はじめてのキヴォトス   作:みやびさん

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やったね先生!RABBIT小隊が部下になるよ!


第一印象

あれから、リンから小隊が到着したという連絡を受けるまで

私はずっとシッテムの箱を使った指揮をアロナから教わっていた

 

「一旦座学はここまでにしておきましょう」

 

"ふぅ……もうこんな時間か……"

 

「その前にこれも着けておきますね」

 

急にアロナがガチ恋距離まで詰めてくる

警戒心が無いだけかも知れないが、心臓に悪い

 

"あの、もう着け方は分かってるから……"

 

「まだダメです、正しい位置への着け方を勉強するまでは」

「少しズレただけでも立ち座りし辛くなったり、咄嗟に取り出せずに銃を落としたりしますから」

「キヴォトスでは小学1年生で習うんです、自分の身を自分で守れるように」

 

そう言われては仕方ない

着せ替え人形になったつもりで任せよう

 

「これで……よしっと、さぁ行きましょ」

 

----

 

──連邦生徒会、ロビー

 

リンと共に8人の生徒が出迎えてくれた

 

「ユキノ含めFOX小隊4名、出撃準備出来ています」

「ミヤコ含めRABBIT小隊4名、出撃準備出来ています」

 

2小隊で8人?1小隊ではなく?

戦闘は数がモノを言うのにたった8人で覆せるのか?

 

私の表情から察したアロナが補足してくれる

 

「SRT特殊学園では原則4人で1小隊なんです」

「少数でどんな過酷な任務でも成功に導く為に、個人を徹底的に鍛え上げてるのです」

 

なるほど、エリート部隊ってわけか

 

「本来ならスケバンの挨拶程度で出撃させる程ではないんだけどね……」

 

朝の挨拶……

 

「みんな、こちらは私が招致した先生よ」

「これから私の相棒として働いてもらうわ」

 

"右も左も分からない若輩者ですが、精一杯頑張ります"

"よろしk……"

 

----

 

──連邦生徒会長室

 

視界が切り替わる

ここは、さっきまで居た部屋か?

 

「ごめんなさい、先生……まずいと思ったので巻き戻しました」

 

何がまずかったのだろう

 

「さっきの先生の挨拶も、誠実さや優しさ……」

「人の良さが十分に感じられて私個人としては好きなんです」

 

「でも……」とアロナは続ける

 

「人は頼りないと思う相手に、人生や命を預けられない」

 

今までの私の価値観が砕ける音がした

 

確かに私は元々内向的な方で

教室の隅でオタク仲間と会話をしているような人間だった

 

高校で恩師と出会い、こんな私でも他人を導き共に歩んでいけるかも知れない

教職者を志して大学を卒業したし、教員免許も取得した

 

ところが面接で落とされる

採用されても同僚や生徒達から舐められる

足掻き、奔走するも何一つ上手くはいかなかった

非常勤講師として燻り、結果契約終了を突き付けられる

 

「あなたは優しさや共感力だけじゃない、よく回る頭脳と勇気もあります」

「きっと以前の学校でも、貴方と接する事で少しずつ頼り甲斐のある大人と見直してくれる同僚や生徒が居たはず……」

 

確かにそうだった、1人2人と味方は増えていき

少しずつ開拓出来ているなとは思っていた

もしかして、常任に契約更新して貰えるかも知れないと考えた矢先の事だった

 

「でも第一印象で植え付けられた印象は中々変わられない」

「長い時間を掛ければ挽回も出来るでしょう」

「そして事態はその時間を掛ける事を許してはくれない」

 

「あなたは連邦生徒会がキヴォトス外から招致した救世主」

「生徒を束ねるリーダーとして君臨する」

 

「そう演技して欲しいの」

「必要な機会と時間は、私がいくらでも作ります」

「私に任せてください」

 

こんな冴えない私が

生まれ変われるチャンスかもしれない

 

"わかった、ありがとうアロナ"

 

----

 

──連邦生徒会、ロビー

 

「みんな、こちらは私が招致した先生よ」

「これから私の相棒として働いてもらうわ」

 

"みんなの事はアロナから聞いてる、お会いできて光栄だよ"

"私は先生、生徒を導く事を仕事としている"

"よろしくね"

 

ネガティブなワードを消しつつも

偉そうになりすぎないフレンドリーな挨拶を考えてみた

これまで挨拶でこんなに考えたことはなかったな……

 

巻き戻らないって事は及第点は貰えたみたいだ

……肝心の生徒達の反応は芳しくないが、こんなもんだよな

 

「ユキノ、騒動の主犯は恐らくワカモよ、その為に貴方達を呼んだの」

「あの時とは状況が違う、拘束しろとまでは言わない」

「でも暴動鎮圧の為にワカモの牽制と妨害を期待しているわ」

 

「そしてミヤコ、貴方達4名は先生の指揮下に入って貰うわ」

 

「はい、承知しました!」




ブルアカ本編に出てくる先生って
実際の戦闘能力がない点以外は全て完璧の超人ですよね

シッテムの箱無しでも、スズミやハスミ、チナツといった戦闘のプロが舌を巻く指揮能力
銃弾が飛び交う戦場を平然と駆ける胆力
ハナコやノアとも真正面から会話出来る頭の回転速度
依存気味なミカを愛しつつもさらりと躱し続ける距離感覚

そんな完璧超人はどうやって作られたのか?
長い連邦生徒会長との共闘のさなかに作られたものだと考えました

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません」
何処からどこまでを忘れてしまったのかは語られません

それはきっと、共に歩んできた一番の戦友の事だけ
ぽっかりと穴が空くかのように消えてしまっているのだと思います
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