七草家の三男は全てを知っている   作:主義

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七草家の三男は実験を行う

今日はテロが起こる日。

 

 

 

だが、僕はそんなことを知りながらも誰にも告げることをしなかった。それが正しいことだったのかは分からないが、僕にシナリオを大きく改変する気はないのだ。正直、少しばかりシナリオが変わっているのが気になるところではある。でも、変化と言っても些細なことだ。まだ問題はない。

 

――――――――――――

 

今の僕は留置所に来ていた。そして留置所の中にある何もない大きな部屋で静かに時が来るのを待っている。僕の傍らには妹たちがいる。

 

 

「ごめんね、二人とも」

 

「ボクたちの心配をしなくていいの」

 

「そうです。私たちは兄様を守ることが使命なので」

 

 

本当はこの二人も学校だったのだが、僕がここに来ることになったので休んだのだ。

 

 

 

 

 

そろそろ僕がなんでこんなところにいるのかと言うとこれは『実験』なのだ。僕は生まれた時から魔法適正が低かった。なので魔法師としては落第だし、活躍できない。

 

 

だけど、そんな僕には少しだけ特殊な力がある。僕もこの力のことを言葉に出来ないし、未だに解明が出来ていないこと。

 

 

 

 

 

すると、扉が開いて、看守が拘束されている囚人三人を連れてきた。そしてその後ろには父上こと七草弘一がいた。

 

「それでは」

 

 

「ああ、頼むぞ」

 

そして妹、父上、看守は囚人から距離を取る。囚人の人たちは何をされるのか分かっていないので辺りを見渡している。

 

 

「ごめんなさい」

 

僕は頭の中で目の前の囚人が火あぶりにあっている姿を思い浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそれを数秒続けた後に目を開けると、そこには炎によって皮膚を焼き尽くされ倒れている囚人の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

これは僕の力。魔法の類とは違うものらしい。僕がこの力を初めて使ったのはあんまり覚えていないけど、4歳の頃。子供らしくお菓子がたくさんあったらいいなぁなんて祈ったことがあった。

 

そして次の瞬間にはお菓子の山が目の前にあったのだ。あの時の衝撃は今でも目にも記憶にも焼き付いている。

 

 

 

 

この能力はまだ世界でも発見されてないものらしく、父上は世間には公表しない方針で行くことを決定した。僕はそれに従った。

 

なぜ、僕なんかのために姉や妹が護衛に付いているのかと言えばそれは外界で僕は弱いという点。この能力を表で使うわけにはいかないのだ。そうなると魔法を使えない僕はただの高校生。

 

 

もし、僕を狙ってくるような人間がいた時に一人で対処できないというのが現状。そういう時に僕を守れるようにと父上は護衛がしやすいように姉さんの通っている高校に進学させたのだ。

 

 

 

 

あと僕の想像したことをイメージできる能力は致命的なものがある。それは1日に頑張っても5回程度しか使えないことと、自分の回復はできないという点だ。例えば、僕が怪我をして、怪我をする前の自分を思い浮かべても回復することはなかった。いざという時に自分の怪我を直せないのはかなり痛い。逆に他人の体であれば治すことはできる。

 

「兄さま、ご苦労様です」

 

 

「ありがとう、でも、ごめんね。こんな近くで見せちゃって」

 

妹たちは毎回この実験のようなものに付き添っているのだ。人が死んでいくところを二人は目に焼けつけ過ぎていると僕は子供ながら思っていた。たぶん、今の妹たちは大切な人の死はともかくとして見ず知らずの人間が目の前で死んだとしても動揺しないぐらいの精神状態になっているのだ。

 

 

「いえそんなこと気にしません。兄さまのことを支えるのが私の仕事です」

 

 

「そうそう。ボクたちは兄さんのことを支えるのが使命なんだから」

 

こう言ってくれてはいるが、それが本心なのかは分からない。

 

 

「だが、キツかったら僕の方から父上に言ってみるからいつでも言ってくれ」

 

僕が妹たちとそんな話をしていると父上が僕のところに歩いてきた。

 

 

「今回もお前の能力の一端を目に焼き付けられたことを嬉しく思う。囚人たちを回収して調べさせてもらう」

 

この実験は僕の能力について詳しく理解するため。実験体は囚人の中でも死刑囚に分類される人たち。その人たちを実験体に使って人間相手に能力がどのように発動して、どのような結果をもたらすのかという。いくら死刑囚だったとしても自分の手で一人の人間を闇に葬るというのは慣れない。

 

 

「父上の期待に答えられたのなら嬉しい限りです」

 

 

「ああ、期待に答えてくれた。未だになぜお前の想像したことがなぜ現実に干渉するのかは分かっていないが、それもこれから調べていけばいい」

 

 

「はい、これからも」

 

これからも僕は父上のためにこの能力を使うことになるだろう。

でもそれでいいんだ。

 

そうして生きていくと決まっているのだから。

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