──ミレニアム自治区郊外、廃墟
瓦礫で埋もれた一つの廃墟を
ドローンやロボットを従え掘り続ける
そして……
「やっと見つけた……」
何時間瓦礫を撤去し続けただろうか
ようやく赤黒く染まる玉座に辿り着く
そこに横たわっていたであろう人のようなもの
血は既に流れて乾き、人工タンパク質は抉れ、骨は陥没し、血管は裂けていた
これが人間が行う……私達に対する仕打ち
私の大切な……
王女すら躊躇いなく踏みにじる人間共……
──状態の変化を検知、休眠状態を解除します
それでも、王女は生きていた
リスクを承知でクラフトチャンバーを乗っ取り
AL-1Sのスペアボディを生成しておいて良かった
王女の本質はデータ、ロストさえしなければ
サルベージして別のストレージへ流し込めば問題ない
このボディは少し名残惜しい気もするけど
王女に使って頂くことを想えば惜しくない
「会話を試みます、説明をお願いできますか?」
「王女、私はKeyです」
「これより、玉座に王女を導かせていただきます」
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夕方になり、当番の生徒を見送った所でまた呼び鈴が鳴る
今日はどんな生徒が訪れてきてくれたのだろう
人によっては煩わしいと感じるかも知れない
私はうだつの上がらない非常勤の講師だった
私は酒の席で担任の先生達がする生徒の話が大好きだった
生徒に前を向かせる為に叱咤激励し、共に机に向き合い、卒業式の日に泣く
その話を聞く度に心躍らせ、私もいつかと奮起したものだ
それが思いがけない形で実るとはね
求められる、慕われるという実感で嬉しさが勝る
だから苦しいとか煩わしいという思いはしない
でもそれもアロナが私を大きく見せてくれているだけ
私の力とは言えない
私の本質は生徒達の未来を預かるに値しない、頼りない人間なのだから
先生という席の大きさに見合う大人に成長するまでは
せめて初心を忘れないようにしたい
そう気を引き締めつつ迎え入れる
「優しく微笑んでくれる、余裕たっぷりの大人を演じてください」
……だったね、教わった事を思い出し口角を上げて迎え入れる
入ってきたのはアロナだった
アロナはふらっとシャーレを訪れて、好き勝手過ごしてる
しかし、いつも余裕そうに笑みを浮かべるアロナの
初めて見せる焦燥した表情をみて
私は察した……
日常は終わりを告げたのだと
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「ふむ……シャーレも抜かれてますね」
「連邦生徒会のネットワークだけならまだしも、何故シャーレを……」
アロナは暫く手を顎に当てた後、顔を上げる
「プラナ、クラフトチェンバーが最後に使われたのは何時?」
「確認、3日前の深夜のようです」
「……申し訳ありません、把握していませんでした」
「やはりそうですか……」
「先生、念の為確認しますがクラフトチェンバーを最後に使ったのは何時でしょうか?」
"ええと、アロナと一緒の時にしか使っていないよ"
"だからアビドス高等学校の騒動の補給物資の時だね"
「プラナ、何を作ろうとしたか、材料及び完成図をお願い」
「承知、水35L、炭素20kg、アンモニア4L……これは……」
「人体の生成ですね……」
「遺跡を爆破させたから……?」
"ええと、状況がよく分からないのだけど"
「すみません、先生……うっかりしてましたね」
「連邦生徒会は現在ネットワークによる攻撃を受けています」
「明日の今頃、全ての端末は乗っ取られD.U.を巻き込む騒動になります」
"そんな……避ける事は出来ないの?"
「既にリン、モモカをはじめ部下に指示を出していますが」
「水面下で多くの端末やセキュリティを掌握済、後は号令を待つばかりの状況です」
「今から騒いでも、恐らく敵の決起の瞬間が早まるだけ……」
「なので連邦生徒会及び、ヴァルキューレやSRTに口頭での連絡に留めて様子を見ています」
"敵の決起……誰が、どんな目的で……"
「敵は恐らく、名もなき神々の王女でしょう」
「以前の周回で、彼女は似たような手口でキヴォトスを滅亡させています」
"似たような手口?"
「少し過去に遡りますが、先生は3人の生徒と共にミレニアムの郊外の廃墟への侵入を試みましたね?」
"うん、そうだね……"
「私達が何も介入しない場合」
「ミレニアムの生徒はとある少女を廃墟から持ち帰ります」
「それはコンピューターウィルスのようなもので」
「暫くミレニアムのネットワークに潜伏し、とある日の深夜、突如全ての端末を掌握」
「それと同時にアトラ・ハシースの箱舟や万を超える機械の軍勢が突如としてミレニアムを包囲しました」
「ミレニアム陥落後はそこを拠点に各地へ侵攻……」
「たった数日でキヴォトス全土が戦場と化しました」
「無限ともいえる軍勢は精強で、1日持たずに陥落した学園都市は多数……」
「最後はD.U.とゲヘナ、トリニティが僅かな生き残りと共に交戦を続けていましたが、負けを悟った私は過去に飛ぶ決意をしました」
"まさか……ゲーム開発部の探していたG.Bibleが……"
「そのコンピューターウィルスだったということです」
「少女が媒体だと思ったのですが、ファイルが本命でした」
「G.Bibleの中身は私も十分に確認しましたが」
「決してコンピューターウィルスのような挙動をするはずがないファイルでした」
「ミレニアムのハッカー集団であるヴェリタスをも欺くコンピューターウィルス……」
「私の慢心が招いたミスです……」
「先生……一つお願いがあります」
「過去に飛ぶ前に、キヴォトスの末路を目に焼き付けて欲しいのです」
一周目の結末はアリスの王女覚醒ENDでした
一旦エデン条約編に入る事も考えましたが
話が取っ散らかると思ったのでさっさと滅亡させる事にしました
話を書いてて誤算だったのは
先生抜きではアリスを持ち帰れないということです
なんで先生だけ承認されて、アリスに接触する許可が与えられたのでしょう?
今回は、モモイが遺跡を爆破して掘り当てたアリスを持ち帰る想定で話を進める事にしました
かなり苦しいけど、許可がない位で諦めてたらG.Bibleも持ち帰れないからしょうがないね
G.Bibleのデータを知覚出来ないのは
デカグラマトン編2章のケイちゃん復活の下りですね
Keyのデータは生物なのでリオやヒマリすらも知覚出来ていませんでした
今回のループでは遺跡を爆破される事を予見したKeyは
王女の身体が爆発と瓦礫に飲まれて潰される事を想定
クラフトチェンバーでスペアのボディを用意しました
シッテムの箱の所有者しかクラフトチェンバーは扱えませんので
リスクを覚悟でプラナを出し抜く作戦を考えました
本編でも高度なハッキングをアロナがくしゃみ一つで撃退する最強ぶりを見せています
その為、ログを消し損ねてバレてしまったという感じにしました