綾香「さぁ…私の元にいらっしゃい…」
りんね「お母さん… うっ…」
再び目が赤くなったりんねは綾香に洗脳されてしまい、地面で倒れている葉月を連れて行くために葉月の元へと歩き出した。
りんね「姉さんは連れて行く…」
宝太郎「やめろ九堂!!」
りんね「家族のルールは従うもの…邪魔をしないで一ノ瀬…」
りんねが葉月の体に触れようとした時、その手が止まった。りんねは自分の体が動かない事に驚いた。
りんね「な…何で…体が…動かない…」
アトロポス(全く…情けないねりんねちゃん…)
りんね「アトロポス!?貴方まで邪魔をするの!?」
アトロポス(アポロ…今だよ…)
アポロ「まさかこの声…アトロポス…?」
アトロポス「りんねちゃんを頼むよ」
アポロ「わかった…」
りんね「っ!?何をするの!?」
アポロは動けないりんねの腰のアルケミスドライバーからカードを抜いて強制的に変身を解除させると、抵抗出来ないように指輪を奪い取った。
アポロ「少し眠っていてもらうよ」
りんね「うっ…ううん…」
アポロが指輪をはめて手を翳すと、りんねは意識を失って地面に崩れ落ちた。アポロはその小さな体でりんねの体を支えると、側で様子を見ていたアレクトに声を掛けた。
アポロ「アレクト…僕は…」
アレクト「行けっ!!水瀬綾香は私とラケシスで抑える!!」
ラケシス「今は一旦引くべきですわ!!」
アポロ「すまない…」
アポロはりんねを抱えたまま宝太郎達の元へと駆け出し、足元の氷を砕いて脱出したミナトが煙幕を放とうと指輪を構えた。
ミナト「全員揃ったな…スパナ!!」
スパナ「あぁ…ラケシスお前も…」
ラケシス「先にお行きなさい、黒鋼スパナ!!」
スパナ「だが…」
ラケシス「私も戦えますわ…これで!!」
ラケシスはヴァルバラッシャーにマッドウィールのカードを装填した。
(ガキン!)
(MADWHEEL!)
(ゴキン!)
ラケシス「鉄鋼…」
(ヴァルバラッシュ!)
ラケシスはヴァルバラッシャーに口付けをしてトリガーを引くと、全身がマルガム用強化スーツに覆われ、戦士・ヴァルバラドに変身を遂げた。
(TUNE UP! MADWHEEL!)
綾香「仮面ライダーの紛い物で私と戦うつもりかしら?」
ラケシス「あら?舐めてると痛い目に遭いますわよ」
アレクト「あぁ…お前をぶっ倒してそのドライバーを返してもらう!!」
綾香「ふっ…人形に作られた人形如きが!!」
ラケシス「アレクト…貴方はいいのですの?アポロを行かせても…」
アレクト「アポロが奴の娘だろうが関係ない…あいつは私達の大事な仲間…いや…家族だ!!」
綾香「ふざけないで…アポロじゃない…ヤヨイよ!!」
ラケシス「さっきまで自分の娘の事を人形扱いしていたのはどこの誰でしたっけ?」
綾香「そう…そこまで私に壊されたいわけね?いいわ。2人まとめて始末してあげるわ!!」
アレクト「行くぞぉぉぉ」
ラケシス「おおおおおっ!!」
-錬金アカデミー-
錬金アカデミーに運ばれたりんねはすぐに意識を取り戻すと、宝太郎が顔を覗き込んでいた。
りんね「ううん…一ノ瀬?」
宝太郎「九堂!?良かったぁ…目を覚ましたんだ!!」
りんね「あれ…葉月さんとアポロは?」
ミナト「呉島さんなら病院に運ばれた…念の為、銀杏とアポロも一緒に居る…」
りんね「私のせいだ…私のせいで!!」
宝太郎「九堂のせいじゃないよ…本当に悪いのは…」
ふと宝太郎が名前を呟こうとした瞬間、近くで座っていた風雅が立ち上がって頭を下げた。
風雅「私が悪いんだ…全ては私が…」
ミナト「風雅さん…」
りんね「教えてお父さん…綾香さんが本当に私のお母さんなの!?」
風雅「あぁ…今まで言えずにすまなかった…」
アイザック「そういえば母親のことは一度も話題にも上がらなかったな…父親に聞いたりしなかったのか?」
りんね「小さい頃に一度だけ尋ねた事があるんだけど、その時はうまく誤魔化されちゃって…」
