仮面ライダー鎧武 呉島貴虎の秘書   作:雨風歌

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48話 最期のお別れ

 

葉月「はぁ…はぁ…先輩…湊先輩!!」

 

意識を取り戻した私は湊先輩を探して辺りを彷徨っていたが途中にインベスを見かけて私はゲネシスドライバーを取り出して腰に当てた。

 

葉月「…っ!!やっぱり駄目…私…もう変身出来ない…」

 

ゲネシスドライバーは完全に破壊されており腰に何度当ててもベルト帯が現れる事は無かった。

 

葉月「ロックシードがこんな状態じゃ意味は無いか…」

 

ポケットに入れていたマロンエナジーロックシードの破片を取り出して私はため息を吐いた。

 

葉月(とりあえず今は…湊先輩を探さないと…まだ…間に合う筈!!)

 

ふとビルが立ち並ぶ付近を走り回って探していると地面に人が倒れているのを見つけて私はもしやと思い駆け寄った。

 

葉月「先輩?…湊先輩!!」

 

倒れていたのは先ほど戦ったばかりの湊先輩であり地面に仰向けに倒れたまま目を閉じていた。

 

葉月「湊先輩!!しっかりしてください!!」

 

湊「…葉…月…?」

 

私は湊先輩を頭を支えて体の上半身を持ち上げると湊先輩はゆっくりと目を開けた。

 

湊「あぁ…葉…月…最期に貴方にまた会える…なんて…」

 

葉月「最期って…何言ってるんですか!?駆紋さんの行く末を見届けるって…」

 

私は湊先輩の頭に手を入れて支えていたが血が付着しているのに気づいてふと側のビルの上を見上げた。

 

葉月「血…まさか…ビルから落ちたんですか!?」

 

湊「えぇ…して…やられたわ…」

 

葉月「そんな…嫌…そうだ!!まだ…今から先輩を病院に運べば…まだ…」

 

湊「葉月…もう…手遅れよ…」

 

葉月「嫌…まさか…そんな…」

 

湊「私は…もう…死ぬわ…」

 

葉月「嫌…嫌…そんなの…嫌…嫌だ!!」

 

湊「葉月…」

 

葉月「嫌…嫌ぁ!!先輩死なないで!!私を置いていかないで!!」

 

私はたまらず涙が溢れてしまい先輩を抱きしめて顔を埋めて泣きじゃくった。

 

湊「ほんと…貴方は…本当に…泣き虫ね…」

 

葉月「先輩…先輩!!」

 

私は涙が止まらず先輩に泣きついていたが私の胸に何かを押し付けられて私はふと先輩を見た。

 

葉月「…先輩…これ…」

 

湊「受け…とって…私の分まで…貴方は精一杯生きるのよ…」

 

先輩が私に押し付けて来たのはゲネシスドライバーでありドライバーにはピーチエナジーロックシードが装着されていたが私はそれを素直に受け取る事が出来なかった。

 

葉月「無理ですよ…私はもう…戦えない…」

 

湊「貴方はきっと…いつか…またそのドライバーを巻く時が来るわ…その時にこそ貴方は…大切な人を…守ってあげるのよ…」

 

葉月「先輩…」

 

湊「戒斗が世界を破壊したら…それも出来なくなるかも…だけど…もし葛葉紘汰が勝者になったら…貴方は精一杯生きるのよ…」

 

葉月「…そんなの無責任過ぎます!!私には…」

 

湊「そぅねぇ…無茶苦茶な事言ってるわよね…私…」

 

葉月「そう言う所も先輩らしい…のかもですね…」

 

湊「……」

 

だんだんと先輩の開いている目が薄くなっており今にも息絶えてしまいそうで私は先輩をぎゅっと抱きしめると先輩の手が伸びて来たので私は先輩の手を掴んで握った。

 

戒斗「水瀬葉月…」

 

葉月「……駆紋さん…」

 

そこへ駆紋さんが現れて私と倒れている湊先輩までやって来て、倒れた湊先輩の方を見つめた。

 

湊「葉月…戒斗と2人きりに…させてくれるかしら…?」

 

葉月「先輩…」

 

湊「貴方に私の死に顔を見せたく無い…最期は戒斗と一緒に…」

 

葉月「湊…先輩…」

 

湊「葉月…お別れね…貴方に会えて…私は幸せだったわ…」

 

葉月「ぐっ…うぅぅぅ…先輩…わたしも…です…」

 

私は泣きじゃくりながら先輩の握る手をゆっくりと離すと先輩をゆっくりと横にして駆紋さんへと向き直った。

 

葉月「駆紋さん…湊先輩と…最期に…話してあげてください…」

 

戒斗「……」

 

葉月「先輩を…お願いします…駆紋さん」

 

戒斗「あぁ…」

 

