葉月?「私の勝ちだぁぁぁ!!アッーハッハッハッ!!」
葉月「そ…そんな…」
私ではなくワームを選んで駆け寄ったキンキラヴィーナとギングリフォンの姿に、私は思わず涙が溢れてしまい、地面に膝を付いてうなだれた。
岬「やはり…あの子がワームね!!皐月さん、彼女を…」
皐月「………」
岬「皐月さん?」
皐月「ううん…まだ決まったわけじゃ無いですよ…ほら!!」
葉月?「さぁ…私の胸に飛び込んで…がはっ…」
キンキラヴィーナ「ヴィーナ!!」
ギングリフォン「グーリフォン!!」
葉月「えっ…」
キンキラヴィーナとギングリフォンはもう1人の私の胸に飛び込むどころか、体当たりを仕掛けており、もう1人の私は腹部に体当たりを受けて体がくの字に曲がった。
葉月?「ぐはっ…おうぇ…」
皐月「あの2人は本当のパートナーがどっちかをすぐに見抜いていたんだね…」
岬「まさか…貴方…」
皐月「うん。私も既に見抜いてた…指輪を渡す前にあの子達と葉月の信頼関係を見てみたかったからね」
岬「信頼…」
キンキラヴィーナ「ヴィーナ!!」
ギングリフォン「グーリフォン!!」
葉月「2人とも!!…あぁ…良かった!!」
私の胸にキンキラヴィーナとギングリフォンが飛び込んで来たので、私は2人をしっかり受け止めて強く抱きしめた。
葉月「ありがとう…大好きだよ。2人とも!!」
葉月?「キンキラヴィーナ…ギングリフォン!!私が本物よ!!そんな偽物に騙されないで!!」
岬「貴方がワームね?これではっきりしたわ!!」
皐月「油断して葉月の丁寧口調が抜けてたでしょ…あと、葉月はあんな悪役みたいに高笑いしない!!」
葉月?「くっ…」
葉月「さぁ…そのカードホルダーも返してもらいますよ!!」
葉月?「ふっ…残りのケミーは私の物よ!!ほら、こうやってテープで貼り付ければ問題なし!!」
もう1人の私はカードホルダーの開閉口に再びテープを貼り付けるが、カードホルダーが激しく震えており、テープが段々、ビリビリと剥がれ始めた。
葉月?「まっ…まさか…!?うわっ…」
カードホルダーの蓋を固定するテープが千切れて、勢いよくケミー達が飛び出して、もう1人の私に向かって体当たりを仕掛けており、カードホルダーが私の方へと飛んで来た。
葉月「みんな…」
カードがカードホルダーから飛び出して宙に浮かぶと、私の手の中に収まった。
マーキュリン(さぁ…あの偽物さんをぶっ飛ばしちゃおう!!)
りんね(行こうっ!!)
葉月「えぇっ!!」
皐月「葉月っ!!」
皐月が私に向かって叫ぶと何かを投擲し、私はそれを掴み取った。それは錬金術師の指輪であり、私は指輪をはめた。
葉月?「くっ…」
私のスーツはワインレッドの錬金術師の制服へと変わり、タイトスカートは黒のプリーツスカートと黒タイツになり、ワインレッドのマントが風により大きく舞い上がった。
皐月「少し見ない間にかっこいいヒーローになったね…葉月…」
葉月「これで形勢逆転ですね」
私はカードホルダーを手首に押し当てるとバンドが私の手首に巻き付いて装着された。
葉月?「くっ…貴様ぁぁぁっ!!」
葉月「うっ…」
もう1人の私が一気に距離を詰めて首を掴むと、近くの木に押し付けて胸倉を掴み上げた。
葉月?「その指輪と制服は…私の物だぁぁっ!!」
岬「皐月さん!!呉島さんが…」
皐月「まぁ、見てて…葉月はあんな奴には負けないから…」
葉月「ふんぬ!!」
葉月?「なっ…」
私は首を掴んでいるもう1人の自分の手を、渾身の力で引き剥がした。さらに、その手首を捻り上げると、そのまま背負い投げで地面に叩きつけた。
葉月?「がっは…」
葉月「人との繋がりを弄ぶワーム…私は貴方達を絶対に許さない!!」
(アルケミスリンク!)
(GINGRFFON!)
(KINKIRAVINA!)
葉月「変身!!」
(ガガガガッチャーンコ!)
(シャイニングフェザー!)
(ヴィーナスグリフォン!)
