そしてここからはとんとん拍子に話が進んでいき、放送室への立てこもりまで来た。僕はシナリオ通りに全てが進んでいることに安心するとともにこれからのことについて考える。
この後、立てこもった生徒は一旦取り押さえられるが、真由美姉さんの言葉で解放されて討論会みたいなものが開かれることになった。
そして少しシナリオの改変があったことで僕は司波妹さんこと司波深雪さんと向かい合う形でカフェで話をしている。
「それにしてもすごいことになりましたね。司波妹さん」
「…司波妹さん」
「すいません、嫌だったら言ってください。さすがに本人が嫌がるのに言うことはないので」
「いえ、そんな呼び方をされるのは生まれて初めてで」
「慣れてくださると有難いです」
そして僕と司波の妹さんがカフェにいる理由は一つで司波の兄さんの方が風紀委員としての仕事がちょっとだけあり、それを待っているところなんです。僕は関わらずに帰ろうとしたものの、司波の妹さんと会ってしまって誘われてしまった。本当は断りたかったけど、妹さんの目が断る事を許してくれそうにない。
まず誘われるというシナリオ自体がないので改変がどんどん起こっていると考えるべきかもしれない。
「七草くんは人とは話すことがお嫌いですか?」
「そんなことはありませんよ。好きか嫌いかで問われれば好きの部類に入る方だと自分では思っています」
「それは良かったです。私が無理矢理誘った手前お話が嫌いな人だったら申し訳ないので」
いや、どっちにしても申し訳ないという気持ちは持って欲しい。それに司波の妹さんがなぜ僕に話し掛けてきたかも分かっていない。初めて接触を持った日に少し話した程度。知っているのはお互いの名前ぐらい。
そんな相手と彼女が話したいと思う理由が分からない。それに彼女は極度のブラコンだったはず。兄以外の男性に対して興味を持つことは稀に近く、奇跡と呼んでも良い。そんな彼女だから気になる。
「…なぜ、僕のことをお誘いになったのですか?あなたであれば話したいと思う男性は多いと思うのですが」
「そうですね。あなたとは一度深くお話してみたいと思っていました。七草家の三男が入学したとお聞きした日から」
これはウソだ。この人は思っていたよりもウソを付くのが苦手なのかもしれない。そしてこれで分かった。彼女が僕に話し掛けてきた理由……。それは兄から言われたからだ。
僕は司波のお兄さんの前で不可解な言動を起こしたりはしなかったはずだけど、怪しまれていると見るべきだ。そして妹を使って僕の情報を少しでも得ようという作戦かな。
「そんなことを主席に言われるとは僕も嬉しいです。僕もあなたとは少しお話をしてみたかった」
こんなことを得意とするのもおかしいはずだけど、僕はウソを付くのが得意だ。ウソ発見器に掛けられたとしてもウソを付き通すだけのスキルがある。子供の頃から虚言癖だったわけではないが、何かと姉さんや妹たちを巻くためにウソを付くことが多かった。そしてその経験で僕はウソがバレないようにするコツみたいなものを掴んだ。
「それではお話しましょうか」
僕と司波の妹さんはしばらくの間、お互いに話した。
僕たちは端から見たら楽しそうに話していたのかもしれないけど、僕たちは中身のある話をしていない。お互いに笑みを浮かべながらもそれほど親しくない。
ただ中身のない話をずっとしているだけ。
兄さんが帰って来ると妹さんは一緒に帰っていった。僕はそんな二人のことを見送ってから、自分も帰る支度をと整えて帰路に付くことにした。
そして帰ろうと校門を出た辺りで名前を呼ばれて振り返るとそこには北山さんがいた。
「北山さん」
「帰るの?」
「うん、姉さんたちは忙しいと思うけど、僕は生徒会や風紀委員に所属しているわけでもないしね」
それに生徒会の司波の妹さんも風紀委員の司波の兄さんも帰ってはいるけど、それは1年生だからだろう。あんなことが起こった以上は学校側に対しても説明しなくてはならないし、学校側も色々と報告しないといけないだろう。
「一緒に帰ってもいい?」
「別に構わないが、いつも一緒にいる光井さんは?」
「ほのかは用があるみたいで先に帰っちゃって」
光井さんと北山さんは二人で一人なんじゃないかと思うぐらいに一緒にいるので、一緒にいないと少し違和感がある。
「そうか。僕でよければ」
そして北山さんと一緒に帰ることにした。
「七草くんはどんな時でも冷静」
「そうかな。そんなことないと思うけど」
「ううん。だって今日の立てこもりの騒ぎの時も驚いている様子なかったし」
「ただ顔に出ないだけでかなり驚いていたよ」
「そうは見えなかったけど」
「本当に驚いていたよ」
本当に他愛のないような話をしながら帰路に付いているが、北山さんは決して詮索してくるようなことはしてこないので受け答えが楽だ。
司波兄妹と接する時なんて深読みをしてないといつか自分の明かしてはいけない個人情報にまで到達してしまいそうですし。
「北山さんは優秀ですよね。本当に羨ましいです」
「そんなことない」
「謙遜しなくて大丈夫ですよ。北山さんの成績が良いのは姉さんから聞いているので」
「お姉さんから?」
「はい、生徒会長という役職を乱用して生徒の入試成績とかを見ている人なので」
「そ、そうなんだ…」
普通に考えれば絶対にダメなことだけど、バレても姉さんの人気を考えればそこまでダメージがないんだろうと思う。
「次の試験次第では九校戦への出場も内定すると思いますし。選べれた暁には応援にいきますね」
「…うん、ありがとう」
「北山さんの出場しても良い成績が残せると思いますよ」
未来で彼女は良い成績を残すことになっている。僕が応援に行ったところで何の意味もないと思うけど、どっちにしても姉さんが出る限りはいかないわけにはいかないというのが正直なところ。
「まずは選ばれなくちゃ」
「そうだね、頑張って」
なぜか、僕がそう口にした時の北山さんは少し悲しそうな顔をしていた。
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