正義と悪の溜まり場“三大裏勢力”   作:石嶋 天冬

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大好きなワンピースの世界で自分の考えたキャラが活動するならこうだ!
時系列などは合わせていきたいので新情報などが出たら訂正・修正予定。
投稿頻度は遅めです。

初めてなので読みづらくてもご了承ください。


第1話:脱獄の世代

 世は、大航海時代――。

 東の海にてとある少年が麦わら帽子を託され、果てなき海へと決意をした頃。

 また、別の場所では新たな歴史の闇を根底から揺るがす、新たなる思想が産声を上げようとしていた。

 

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Side

《インペルダウン》

 

 ここは世界政府が世界中の凶悪犯を収監する目的で、無風の海域“凪の帯(カームベルト)”の海中に築かれた海底の大監獄。

 金獅子のシキの脱獄を唯一の例外にして、『鉄壁』を誇っていたが現在、新たな脅威によって新たな脱獄者が現れようとしていた。

 

 だが、本日。

 その絶対の誇りが、世界政府すら予測せぬ『新たな脅威』の手によって、内側から引きちぎられようとしていた。

 

ズ…ズズズ・・・ッ!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

 

 深海を強烈な地鳴りが、頑強な石壁を、そして鉄の格子を激しく震わせる。

 

「おいおいおい!今の凄まじい揺れは何だぁ!?」

「地震か!?おい、看守!!」

「アホ言え!インペルダウンで地震なんて聞いたことがねぇよ!」

「外で超大型の海王類が暴れてんじゃねェのか!?」」

「海王類がなんで!ここを襲うんだ!?」

「いや待て……まさか、誰かが『乗り込んできた』んじゃ……ねぇか?」

「バカ言え!ここはインペルダウンだぞ!?世界政府の檻に誰が入りたがる!侵入も脱獄も不可能だろ!!」

「おおかた、連れてこられた新入りのバカが騒ぎを起こしたんだろ。派手にやらかしてやがんだろ……!」

 

 囚人たちが口々に怒号を浴びせる。

 だが次の瞬間、それらのざわめきをすべて圧殺するほどの、爆発的な一撃が走った。

 

ドゴォォォーーンッ!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

 

 フロア全体が跳ね上がるほどの、決定的な衝撃。壁に走る無数の亀裂。確信した囚人たちが狂ったように暴れ始め、色を失った看守たちは、悲鳴のような怒号を上げながら慌ただしく上層へと駆け上げっていく。

 

---

Side

《「LEVEL5.5」“ニューカマーランド”》

 

 地獄の隙間に隠された、囚人たちの秘密の楽園。

 けたたましく響き渡る爆音を背に、男が不敵な笑みを浮かべた。

 

「お?合図が来たな……。お前ら、準備は出来てんだろうな?」

 

 暗がりに控える7人の猛者たちが、無言で、だが強者としての意志を宿した目で一斉に頷きを返す。

 

「……世話になったなぁ、イワ」

 

 声を響かせたのは、見る者を圧倒する『異形』の体躯を持つ男。

 3年前に世界の歴史に最悪の衝撃を走らせた「天上殺しの大事件」と言われる前代未聞の事件を起こした人物の一人。

 世界貴族である天竜人3名を拉致し、あろうことか映像電電虫にて世界へ向けて公開処刑を敢行した大犯罪者。世界政府から追われる身となり、当時の海軍本部中将クザンに捕らわれたことでこの大監獄へ永久に囚われるはずである人物である。

 

「ヒーハー!いいのよ、気にナサいな!!ヴァターシはただ見てるだけだったもの。……ま、今回の件でインペルダウンの警備がガッチガチに強化されるのは間違いナッシブル! ヴァターシがいざ動く時にちょおっと困っちゃうかも、ってくらいよ!……ま、出る時考えれば済む話ッチャブルね!」

 

 異形の男に豪快なウィンクを飛ばしたのは、“奇跡の人”ことエンポリオ・イワンコフである。大きな顔をさらに歪ませ、不敵に笑う。

 