仮面ライダーヴィーナス・真へ変身した私を見てワームは顔が引き攣った表情になり、私はその顔に向かって拳を構えた。
葉月「ハアッ!!」
葉月?「ま、まさか…貴方…やめなさい!!自分で自分の顔を殴るつもり?」
葉月「!!」
私はまさかの言葉に思わず動きを止めてしまい、ワームは私が動きを止めた事に一瞬だけ驚いた表情になるが、すぐに笑みを浮かべて私の握り拳を自身の手で優しく包み込んできた。
葉月?「そうそう…貴方の拳は人を殴るためのものじゃない。貴方なら手を出さないと分かっていたわ…」
葉月「……」
葉月?「ねぇ…オリジナル…私の話を聞いてくれる?」
葉月「何ですか?」
葉月?「女神ヴィーナスは美を司る女神…って事は知ってるわよね?伝説によると女神ヴィーナスはアドニスと呼ばれる男性に恋をした。しかしアドニスはヴィーナスの事にまったく興味がなく、女神ヴィーナスは自身の女神の力でアドニスを手に入れようとしたがそれは叶わなかった…」
皐月「何言ってるのあのワーム…」
岬「さぁ…」
葉月?「ある時、女神ヴィーナスはアドニスが不幸な目に遭うと予感を抱き、彼に忠告した。しかし彼はその言葉を信じることが出来ずに死んでしまい、愛する人を失ったヴィーナスは声を上げて泣き叫んだ…」
葉月「何が言いたいんですか?」
葉月?「わからないの?貴方は女神ヴィーナスとは反対に多くの人に好かれている…しかしいずれは女神ヴィーナスのように、その人達は貴方の前から消えていくのよ」
葉月「そんな事…あるわけが…」
葉月?「思い出してみなさい?湊先輩やシドさんに戦極凌馬、高司舞、堀江三津子、葦原涼に木野薫、さらに羽原レイカに妹の弥生…」
葉月「なっ…何が言いたいんですか?」
葉月?「貴方に関わった人は死んでいく…貴方は大切な人を死なせる存在なのよ!!」
葉月「そんなわけない…湊先輩も戻って来てくれましたしシロちゃんやチャッキーさんにリカさん…お父さんにお母さん…そして妹のりんねだって…」
葉月?「みんないずれは死んでしまう可能性だってあるのよ?それは貴方が関わったせいでね!!」
葉月「なっ…」
葉月?「全部貴方が悪い…貴方の前からはいずれ人が離れていく…あぁ…なんて寂しくて悲しい存在なのかしら?」
葉月「あっ…あ…」
ワームはヴィーナス・真の白い装甲を撫で回すように触り始めた。私は思わず抵抗して逃げようとしたが、体を動かす事が出来なかった。
葉月「体が…動かない…何で…!?」
岬「何をやっているの!!糸に巻き付かれてるのに全く抵抗してないなんて…」
皐月「ワームの言葉に呑み込まれたせいで、糸に巻き付かれているのに気づくのが遅れた…?」
岬「助けないと…」
皐月「待ってください…これは自分の力で乗り越えるべきだと思います。」
岬「何を言ってるの!?」
皐月「これは葉月にとって乗り越えるべき試練です…見守りましょう!!」
葉月「くっ…動けない…」
ワームは私の白い装甲に紺色のスーツを撫で回すと、金色の胸のコアに触れた。
ワーム「あぁ…純白のボディ…まさに女神に相応しい姿よ…けれどその美貌に惹かれて多くの人が不幸になるのよ」
葉月「ギ、ギングリフォン…」
ワーム「ノンノン!!ダメよ〜」
私はギングリフォンの風の力でワームを吹き飛ばそうとしたが、背中ではためく銀色のマントをワームが捕まえてしまい、風が収まってしまった。
ワーム「あぁ…美しい白銀の翼…けれど残念ね…ハッ!!」
葉月「なっ…」
ワームは私を優しく木へと押しやると私の背中が蜘蛛の巣のネットに捕まってしまった。
葉月「いつのまに…ネットを…」
ワーム「ふふふ……まるで蜘蛛の巣に捕まった蝶々みたいね。可哀想に…けど安心しなさい…貴方は1人じゃないわ…」
葉月「何を…!?」
ワームは蜘蛛の巣に絡まった私に笑みを浮かべると、私の顎をクイと持ち上げた。
ワーム「私が側にいてあげるわ。だって私は貴方…貴方は私なのだから…他の人が死んでも私が側で貴方を愛してあげるわ。だから…私と一緒に永遠を生きましょう?」
ワームが私に手を差し伸べており、私はその手に向かって自身の手を伸ばした。
ワーム「人間は死んだら終わり…さぁ…一緒に!!」
葉月「違う!!」
私は差し出された手を振り払うと拳でワームの顔面を殴りつけた。
葉月「貴方…本当に私に擬態したんですか?全然私の気持ちがわかってない!!」
ワーム「何ですって!?」
葉月「私に関わった人は死んでいく…?バカを言わないでください!!みんなは何も出来ずに死んだわけじゃない…私はその人達の想いを受け継いだんです!!」
ワーム「何?」
葉月「みんなの想いを受け継いだからこそ今の私がある!!もうこれ以上…私の前では誰も死なせない!!貴虎さんからの教えを私は貫く!!」
ワーム「何よそれ…」
葉月「ノブレスオブリージュ…私は自らが正しいと思う信念のためにこの命を捧げる!!」
私は渾身の力で蜘蛛の巣を引きちぎると目の前のワームに蹴りを繰り出した。
ワーム「ぐっ…」
葉月「たとえどんな困難が待ち受けていたとしても…私がみんなを守る!!もう…誰も死なせない!!」
(アルケミスリンク!)
