冒険の始まり
──アビドスのゴタゴタが片付いてから数日
──連邦生徒会長室
アロナは大量の書類と格闘していた
先生には仕事量と裁量しか与えていない
元々非常勤の下っ端講師であり書類を捌く能力そのものは高くない
ミレニアムのユウカや連邦生徒会に所属する生徒と比較して、少々……いや、かなり見劣りしている
いくらプラナがサポートについていると言っても……
シャーレの裁量に見合った仕事を全て任せるとどうなるか?
ユウカやハスミ等の一部の優秀な生徒を連日当番にしなければ
日々の業務はろくにこなせなくなってしまう
先生には様々な生徒と沢山触れ合って
早く才能を開花させて欲しいと思ってる
「私には生徒を導き、育てる能力はありませんからね……」
残りの殺人的な仕事量は、全て自分で捌いている
時を遡る異能を使えば余裕で捌けてしまうから
眉間に皺を寄せて読み、考える時間は肩が凝るが、
それも全て無かったことになるため、身体へのダメージも全くない
「それに、何度も見た覚えのある書類ですし……」
残像が残る程の速度で書類の山を片付けたら伸びと欠伸を一つ
「そうだ、ミレニアムの生徒に掘りだされる前に」
「名もなき神々の王女を始末しておかなくてはならないですね」
過去の周回ではミレニアムの会長や
掘り当てた生徒と何度も対話した
結果押し問答に発展している間に名もなき神々の王女は覚醒
その結果何度もキヴォトスを滅亡させられたり
大きな損害を被ることになった
今では掘り当てられる前に始末するようにしている
後の泣き顔に変わる出逢いなんて無い方がマシだ
大きな伸びをして
スマホを取り出して通話を始める
「もしもし、ユキノ?……うんうん……」
「あー、ワカモ再逮捕の解任はね、様子を見ようと思って」
「先生が何度もシャーレに呼んで口説いてるみたいよ」
「ふふ、本当にいつの間にって感じよね」
「ワカモの方も満更でもなさそうだし、実際にワカモ主導の事件が減ってる、想像以上に人誑しなのかも知れないわね」
「ええ、それじゃ本題に入るわね」
「連邦生徒会長として任命します」
「ユキノ以下FOX小隊4名は明日の早朝よりミレニアム郊外の遺跡の機能を破壊して下さい」
「ミレニアムには根回し済です、座標は通話の後すぐにグループチャットに送っておきます」
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──シャーレ、執務室
"ユウカ、この書類だけ片付けたら休憩しよう"
「は、はい!わかりました……」
"どうしたの?今日はずっと心ここにあらずといった感じだけど"
私は当番のユウカに話し掛ける
ユウカの処理能力であれば
もう今日の業務は終わっていてもおかしくはない
そんな私もいつもと雰囲気が違うユウカが心配で
余りパフォーマンスを発揮出来てはいなかったのだが……
「ミレニアムの予算は常にカツカツなんです」
「頑張ってる生徒達にいつも我慢しなさい、でも結果は出しなさいと上から言うだけで……」
「何とか予算を作らなきゃと、昨日とある部活に廃部を言い渡したんです」
"うん、いつもユウカは頑張ってて偉いね"
「その時に、つい頭に血がのぼって……」
「売り言葉に買い言葉で……彼女達に酷いことを……」
"そっか、辛かったね"
アロナにしてあげるように
ユウカの頭を優しくなでる
……
"ゲーム開発部だっけ、その生徒達は私に任せてくれない?"
「はい……よろしくお願いします」
何はともあれ、仕事は片付けないとね
休憩の為に淹れた冷めたコーヒーを煽って、デスクに戻った
連邦生徒会長は既に何周もしていて
自分の中で結論付けた事項がいくつもあります
それはどんなに反対されようと独断的に押し進めるでしょう
社長や、国王が行う一番大事な仕事は決断ですからね
例え他の能力がどんなに優れていたとしても、
やらねばやらない時に反対を押し切ってでも決断出来ない人間には王という仕事は任せられません
その求められる能力の特異性から
社長は孤独とよく表現されるそうです
アロナが甘えん坊さんなのは、きっと元々彼女が甘えん坊さんだっのだと思いますが
彼女は常に孤独と戦ってきたので尚更だったのでしょう
つまり連邦生徒会長は女王と少女の顔を持っていると言って良いかもしれませんね
でもタイムリープに費やした年数を合算すると精神年齢はおば……
おや?こんな時間に誰だろう
アビドス対策委員会と同じくゲーム開発部からも
先生への救援メールが届く事はありませんでした
連邦生徒会の作ったよく分からん組織が助けてくれるとは到底思えないですからね
ユウカは原作パヴァーヌの序盤でゲーム開発部に
「今すぐ部室を空けて、その辺のガラクタも捨てて」と言い放ってます
心優しいユウカの台詞としては違和感ありますね
その辺から少し話を膨らませてみました