「「ルファファファ!そいつは申し訳ねェことをしたな!……3年か?ここで姿を晦まして生き延びられたのはイワのおかげだ。世話になった恩は、イワが出る際に手伝ってやるから勘弁してくれ」

「気にすんじゃないわよ、ルーファン。それよりも、ヴァーナタたちはさっさと行ったほうがいいんじゃないの!?上で暴れてくれてる子は確かに規格外のボーイだけど無茶の限度ってものがあるッチャブルよ!」

「そうするさ。俺たちを3年も閉じ込めれただけでも世界政府にとっては良く頑張った方だろ。まぁ、脱獄されちゃ意味はねぇがな、ルファファファ!」

 

 男はニヤリと、傲慢極まる笑みを顔いっぱいに広げた。

 

  〜〜〜

 “同族殺し”ウィスコール・ルーファン

  懸賞金額:13億6660万

 

  人間離れした容姿を持ち、どの種族にも当てはまる要素を持ちながらどの種族にも当てはまらないことから自身の種族を『異種族』と呼称しており“唯一の種“至高種”として誇っている。  

  今回の脱獄を計画した人物の一人であり、天竜人を殺害した大罪でインペルダウンへ連行された。

  〜〜〜

 

 ルーファンはゆっくりと振り返り、己の背後に従う『世代』の仲間たちを見据えた。

 感謝されたイワンコフは気にするなと肩を叩き、上で脱獄のために襲撃した人物と合流することを急かし、ルーファンは後ろで控える人物たちに向き直ると脱獄を宣言した。

 

「よし……!!お前ら、行くぞォ!!!“脱獄”の時間だァ!!!」

「「「うおおおおおおおおおおっ!!!」」」

 

 地獄の底から湧き上がるような、野獣どもの咆哮。 絶対の檻が、今、完全に崩壊を始めた――。

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Side

《「LEVEL1」“紅蓮地獄”》

 

 そこは、切り刻むような鋭い刃の葉を持つ「剣樹」と、乾いた血の色の草「針針草」が茂る地獄の上層。

 普段なら、囚人たちの絶叫と血飛沫が舞うそのフロアが、今はまったく別の“恐怖”に支配されていた。

 

「ひ、開いた口が塞がらねェとはこのことだ……!!」

「何で……何でここにあの“監獄襲い”が来てるんだァーーーっ!!!」

「ここはインペルダウンだぞ!?奴にとってはそこいらの監獄と同じだと言うのか!?」

「な……なんてデカさだ……!!本当に人間か!?あれは巨人族のそれだろォ!!」

「ひるむなッ!!署長からの指示だ!『奴をこれ以上、下層へ通さなければそれでいい』との事だ!最下層の騒ぎに比べればまだマシだと思えぇ!!」

 

 上層の防衛線を死守すべく、武装した看守たちが次々と集結する。

 だが、彼らが構える銃口も、剥き出しの刃も、目の前の『怪物』を前にしてガチガチと情けなく震えるばかり。誰一人として、間合いに入る恐怖に耐えられない。

 

 看守たちの絶望の視線を浴びながら、その巨躯は不敵に揺れた。

 

「ダーララララ!!マゼランはどこじゃ?シリュウの奴も来ないとは、随分とわしも甘く見られたものじゃのう!」

 

 地響きのような笑い声が、フロアの壁をビリビリと震わせる。

 インペルダウンを襲撃したのは4本腕を持ち巨人族と間違われるほどの巨躯を誇る人物。

 世間では“監獄襲い”として恐れられている人物である。

 巨人族と見紛うほどの巨躯。そして異形の四本腕。

 看守を威圧し、今、インペルダウンの上階への扉の前でドカリと胡座をかいていた。

 懸賞金額は破格の額を誇る大海賊である。

 

「それとなぁ、小僧ども。わしゃあ、これでも純粋な『人族』じゃよ。……ただ、ちーーっとばかりデカいだけの、なぁ!!」

 

  〜〜〜

 “監獄襲い”バアル・ベルゼ

  懸賞金額:13億2500万

 

  いくつもの監獄を「ただの退屈しのぎ」で襲撃しては、凶悪な脱獄犯どもを世へと解き放つ最凶の脱獄請負人。

  かつては歴史に名を残す伝説の海賊団を転々とし、世界を震撼させた大海賊でありながら、その正体はある王国の高貴なる「王子」という奇妙な過去を持つ男。

  〜〜〜

 

「ふ~む?上がってくるまで、ここで待っておったほうが良さそうかのう?……というわけで!」

 

ズウゥゥンッ!!!

