葉月Side
葉月「むーーっ!!むーっ!!」
私は目を覚ますと口をガムテープで貼り付けられて、さらに体を縄で縛られているようで上手く体を動かすことが出来なかった。
葉月(目の前が真っ暗…私はどこに連れて来られたの!?)
目の前が何かの扉のようで必死に体を動かそうとするが上手くいかなかった。
葉月「むーっ!!むーっ!!」
葉月(誰か…気づいて…)
皐月Side
私は葉月と一緒に学校から出ると、岬さんの居る車に乗り込んだ。
岬「どうだった?って…貴方…呉島さん!?」
葉月?「お久しぶりです…岬さん。実は皐月と一緒に消えた呪いの鏡の調査を頼まれちゃって…学校で泊まり込んでました…」
岬「皐月さん…貴方まさか…幽霊が怖いからって葉月さんに押し付けたんじゃないでしょうね?」
皐月「そ、そんなことはないですよ。ね、葉月?」
葉月?「えぇ…昨日は皐月と一緒に過ごしてましたよ〜!!」
岬「…ならいいけど。」
皐月「それより合唱部員達の足取りは掴めました?」
岬「いいえ…卒業後の足取りは全員途絶えてたわ…」
皐月「こっちは特に異常はなかったです。ね、葉月?」
葉月?「えぇ…問題なしでした。」
岬「そう…それじゃ天道君と合流するわよ」
皐月「はいっ!!」
葉月?「はい…ふふふ…」
葉月?(オリジナルはあそこに閉じ込めた…万が一脱出出来たとしても私には本物だって証拠がある…この指輪があれば!!)
擬態葉月の指には葉月から奪い取った指輪と手首にはカードホルダーがあり、太陽の光に照らされてオレンジ色に光を放った。
天道さんと合流した私達は呪いの鏡の前へと移動すると鏡へと視線を向けた。
天道「合唱部にも部室があった筈だが…そのスペースも校内から消えている。まさに消えた合唱部だな…」
岬「どういうこと?」
(通りゃんせ通りゃんせ)
岬さんが訪ねた直後にどこからか不気味な「通りゃんせ」の歌声が聞こえてきて、私は思わず辺りを見渡した。
皐月「何…この不気味な歌声!?」
天道「わらべ歌の裏に歴史が隠れているように噂の中に真実が潜んでいる事もあるという事だ…」
皐月「?」
ふと岬さんへと視線を送ると自分と鏡を見比べているのが目に入り不審に思った私は岬さんの隣に視線を向けると、そこにはもう1人の岬さんが立っており、ワームへと姿を変えた。
皐月「いつの間に!?」
天道さんがすぐにワームを押し返して岬さんを後ろに下がらせると、突如ワームは鏡に映った天道さんへと飛びかかった。
皐月「何してるの!?」
ワームは鏡に映った天道さんへと本物と間違えたのか、誤って飛びかかってしまったようで、当然鏡が割れてそのまま鏡の後ろにあった扉らしき物と一緒に倒れ込んでしまった。
天道「どこを狙っている?」
(通りゃんせ通りゃんせ)
皐月「隠し部屋!?」
岬「これは…合唱部の部室!!」
現れたのは校内から消えた合唱部の部室であり、中には行方不明の合唱部員が勢揃いして「通りゃんせ」を合唱していた。
皐月「ひぃ…この人達ってまさか…消えた合唱部員!?」
岬さんが持っていた当時の合唱部員の写真と見比べて見ると部室も合唱部員も写真のままで驚きを隠せなかった。
岬「7年前のまま…」
天道「それが全ての発端だったんだな…理事長!!」
皐月「なっ…いつの間に!?」
側で隠れていた理事長が引きずり出されて、私と岬さんは驚きの表情を浮かべた。
天道「7年前、この合唱部全員がワームに擬態され、全国大会で優勝した。学園の名声は高まったがお前は真相を知って恐ろしくなり合唱部を封印した。」
皐月「つまり…目の前の合唱部員全員がワーム…」
天道「しかし、過去の栄光が忘れられなかった…」
理事長「私は!!学園の名誉を取り戻そうとしただけだ!!」
天道「お前はワームと手を組み、生徒をワームに売った…」
岬「それで呪いの鏡の噂を広めたのね…」
理事長「生徒自身が望んだ夢だ!!叶えてやって何が悪い?」
天道「おばあちゃんが言っていた。子供の願い事は未来の現実…それを夢と笑う大人は、もはや人間ではない!!お前は教育者の風上にも置けないやつだ。」
岬さんが銃を向けると理事長は少し怯んだ様子を見せるがすぐに、天道さんへと視線を戻した。
