勢いよく装甲車から飛び出したものの
暴徒の数は多く健在
対する治安維持の生徒は多勢に無勢
盾を構え、遮蔽物に身を隠しながら交戦してはいるものの……
撃つ度に複数人から集中砲火を喰らってしまう
その場に蹲まり、気絶し、戦力差が拡大する負の連鎖となっている
私達2人も遮蔽物に身を隠し
彼女だけが身体に銃弾を浴びながら1人、また1人と相手を戦闘不能にさせていってる状態だ
「っ……!6人、7人……!」
"大丈夫かい……?"
せめて私も戦えたなら……無力感に苛まれる
こんな戦闘を続けていても埒が明かないのだが
それは相手方も同じ考えのようで……
ビルの屋上から光が降り注ぐ、遅れて聞こえるズドンという爆音
狙撃兵までいるのか!?
咄嗟に跳ねた彼女の体を抱き寄せ、死角まで引きずり込むが
追撃の為に遮蔽物から駆けてくる敵の少女達
彼女の意識が戻るだけでも、時間を稼がなければ……
意を決してホルスターから銃を取り出し
遮蔽物から身を乗り出す
──撃たれても打撲で済む彼女達を見て
──私は油断していたのだろう
私は非常勤講師とはいえ
数多くの悩める生徒に寄り添い、共に泣き、笑ってきた
その生徒の笑顔が、向こう側で機関銃を構える少女に重なる
こんな少女を撃つことになるなんて……
「なんだ?あいつ震えてやがるぜ!」
嘲笑と共に銃口が光る
何発かの銃弾は私の身体を掠め
その内の1発は私の手に当たり私の指を軽々と吹き飛ばした
"が……っ……!"
咄嗟に手を引き、その場に倒れ伏す
指が燃えるように熱い
「ちょ……ちょっと待って……あいつ……」
「……っ!!」
それでも敵は待ってはくれない
彼女を襲ったものと同じ一撃が私の背中を貫通し
血飛沫を巻き上げ私の身体を弾ませる
「な、なんで?私……そんなつもりじゃ……」
薄れゆく意識の中
私の血を見たであろう少女の震える声が印象に残った
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"いっ……!?"
「……いきなり何ですか?」
尻もちをつくように倒れてしまった……
リンのなんだこいつ?という怪訝な声と視線が突き刺さるがそれどころではない
指は?……繋がってる
背中にも穴は空いてない……
良かった、まだ生きてる……
そして、なによりあの子達を殺人犯にせずにすんだ
本当に良かったと安堵した
「あはは、さっき2人で現場に駆け付けたんだけど」
「想像より遥かに戦況が悪くてね、多勢に無勢って感じ」
「私も先生も仲良く撃たれてやり直しコース」
「そうなんですか……?ですがそれだと……」
「まさか、そういう事ですか……」
何処から興味が湧いてきたのか
無遠慮な視線で私をジロジロと舐め回す
冷たい美女にそういう事されるのはゾクゾクするので辞めていただきたい
それと一人で納得しないで欲しい
多分生徒会長と共に過去へ戻れる最初の人ということに気が付いたんだろうけど
「きっとあれはワカモが暴徒に混ざってるわね」
「スケバン程度にあんな狙撃は出来ない筈だもの」
「そうなると……リンちゃん、FOX小隊を呼び戻してくれる?」
「それと未熟で良いから動ける部隊を見繕って欲しいの」
「承知しました、丁度良いのは全員1年生のRabbit小隊でしょうか」
「Rabbit小隊ね、報告は聞いてるわ」
「斜め読みした程度だけど、兵科のバランスも良いし、擦れてなさそうだから扱い安くて良さそうね」
あの地獄の戦局を押し返す為に小隊が2つ分
ざっと1小隊20人と計算して、40人くらいいれば十分戦いになるってことだろうか?
「今の内に先生に渡すものがあります」
「こちらへ、付いてきて下さい」
勝手知ったる連邦生徒会長
連邦生徒会の建物をスタスタ歩いていく
ボディラインの見える白いタイトな衣装を追い掛けて
いや、これなんかストーカーっぽい?
そんなわけはないんだけれども……
よく考えたらこのままの衣装で日本へやってきてたんだよな
不用心過ぎないか……?
美人さんなのだから
あまり劣情を刺激する衣装は着ないで欲しい
いや美人とか関係なく、女性だから襲われないようにね?
うーん、でも私なんかより圧倒的に強いから別に平気ってこと?
モヤモヤ考えている内に生徒会長室へ到着したらしい
「本当はシャーレに着いてから渡すつもりだったのだけれど」
「受け取って下さい」
"これは……タブレット端末?"
連邦生徒会長のタイムリープ能力は
数時間程度ならば殆ど負荷なく使えるものとしました
口調は有名な「私のミスでした……」から始まる一連の流れで
改まった場での先生への口調は丁寧な敬語としました
またゲーム本編で何度も聞くことになる「リンちゃんと呼ばないで下さい」の下りから、先生は連邦生徒会長の口調を意図的に真似ています
気心の知れた相手には砕けた話し方をするようにしています
後はシッテムの箱のアロナを少し参考にしています
それはそうと、いつも通りこの辺の時間軸でワカモが脱獄します
サンクトゥムタワーの状況は関係なく
ニヤニヤ教授が手引きしている事を理由としています
そして状況はかなり悪化してヴァルキューレ生徒が押されています
普段は連邦生徒会長自身が最適解を用いて、初動で潰している為、殆ど被害は出ませんが
今回は連邦生徒会長不在で、他の連邦生徒会メンバーが対応した為に初動で制する事が出来ず逆に押し込まれて大惨事となってしまいました