 

  座り込んでいた巨大な質量が、一気に立ち上がり、立ち上がると同時に巨大な拳が振り下ろされる。見上げるような圧倒的な絶望を前に、看守たちの悲鳴がこだました。

 

「暇人の、遊び相手にでもなって貰うとするかァ!!!」

 

ドゴォォォォォォンッ!!!!!

 

 看守たちは手も足も出せずに蹴散らかされた。

 署長の到着を願うばかりで、無謀にも挑む者は容赦なく振り下ろされる拳の餌食となっていた。彼らはただ、奇跡を涙ながらに願うことしかできなかった。

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Side

《「LEVEL3」“飢餓地獄”》

 

■↓

 

「お前たちがこの騒ぎを起こしたと見て間違いないな、首謀者はお前か?“同族殺し”ルーファン」

「おい、マゼラン。話し合いに来たわけじゃないだろ。前代未聞の囚人の脱獄だぞ?目の前にいるんだ、やることは1つだろ。」

「黙れシリュウ。今、海軍本部に援軍を至急呼ぶように指示したところだ。不本意だが戦力的にはこちら側が不利だ。囚人どもは枷を付けていない…何とか持ちこたえるしかあるまい。」

 

 LEVEL2への階段前で立ち塞がるのはインペルダウンの最大戦力である監獄署長マゼランと看守長シリュウの2名。

 その二人の前で睨み合いながらも静観しているのは8名の脱獄囚たち。

 

 各々が世界を驚愕させた大犯罪者たちで、天竜人を公開処刑した者たち、世界に消された種族の生き残り、戦争国家の軍団長、犯罪を生きがいとしており過去13回も海軍本部を一人で襲撃した襲撃常習犯、次期海軍大将と言われたが海賊の道へ歩んだ者。

 

「えぇ、毒野郎に刀野郎!?計画では、どっちか一人の予想だったよね?つまり、今の状態は失敗を意味するのかな?!」

 

 元気に答えるのは、脱獄囚の一人で赤黒い角を持つ牛のミンク族で扉の前に立ち塞がるマゼランとシリュウを前に驚きの表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべて臨戦態勢へと移り今にも衝突しそうな雰囲気を感じさせる。

 

  〜〜〜

 “朱牛”のアルマロト

  懸賞金額:10億7564万

 

  とある王国に仕えた軍団長であり“伝説の巨人族の戦士”に憧れを抱き日々鍛錬を積んでいたが、その強さに恐怖した国王によって命を狙われたことで激怒し一夜にして王国を壊滅させ、海軍大将により捕らわれた国落としの犯罪者。

  〜〜〜

 

「アルマロトちょっと落ち着いてよ。ねぇ、ルー?確かにインペルダウンの最大戦力は奴らだけど、私たちの最大戦力は奴らにとっては手出しできない戦力差だよぉ。ふわぁ〜。」

 

 続けて話すのは黒猫の耳を持つ半獣人。

 今にも飛び出しそうなアルマロトの腕を掴み押さえながらも目の前に立ち塞がるマゼランとシリュウを観察し、負けることはないと、欠伸をしていた。

 

  〜〜〜

 “水刀”夜刀クイチ

  懸賞金額:14億9600万

 

  幼少時にルーファンと出会って以降は、頼れる相棒として行動を共に続け、苦楽を共にした仲。

  ルーファンと共に世界を周り天竜人公開処刑の事件に関与した人物の一人。

  〜〜〜

 

「その通り、俺一人でも十分対処できる。毒だけの人間と刀に多少の心得がある程度じゃ俺ら9人じゃ可哀想だろ」

 

 不機嫌気味に話すのは全身に傷跡を持つ、鬼のような人物。

 一人でマゼランとシリュウを相手に出来ると余裕ぶる態度にマゼランとシリュウは僅かに拳に力が込められた。

 

