私は"昨日の"アビドス高等学校へ押しかけた
丁度定例会議を行っているようだな
……もう4度目だから分かってるんだけどね
「えっ……せんせい……?」
ん?誰か何か呟いた?
まぁいいや、私はここで彼女達の気を引かねばならない
"やぁ、突然押し掛けてすまないね"
"私は新設された連邦捜査部シャーレの先生"
"連邦生徒会では介入し辛い問題があったけど"
"それらに対応したいという想いから出来た組織だよ"
"例えば、カイザーグループが連邦生徒会の一部生徒に賄賂を渡して、君達の嘆願を跳ね除けていたとか……ね"
「「……っ!?」」
これらは別行動していたアロナが本腰入れて洗い出した事で発覚した
防衛室もほぼクロが分かったという事だが
そちらは関係ないのでまだ泳がせている
金はあればあるだけ嬉しいので、頃合いを見計らって一網打尽にする算段なのだとか
"とはいえ、君達も大事な会議の最中なのだろう?"
"早速本題に入ろう、私を廃校対策委員会の顧問にして欲しい"
"こちらの資料はゲヘナ、トリニティ、ミレニアムの3校へ渡し、協力してもらう内容となっている"
少しだけ間を置いて……
"とはいえ、君達も逼迫した状況だろう"
"資料はここに置いておくから、好きなタイミングで読んで欲しい"
"今回のお願いは、ホシノの顔を少しの間だけ貸して欲しいんだ"
話し合いもそこそこにホシノを借りて隣の教室へ
"ホシノ、まずは話し合いに応じてくれてありがとう"
「覚悟が決まった人の目してるよね、何を言っても無駄だからさ」
"理解が早くて助かる"
「それで?おじさんを誰も居ない教室に呼んで」
「どんな下衆な提案をしてくれるのかな?」
ここからが本番だ、もう何度も彼女に銃を突きつけられたか分からない
"私はね、少しだけ未来を予知する能力があるんだ"
「……へぇ、それで?」
"明日の今頃、カイザーグループのお偉いさんがアビドス高等学校に来てね"
"生徒会のメンバーが居なくなったから廃校が決定したと言っていたよ"
「……そう」
"そいつらは何とか撃退するんだけど"
"アヤネは意識不明の重体で入院"
"廃校した校舎前にセリカが投げ捨てられて"
"ノノミがそこの会議室で手帳を開いたまま立ち尽くしてた"
「……なるほど?それで私に何をして欲しいの?」
"ホシノ、奴らの連絡先を持ってるでしょ?"
"明日それを使うから教えて欲しいんだ"
「カイザーの交渉に乗るなという話かと思ったけど」
"私にも妹が居てね、もし彼女が人質にされたなら……"
"同じ行動を取るだろうから"
「……そうだね」
"だから廃校を阻止する為に私が介入する"
"それに、同じ大人として許せない事がある"
"誘拐で得た駒で有利に進めようって魂胆が気に食わない"
"子供に手を出す大人には、相応の報いを受けて貰う"
ホシノは暫く考え込んでいたが……結論が出たらしい
「そういう話なら仕方ないかぁ……」
「でも……約束を違えたら容赦しないからね」
"絶対に忘れないよ"
何度話してもホシノの圧は慣れないな……
本当に彼女との絆を深めて協力してもらう事は可能なのだろうか
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クラフトチェンバーから補給物資を対策委員会のメンバーに配り
そのままアビドス高等学校を後にする
彼女達は誘拐された大事な後輩の事で手一杯だからだ
"プラナ、アロナにチェックポイントを送ってくれる?"
アビドス高等学校の前で早速貰った連絡先に電話をかける
粗方の情報は取り終わった
残る懸念事項は一つ、RABBIT小隊が持ち帰ってくれた情報の中でどうしても確認しておきたい事があった
それはホシノと取引を行う異形の存在
そいつがホシノとどんな会話を交わすのか?
自分の目で見極めておきたい
無事に連絡が取れ、電話はそいつへと繋がる
話し合いは夜の8時に行われる事となった
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私は早速貰った連絡先に電話を掛けようとして
"プラナ、アロナにチェックポイントを送ってくれる?"
「注意、先生……アロナ先輩より中止するよう伝言を預かりました」
……なるほど、私は失敗したらしい
チェックポイントとはアロナからの提案だ
いずれ何度も2人が別行動を取る事になるだろう
その時、私に取り返しの付かない事態が発生するかもしれない
特定までの時刻までにアロナに連絡出来なかった場合
アロナは即座に時間を戻した上で
プラナに連絡してチェックポイントを設定出来ないようにする
こうする事で、私は幾らでもリスキーな選択肢を試す事が出来る
アロナからはサンドボックスと聞いた
元々はセキュリティ用語らしい
パソコンで仮想的な限定的な空間を作り、リスキーなプログラムやコンピューターウィルスを起動させて挙動を検証する手法だそうだ
砂場ならやんちゃな子供が転んでも大丈夫ってわけだ
私は子供か……アロナからすれば子供みたいなもんだな……
いつかアロナに比肩する日は来るのだろうか
"アロナに伝えておいてくれるかい?"
"今晩付き添って欲しいって"
アロナから了承の連絡を受けてから
改めてアポを取り付けた
YouTubeでアロナダンスを踊るホシノを見て
ようやくホシノの良さが魂レベルで理解出来ました
ノーマル衣装のベルトが叡智過ぎんか?
最近は連邦生徒会長のミスに関して想いを侍らせてます
何でもタイムリープで解決してしまう連邦生徒会長の心が折れる切っ掛けは何だろうなと……
本来こういう立場の人間がキヴォトスの危機に対しては
出てくる災厄の芽を潰す、敵と戦う方針を示す事になるでしょう
アビドスを救うとか、ゲーム開発部のサポートは仕事ではないとしています
私が連邦生徒会長の能力と立場だったならば
そこを突き詰めていく事になるわけで
端から見て冷酷な人に徹する事になるかも知れないなぁと思いました
そこに先生で無ければ成し得ない何かはありそうですね