七草家の三男は全てを知っている   作:主義

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七草家の三男は司波兄妹と接触する

真由美姉さんとの食事を終えて、僕は教室に戻った。その間にシナリオに大きな変更が生じた。どうやら真由美姉さんと食事をしたことで変化が行われたようで、僕は午後の実技演習中にクラスメートの一人に声を掛けられることになった。名前は北山雫。

どうやら彼女は食堂の現場にいたようで、そこで僕に対して興味を持ったらしい。

 

 

でも、僕はさっき何もした覚えはないんだけど。

 

 

 

 

 

そんな変化がありながらも午後の授業が始まる。その後は午前中と変わらず、半分くらいの集中力で授業を受けた。そしてやっぱり自分に実技の才能がないことが分かった。

 

一科生の中で僕の実技成績は下から数えた方が早いはずだ。それにこの授業の結果を見るとクラスメートは僕を上回る。本当によく自分が一科生になれたと思ってしまう。さすがに真由美姉さんも弟の結果を偽造したりはしないと思うけど、学校側としても七草家の人間を二科生で入学させることはできなかったんだと思う。そんなことをすれば十師族の威厳に傷がつきかねない。

 

 

そんなことを考えていると女子生徒が話し掛けてきた。これもストーリーにない。

 

 

「あの…ちょっといい?」

 

 

「なにかな?」

 

 

「ちょっと気になって」

 

 

「気になること…?」

 

そこで彼女が何を言おうとしているのか分かった。七草家の名前を苗字に背負いながら僕はあまり凡人過ぎる。魔法が一切使えないわけではないが、学年で一桁に入るほど実技が良いわけでもない。

 

 

つまり彼女が言おうとしているのは「七草家なのになんでそんなに凡人なのか?」ということだった。十師族に所属している者はそれぞれが非凡な才能を持っていることが多く、それは常人では敵わないほどに。

 

 

 

「そう言うことか。だったら僕には才能はないんだよ」

 

 

「ほんとに?」

 

 

「なぜ疑うのかな。僕が自分で才能がないと言っているわけだから、それが答えだと思うけど」

 

才能がないのは確かだ。父上もここまで才能がない事に驚いたと思う。七草家の名前を背負いながらここまで魔法師としての才能に恵まれなかった者がいたとは。

 

 

「そう」

 

 

「うん、納得してくれたのなら嬉しい」

 

 

「ううん、納得はしていない。でも今日のところは授業も終わったし」

 

できれば納得してくれた方が有難いんだけどな。本当に僕には魔法師としての才能はないんだから。

 

この子がなんで話変えてきたのか分からないが、もしかしたら真由美姉さんと食堂で食事を取ってしまったことが影響しているのかもしれないな。そしてシナリオに少し変更が見られれるというわけと納得するか。

 

 

 

 

そして授業が終われば僕はすぐ帰路に付くために帰宅の準備を進める。今日、司波達也くんと接触することになっているけどそれは揉め事が起こって全てが終わってから。

 

それまで僕は揉め事に巻き込まれないように教室に残ることにした。もし巻き込まれたら面倒なことになるのは目に見えているし、そんなシナリオは用意されてない。

 

 

「帰らないの?」

 

視線を前に向けるとそこにはさっきの授業で話し掛けてきた女子生徒がいた。

 

 

「今日は急ぐこともないからね」

 

 

「それだから帰らないの?」

 

 

「うん、真由美姉さんに待っててと言われているんだ」

 

この子は何かと疑ってくるから、生徒会長の名前を出して納得させることにした。

 

 

「そうなんだ。じゃあね」

 

 

「ああ、また明日」

 

そして女子生徒は教室の出口で待っていたであろう、もう一人の女子生徒と合流してどこかに行った。

 

 

 

 

 

 

さすがに予定の時間まで長すぎて、仮眠を取ったりしながら時間を潰した。司波兄妹が問題に巻き込まれて、真百合姉さんたちが到着して騒動が一通り終わった後に彼らは帰路に付く。そこで僕は彼らよりも先に歩き、ハンカチをわざと落として、それを拾って知り合うというシナリオになっている。

 

正直、自分も初めてシナリオを見た時は驚いたもの。こんな風に知り合うのかと…。でも、シナリオを捻じ曲げずに進むためにも予定通りの出会いをする。

 

 

 

 

それからまた時間が経過して、やっと校門辺りが騒がしくなってきたので僕は席を立つことにした。忘れ物がないかを再度確認してから教室を出ることにした。早く到着し過ぎるのもまずいけど、遅すぎて彼らが帰路に付いたら走って追いつかなければならない。これはかなり高度のテクニックと運が必要だ。

