アビドス高校とは?
「そろそろアビドス高等学校が廃校になる頃でしょうか」
机の書類を片付けたところでアロナがそう溢す
"アビドス高等学校?"
「過去のマンモス校の一つですよ」
かの学区にはビナーという機械仕掛けの大蛇が生息している
アビドス自治区の砂漠を我が物顔で泳ぎ回り、敵対者を熱光線で貫く化け物
「我々がビナーの存在を知るのは何ヶ月もの先の話です」
「とはいえ、そのビナーが発生させる砂嵐が原因でアビドスは何年も昔から廃校の危機を迎えています」
"砂嵐で廃校騒ぎになる程なの?"
日本でも雪が僅か10cm積もっただけで
交通網が麻痺する地域があるが、アビドスも同じだそうだ
強い風は吹かず、温暖で過ごしやすく、積雪や積砂への備えが無かった
毎日のように砂嵐が襲い掛かり交通網は麻痺
長期に渡ると日照時間の低下、オアシスも干上がってしまう
外出するにも、酷い時は布で顔を全て覆わねば歩けない程らしい
"そんな事に……"
「確かに状況だけ見れば可哀想とは思います」
「ですが、ここは数千の学園がひしめき合う」
「巨大学園都市キヴォトス」
自分の学校の自治区の問題は自分達で何とかする
そのルールの下に、各学校にキヴォトスの土地を分け与え自治を認めている
住民の税収を集めて運用する権利すらも与えられる
連邦生徒会は株式市場における証券取引所のような所だ
一つの会社が経営不振に陥ったからと言って支援する事は業務に含まれない
出来るのは、採算の見込みが無い企業に上場廃止という介錯を行う事のみ
過去に廃校の危機が訪れた別の学園に尽力した結果
対応をミスしてしまい不平等だとか、越権行為だとかで連邦生徒会が炎上した
それ以来、連邦生徒会は自治区の問題に関しては要請が無ければ動かない事に決定し、そうでない場合は指を咥えて見ている事しか出来ない
「アビドス高等学校の状況は絶対絶命のように思えます」
「土地の殆どをカイザーグループという営利企業に売り渡し」
「約9億円を同社の金融業から借りている状況です」
"……いや、安いな"
「そうなんですよね、企業・学園レベルの視点だとたった9億なんです」
「採算の見込めない見ず知らずの学園にポンと上げるには高過ぎる額です、理由がありません」
それすらもカイザーグループの筋書き通りなのだろう
借金漬けでクビの回らないアビドス高等学校に対して
希望を見せつつ良心的な額の支援を行い効率良く土地を削り取っていく
気が長いという事に目を瞑れば中々手際の良い侵略行為と言える
「私個人としては十二分な理由があるのですが……」
聞き出したところ、2つの理由があるらしい
一つは神話の怪物ビナーそのもの
アビドス廃校の危機でカイザーグループに土地を売り払ってる
私有地となるため事前の準備や調査がまともに行えない
毎回多大な損害を出して撃破している
もう一つはカイザーグループが土地を買っている理由
アビドス砂漠には宇宙戦艦のようなオーパーツが眠っており
掘り当てると世界征服を企んで連邦生徒会を襲撃する
マジで意味不明だし邪魔だし、そうでなくても悪どい商売ばかりやってるから潰してやりたい
「逆に言うと公的な理由さえあれば……」
ふと、何かを思案するアロナ
「小鳥遊ホシノ……彼女の強さはよく話題に上がりましたね」
"アビドス高等学校の生徒ね……どんな話題?"
3年前、アビドス学区に凄まじく強い中学生が居た
荒れ果てた学区は不良・犯罪者達が逃げ込むには格好の条件で
多くの不良の溜まり場がアビドス学区に発生した
しかしホシノが尽くの不良達を叩きのめし、学区から追い出したのだとか
"そのホシノはSRTのメンバーやワカモより強いってこと?"
「可能性の話ですけどね」
「ゲヘナ最強の生徒である空崎ヒナがライバルとして強く意識していたそうです」
「その空崎ヒナは合同火力演習でSRT特殊学園の生徒と戦い、コテンパンにしています」
「シャーレの本質は神話の化物と闘うための組織」
「戦力の拡充という名目で引き込めるかも知れませんね」
そして、彼女を引き込むという名目で
そのアビドス高等学校を救えば良いのか
どうやって先生を原作と違う話の流れで
アビドス高校へ向かわせるか悩みました
前話で説明した通り
先生が周回しながら紡いだ絆により生徒達の行動が変わります
それらをフル活用して原作世界線ではギリギリの戦い、物語展開が可能となります
「アヤネがアビドス高校滅亡の危機に新設されたシャーレを頼る」
原作にあったアヤネの行動が変化により引き起こされたのであれば誰もシャーレを頼らなくなるんですよね
先生がアビドスを訪れる理由もなく、アビドスは滅んでしまう
過去アビドスは連邦生徒会へ何度も嘆願していたそうです
しかし、連邦生徒会は何も行動を移さない
連邦生徒会は腐敗しており、カヤも大金受け取ってヴァルキューレの装備を整えたりカイザーの私兵を入れたりとやりたい放題です
当然カイザーグループは嘆願書を受け取った生徒も買収済で
連邦生徒会長の元に届く事はありません
アビドス対策委員会が生徒会として承認されていないことから
ホシノが2年生の頃には連邦生徒会には愛想が尽きていたのだと考えました
次回、先生がアビドスへ押しかけます