  〜〜〜

 “残鬼”フィン・フィリース

  懸賞金額:12億7400万

 

  既に世界に僅かとされる少数種族の一人である。

  大海賊の船に乗り世界を一時期だが、驚愕させた過去を持ち人知れず行方を暗ませていたが“奴隷狩り”にあったことで仲間を守るために世界政府と敵対し捕らえられた過去を持つ。

  ルーファンとクイチと共に天竜人公開処刑の事件に関与した人物の一人。

  〜〜〜

 

「随分と舐められたものだな。よりによって姿を消していた怪物どもが姿を現したと思えば脱獄を同時に行うなど。お前たちが何処に隠れていたのかを聞く必要があるな。当然、毒の刑罰を受けてもらうぞ。」

「色々と気になることがあるが…異質な面子だな。だが、気になったのは9人という言葉だ。お前ら8人に見えるが、上で暴れている奴がここまで来ると思っているのか?」

 

 マゼランはクイチとフィリースの発言に苛立ちながらも看守長としての責務を全うするために、全身に毒を纏い始め、シリュウは刀を抜き構える。

 看守側が構えるのに対して脱獄囚たちはその場に立ち尽くし、構えることすらしなかった。苛立ちを抑えきれず、シリュウが突撃し始めたが直後に再度、強い衝撃が発生する。

 

ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

 

「また、衝撃か…早急に侵入者を捕えに行かねばならぬな。貴様らには毒の刑罰で…違う!先ほどの衝撃は上から…今の衝撃は下から!?」

 

ミシミシ!バコーン!ザザザザァ!

 

 マゼランが床を見つめたと同時にLEVEL3の床が破壊され巨大な白い腕が這い上がってきた。

 

「その能力は…過去の怪物までもが!お前は牢に入らないから鎖で海底に沈めていたはず。能力者である貴様が何故、海底からここに来られる?」

「グァゴォーゴォ!海の牢は止めたほうがいいな。吾輩のような巨体用に牢を作ったらどうだ?吾輩たちはもう牢に囚われはしないがな!」

 

ズシーン!

 

 床から這い上がって来たのは、巨人族以上の巨体を持つ古代巨人族と呼ばれる種族である巨躯を誇る人物。かつて魔人と争っていた王だが、敗れたことで氷の大地で凍りつき眠っていた過去の大犯罪者。

 

  〜〜〜

 “国追い”のペルフェオル

  懸賞金額:13億

 

  500年前に“古代巨人族”の軍団を率いて世界征服のために暴れ回った大犯罪者。

  魔人に敗れ氷の大地で氷漬けにされていたところを凍結死体と勘違いされ、輸送されていたところ目覚めて逃亡。灼熱の大地で倒れていた所を奴隷商に捕えられ赤い台地から紐なしバンジーをさせられていた。

  〜〜〜

 

ガラガラガラッ

 

 砕けた床によって体勢を崩していたマゼランが起き上がろうとしていたところ、頭に向かって拳が迫っていた。

 

「看守長ともあろう奴らが随分と脱獄囚を放置するものだな!逃げてくださいとでもか?それとも赤い大地の裏の王でも待ってるのかぁ!?」

 

 マゼランを襲ったのは全ての罪を犯したとして世界の頂点である五老星から命を狙われていたが、インペルダウンに幽閉されたことで生き長らえていた犯罪者。

 

  〜〜〜

 “全罪者”スケープ・ゼン

  懸賞金額:12億7200万

 

  過去13回も海軍本部を一人で襲撃し、大損害を与えてきた犯罪者。

  その他にも大海賊の縄張り内を荒らし回り海賊と海軍の両方に命を狙われている。

  驚異的な生命力を持ち、猛毒で満たされた桶の中で一か月間も生きながらえ猛毒を飲み干してインペルダウン内を逃亡した過去を持つ。

  〜〜〜

 

 マゼランに向けて振られたゼンの拳が直撃する寸前、それを抑えたのはシリュウ。

 

ガン!ガキーンッ!