 

僕の運は予想以上に良かったようでことは全て終わっていた。真由美姉さんと摩利さんが全て終えて学校へと戻っていくのを確認した。二人に見つかると面倒そうなので必死に姿を隠した。

 

 

どうやら司波兄妹の方は一科生の女子二人にお礼を言っている用だ。そこで僕はそのお礼を言っている二人のうちの一人が授業中に話し掛けてきた人物だとわかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、そんなことを気にしている時間はないので彼らが話しを終わらせるよりも前に校門を出た。そして司波兄妹、その友人たちと一定の距離を保つ。着かず離れずぐらいの距離感で……。

 

 

 

 

そして僕はシナリオを実行に移すことにした。ポケットから自然とハンカチが落ちても気付かない振りをして進んで行く。

 

 

 

「お~~い、ハンカチ落としたよ」

 

予定通りで最初に声を掛けてきたのは千葉エリカ。千葉家と言えば百家本流に属しており、剣の魔法師とも呼ばれるような一族の次女。彼女のお父さんの千葉丈一郎さんが後妻と作った子供なので、長女、長男、次男とは母親は違う。

 

 

千葉エリカ個人としては戦闘能力でもさすが千葉家と呼べるところが多い。僕がこの学校で彼女と戦うことがあれば前線すら出来るか怪しいラインだと思う。

 

 

 

「あ、ありがとう。落としたことに気付かったみたいだ」

 

 

「いいって。次からは気を付けなよ」

 

ここまでは既定路線だった。次に話し掛けて来るのは西城くんのはずだったんだが、話し掛けてきたのは北山さんだった。

 

 

「あれ…七草くんだったんだ」

 

 

「あ…北山さん」

 

元々彼女と関わるようなシナリオはなかった。もちろん話すとかはあってもそれはこんな入学して数日も経っていない日ではなく、九校戦とか横浜とかその辺りだった。まさかこんな早く関係を持つとシナリオに影響が出かねない。

 

でも、真由美姉さんと食堂で食事を取ったことでシナリオは大きく変わった。もちろん主要な出来事の結果に関しては変わっていなかったが、ところどころ変わっていた。それの最たる例が北山雫。

 

 

「え……七草ってあの七草!?」

 

 

「そうだね。たぶん、キミが想像しているもので会っていると思う。一応自己紹介も兼ねて名乗らせてもらうかな。僕の名前は七草伊織」

 

司波妹さん、あと北山さんと北山さんとよく一緒に居る子はクラスが同じこともあって驚いていない。でも、千葉さんや西城くん、柴田さんは驚いていて、司波兄さんの方は少し目付きが変わった。

 

 

最初に声を発したのは西城くんだった。

 

「そんなすげぇ奴が入学していたんだな。知らなかったわ」

 

それはそうだ。僕の成績では目立たないし、今年は司波深雪さんという逸材が入学することもあって僕は完全に目立っていない。それでも同じクラスになった人からは珍しいものを見る目で見られているけど。

 

 

「私も知らなかった。まさか十師族が同学年で入学していたなんて」

 

 

「まあ…あくまでこの学園内ではただの生徒だから『七草家』というのは気にしないでくれると有難い」

 

 

「そうか。ではそうさせてもらう。俺は司波達也だ。よろしくな」

 

 

「こんにちは、七草くん。私は一度自己紹介しましたが、司波深雪と申します。よろしくお願いします」

 

 

「司波のお兄さんと司波の妹さんね」

 

 

「達也で呼んでもらって大丈夫だぞ」

 

 

「いや、僕はこれでいいかな」

 

司波お兄さんもかなり気を使ってくれているんだと思う。だけど僕はこの呼び方をそれなりに気に入っているから直す気はないんだよね。

 

 

「私は千葉エリカ、気軽にエリカって呼んでもらっていいよ」

 

 

「いえ、千葉さんと呼ばせてもらいます」

 

 

「その感じだと俺は西城レオンハルトっていうんだ。気軽にレオンで良いっても意味なさそうだな」

 

 

「うん、西城くんと呼ばせてもらうよ」

 

 

「わ、わたしは柴田美月と言います、よろしくお願いします」

 

 

「よろしくお願いします。柴田さん」

 

 

「み、光井ほのかです、よろしくお願いします!!」

 

 

「よろしくお願いします、光井さん」

 

 

「北山雫、よろしく」

 

 

「北山さん、よろしくお願いします」

 

 

そして僕はまるファーストコンタクトを無事に乗り切ったのだった。

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