 

耀子「別物…?」

 

シロ「私達フェムシンムの世界の植物と似てるけどこれは違う…これはね、何者かによって持ち込まれた植物なんだよ」

 

耀子「そんな事一体誰が…?」

 

シロ「ありえるなら…知恵の実の欠片の鍵を持つ葛葉紘汰ぐらいかな…」

 

耀子「葛葉紘汰?しかし彼はもうこの世界には…」

 

シロ「そう…彼はもう居ない…でも彼の鍵を誰かに奪われたりしたらどう?」

 

耀子「それは…」

 

シロ「私は最初はその可能性は低いと思った…何故なら、そうなったら本人がこっちの世界に戻って来る筈だから」

 

耀子「…つまり?」

 

シロ「しかし葛葉紘汰がこの世界に戻って来ない以上、本人の鍵が奪われた可能性は低いと見ていいかな…」

 

耀子「ごめんなさい…シロ…結局鍵のせいじゃないってことかしら?」

 

シロ「そう…私達の世界の葛葉紘汰の鍵が奪われたわけじゃない…」

 

耀子「私達の世界…まさか…!?」

 

シロ「これは私の予想だけど過去か未来…またはまったく異なる別の世界の葛葉紘汰の鍵が奪われてこの世界に影響を及ぼしてるかもしれないんだ…」

 

耀子「つまり…あり得ない事が起きてるって事?」

 

シロ「過去や未来、異世界を繋げるオーロラカーテン現象…あの力で鍵を奪った者がこの世界に侵入してヘルヘイムの植物を発生させてる可能性が高い。」

 

耀子「新たなる侵略者…そいつが鍵を使ってヘルヘイムの植物を発生させているって言うの!?」

 

シロ「その通り…」

 

パソコンのキーボードを叩いて極ロックシードのデータを確認しながらコーヒーを啜った。

 

耀子「一体誰が鍵を…」

 

シロ「あともうひとつ気がかりな事があるんだ…」

 

耀子「?」

 

シロはパソコンの写真フォルダの中から一枚を画面に映し出して、耀子は横からじっと写真を見つめた。

 

耀子「これはシロの研究室の保管庫?」

 

シロ「誰かが研究室に忍び込んで保管庫のロックをこじ開けて行ったんだよ…」

 

耀子「中の物が盗まれたの?」

 

シロ「うん…」

 

シロは盗まれたであろう物をパソコンの画面に映し出すと、耀子は画面を見て驚きの表情を浮かべた。

 

耀子「まさか…戦極ドライバーを盗まれたの!?」

 

シロ「うん…私が作った戦極ドライバーとロックシードが盗まれた…」

 

耀子「嫌な予感がするわね…これは…」

 

シロ「防犯カメラも破壊されてる…悪しき者の手にドライバーが渡るなんて…失態だ…」

 

 

葉月Side

 

私は目を開けると辺りは豪雨が襲っており、思わず一緒に転移したトライチェイサーをそのままにして、近くの建物の屋根の下に避難していた。

 

葉月「酷い暴風雨だなぁ…あちゃ…」

 

私はトライチェイサーに荷物を詰め込んでいた事を思い出し、トライチェイサーを押して屋根の下に避難させると、荷物を引っ張り出した。

 

りんね「これは?」

 

葉月「レインコートを湊先輩が持たせてくれてたんですよ〜」

 

私はベージュのレインコートを身に纏うと、スマホで今日泊まるホテルを探し始めた。

 

葉月「ここから近い…よかったぁ…」

 

りんね「あれは…?」

 

私はバイクに跨りエンジンを吹かせて暴風雨の中を走るが、りんねさんが途中に何かに気づき、私は思わずバイクを止めた。

 

葉月「何ですか?…ん?ラーメンの屋台じゃないですか…」

 

りんね「屋台ラーメン?」

 

葉月「もしかしてりんねさん、屋台ラーメン食べた事ない?」

 

りんね「屋台系食べた事ないから気になって…」

 

葉月「丁度お昼の時間ですし、食べていきましょうか?」

 

りんね「うん!!」

 

私達はラーメンを食べることにして屋台に入ろうとしたが、突如私の目の前に何かがぶつかり、私は思わず顔を押さえた。

 

