-シロガネ電材株式会社-
シロと湊耀子が所属している会社であるシロガネ電材株式会社は電設資材の専門卸売業を展開しており、電気工事や建設、設備工事に不可欠な多岐にわたる製品を提供し、沢芽市のインフラ整備と産業発展に貢献している会社である。
シロ「湊君、新しいパーツを取ってくれる?」
耀子「えぇ」
シロは現在、空調機器(エアコン)の工事を行なっており、壊れた機器を取り外しながら新しい部品を交換していた。
-社用車の車内-
シロ達は1日の業務を終えて社用車の中で日報を記入しながら休憩していた。
シロ「この時期にぶっ壊れるのはまずいよ…」
耀子「えぇ…この暑さでエアコンが壊れるのはまずいわ…」
シロ「ねぇ…今の仕事はどう?楽しい?」
耀子「そうねぇ…以前のプロフェッサーの秘書をしている時よりも、堂々と人のために働いているって感じがするわ」
シロ「力仕事もあるからね…ヘルヘイムの研究をするよりもっと世の中のためになる事をすればよかったのに…だから一度解体したんだよ…」
耀子「平気で市民に隠してスカラー兵器やプロジェクトアーク…とんでもない陰謀を色々と抱えていたからよ…今、振り返ってみればまともな会社じゃなかったわ」
シロ「今の仕事の方がやりがいを感じるでしょ?お客様からありがとうって感謝されるんだから!!」
耀子「そうね…悪くないわ…」
シロは耀子の服装をじっと見つめると肩についた埃を摘み取った。
シロ「その作業服もだいぶ見慣れてきたね」
耀子「そうかしら?」
シロと耀子は長袖の設備工事の作業着に身を包んでおり、背中にはシロガネ電材と書かれていた。
シロ「この仕事を初めてからずっと作業着だもんね」
耀子「スーツだった頃が懐かしいわ」
シロ「スーツ…か…」
耀子「シロ?」
シロ「いや…私、スーツ着た事ないんだ…スーツってかっこいいよね」
耀子「そうかしら?」
シロ「そうそう。社会人の証って感じ!!」
耀子「私達も社会人じゃない…仕事によっては作業着だったり私服だったりと様々よ?」
シロ「でも…私もスーツを着てみたいんだよね…」
耀子「着てみたいって…スーツにも色々あるのよ?」
シロ「え…そうなの?」
耀子「えぇ…それならスーツを着こなしのスペシャリストの元へ行くわよ」
シロ「着こなしの?」
耀子「誰よりもスーツを着こなしているあの子の元へ」
-ユグドラシル-
葉月Side
葉月「えっと…あの…」
シロ「ふーむ…」
シロちゃんと湊先輩がエアコンの点検にやってきて素早く作業を完了させたかと思ったら、シロちゃんが私の服装をじっと見つめていた。
葉月「どうしましたシロちゃん?なんかゴミでも付いてました?」
シロ「ううん…そうじゃないの」
葉月「???」
耀子「シロは普段は作業着でスーツを着る機会がないから、普段からスーツを着こなしている葉月が気になっているのよ」
葉月「は、はぁ…」
シロちゃんは私の服装を見回すと湊先輩の方へと視線を向けた。
シロ「湊君。このスーツの種類は?」
耀子「白シャツに上は黒のジャケットに黒のフレアスカートのセットね」
シロ「ふれあ?」
葉月「膝から裾に向かってふわって広がる形のスカートですよ」
耀子「入社したての頃によくこのスカートを履いていたわね」
葉月「湊先輩はずっと短かったですけどね」
耀子「仕事柄私は短い方がいいのよ」
シロ「そうなの?」
葉月「まぁ。私達は私達は特殊な現場でしたからね…」
耀子「懐かしいわ」
-葉月の回想-
2013年
新人の私と貴虎さんと湊先輩の3人はヘルヘイムの森へとやってきており、貴虎さんが私の方へと視線を向けた。
貴虎「今日はお前にヘルヘイムの秘密について教えてやる…来るんだ」
葉月「は、はい!!」
貴虎「行くぞ…」
私達は目的地へ向かって歩き始めたが、私は2人から離れてしまっていた。
葉月「あ、歩きにくいよ…」
私は新人のため、就職用のリクルートスカートスーツを着ており、でこぼこのヘルヘイムの森を歩くのに苦戦していた。
葉月「駄目だ…パンプスも合わない…」
湊「貴方…それで探索をするつもり?いざと言う時動けないわよ」
葉月「え…でも…」
湊「そんなスーツだと丈が長くて歩きにくい筈よ…もう少し丈を短くしなさい」