-幼少期のりんね-
りんね「ねぇ…お父さん…どうしてうちにはお母さんが居ないの?」
風雅「お母さんは…その…今は会えない…だが時が来ればいつかは…」
りんね「どうすればお母さんに会えるの?」
風雅「そうだなぁ…りんねが立派な錬金術師になれば、きっとお母さんも帰って来ると思うぞ」
りんね「わかった!!お母さんに会えるようにもっともっと勉強する!!」
風雅「あぁ…」
アイザック「そしてケミーを全て回収してグリオンを倒したこのタイミングで姿を現したという事か…」
風雅「あぁ…綾香はケミーを全て解放する直前まで共に居たが、弥生の件から私達は絶縁状態になってしまっていた」
宝太郎「なんでそんな事に…」
風雅「その原因がりんね…お前の姉である弥生がグリオンに殺されてしまい、禁術を使用して弥生を甦らせようとした事だ…」
ミナト「禁術…人体錬成か…禁忌の錬金術だな…」
風雅「彼女は弥生を甦らせるために全てのケミーと自身の命を犠牲にしようとしていたが、錬金術は失敗…そして当時、連合に所属していた彼女は登録からも抹消されてしまい、彼女は私の元から去ってしまった…」
宝太郎「グリオンは九堂のお姉さんまで…!!」
風雅「そして彼女は密かに弥生を復活させようと動いていたようで、その最中にりんねを出産したようだ…まるで弥生が綾香の行動を止めるようにな…」
りんね「お父さん…もう一つ聞かせて…葉月さんの事…」
風雅「葉月…」
りんね「葉月さんは本当に私のお姉さんなの?私には2人の姉が居るの?」
風雅「あぁ…事実だ…」
宝太郎「けど、葉月さんはその事を全く知らない様子だったけど…」
風雅「つい先ほど綾香が話したと思うが、葉月は昔の記憶を改竄されてしまったのだ…弥生が死んだ時の事を忘れさせ、偽の記憶を植え付けられた…」
りんね「どうして記憶の改竄を…」
風雅「理由は2つ…1つ目は当時の事を思い出せば、葉月は自身を強く責めてしまい、心に深い傷を負ってしまうからだ…」
りんね「葉月さんが…」
風雅「もう1つの理由が、グリオンから遠ざけるためだ…」
宝太郎「グリオン!?」
風雅「当時、グリオンは私の発明を狙って襲撃を掛けた…その最中に葉月を真っ先に狙い弥生がそれを庇った…グリオンはまた葉月を狙って来る可能性があった…」
宝太郎「けど…葉月さんは九堂のお姉さんですよね?錬金術師として特訓すればグリオンに対抗出来るぐらいには…」
風雅「いいや…葉月を敢えてグリオンから遠ざけたのは、彼女ではグリオンに対抗出来ないからだ…」
りんね「どういう事?」
風雅「なぜなら…葉月は三姉妹の中でも錬金術師としての才能が皆無だからだ…」
宝太郎「なっ…」
風雅「当然、幼き頃に錬金術を教えたことはあったが、葉月は一切の錬金術を使う事が出来なかったのだ…」
ミナト「しかし…彼女は今は錬金術師の仮面ライダーになっています…九堂と同じドライバーを使用し、上級錬金術師でしか扱えない筈のコズミックケミーとファンタスティックケミーを使用して仮面ライダーに…」
風雅「それについては私も驚かされた…再会した時、すぐに錬金術師としての新たな可能性がある事に気づいた…理由はわからないが、何か大きな出来事があって錬金術師の力に目覚めたのだろう…」
りんね「だから葉月さんに指輪を託したの?」
風雅「あぁ…正直、彼女がなぜ錬金術師の仮面ライダーに変身出来るのかはわからないがな…」
りんね「そっか…」
風雅「すまないりんね…ずっと家族の事を話せなくて…」
りんね「う、うん…」
宝太郎「よかったな九堂!!葉月さんがお姉さんで!!」
りんね「やめて…一ノ瀬!!私は…」
宝太郎「九堂…?」
風雅「無理もないか…葉月を姉として受け入れろと言われても、まだ気持ちの整理が出来ていないだろう…」
りんね「うん…」
りんねは立ち上がるとアカデミーの入り口に歩き出し、ミナトが慌てて声を掛けた。