ワーム「ハッ…甘いわね。私にはクロックアップが…ぐあっ…」
ワームはクロックアップしようとしたが、皐月が放ったモルフォゼクターに何度も何度も攻撃されてクロックアップを中断されてしまった。
皐月「あんた…本来の狙いは私じゃなかったの?自分の目的を忘れてるわよ!!」
ワーム「おのれ…ネイティブゥゥゥ!!」
(ヴィーナスグリフィン・ノヴァ!)
葉月「デヤアアアッ!!」
私の蹴りがワームの体に炸裂する。一度で終わらせず、さらに五連続で蹴りを叩き込んだ。最後に蹴り飛ばすと、ワームは人間体へと戻り、私を睨みつけた。
ワーム「これで終わりだと思うな…お前の戦いは永遠に終わる事は無い!!」
地面に着地を決めた私に向かって地面に落下したワームがこちらを睨みつけるが、直後に爆発して消滅した。
葉月「わかってる…初めからそのつもりだから…」
私は戦闘を終えて皐月に視線を向けると、皐月は私の方を見ながら自身の頭を掻いた。
皐月「強くなったじゃん…私ももっと修行しないとかな?」
葉月「皐月ならすぐに強くなれますよ。」
皐月「ねぇ…未来で私を探してるって話だったよね?私って何か悩んでる感じだった?」
葉月「いいえ…でも、何かを決心したような顔をしてました…何かやらなきゃいけない事があるから邪魔をするなって言われました…」
皐月「…きっと…未来の私なら大丈夫な気がするよ」
葉月「本当に?」
皐月「自分で言うのもあれだけど、私って一度決めたら一直線だからさ…きっと誰かのために動いているんじゃないかな?」
葉月「そう…ですか?」
皐月「きっと…他の人を巻き込みたく無いから冷たく当たっちゃう事もあるかもしれない…それが私だからさ…だから、待っててくれるかな?未来の私が使命を終えて帰ってくるのを… 」
葉月「うん…そうですよね…皐月ならきっと誰かのために動いてくれてますよね…」
皐月「うん…信じたいんだ…未来の自分を…」
その後、私は皐月と岬さんに別れを告げると2026年へと帰還して、すぐ皐月へとメッセージを送った。
葉月「皐月…待ってるから!!どんな問題と対峙してるのかはわからないけど…私は貴方を信じて待ってるから!!」
-とある研究所-
瑛磨「これで本当にいいのか姉さん?」
皐月「集中しなさい瑛磨。これはあの子達の希望なのよ…それにしても、よく手伝う気になったわね?」
瑛磨「姉さんの事情は理解したからな…ん?姉さん…電話だ…」
皐月「…この番号は確か…どうしたの?え、なっ…それ本当なの?」
瑛磨「姉さん?」
皐月「は?クッソ…今すぐそっち行くからそいつ捕まえといて…って逃げた!?許さないっ!!あ、ごめん。とりあえず一旦そっちに行くから。」
瑛磨「どうした姉さん?」
皐月「ごめん。先に作業進めててくれる?ちょっとどうしても外せない用事が出来たから…」
皐月は研究室の扉を開けて外へと飛び出すが、謎の男性達が皐月を取り囲んだ。
皐月「何よ?」
男性「逃走する気か?」
皐月「ちょっと緊急の用事が出来ただけよ!!」
男性「お前をここから出すわけには行かない!!それが上からの命令だ!!」
皐月「必ず戻って来るからそこをどいて!!」
男性「お前の言う事など認められるか!!大人しく…」
皐月「邪魔っ!!」
皐月はレーザーレイズライザーを男性達の足元に銃撃を放つと、男性達は思わず後ろに下がった。
皐月「私の邪魔をしないでくれるかしら?」
皐月はそのまま男性を振り切って走り出した。男性達はそれ以上は追おうとはせずに諦めて、研究室の扉の近くの配置に戻ってしまった。
男性「行かせてよかったのか?」
男性2「上からの命令だ…奴は必ず戻るから泳がせろと…」
男性「戻って来る保証はないだろう?」
男性2「戻って来るさ…あれが我々の手の中にある限りはな…」
男性「あぁ…なるほどな…あれか!!ハッハッハッハッハッ!!」