葉月「あ痛っ!!」

 

りんね「葉月さん!?」

 

顔に何かがぶつかったようで顔に当たった何かを掴むと、それは何かの生き物のようで、私はその生き物を見て目を丸くした。

 

葉月「えっ…」

 

りんね「グリフォン?」

 

その生き物は緑と黄色の羽の付いた生き物のようで、ギングリフォンと同じ種類の生き物のようだった。

 

葉月「なんでグリフォンがここに?」

 

私はグリフォンが飛んで来た方向を見ると屋台の前であり、屋台には男性が注文したであろうラーメンを待っているようだった。

 

葉月「あの人のペット…なわけないですよね…」

 

私はラーメンの屋台に入り男性の隣に座ると、思い切って男性へと話しかけた。

 

葉月「あの〜」

 

???「お?お前もラーメンを食べに来たのか?こんな豪雨の中で」

 

葉月「旅の途中で偶然見かけてつい寄っちゃいました。」

 

???「そうかそうか…ここのラーメンはすげぇ美味いぞ」

 

葉月「そうですか…あ、チャーシューラーメンひとつお願いします!!」

 

私はラーメンを注文すると、私の胸ポケットの中からグリフォンが飛び出し、隣の男性の机の上に着地した。

 

???「お、グリフォンちゃん…ファントム見つけて来てくれたのか?」

 

葉月「そのグリフォンは貴方のでしたか…さっき私の顔にぶつかって来たのでびっくりしましたよ」

 

???「あーそれはすまなかったな…俺の使い魔なんだよこいつ」

 

葉月「使い魔?」

 

???「あぁ…俺は、まほ…お、ラーメン来た来た!!」

 

私達の前にラーメンが置かれたので、私達は一旦食事に集中することにした。私はラーメンを味わってもらうために、りんねさんと交代した。

 

りんね「うん…美味し…」

 

つい隣を見ると、私の席のすぐ近くにラーメン専用と書かれたマヨネーズの容器が置いてあり、男性がマヨネーズをラーメンに大量にかけ始めるのを見て、私達は思わず食事の手を止めた。

 

りんね・葉月「「マヨネーズ!?」」

 

???「お前もかけてみるか?」

 

りんね「いや…私は…」

 

???「いいからかけてみろって!!」

 

りんね「あ、ちょっと…あぁ…」

 

私のラーメンはマヨネーズに染まり、りんねさんは一瞬何かを考えるとすぐに私と交代してしまい、表に出て来た私は頭を抱えた。

 

葉月「ちょっ…りんねさん!?あ…」

 

???「いいか… マヨネーズは世界で一番偉大な食いもんだ!!」

 

葉月「はぁ…」

 

ラーメンを完食した男性は荷物を纏め始めて、最後に私の方へと視線を向けた。

 

???「マヨネーズのトッピングはグリフォンちゃんを届けくれた礼だ!!」

 

葉月「お礼って私は別に…」

 

???「いや、皆まで言うな!!マヨネーズとラーメンの新たな可能性にびっくりしてるんだろう?味わって食べろよ?じゃあな!!」

 

そのまま暴風雨の中で男性はグリフォンを連れて去ってしまい、私は奇妙な男性の後ろ姿を見送ると、目の前のマヨネーズだらけのラーメンへと視線を向けた。

 

葉月「ま、まぁ意外と合うかもしれませんし…」

 

マヨネーズにの染み込んだ麺を啜るが、私は思わず口いっぱいに広がるマヨネーズの味に顔を顰めた。

 

葉月「合わない…」

 

私はマヨネーズの容器をじっと見つめると、様子を見ているであろうりんねさんに話しかけた。

 

葉月「食べます?」

 

りんね(い、いらない!!)

 

顔を顰めながらも、ふと屋台の壁にあるカレンダーに視線が映り麺を啜りながらもぼそりと呟いた。

 

葉月「2012年か…」

 

 

???(なんだあの人…めちゃ美人さんじゃねぇか!!)

