──シャーレオフィス、玄関ホール
背後には死屍累々と転がるスケバン達と
それらを拘束して車両に詰め込むヴァルキューレの生徒達
私とアロナは新しい勤務地となるシャーレへ辿り着く事に成功した
あぁ……疲れた……
今はとにかくゆっくり休みたいわ……
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──回想シーン
指揮官として前線に出ることがどれだけヤバいか知らなかった
まずスーパーキヴォトス人の戦闘スピードについていけん
多分地球の戦場だと無防備に突進すると
文字通り命で代償を支払うことになるから
もっとチキンというか動き遅いと思うんよね
なので最初の何度かは敵の数を知らせるに留めて
RABBIT小隊の動きの観察から始めた
まぁ、数を知らせるだけでも遅い早い聞こえん煩いと100回はダメ出しを貰ったけどね
ミヤコとサキはずっと駆け回ってる
前の遮蔽物へヘッドスライディングで飛び込み
着地と同時に放物線を描いて飛ぶ閃光弾
次々と敵を押し込んでキルレシオを稼いでいく
問題は二人とものライバル意識が激しいのか
全く同じ動きで喧嘩してる事かな……
同じ遮蔽物に閃光弾を2個投げ込んだり
そして後衛2人が全然戦力になってない
ミユもスナイパーライフル担いで必死に2人を追い掛けるだけで殆ど撃ててないし
モエも敵生徒一人に全弾撃ち尽くすから早々に役立たずになる
途中までは上手く進めてるんだけど
孤立したサキが例の狙撃手に射抜かれて吹っ飛ぶんよね
動揺して足が止まったミヤコも餌食になる
そこからは逆襲されて4人は気絶で私はお亡くなり
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しゃあないからその未来を覆そうと指示を出すんだが
しかも比較的従順なミユは素直に従ってくれるが
残り3人は気に食わないと普通に命令無視するんよ
そして問題のワカモ、FOX小隊の追撃を捌く為に
一度大きく引いてからの狙撃でミヤコとサキがお亡くなり
これ詰んだわ……
"すまない、アロナ……一端生徒会長室へ戻ろう"
"どうにもならない、すこし休ませて欲しい……"
「そうですね、私も一旦休憩すべきだと思ってました」
「戻りましょうか」
怪訝な顔でこちらを伺うSRTの生徒を尻目に、アロナは能力を発動させる
……
生徒会長室へ跳ぶと同時に
どっと疲れが出て床にへたり込みかけるが
アロナに優しくソファへ誘導される
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どれだけの時間ソファにもたれかかっていただろう
いまだに打開策は見えていなかった
一度ネガティブになるともうダメだ
どんどん思考がネガティブの方向に寄ってしまう
これは私には手が余るのでは?
単なる不良生徒の鎮圧で何度死んだんだ?
厳しい訓練を積んだとはいえ、非協力的な生徒を引き連れて完全勝利?
そんな有り様で、次は神話に出てくる化け物退治だって?
──私には、土台無理な話だったんだ
今からでも遅くはない
アロナにはごめんなさいして、私は日本へ帰ろう
"アロ……"
「先生」
アロナが言葉を被せてくる
「先生は私に沢山の事を話してくれましたよね」
「恩師の事、教員免許を取るに至ったこと、うまくいかなかった教員生活」
……
「勉強しろと言って素直に勉強してきた生徒は何人居ましたか?」
ハッと、顔を上げる
「そんなのその人の勝手じゃないですか」
「他人から言われた程度で必死に勉強してくれるなら、不良も馬鹿も居ません、皆で第一志望の難関校に合格ですよ」
「非協力な生徒なんて無視してしまえば良い」
「先生の給料なんて変わらないのですから」
「もっと小賢しく立ち回って、上司のご機嫌取りでもすれば良かった」
「そうすれば契約を打ち切られる事もなかったでしょう」
"そうだね……確かにそうだと思う……"
「でも、貴方はそれを選べなかった」
「違いますか?」
"ああ……その通りだよ"
何故、先生になったのか、その理由は恩師のようになりたかった
「少しでも授業が面白くなるよう、日夜残業して」
「ひとりひとりに話し掛けて、興味関心を引き出して」
「その真心に引っ張られるように、ひとり、ふたりと成績が上向きになって」
見てきたように言うんだな……
「そんな貴方だから、一緒に歩みたいと思ったんです」
「我儘な生徒達ですが、どうかお願いします」
"わかった、私なりに今まで積み重ねたやり方でやってみるよ"
"思い付いた事があるんだ"
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彼女達が指示に従わないから無理?
今までも掃いて捨てる程居たじゃないか
共同生活に向かない生徒、勉強が嫌いな生徒、自信過剰で人の言う事を聞かない生徒
この問題児達と対話して、興味関心を引き出して、二人三脚で
どうにかこうにか平均点を引き上げてきたんだ
それと同じ事をやるだけだ
まず彼女達の事を知ろう
なに、こっちにはタイムリープがあるんだ
そうと決まれば善は急げ
4人を交互に引き摺り出して質問攻めにした
……
"君を選んだ理由は、君がRABBIT小隊の頭脳になる重要なメンバーだと思ったからだ"
"最新の火器をぶっ放したいから?良いね!"
"へー、2km先の的を?過酷な訓練積んだ兵士でも700mとか聞いてるのに凄いじゃないか!"
"そう……FOX小隊のユキノ先輩のインタビュー?"
"私もね、こんなふうになりたいって先輩が居たんだよ"
"鉄帽の匂い嗅いでも良い?うそうそ冗談だって"
……
"ミユ、背後のビルに登ってくれる?"
"君の凄腕の射撃力なら無理してついて行く必要なんてない"
"どーん!と構えてくれるだけで良いんだ"
"モエ、この戦場で一番の強敵はワカモになるだろう"
"だから君にはここぞという場面での火力を任せたい"
"ミヤコ、サキはどちらも優秀の前衛だと聞いてるよ"
"今回はデモンストレーションだと思って"
"交互に突破と支援を繰り返して、私に二人の活躍を見せて欲しいんだ"
"簡単だろう?"
"さあ、行こう"
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これで上手く行けば良かったんですけどねー
こっから20回はリテイク入ったわ……
ミヤコの方が視野が広いから、サキを前衛にしてミヤコを援護のさせる割合増やしたり
ミユは気配が極端に薄いので、狙撃の効率が悪くなったら大胆に前に突っ込ませて接射でスケバンを吹っ飛ばしたり
位置を変えたワカモに私やミユが射抜かれて即リトライになったり
勝てるようになってからも長かったなぁ……
アロナから全くOKサインが出ずに巻き戻しになるの
もう勝てたんだから良くない……?
でも、確かに一度上手くいくとどんどん洗練されて楽しくなっていったのは内緒だ
ブルアカの先生って
正解を知ってるから優秀じゃないんですよね
生徒の心を動かして良い方向へ持って行けるから優秀なんです
当初は指示の出し方を練習する話にしようかと思ってましたが
何度か書き直しました
その結果、先生が自分の今までを振り返り
その延長としてキヴォトスでの第一歩を踏み出す話にしました