理事長「既に…次の生徒…天道樹花の願いもワームに伝えてある!!」
天道「何!?」
その言葉が合図かのように部室内の合唱部員全員が一斉にワームへと変貌し、真ん中には親玉の紫色の成虫ワームが姿を現した。
皐月「やっぱり…全員がワーム…じゃあワームが通りゃんせを歌ってたの?」
岬さんがワームの集団に銃を連射すると煙に紛れてワーム達は姿を消してしまった。
皐月「消えた…」
天道「後は頼む!!」
岬「はい!!貴方を逮捕します!!」
天道さんは玄関に向かって走り出して岬さんが理事長に銃を向けた。
皐月「私が応援を呼んできます!!行くよ…葉月!!」
葉月?「……うん…」
私は理事長を手錠で拘束して待機室に座らせると、天道さんの後を追って。私は葉月を連れて玄関へと向かった。
岬「ずっとここに潜んでいたの?」
岬は部室内へと入ると、床にいくつも足跡がついているのを見つけた。
岬「なるほど…ワームは擬態をしてから何度もこの部室内を出入りしてたのね…」
その時、部室の奥で物音がして、岬はまだワームが潜んでいると警戒して銃を構えて物音のする方へとゆっくりと近づいた。
岬「誰!?出てきなさい!!」
物音は右端のロッカーから音がするようで、恐る恐るロッカーのドアを開けた。
葉月「むーっ!!むーっ!!」
岬「なっ…貴方…!?」
葉月Side
私は体を縛られたまま必死に目の前の扉に向かって体当たりをしようと力を込めるが近くでまた不気味な「通りゃんせ」が聞こえてきて思わず動きを止めた。
葉月(声が近い!?寝床にしようとしてた教室から近い!?)
しばらく歌声が響くが突如、何かが割れる音と大きな物が倒れる音が響いて私は叫びたくなる気持ちを抑えながら物音に耳を傾けた。
岬「これは…合唱部の部室!!」
葉月(なっ…ここって校内から消えた合唱部の部室なの!?)
天道「7年前、この合唱部全員がワームに擬態され、全国大会で優勝した。学園の名声は高まったがお前は真相を知って恐ろしくなり合唱部を封印した。」
葉月(この声は…天道さんに岬さん?)
天道「しかし、過去の栄光が忘れられなかった…」
理事長「私は!!学園の名誉を取り戻そうとしただけだ!!」
天道「お前はワームと手を組み、生徒をワームに売った…」
岬「それで呪いの鏡の噂を広めたのね…」
葉月(じゃあ…昨夜見た、女子生徒達は全員…合唱部員に擬態したワーム…)
(通りゃんせ通りゃんせ)
頭の中にあの不気味な「通りゃんせ」の歌声が聞こえてきて、私は思わず体を震え上がらせた。
葉月(じゃあ、あの歌声は幽霊じゃなくてワームが部室内から歌ってたんだ…それはそれで怖すぎるよ…)
再び耳を傾けていると、激しい銃撃音が響いて数人の人物が部室から慌ただしく出ていく足音が聞こえて私は必死に誰かに気づいてもらうために、必死に扉に向かって体を叩きつけた。
葉月(誰か…気づいて…)
岬「誰!?出てきなさい!!」
岬さんの声が聞こえてきたので私は必死に塞がれた口を必死に動して声を出した。
葉月「むーっ!!むーっ!!」
私の声に気づいたであろう岬さんがドアを勢い良く開けて、私は部室の床にミノムシ状態で倒れこんだ。
岬「なっ…貴方…!?」
葉月「むーっ!!むーっ!!」
岬さんが私の口のガムテープを外してくれて私は床に倒れたまま岬さんへつ顔を向けた。
葉月「た、助かりました…」
岬「貴方…呉島さん…?いえ、さっき皐月さんが連れて行った筈…」
葉月「皐月が私を?まさか…ワームが私に擬態を…!?皐月が危ない!!」
岬「待ちなさい!!」
葉月「ぐえっ…」
縛られたままの私の背中の縄を掴み、シャクトリムシのように地面を這って移動する私の行く先を止めた岬さんは私の方へと銃を向けた。
岬「本当に貴方が本物の呉島さん?」
葉月「そうですよ!!早く…この縄を解いて…」
岬「それは…もう1人の貴方を見て判断させて貰います」
葉月「えっ!?」
岬「貴方がもしかしたらワームの可能性もあるから、実際にはもう1人の貴方を見て判断させて貰うわ。」
葉月「そ、そんなぁ…」
