七草家の三男は全てを知っている   作:主義

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七草家の三男は先輩たちと会う

入学式で驚くことはなかった。

 

 

僕の頭の中に流れ込んだストーリー通りに物事は進んで行く。

 

 

 

僕が知っている通りの入学式だった。一科生と二科生が分かれていて、新入生総代の司波深雪さんは多くの人の注目を集めるほどの美人でもあり、緊張している様子が全く感じなかった。

 

 

 

入学式が終わればそれぞれ割り振られた自分のクラスへと向かう。僕は1年A組に割り振られたようで、そこへと歩みを進めている最中に司波兄やそれ以外にも僕が知っている人たちがたくさんいたけど、関わるつもりはないので話し掛けることなく進んだ。

 

 

 

 

ホームルームは自由参加らしいけど、参加する。それはやる気があるとかではなくてそう決められている。僕はここでホームルームに参加して、その後………いや、これは別にいいかな。

 

ホームルームの内容は学校説明程度で真新しいものはほとんどなかった。それに自由参加というだけあってホームルームに参加している人数は少なかった。

 

 

 

ホームルームが終わったので帰路に付こうと教室を出ようとしたタイミングで誰かが大きな声で僕の名前を呼んでいた。

 

僕はその声に聞き覚えがあったので声の方に振り向きたくなかった。

 

 

「伊織!」

 

 

「…なんですか、渡辺先輩」

 

 

「やっぱり伊織だったか。それにしてもその呼び方はなんだ?」

 

 

「いや、ここでは先輩と後輩という関係性なのでしっかりと苗字に先輩を付けるのが普通です」

 

 

「普通はそうだが、お前と私の仲だろ」

 

 

「どんな仲ですか。何回かお会いしたことある程度ですよ」

 

 

「そんな悲しい言い方するなよ。私はお前のことをかなり気に入っているんだぞ」

 

 

「それはありがとうございます」

 

 

「私が出会った男の中でシュウを覗けば、お前のことを世界で一番気に入っている」

 

 

「な、なんですか、その高評価!?」

 

この人にそこまで気に入られるようなことをしたことない。たまに会ったぐらいでそれ以上でもそれ以下でもない。

 

 

「それぐらいに良い男だと思ってるからな。それで話を戻すが、呼び方は前の方がいいんだがな」

 

 

「真由美姉さんの話を聞く限りだと渡辺先輩は学内で人気だと聞きました。そんな方を一年生が先輩と付けずに呼んだら変な目で見られるのは目に見えてますし」

 

 

「それぐらいいいだろう。私は気にしない」

 

 

「僕が気にするんですよ」

 

 

「いいだろ。周りの奴になんか言われたら、昔からよく遊んでいたとか適当に言えばいいだろう」

 

この人は本当に変わっていない。自分の意見を主張して、絶対に曲げない。

 

 

「はぁ…相変わらずですね、摩利さんは」

 

 

「そうそう、その呼び方が一番しっくりくるな」

 

 

「そうですかね。僕としては渡辺先輩と全然変わらない気がしますが」

 

 

「全然違うぞ。渡辺先輩だと他人行儀過ぎる。摩利さんだと親しみもあっていいんだ!」

 

 

「そんなことを言われても分かりませんよ」

 

 

その後しばらく話して摩利さんと別れたので、やっと帰路に付こうとしたタイミングでまたよく知っている人物がやってきてしまった。僕は気付かれないように教室に戻ったが、どうやら遅かったようだった。

 

 

 

 

 

 

一難去ってまた一難。

 

「あ、伊織くんじゃないですか!」

 

 

「中条さん」

 

そう呼びかけてきたのは見た目だけであれば小学生でも通りそうな感じで、童顔の中条あずさ。彼女とは中学校が同じで生徒会のメンバーとして知り合った。

 

決められていることとはいえ、生徒会に入りたくなかった。でも頭に流れ込んでくるストーリーを変えるわけにもいかないので、仕方なく生徒会に参加した。

 

 

「やっぱり伊織くんも第一高校を受けてたんだね!」

 

 

「そ、そうですね。一応姉さんも来てますし」

 

 

「そうだよね。生徒会とかに興味とかは…?」

 

 

「ないですよ」

 

ストーリーの中でも僕は生徒会に入ることにはなっていない。今年の新入生総代を務めた司波深雪さんが入り、姉さんと服部先輩、市原先輩、中条先輩、司波深雪さんの五人で生徒会は回していくことになっているのだ。

 

これでストーリーの中で入ることになっていたら僕は嫌々参加することになっていた。

 

 

「わ、わたしから会長にお願いすれば…」

 

 

「お願いしないでくださいね。姉さんのことだから僕が乗り気だということを知ったら本当に入れて来そうですし」

 

 

「…わ、わたしは伊織くんと一緒に生徒会で活動とかしたいんです」

 

 

「そう思ってくださっているのは嬉しいですけど、僕に生徒会に入る気はないので。それに中条さんみたいに優秀な魔法師でもないですから」

 

中条さんがさっきまでのおどおどした感じじゃなくなったのでちょっと驚いた。

 

 

「そうは思いませんよ。私は伊織くんも優秀な魔法師だと思ってます」

 

 

「それはないですよ。入学の成績も二科生に落ちるギリギリラインなので」

 

 

「テストが魔法師の全てではありません」

 

そんな言葉が生徒会に所属している人から出るとは思ってもいなかった。

 

 

「そうですかね。他の人に関しては分かりませんが、僕に関してはしっかりと実力を見極められた気がしますけど」

 

 

「そんなことないよ。伊織くんはもっと自分に自信を持っていいんだよ」

 

 

「…僕は自分の力をしっかりと分かっているので、実力に見合った自信なんです」

 

 

「…伊織くんはすごい人なんです!!伊織くんが自分に自信を持てなくても私は伊織くんのすごいところを知ってます!!」

 

中条さんがメカ以外でこんなにも前のめりになってくるのは珍しくて、少し後ずさってしまった。

 

 

「伊織くん、ちょっと付き合ってくれますか?」

 

 

「今からですか?」

 

僕としてはこのまま帰路に付いて、早く家に帰りたい。

 

 

「今からです」

 

 

「断ってもいいですか?」

 

 

「こ、ことわらないでくれると嬉しいです」

 

そんな言い方されたら断りずらい。只でさえ、摩利さんみたいに蔑ろにしていい人じゃない。中条さんの性格を考えるとここで断ると明日も明後日も誘いに来ると思うし、まず泣き始めるかもしれない。

 

 

「わかりました、中条さんに付き合います」

 

 

「じゃあ、私に付いてきてください!」

 

中条さんは僕を先導するためか、前を歩いてくれているけどその後ろ姿は小さいなと改めて感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここですか?」

 

 

「はい!」

 

 

「ここって…ラーメン屋ですよね?」

 

 

「はい!」

 

 

「なんでここに?」

 

 

「え、伊織くんってラーメンが好きって言ってませんでした!?」

 

 

「あ、言いましたね」

 

言ったのは中学で生徒会に入る時の自己紹介だと思うけど、もう3年ぐらい前の話なのに。

 

 

「よく覚えてましたね」

 

すると中条さんは胸を張りながら「私は記憶力はいいんです!」といった。

 

 

 

 

やっぱりちょっと頼りないなと感じたけど、口に出すことはしなかった。

誰を一番登場させて欲しいですか?

  • 七草真由美
  • 七草香澄
  • 七草泉美
  • 渡辺摩利
  • 中条あずさ
  • 服部刑部少丞範蔵
  • 十文字克人
  • 司波達也
  • 司波深雪
  • 千葉エリカ
  • 北山雫
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