 

仮面ライダービーストこと仁藤攻介は立ち去る直前に麺を啜る葉月の様子を何度もチラチラと振り返って見ており、大雨の中で濡れながらも静かに立ち去った。

 

 

-翌日-

 

ホテルを出てインフェニックスを探す葉月の様子を高台のビルから謎の女性と男性がみつめていた。

 

メデューサ「見つけた」

 

フェニックス「今回はあの女がゲートか!!俺が行って絶望させて…」

 

メデューサ「待ちなさい。貴方はまだ万全ではない筈…」

 

フェニックス「魔力はほぼ戻った…指輪の魔法使いにももう負けねぇ!!」

 

メデューサ「いくら不死身の貴方でも今の貴方では勝てない…」

 

フェニックス「あ?」

 

フェニックスは立ち上がりメデューサに詰め寄るが、背後に気配を感じてフェニックスは歩みを止めた。

 

エキドナ「メデューサ様…ご命令を」

 

メデューサ「あのゲートを絶望させて新たなファントムを生み出しなさい」

 

エキドナと呼ばれる長い黒髪で足がすらりと長いファントムは、OL風の女性に姿を変えてニヤリと笑みを浮かべた。

 

フェニックス「チッ…」

 

メデューサ「焦らなくても指輪の魔法使いはきっと現れる…」

 

フェニックス「今度こそ奴のキラキラした頭を粉々に砕いてやる!!」

 

 

葉月Side

 

私はケミーライザーを手にインフェニックスの反応を追っていたが、インフェニックスの反応は途絶えてしまい、思わず頭を掻いた。

 

葉月「あれ…さっきまで反応あったのに…」

 

りんね(素早く移動してる?まるで何かを探しているみたい?)

 

葉月「どうします、りんねさん?」

 

私はりんねさんに尋ねるがりんねさんも悩んでいるようで、一先ずバイクで街中を走って探そうと思い、トライチェイサーを止めている場所まで戻ろうと歩き出した。

 

エキドナ「見つけたわよ」

 

葉月「?」

 

突如目の前に背の高いOL風の女性が道を塞ぎ、私の方をじっと見つめていた。

 

葉月(誰!?)

 

りんね(葉月さん…この人からは嫌な気配を感じる…気をつけて!!)

 

葉月(わかってます…)

 

エキドナ「あんたがゲートね?」

 

葉月「ゲート?」

 

女性は怪人へと姿を変えて私は思わず後ろに後ずさるが、怪人は私に素早く接近すると私の首を掴み壁に押し付けた。

 

エキドナ「さぁ…絶望してファントムを生み出しなさい?」

 

葉月「ファントム?うぐっ…」

 

私は首を絞められながらも指輪をはめ直そうと指輪に手を掛けるが、誰かが走ってくる音が聞こえて来て私は思わず視線を動かした。

 

仁藤「見つけたぜファントム!!さっさと俺の食事になりやがれ!!」

 

葉月「あれ…貴方はラーメン屋で会ったマヨネーズの人!!」

 

仁藤「俺はマヨネーズじゃねぇ…俺の名前は仁藤 攻介だ!!ってお前!?昨日グリフォンを助けてくれた綺麗な人!?」

 

葉月「えぇ…そうなんで…きゃっ…」

 

怪人は私を突き飛ばすと、仁藤攻介を名乗る男性へと向き直った。

 

エキドナ「なんだあんたは?」

 

仁藤「と、いうことで大人しく俺に食われろ」

 

 

(ドライバーオン)

 

 

りんね(あれは!?)

 

葉月「指輪!?」

 

仁藤さんは指輪をはめると腰にドライバーが出現し、私達は驚きの表情を浮かべた。

 

仁藤「変ーー身!!」

 

 

(セット!オープン!)

 

 

(L・I・O・N ライオーン!!)

