「うふふふ、他愛もありませんね」
未だ奮闘中のヴァルキューレの生徒を自慢の狙撃銃で撃ち抜く
よくもあんな所に閉じ込めてくれたな
恨みを乗せた弾丸は彼女達の意識と身体を軽々と吹き飛ばす
……と、やってくる1台の装甲車
そこから出て来たのは2人
一人は憎き連邦生徒会長
もう一人は何の脅威も感じない一般人
たった2人で何が出来るというのか?
お手並み拝見といきましょうか♪
──ではなく、SRT特殊部隊の7人!?
今まで視認していた2人は、ようやく装甲車から降りてきた
致命的とも言える認識の齟齬
私は何秒そこで呆けて居たのだろう
圧倒的な優勢で油断していたのかも知れない
ヴァルキューレの生徒達は多勢に無勢
私は遮蔽物から身体を晒したまま鼻歌混じりに撃ち続けていた
撃たれる!と直感が告げる
咄嗟に身を捩ってFOX小隊の狙撃手が放った弾を回避し、
ジグザクに走り1ブロック手前の遮蔽物に身を隠す
とはいえかつて私を追い詰めた4人はともかく
そちらの小隊は見慣れない新兵3人
……うん?よく目を凝らしてみるともう一人居ますね
オドオドしていますし動きも良くない
神秘が良く乗りそうな性能の良さ気な狙撃銃が泣いていますよ
これでは脅威にはなりえませんね
2人の前衛も仲が余り良くないようです
戦果を求めて我先に突出してくるでしょう
誘い込んで一網打尽に出来そうです
──突如、また視界が二重に見えて、一つに収まる
「……えっ?」
3人のガトリング持ちが次々と後方に吹き飛ばされる
FOX小隊の狙撃手は私が完全に封じ込めてるのに……
まさか、あの新兵の狙撃手が……?
こちらの制圧射撃が途絶えると同時に前衛が駆けてくる
しかも、片方は視野を広く取り的確に牽制してくる
あの我の強い2人が、息のあった連携を発揮してくると思うものか
呆けてる暇はない
FOX小隊が別の路地から私にフリーで撃たせないようマークしてきている
フェイントをかけて後方に下がるが、
すぐさまその動きに追従してきて攻撃のチャンスが中々生まれない
少し早いけれど、例の作戦で罠にかけ……
乗ってきませんね
新兵だから浮足立って襲い掛かってくると読んだのですが……
妙に落ち着き払ってますね
この一瞬だけ歴戦の兵士になったかのような……
いらついている間にも
過小評価していた狙撃手に1人、また1人と味方が撃ち抜かれる
リスクを取ってでもここで仕掛けなければ……
──今だ!モエ!
遮蔽物からスコープを覗き込むと同時に
爆音で視界と聴覚が遮断される
まさか全てお見通しだなんて……
空中で受け身を取り、そのまま後方へ走り出す
追い打ちの弾丸が当たって痛いが
ここで無理して捕まるよりはずっとマシ
集まってくれた彼女達には悪いとは思いますが
見捨てさっさと逃げてしまいましょう
何処の世界に猫同士がじゃれ合って猫パンチを当てただけで
大真面目な顔して猫を逮捕する警察が居るというのか
彼女達はキヴォトス的にはヤンチャしただけ
捕まって矯正局に送られても、一晩過ごす程度の罰しか与えられないでしょう
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──シャーレ・建物の地下
追手を完全に振りきり
連邦生徒会の重要拠点と思われる建物に侵入する
腹いせに連邦生徒会が大事にしている物でも破壊してやろうと思ったのですが……
「うーん、これが何なのか、まったく分かりませんね」
「これでは壊そうにも……」
そうこうしている内に2人の足音が聞こえてくる
この状況下では敵でしかあり得ない
私は咄嗟に銃を構え、引き金に指を添える
先手必……
──視界を埋め尽くす鮮血
──遅れて崩れ落ちる、一人の大人
……っ!!
また訪れる、フラッシュバックに怯んでしまう
この隙に連邦生徒会長が拳銃を構えて
まずい、先手を取られ……
"アロナ、撃たないで"
……
どれだけの時間、私と連邦生徒会長は睨み合っただろう
時間をかけて、双方の銃口が下がる
どちらの銃口からも音は出なかった
"君がワカモだね、銃を下ろしてくれてありがとう"
"私は先生、これからはこの建物で仕事してると思うから、何時でもおいで"
連邦生徒会長はこちらを睨んでますが……
ここでやり合う気は無さそうです
私としてもやる気が削がれてしまいました
そのまま立ち去る事にします
「あらら……変な人……」
少しだけオリジナル設定のネタバラシをしますと
前作「シャーレにお迎えしたハナコが何か違う」で考えた設定が私個人で納得感が強かったので、そのまま流用しています
連邦生徒会長単独のタイムリープでは誰とも波長が合わず
他の生徒が行動を変える事はありませんが
キヴォトス外からやって来たイレギュラーである先生を巻き込む事で、先生との絆が世界に留まっていきます
さてワカモはフェス限に選ばれる程の生徒……
全てを拾い切るには至りませんが、大きく改変された場面を感じ取って戸惑っているようです
しかし一目惚れして逃げるには至りませんでした、その要素は溜まって居ないので
きっとワカモと十分な絆が溜まった世界ならば、濁流となって流れ込む想いの力で胸がいっぱいになり、頭が真っ白になってしまうかもしれませんね
RABBIT小隊の生徒達も同様です
用もないのにシャワーを借りに訪れたり、唐突にウサギの子作りの話をし始める卑しい加湿器になる事はないでしょう
しかし既に先生の側で何十回と度重なるタイムリープを経験し、
一丸となって困難を突破した事で急速に絆を構築しているような気もしますが……
ようやくプロローグが終わったので
連邦生徒会長ちゃんとのイチャイチャ生活を綴る作業に戻ります