 

 ゼンとシリュウは互いに飛び退くと、再度ぶつかり合う。

 そこに加勢するためマゼランが動くが、そこに脱獄囚側からも1人動き出す。

 

 対峙する脱獄囚とマゼラン。

 

「“黒烏”!貴様までもが脱獄しているとはな!?」

「その名は貴様ら政府が付けた名だろ?その名を没収し別の名を付けたのではなかったか?」

 

 マゼランと対峙するのは、黒と白の翼を背中から生やし翼の縁に蒼い炎を灯す男。

 

  〜〜〜

 “賊墜ち”ガトー・プレリア

  懸賞金額:10億1000万

 

  かつては海軍本部の中将“黒烏”と呼ばれ多くの海兵から慕われていた人物で元大将“黒腕“のゼファーの教え子の一人で次期海軍大将とまで言われた人物だが上納金を支払えなかったという理由で故郷がバスターコールで滅ぼされたことで海軍本部を半壊させて世界政府と敵対する道を歩む。

  〜〜〜

 

ドガーン!ガキィン!

 

 ゼンとプレリア VS シリュウとマゼランの戦いが徐々に激化しいていく中、静観していた者たちは上の階層へと続く扉へ足を動かし始める。

 

「おい、ルー。彼らを放置していいのか?家族なんだろ?」

「ウィスト!その言い方は駄目よ!私たちも家族なんだから。それにあの子達が負けるはずないでしょ?ずぅ〜と檻の中で満足に動けなかったんだから。」

「兄貴、あいつら強えから負けないよ。姉貴も怒らないでくれよぉ。」

 

  〜〜〜

  ウィスコール・メリアラ

  懸賞金額:???

 

  ウィスト、ルーファンの姉で黒い翼に長い手足を持つ巨大な女性。

  〜〜〜

 

  〜〜〜

  ウィスコール・ウィスト

  懸賞金額:???

 

  ルーファンの兄で見た目は魚や獣の特徴に長い首が特徴的な異形の男性。

  〜〜〜

 

「貴様らぁ!外へは出さんぞ!【毒壁(どくかべ)】!」

 

ドプンッ!

 

 扉へと歩む脱獄囚たちに気付いたマゼランは扉に対して毒の壁を生み出し通路を塞ぐ。

 

「あー!毒野郎が扉塞ぎやがった!どうする?穴開ける?」

「待て待て、アルマ。待ちきれなくてこっちに来たみたいだから外から扉を壊してもらおう。」

「上での計画は完了したのか?随分と早いが…あぁ、マゼランとシリュウがこっちに来たから手隙だったか。」

「お〜い!ベルゼ!扉壊してくれぇ〜!ど…」

 

ミシミシッ!ガシャーン!

 

 アルマロトが扉に向かって大声を掛けた瞬間、扉が勢いよく破壊される。

 飛び散る毒液と扉の残骸を避けるルーファンたちであったが、扉を壊した張本人は痛がっていた。

 

「痛たた!毒!?」

 

 扉を毒の壁をごと殴り壊したことで拳に毒が触れてしまい、痛がるベルゼ。

 

「ベルゼ!人の話は最後まで聞け!扉壊すときに毒があるのを伝えようとしたのに先に壊すからだぞ!」

「しばらく我慢だな。…焼けば消えるか?」

「焼いたら毒ガス出ねぇか?」

 

 人の話を聞けと注意するアルマロトの言葉に頷きながらも解毒方法を思考するフィリース。それに対して返事をするも毒の痛みに不快感を出すベルゼ。

 毒をどう対処するか考える脱獄囚たちであったが、毒を食らったベルゼが提案する。

 

「そうじゃ、みなの所有物回収しといたぞ。それにどうせ毒ならばマゼランを気にせず殴れるか?うむ、マゼランはワシがどうにかするか。」

「おい!ベルゼ!一人で納得するなよ。さっさと上に行こうぜ。このフロアは暑いんだからさぁ!」

 

 脱獄囚たちに各々の所持品が戻るなか、毒に侵されていならば自分一人でマゼランを相手にしようとするベルゼ。

 暑さに弱いアルマロトはさっさと脱獄しようと急かす。

 そんな2人の会話を遮るように、ルーファンが言葉を発する。

 