岬さんは私の縄の足だけを外してくれて、そのまま手だけを縛られたまま学校の外へと連れだされてしまった。
岬「変な動きは見せないでよね」
葉月「わ、わかりましたよ…はぁ…」
岬「それにしても貴方…ライダーに変身出来るのになんでこんな縛られてるの?」
葉月「変身しようとしましたが、後ろなら殴られて気絶しました。気づいたらこんな風に…」
ふと自身の体を見つめると手首のカードホルダーと錬金術師の指輪など全てが無くなっており、全てワームに奪われてしまったとわかった。
葉月(まずい…指輪が無いと本物だって証明出来ない。カードも奪われたし、りんねさんとのリンクも切れてる…どうしよう…)
岬「皐月さんに連絡するなら待ってなさい」
岬さんは携帯で皐月に何かの電話を始めて私の方をチラチラ見ながら険しい表情を浮かべた。
岬「皐月さんの元へ連れて行くわ。貴方がワームだった場合、皐月さんが貴方を倒す事になるわ…」
葉月「わかりました…」
私は溜息を吐きながら座席を座ると、車は勢い良く走り出した。
皐月「岬さん!!」
岬「連れてきたわ…」
しばらく車を走らせてから山道へと入ると、休憩所の駐車場で皐月が待っており、その隣にはもう1人の私が立っていた。
皐月「縛られてます!?」
葉月「ワームの仕業です!!ちょっとあの…こっちに来てお話しましょうよ!!」
葉月?「…はぁ…」
私は皐月の後ろから顔を出すもう1人の私に向かって手招きすると、私の前へとやって来た。
岬「完全に同じ姿…」
葉月「貴方は誰なんですか?」
葉月?「私は呉島葉月…貴方はワームですよね?私に擬態するなんて…」
葉月「ち、違います…私は擬態なんか…」
皐月「一応聞くけど…その指輪は変身するための道具?」
葉月?「そうです…この指輪で私は仮面ライダーに変身するんです…」
皐月「そっか…」
葉月?「貴方はこの指輪を持っていない…つまり変身出来ないからワームですね!!」
葉月「…っ!!」
岬「確かに…なんの抵抗も出来ずに変身ツールを奪われるほど油断するような人ではないと思うわ」
葉月(まずい…私がワームだと疑われてる!!)
葉月?「ホラ、私が本物だって証明になりましたよね!!そんなワームなんてさっさと殺しちゃえばいいんですよ!!」
葉月「ち、違います!!私は本物の…」
葉月?「黙れワーム!!なら…これを見ても同じ事を言えるの!?」
葉月「なっ…そ…そんな…」
もう1人の私は指輪をはめ直すと、指輪が光りを放ち、ワインレッドの錬金術師の制服を身に纏ってしまった。
皐月「凄い…服が変わった!?」
岬「魔法!?」
葉月?「これが私の錬金術師の証…私が仲間のケミーと一緒に世界を救うんです!!」
葉月「そんな…」
葉月?「私が貴方を始末してあげますよ!!ダァッ!!」
葉月「げふっ…がはっ…」
私はもう1人の私に殴られるとそのまま地面を転がり、容赦無く私の腹部を踏みつけ始めた。
葉月「がっ…かはっ…うう…」
葉月?「残念でしたね…どうやら皐月達は私が本物と確信したそうですよ?」
私にだけに聞こえるぐらいに小さな声で私に話し掛けるが、私は必死に手元の縄を外そうと力を込めた。
葉月?「どんな気分かしら?指輪もカードもそしてこの制服までも奪われるんですもの…さぞ悔しいでしょうね?」
葉月「ぐっ…私の…指輪…ケミーを返して!!」
葉月?「無駄よ…ケミー達に貴方の声は届かないし助けられない!!見なさい!!」
葉月「なっ…カードホルダーにテープが貼り付けられてる!!」
カードホルダーの開閉口にテープが貼り付けられており、ケミー達が出られないように細工がされていた。
葉月?「これでケミーの助けも期待できないわ!!」
葉月「みんな…」
葉月?「ほらほら…そろそろ諦めたらどうなの!?おらっ!!」
葉月「ぐっ…痛っ…ううう…」
もう1人の私のブーツが私の腹部をぐりぐりと踏みつけて私は痛みに必死に耐えた。
皐月「…………」
葉月?「そうそう…貴方が死んだ後は私が元の時代に戻って、湊先輩やシロちゃんを殺しに行くわ!!」
葉月「なっ…」
葉月?「おっと…その前にりんねを殺さないとね…姉に攻撃されたらどんな顔をするでしょうねぇ…」
葉月「りんね…」