ミナト「どこへ行く九堂!?」
りんね「少し考え事を…すぐに戻ります」
りんねはそのままアカデミーから退出してしまい、その様子を見た風雅は顔を手で覆って俯いてしまった。
風雅「綾香…なぜ…君はあんな事を…」
アイザック「そういえば呉島葉月…彼女はなぜマジェードへと変身出来たんだ?」
ミナト「それも俺も気になっていた…なぜ九堂と同じ仮面ライダーに…」
宝太郎「それなら1つ心当たりがあります…」
錆丸「…どういう事?」
宝太郎「今、葉月さんと未来の九堂が一緒に居るんです!!」
ミナト「未来…?それはもしかして以前未来に行き、冥黒王を倒した時の…?」
宝太郎「あの時、未来の俺と一緒に居た九堂だと思います…」
アイザック「だが未来の九堂は死んでいるんだろ?一体どうやって…」
宝太郎「未来で何かがあったのかもしれない!!未来の九堂がこっちの世界に来るぐらいだから!!」
ミナト「一ノ瀬…未来の事が気になるのはわかるが…今は…」
宝太郎「わかってます…まずは…俺達の九堂と葉月さんの問題ですね!!」
風雅「みんな…本当にすまなかった…」
一方で暗い表情のまま、りんねは波止場の方で1人ベンチに座っていた。
りんね「葉月さんが私の姉さん…」
葉月とのこれまでのやりとりを思い出して、りんねは憧れの仮面ライダーの先輩として接していたので、すぐに自身の姉という現実を受け入れる事が出来なかった。
りんね「私は…どうしたら…」
狩谷「くう〜!!」
りんねが1人悩む中、その背後にはサングラスを掛けたチャラ男が様子を様子を伺っており、直後にチャラ男はサブマリンマルガムに変身した。
狩谷「くう〜!三度遭遇〜サイッコーの標的、ロック、オーン♪」
綾香「ガエリアが言っていた通りね…身体に残っていたケミーの因子を使えば、人間を再びマルガムにする事が出来ると…」
サブマリンマルガムの隣には白い錬金術師のローブに身を包んだ綾香が怪しげな笑みを浮かべており、様子をじっと見つめていた。
狩谷「感謝するぜぇ…俺を脱獄させてくれて…けど…俺は君のような大人な女性も好みなんだよねぇ〜くう〜!!」
サブマリンマルガムは綾香にも興味を示しており、綾香の脇を掴み自身の元にぐいと寄せた。
綾香「真面目にやりなさい…ターゲットに逃げられてしまうわよ」
サブマリンマルガム「くう〜!!」
サブマリンマルガムは地面に潜るとりんねにゆっくりと接近して行った。
りんね「葉月さん…私は…」
サブマリンマルガム「くう〜!また会えたねぇ、最高のターゲット!」
りんねが椅子から立ち上がりアカデミーへと戻ろうと歩き出そうとしたその時、地面に潜っていたサブマリンマルガムが姿を現し、りんねは驚きの表情で振り返った。
りんね「貴方はあの時のマルガム!?また刑務所に送られた筈!?」
サブマリンマルガム「怖がらなくていいよぉ?俺と一緒にダイブしようぜぇ♪」
りんね「本当にしつこい!!それに私が怖がる?舐めないで!!」
りんねは指輪をはめ直してドライバーを出現させようとしたが出現せず、慌てて指輪に視線を向けた。
りんね「しまった…消耗して変身出来ない…」
今のりんねはトワイライトマジェードと通常のマジェードに連続で変身したことでかなり消耗しており、変身する力が残っていなかった。
りんね「ぐっ…ううっ!!」
サブマリンマルガム「くう〜!!さぁ…一緒にダーイブしようぜぇぇ…」
綾香「ふっ!!」
りんね「お母さん!?何を…する…の…うぅ…」
りんねは綾香の指輪の力で意識を失い、そのまま地面に沈んでしまった。そして沈んだ先に待ち構えていたサブマリンマルガムは、意識を失ったりんねを抱き抱えた。
サブマリンマルガム「くう〜!!ようやく…俺の元へ来てくれたぜ!!」
ついにりんねを手に入れたサブマリンマルガムは満足そうに意識を失ったりんねに向かって怪しげな笑みを浮かべた。