 

 

ドライバーに指輪を押し込むとドライバーのドアのような物が開いて中からライオンの顔が現れ、直後に仁藤さんは金色の戦士に変身を遂げた。

 

エキドナ「古の魔法使いか!!」

 

葉月「貴方は一体…」

 

仁藤「俺は魔法使い…ビーストだ!!」

 

葉月・りんね「「魔法使い!?」」

 

仁藤「さぁ…食事の時間だ!!」

 

仁藤さんは仮面ライダービーストへと変身すると人型の蛇女に挑み掛かった。

 

仁藤「どりゃっ!!」

 

葉月「魔法使い…指輪で変身するなんて…錬金術師に似てる?そもそも錬金術と魔法とどう違うんでしたっけ?」

 

りんね(魔法じゃないよ…科学に近いかも。無から有を、死から生を生み出す術…それが錬金術だよ?魔法みたいになんでも出来るわけじゃない…)

 

葉月「なるほど…じゃあケミーは…」

 

りんね(そして錬金術によって無生物が本当の生き物になる…それがケミーだよ)

 

葉月「じゃああの人は…」

 

ふと仁藤さんの方へと視線を向けると、サーベルのような武器で蛇女にダメージを与えているところであった。

 

仁藤「それじゃ行くぜ〜」

 

 

(ファルコ!)

 

 

( ゴーッ! ファッ ファッ ファッ ファルコ!)

 

新たに取り出した指輪をベルトに押し込むと、仁藤さんの肩にオレンジ色のマントが装備された。

 

葉月「鳥のマントが装備された!?」

 

エキドナ「なんですって?」

 

蛇女が驚く中で仁藤さんはサーベルのダイスを回転させて指輪を押し込んだ。

 

(1)

 

 

仁藤「1かよ!?あぁ…もう!!」

 

 

(ファルコ!セイバーストライク!!)

 

 

仁藤さんはサーベルを振ると目の前に魔法陣が出現して、中から小さい金色の鳥が現れて蛇女へと突進した。

 

エキドナ「あ?オラっ!!」

 

仁藤「あぁっ!?」

 

小さい鳥は蛇女にいとも簡単に砕かれてしまい、仁藤さんは頭を抱えていた。

 

りんね(あれで終わり?)

 

葉月(ギャンブル要素のある必殺技のようですね)

 

エキドナ「バカにしてるの!?デヤアッ!!」

 

仁藤「おわっ!?どわああああっ!!」

 

蛇女は2本の剣を手元に呼び出し仁藤さんに連続で斬撃を与えると、仁藤さんはダメージを負いながら地面に転がり、私は慌てて仁藤さんへと駆け寄った。

 

葉月「しっかり…」

 

仁藤「ダメだ…逃げろ…」

 

エキドナ「さぁ…絶望してファントムを生み出しなさい!!」

 

私に向かって剣先を向ける蛇女に対して私は指輪をはめ直してドライバーを出現させようとしたが、突如目の前の蛇女がどこからか放たれた銃撃でダメージを負って私から距離を取った。

 

晴人「そこまでにしてもらおうか蛇のお姉さん」

 

そこに黒いジャケットを羽織った青年が銃を構えており、蛇女が体勢を立て直すと青年を睨みつけていた。

 

仁藤「晴人!?」

 

エキドナ「貴様も私の邪魔を!?」

 

晴人「魔法使いはファントムの邪魔をするのが仕事だからね」

 

私の元に別の青年と刑事さんらしき女性が駆け寄って来て私は思わず指輪をはめ直す手を止めた。

 

凛子「大丈夫ですか?」

 

瞬平「晴人さーん!!もしかしてこの人が!?」

 

晴人「あぁ…ゲートを頼む!!」

 

 

(ドライバーオン・プリーズ)

 

 

青年は指輪を取り出して腰のバックル付近に翳すと、ドライバーが出現し、レバーを操作して指輪を指にはめた。

 

 

(シャバドゥビタッチヘンシン)

 

 

晴人「変身」

 

 

(フレイム・プリーズ・ヒーヒーヒーヒーヒー!!)

 

 

青年は指輪をドライバーに翳すと炎の魔法陣が自身の体を覆い、赤い仮面ライダーへと変身を完了させた。

 

 

りんね(もう1人の魔法使いの仮面ライダー!?)

 

葉月「あの人は確か…」

 

晴人「さぁ…ショウタイムだ…ハアッ!!」

 

青年は銃を剣の形に変形させると蛇女へと駆け出していき、私は見覚えのある容姿に以前の脳内の記憶を思い返していた。

 

りんね(葉月さん…あの人の事知ってるの?)

 

葉月(彼の名前は操真 晴人さん…仮面ライダーウィザードです)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。