「お前ら!ベルゼが回収したものを受け取れ!ここに置いてあったのは予想外だが、これは幸運と見よう!さっさと脱獄だぁ!」

「みんな、収監時期が違うのに残ってたのは彼女のおかげかな?凄いよね!能力って!」

「俺ら全員能力者だろ…」

 

 ルーファンの指示に従った各々が収監時に没収されていた愛武器を手にしながら、アルマロトが能力者の力に感激している中、フィリースが呟く。

 

 武器を手にする脱獄囚たちを前にベルゼが立ち塞がっていたため動けなかったマゼランとシリュウだが武器を手にしたルーファンたちを再度確認すると各々が武器を手にした瞬間、気迫が変化したことに気付いた。

 

■↑

 

 脱獄囚たちがそれぞれの武器を手にし、フロアの空気が絶望的なまでの覇気で一変した、その張り詰めた沈黙の中。

 

「……おい、マゼラン。どうやら看守の中に、奴らに内通している『裏切り者』がいるようだ。」

 

 シリュウが葉巻の煙を吐き出しながら、低く冷酷な声をマゼランに掛けた。武器が綺麗に保管庫から回収されていたというアルマロトの発言から、看守内部の鼠の存在を瞬時に察知したのだ。

 

「……分かっている。だが、今は目の前の化け物たちを対処するのが先決だ。奴らに勝てずとも、ここから『出さなければ』それでいい……!それに、先ほど海軍本部から正式な返答が来た。……『援軍は来ない』と」

「何だと……?事件か?今まさにここで起きている、歴史上類を見ないこの大監獄の崩壊よりも、優先すべき重要な事件が世界であるってのか?」

 

 シリュウが不機嫌そうに眉をひそめる。問われたマゼランは、苦渋を滲ませた表情のまま、部下から報告された最悪の戦況を共有した。

 

「あぁ……。新世界にて、“天蓋”が暴れだしたそうだ。……海軍には、こちらに割く手出しの兵力が残されていない。」

 

 インペルダウンの大脱獄と完全に時を同じくして、世界各地では大小様々な、世界政府を揺るがす大事件が同時に頻発していた。あまりにも最悪すぎるタイミング。いや、おそらくはすべて、この脱獄劇を成功させるために裏で仕組まれた『連鎖』。海軍が手を回せないほどの大物が動いているという事実に、フロアに戦慄が走る。

 

 常日頃から事件は発生しているが、今回は運が悪すぎるとマゼランは呟きながら海軍が手を回せないほどの大物が動いていると発言した。

 

「あはは!ねぇルー、聞いた?どうやら世界中が、私たちの脱獄を歓迎して大チャンスを作ってくれてるみたいだよ!……でもさぁ、海軍が誰も来ないなんて、ちょっとつまんないなぁ。せっかくなら『脱獄した最強の世代、海軍の大軍艦を壊滅!』みたいな派手な新聞記事にしたかったのにさぁ~!」

 

 二人の会話を盗み聞きしていたクイチが、愛刀を肩に担ぎながら無邪気な願望を口にする。

 各々が武器を構え、完全に臨戦態勢に入った。それを迎撃すべく、マゼランとシリュウもまた、己の武器と能力の出力を最大まで高めて身構える。

 

「よし!!お前ら、目指すは上層だァ!!目の前の障害を、力ずくで取り除――」

 

 ルーファンが突撃の号令を言い切る、まさにその直前だった。

 あまりにも予測不能な行動を起こしたのは、フィリースとベルゼの戦闘狂二人。

 

ザンッ!!!ズバァァァーーンッ!!!

ドゴォォォーーンッ!!!ビシビシッ!!!

 

 各々が、インペルダウンを支える頑強な外壁に対して、一切の躊躇なく最大火力の斬撃と拳打を叩き込んだのだ!強固な壁に、クモの巣状の巨大な亀裂が一瞬にして走り始める。

 

「お、おい……!!フィーにベルゼ!!今、何をしたのか一応聞いていいか!?インペルダウンの外壁を壊さなかったか、お前ら!?ここはまだ、深海の中だぞ!?そんなことしたら――ッ!!」

 

 亀裂の隙間から、猛烈な勢いで海水がシャワーのように噴き出し始めた。それを見たルーファンは顔色を変え、喉が張り裂けんばかりに絶叫する!

