七草家の三男は全てを知っている   作:主義

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七草家の三男は父親と話す

七草家の屋敷の一部屋。ここは当主の七草弘一の書斎である。そしてその部屋の前に彼の息子である、七草伊織が立っていた。伊織は深呼吸をしてからノックをして「入れ」という声が聞こえた後にドアを開けた。

 

 

「父上」

 

 

「伊織、こんな遅くに呼んで悪かった」

 

七草弘一は椅子に腰を下ろし、伊織の方は直立不動で立っているという状況。

 

 

「いえ、別に構いません」

 

 

「第一高校はどうだ?」

 

 

「魔法師にとって素晴らしい環境だと思います。少なくとも一科生にとってあの環境で魔法というものを学べることは将来にとっても良いことだろうと私は思っています」

 

 

「いや、そういうことを聞いているわけではない。お前にとってあの環境はどうだ?」

 

 

「私ですか?」

 

 

「ああ、真由美もいるし、来年には香澄や泉美も第一高校に入学することになるだろう。身内が近くにいることでやりにくいこともあるが、いざという時のためにしっかりとお前を守れる人間を近くにおいておきたいという俺の願いを叶えてくれてありがとう」

 

七草弘一という男が息子に感謝を伝えたのだ。

 

 

「父上が私に礼を言うことはありません。私は七草家の人間である以上は当主の言葉の意味も分かっております。それに私という存在を態々、小学校から中学、高校まで入学させてくれた父上には感謝しかありません」

 

 

「私はお前が少しでも暮らしやすい環境になるようにサポートをするつもりだ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「だが一つだけ入学する前に言ったことを覚えているか?」

 

 

「はい、覚えております。私は魔法を行使し、三年間の学校生活を全うする」

 

 

「すまんな」

 

 

「さっきも言いましたが、父上が謝ることなんてありません」

 

 

「お前には三年間苦しい思いをさせることになってしまうだろう。七草という名前を背負っている者の実力ではないと色々言われることもあるだろう」

 

 

「そこら辺のことは大丈夫ですよ。私に才能がないのは自分でも分かってますし、事実ですから」

 

 

「……」

 

この場での七草弘一の姿はまるで普通の父親だ。まるで父と息子の会話。もちろん、七草弘一と七草伊織は実の親子ではあるが、弘一は家族関係が悪いというか関心がない。その男がまるで普通の父親が子供の学校生活を心配するかのような言い方をしているのだ。

 

 

 

 

そして伊織が去った部屋で弘一は独り言を呟く。

 

 

「真由美の魔法師としての才能は高く、妹たちも高いのは疑いようもない。いざとなれば伊織のことをしっかりと守ることが出来るだろう。もしもの時は真由美たちの命が危険になったとしても伊織さえ残っていれば問題はない」

 

 

 

――――――――――

 

部屋に戻ろうとしたところで香澄と泉美の二人が立ち塞がった。

 

 

「あの人のところに行ってたんですか?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

「ボクたちの前でその言葉遣いはしないでよ。ボクたちはただの兄妹だよ」

 

「そうです。私たちはただの兄と妹です」

 

 

「そうだね。ごめん、口調を久し振りに直していたからまだ残っていたいみたい」

 

最近は色んな言葉遣いを使いからたまに分からなくなる時がある。妹や姉さんたちと接する時、父上や十師族の関係者と会う時、クラスメイトと接する時。どれも自分だけど、どれも自分じゃない。

 

最初の自分がどんな言葉遣いをしていたり、一人称が何だったのかすら思い出せない。

 

 

 

 

 

そして僕と妹たちは場所を移して、僕の部屋で話をすることにした。

 

「それで二人はどうしたの、こんな夜に」

 

 

「兄さんが歩いていくのは見えたから」

 

 

「起こしちゃったか?」

 

 

「そんなことありません。ただ兄様の布団に潜り込むために寝静まるのを待っていただけです」

 

 

「そんなことしようとしていたのか」

 

真由美姉さんもそうだが、この家の女性はなんで布団に潜り込もうとするんだろうか、それはいつまで経っても不思議でしかない。

 

 

「なにをお話されたんですか?」

 

 

「普通の会話です。高校でのこととを含めて、これからのことも」

 

 

「そうですか」

 

 

「来年には二人も第一高校に入学することになると思うが、すまない」

 

 

「なんで兄さんが謝るんだよ。ボクたちが行きたいって言っているだけなのに」

 

 

「香澄がそう思ってくれるのは嬉しいが、僕がいなければ縛られることもなかっただろう」

 

 

「そんなことない。ボクはボクの意思で兄さんの側にいたいと思ってるんだ。他の誰から言われたからじゃない」

 

 

「そうです。私も香澄ちゃんもお姉さまも誰から言われたから兄様の側に居る訳じゃないんです。私たちの意思で兄様のことを守るだけです」

 

妹にこんなことを言わせてしまっている時点でダメなんだと思う。

 

 

 

すると泉美が不思議そうな顔をしながら問いかけてきた。

 

「それにしても兄様、学校で何もありませんでしたか?」

 

 

「どういうこと、別に問題はなかったと思うけど」

 

 

「ボクたちの兄さんのことをことをバカにしてきた奴とかいなかった?」

 

 

「いなかったよ」

 

 

「それは良かったです。もし、居たら私と香澄ちゃんで成敗しに行くところです」

 

やっぱりこの妹たちには下手なことを言えない。何か知らない間に実行しに行ってしまうかもしれないから。元々、シナリオでは妹たちがここまで特殊な方向に傾くことはなかったはずなんだが。

 

 

 

その後、さすがに夜が更けていることもあって二人を部屋まで送り届けて寝ることにした。翌日起きたら…二人が布団の中にいたのは言うまでもない。

誰を一番登場させて欲しいですか?

  • 七草真由美
  • 七草香澄
  • 七草泉美
  • 渡辺摩利
  • 中条あずさ
  • 服部刑部少丞範蔵
  • 十文字克人
  • 司波達也
  • 司波深雪
  • 千葉エリカ
  • 北山雫
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