葉月「えっ…でも私、丈はあんまり短くしない方が…」
湊「これも貴方のためよ。動きにくいと仕事にならないわ…」
葉月「うっ…確かに…」
-現在-
耀子「それから葉月は様々なスーツを着てきたわ…」
葉月「パンツやストレートスカート、フレアスカート、プリーツスカートなど色々と試してきたんですよ」
シロ「丈が長い物ばっかり選んでたの?」
耀子「葉月はなかなか短いのを履かないタイプだったわ…」
シロ「なんで短いのを履かないの?」
葉月「えっと…当時は足が短かったので短いのが絶望的に似合わなかったんですよ…あと…恥ずかしい!!」
シロ「頑なに短いスカートを履かない理由がわかったよ…けど…ここしばらくは短いのを履いてない?」
葉月「履いてますね…」
シロ「どういう心境の変化だったの?急に短いのを履きだすなんて…」
葉月「湊先輩の美脚に憧れてですね…私も美脚になりたくて」
耀子「ちょっと…美脚だなんて…恥ずかしいわ…」
私は湊先輩の方をじっと見つめると、湊先輩は恥ずかしそうに顔を背けてしまった。
シロ「お姉ちゃんの家に行けばスーツいっぱいある?」
葉月「えぇ…まぁ…」
シロ「お姉ちゃんのスーツの着こなしを参考にしたいから色々着用して欲しいんだけど…」
耀子「今から葉月の家に行くの?」
シロ「いいかな?お姉ちゃん?」
葉月「いいですよ?私でよかったら…」
カスミ「話は聞かせてもらったわ!!」
葉月「カスミさん!?」
その時、いつの間に来ていたのかカスミさんが私達の隣に立っており、私の方へと視線を向けていた。
カスミ「葉月の着こなしは私も気になってたのよ」
-自宅-
私は自宅に2人を招き入れると、私のスーツを見たいと言うので、クローゼットの中のスーツを引っ張り出してきた。
葉月「これがパンツスーツです」
シロ「ズボンもかっこいいよね」
葉月「動きやすくて快適な履き心地なんですよ」
カスミ「なるほど…上のジャケットはあえてボタンは閉めないと…ふむふむ」
シロちゃんはベッドの上に並べられたジャケットとスーツをじっと見つめると、私の方をじっと見つめた。
シロ「黒や紺色のジャケットやスーツばっかりだけど、もっと違う色は無いの?」
葉月「あるにはあるんですが…」
私はクローゼットの1番奥に仕舞い込んでいたスーツを取り出し、シロちゃんへと手渡した。
シロ「ピンク!!これいいじゃん…」
葉月「いえ…これはもう2度と着ることはないでしょう…」
シロ「なんで!?」
耀子「そのピンクのスーツ上下は昔一度だけ着てきたことがあったけど、シドからおばちゃん臭いって言われたのよ」
葉月「ぬあーっ!!思い出しただけでも腹が立ちます!!」
私はピンクのスーツを再びクローゼットの1番奥に仕舞い込み、ベッドの上に並べられたジャケットとスカートへと視線を戻した。
シロ「ちなみに1番のお気に入りはどれ?」
葉月「どれもいいんですが…やっぱり…」
シロ「???」
私は別室へと移動すると、和室の部屋に置いてある機械に手を伸ばした。
シロ「何これ?」
耀子「ズボンプレッサーよ…これでズボンやスカートの折り目とシワを熱と圧力で整える事が出来るのよ」
シロ「へー…」
ズボンプレッサーには既にプレスされている物があり、プレッサーを開いて取り出すとカスミさんが驚きの表情を浮かべた。
カスミ「それって…」
葉月「えぇ…私の1番のお気に入りです」
私が取り出したのは白いタイトスカートであり、1番丈が短いスカートであった。
シロ「そういえばかっこいいよね白!!」
葉月「よかったら履いてみます?」
シロ「うん!!」
私は自室からジャケットとジャケットの下に着るシャツを数枚持ってくると、シロちゃんに差し出した。
シロ「白いジャケットに中のシャツも同じ白で揃えた方がいい?」
葉月「中のシャツは少し色を変えた方がおしゃれですよ」
シロ「なるほど?」
シロちゃんはピンク色のシャツを着込んで上から黒いジャケットを選んで羽織って鏡に向かってポーズを決めた。
シロ「うーん…」
耀子「どうしたの?」
シロ「組み合わせの正解がわからない…」
カスミ「白は何にでも合わせやすいと思うけどな…」