-ワームの妄想-
葉月?「デヤアッ!!」
りんね「うっ…姉さん…どうし…て…」
葉月?「りんね…私はね…前から貴方が目障りだったのよ…」
りんね「そ…んな…ごめ…ん…お父さ…ん…一ノ…瀬…」
りんねはワームにより殺害されてしまい倒れたりんねの遺体を見るなり笑みを浮かべた。
りんね?「さて…お次は…」
ワームは今度はりんねへと擬態してしまい、宝太郎の元へと歩き出した。
宝太郎「がはっ…九堂…どうして…」
ホッパー1「ホッパァァァ!!」
アイザック「りんねが…宝太郎を…」
錆丸「宝太郎…しっかり…」
風雅「りんね!!お前は…自分が何をしたのかわかっているのか!?」
綾香「りんね…どうしてこんな事を…」
スパナ「笑えない…ジョークだ…」
りんね?「私は自分のルールに従っただけ…一ノ瀬は私にとって邪魔な存在だったんですよ!!」
ミナト「バカな…」
蓮華「りんねぇぇぇ!!」
宝太郎がりんねの手により殺害された事に全員が悲しみに暮れるが蓮華は激昂してりんねへと掴み掛かった。
蓮華「なんで…なんでお宝ちゃんを殺したんや!!どうして…どうして…かはっ…」
りんね?「ふふふ…あはははははは!!」
アイザック「蓮華…蓮華ぇぇぇぇ!!」
-現在-
葉月?「私がみんなに成り代わって大切な人を次々に消す!!そして地球をワームの楽園へ変えるの!!」
葉月「なっ…そんな事…させない!!」
葉月?「無駄よ!!まずは貴方を殺して全てを終わらせる!!そのために…」
(アルケミスドライバー)
もう1人の私が私を踏みつけたまま指輪を掲げてドライバーを出現させるとカードをホルダーを開けようとしたがテープが貼り付けられているのを思い出したのかテープを剥がし始めた。
葉月?「もうテープで留めておく必要もないわね…これで!!」
葉月「させるかぁぁぁっ!!」
私は渾身の力で縄を引きちぎるとケミーカードを取り出したもう1人の私にタックルを浴びせると、ケミーカードを取り落としてしまった。
葉月?「なっ…」
葉月「おりゃあああああっ!!」
私はもう1人の私の指輪を外そうと手首を掴むがもう1人の私も必至に抵抗してきた。
葉月?「ぐっ…離しなさい!!それは私の!!」
葉月「いいえ…貴方のじゃない…私のです!!」
指輪は引っ張り合いにより、指からスルリと抜けて吹き飛び、皐月の足元へと転がった。
葉月?「あぁ…私の制服が…」
アルケミスドライバーが腰から消滅してさらにワインレッドの錬金術師の制服が光の粒となって消えてしまいもう1人の私は足元のケミーカードへと視線を向けた。
葉月?「まずい…カードが…」
葉月「キンキラヴィーナ!!ギングリフォン!!」
私は地面に散らばったキンキラヴィーナとギングリフォンへと呼びかけると、カードから飛び出してきた。
キンキラヴィーナ「ヴィーナ?」
ギングリフォン「グーリフォン?」
皐月「わっ…変な生き物!?」
岬「何よこれ…」
キンキラヴィーナとギングリフォンは私ともう1人の私がいる事に気づくと驚きの声を上げた。
葉月?「キンキラヴィーナ!!ギングリフォン!!さぁ…おいで!!」
葉月「なっ…」
キンキラヴィーナ「……」
ギングリフォン「………」
もう1人の私がキンキラヴィーナとギングリフォンへと呼びかけており、私も負けじと2人に向かって呼びかけた。
葉月「キンキラヴィーナ…ギングリフォン…」
キンキラヴィーナ「ヴィーナ…」
ギングリフォン「グーリフォン…」
皐月「これは葉月のパートナーって事ですね」
岬「どちらが本物か、この奇妙な生き物によって決まるってわけね…」
葉月?「さぁ…いらっしゃーい!!」
葉月「お願い…」
私達はキンキラヴィーナとギングリフォンに呼びかけると、2人がついに動き出して迷いのない動きで走り出した。
皐月「あっ…」
岬「これで決まったわね…」
葉月?「ふふふ…アッーハッハッハッ!!」
葉月「そ…そん…な……」
キンキラヴィーナとギングリフォンが向かった先は、まさかのもう1人の私の方へと走り出しておりその胸に向かって飛び込もうと大きく跳躍した。
葉月?「私の勝ちだぁぁぁ!!アッーハッハッハッ!!」