私は湊先輩を駆紋さんに託すと涙をふいて立ち上がった。先輩から託されたゲネシスドライバーを手に持つと最後に湊先輩の方をみて最後の言葉をかけた。

 

葉月「湊…湊耀子先輩…」

 

湊「水瀬…葉月…」

 

葉月「さようなら…先輩…」

 

私は最後の言葉を掛けるとその場を駆け出した。ゲネシスドライバーを持つ手に力が入り私は再び涙が溢れて涙を流しながら後ろを振り返らずに走り去った。

 

葉月「うぅぅぅ…!!うあああああ!!」

 

先輩に別れを告げて私は逃げるようにその場を立ち去ってしまう。私は走りながらも先輩との思い出がふつふつと頭に蘇り再び涙が溢れてしまいその場で座り込むと泣き崩れてしまう。

 

葉月(そうだ…もう…先輩とはお別れなんだ…)

 

ふと顔を上げると目の前には葛葉さんがこちらに向かって歩いて来ていた。後ろには大量のインベスを従えており真剣な表情であった。

 

葉月「葛葉さん…」

 

紘汰「葉月…後は俺に任せろ…」

 

葉月「私はこんな形で貴方を戦いに送りたくは無かった…本当は私達が立ち向かわないといけない筈なのに…貴方は戦わないでただ…笑顔でいて欲しかった…」

 

紘汰「ごめん…俺…変身したいんだ…普段とは違う自分になりたいってずっと言い続けて来た。でも戒斗と戦う事で今までの自分には無い新しい自分になれるかもしれないんだ…そして…」

 

葉月「葛葉さん…」

 

紘汰「戒斗を倒して証明したいんだ…ただの力だけじゃ無い…本当の強さってやつを!!」

 

葉月「どうか…負けないで葛葉さん…貴方の思いはきっと… 駆紋さんに伝わる筈だから…」

 

私はそう葛葉さんに伝えると葛葉さんはインベスを従えて決戦の地へと歩いて行き私はそのまま歩いていく葛葉さんの背中が見えなくなるまで見送った。

 

葉月「葛葉さん…貴方ならきっと…」

 

 

-病院-

 

私は葛葉さんを見送った後、貴虎さんの入院している病院へとやって来ていた。やはり長い距離を漂流したせいで脳へのダメージが大きいようでなかなか目覚める気配が無いようだった。

 

葉月「貴虎さん…どうして起きてくれないんですか…私はもう…1人なんですよ…」

 

私は今だに目覚めない貴虎さんに向かって呼びかけ続けた。私に出来ることと言えばもはや目覚めるのを待つだけだった。

 

ふと病院の窓の外を見ると植物が飛んでいくのが見えて私は慌てて窓を開けた。

 

葉月「インベスや植物が…」

 

上空を見上げると今までに見たこともないような巨大なクラックがインベスやヘルヘイムの植物を吸い込んでいた。

 

葉月「そっか…植物やインベスだけが吸い込まれてるって事は…葛葉さんが勝ったんだ…」

 

ふと私は駆紋さんと葛葉さんとの決着が付いたのだと気づいた。私は空を見上げていると病室の隅に光が灯るのをみて私は慌てて振り向くとそこに白髪で銀色の鎧を纏った謎の男性と同じく白い衣装の女性が立っていた。

 

葉月「もしかして葛葉さんと舞さん?」

 

紘汰「あぁ…終わったよ…最後の戦いが…」

 

葉月「そうですが…でも…その様子だともう…お別れ…みたいな感じですか?」

 

舞「ごめんね…葉月さん達を残してこの地球を離れるのはすごく寂しい…」

 

葉月「でも…地球を離れてまでやるべき事が出来たって所ですよね…?」

 

紘汰「未知の世界で新しい未来を作りに行くんだ…そこが俺達の新しいステージだ…」

 

葉月「そう…ですか…それはとても寂しいです…2人に会えなくなるなんて…」

 

紘汰「いつかきっと…地球に帰ってくるよ!!どういうきっかけで戻って来れるかわからないけど…いつかきっと…」

 

葉月「必ずですよ…それまでは…」

 

紘汰「あぁ…この地球を頼んだ…!!」

 

葉月「…はい!!」

 

紘汰「あと…貴虎と幸せにな!!」

 

私は視線を一瞬ベッドで眠る貴虎さんに向けると貴虎さんが眠っており視線を元に戻すと2人の姿は消えていた。

 

葉月(また…いつか…必ず!!)

 

それから私は何度も病室を訪れて貴虎さんの世話をしながら1人貴虎さんに向かって言葉をかけ続けた。しばらくすると避難していた人々が沢芽市に戻り始めて少しずつ街に活気が戻り始めた。

 

 

 

そして3ヶ月後貴虎さんはついに奇跡的に目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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