シロ「あとさ…タイトスカートはすごく動きにくい…」
耀子「そうかしら?」
シロちゃんはスーツを脱いでベッドの上に置くと、私の方に視線を向けた。
シロ「お姉ちゃんはどういう組み合わせを選ぶの?」
葉月「私なら…これですね」
私は白のスカートと黒いブラウスを選んで着替えると、最後にスカートと同じ色の白いジャケットを羽織った。
シロ「白、黒、白の組み合わせなんだ…」
葉月「この組み合わせが1番多いですね」
シロ「でもさ、それ…動きにくくない?あとキックとかしづらそう…」
葉月「そうでもないんですよ。先輩…お願い出来ますか?」
耀子「えぇ」
私は動きやすいように白いジャケットのボタンを外すと、湊先輩は私の正面に立って構えの体勢に入った。
シロ「???」
葉月「ハアッ!!」
耀子「っ!!」
私は湊先輩に向かって蹴りを繰り出すと湊先輩は私の足を受け止めてくれた。それを見たシロちゃんは驚きの表情を浮かべていた。
カスミ「ナイスキック!!」
シロ「凄い…動きにくいタイトスカートなのになんでこんな綺麗にキック出来るの?」
カスミ「シロちゃん…ほら、裾を見て!!」
シロ「ん?」
カスミ「スカートの正面にフロントスリットが深く入ってるでしょ?フロントスリットがあるからここまでのキックを可能にしてるのよ」
シロ「ふろんとすりっと?」
耀子「普通だとキックした時に生地が突っ張るじゃない?フロントスリットがあれば生地が突っ張らずに足の可動域を100%確保できるのよ」
シロ「なるほど…」
カスミ「葉月の激しい蹴り技を放つその一瞬、スリットから覗くしなやかで引き締まった脚のラインは、大人の女性としての美しさを引き出しているのよ」
葉月「おぉぅ…」
耀子「どうしたのよカスミ…いつも以上にテンション上がっているじゃない?」
シロ「うん…途中から何言ってるのかわからなかった…」
カスミ(しまった…葉月の湊耀子に劣らない美脚具合にについ興奮してしまったわ…)
カスミが顔を背けている中、シロがベッドの上のスーツに視線を戻すとスマホで何かを何かを入力し始め、湊先輩が横からスマホを覗き込んだ。
耀子「シロ…スーツならちゃんと店頭で試着してからの方が…」
シロ「1週間後には届くから、今度からスーツで仕事をする!!」
葉月「いえ…シロちゃんの仕事柄スーツはちょっと…」
シロ「私もスーツを着て社長としてのううん…大人の社会人だってところをみんなに見せつけたいの!!」
耀子「はぁ…こうなったらシロは止められないわ…」
葉月「はぁ…スーツだけが社会人としての姿ってわけじゃないんですけどね…」
-1週間後-
葉月「それで…シロちゃんはどうでした?」
シロ「届いたスーツ姿で作業をしようとしたけれど、細かな動きが出来なくて結局いつもの作業着に戻しちゃったわ…」
葉月「やっぱりシロちゃんは作業着が似合ってますよ」
耀子「私もそう思うわ…」
葉月「ふふっ…」
私と湊先輩は仕事の途中でランチを楽しみながら、シロちゃんの事について話していた。
耀子「それにしても私の白のスーツ大事に使ってくれてるのね」
葉月「湊先輩の意志を継ぐって意味でも履き始めましたけど…昔より私、背が伸びて着こなせるようになりましたよ」
耀子「えぇ…大きくなったわね葉月… 」
葉月「…っ!!先にお会計してきますね!!」
湊先輩が昔を懐かしむような表情を見せると、私は財布を持ってレジへと歩き出した。
耀子「しれっと奢ろうとするなんて…立派な大人ね…」
-ユグドラシル-
今日は私と湊先輩とシロちゃんで沢芽市でのヘルヘイム対策についての会議を行う予定だ。会議室に入るとシロちゃんが先に私服で椅子に座って待っていた。
シロ「待ってたよ美脚のお二人さん」
葉月・耀子「「美脚!?」」
シロ「私もいつか2人みたいなスーツを着こなせるように、スレンダーでナイスバディな美脚の女性になって見せるから!!」
葉月「は、はぁ…」
耀子「貴方って子はもう…はぁ…」
私はシロちゃんの突然の宣言に思わず白のジャケットの袖口を引っ張り整えると、白のタイトスカートの裾を綺麗に手で整えた。
葉月(シロちゃんの前でだらしない姿は見せられないなぁ…気をつけないと…)