 

「――全員、今すぐ全力で逃げろォォォーーーっ!!!」

 

ビシビシビシッ!!ガラララッ!!バコォォーーンッ!!!

ザザザザザァーーンッ!!!ザブゥゥゥーーーンッ!!!ドドドドドッ!!!

 

 脱獄囚たちが一斉に上層フロアへと走り出すのと同時に、外壁が完全に崩壊!

 空いた大穴から、深海の冷たい濁流が、凄まじい質量と鉄砲水となってLEVEL3のフロアへと容赦なく流れ込み始めた!

 

「おいフィー!! ベルゼ!! なんで壁をブチ壊したのか、理由を聞かせろ!!」

 

 濁流から逃れるように階段を駆け上がりながら、ルーファンが呆れ果てた声を出す。

 

「脱獄するのに、これが一番手っ取り早いだろ?俺たちを上へ逃がすか、それともインペルダウンがこのまま海底で水没して崩壊するか……。世界政府に『二択』を用意してやっただけだ。なぁ、ベルゼも同じだろ?」

 

 フィリースが不敵に笑う。

 

「まぁ、大体はそうじゃな。ついでにマゼランの毒で汚れた手を海水で洗えればと思っておったのじゃが、意外と穴が大きく空いてしまった故、洗うのは諦めたがなァ!ガラララ!」

 

「お前らなぁ……!!」

 

 ルーファンは完全に頭を抱えつつも、走るペースをさらに上げた。海底監獄の構造を無視したあまりにもハチャメチャな身内の行動に警戒しつつ、一行はLEVEL2への階段を突き進む。

 一方、背後では、押し寄せる濁流を前にして、さすがのシリュウも普段は見せないほどの焦りを表情に浮かべていた。

 

「おい、マゼラン……!!どうする!?インペルダウンの外壁が破壊されるなんて、一体誰が想像できる!?普通、あんな簡単に壊せるものかよ!?海底監獄の中で壁をぶっ壊すバカが、この世のどこにいるんだァ!!」

「ええい、騒ぐなシリュウ!制御室に連絡!!至急LEVEL3を完全封鎖し、ブルーゴリラどもに資材を持たせて穴を塞ぐよう指示しろ!!サルデスとサディちゃんは、囚人の捕縛よりも穴の封鎖に全兵力を集中させろッ!!」

 

 濁流に足をすくわれそうになりながらも、マゼランは即座に対応策を電電虫で部下たちへ指示していく。

 

「くっ……!!俺とシリュウは、このまま最優先で脱獄囚たちを追う!!LEVEL2への扉を開けろ!!」

 

 インペルダウン側が浸水処理に追われる中、脱獄囚たちはすでにLEVEL2の領域へと足を踏み入れていた。

 

「ガラララ!やっぱり壁をブチ壊して走るってのは、最高に気持ちが良いのう!」

「このフロアの上には、確か扉を守る巨大な『怪物』がいるって噂らしいな。……俺たちとどっちが、本物の怪物か見物だな?」

「ルファファファファ!!そんなの、後ろから必死こいて追いかけてきてる、あの『毒野郎』のほうがよっぽど怪物だろォ!!」

 

 そして、LEVEL2の巨大な大扉を力任せに押し開けた瞬間。

 暗がりの中から、事前情報通りの不気味な大巨躯が、その圧倒的な威圧感とともに立ちはだかった。

 人面羽毛ライオン“SPHINX《スフィンクス》”。

 

「……塩ラーメン」

 

 場違いなラーメンの種類をのんびりと呟きながら、スフィンクスは家屋ほどもある巨大な前足を、プレリアめがけて容赦なく振り下ろした――!

 

■↓

 

「こいつが怪物?見た目だけだな?どけぇ!【真炎(しんえん)】!」

 

ボボオォォ!ドォーン!

 

 スフィンクスの謎の言葉に動じることなくプレリアが火球を放つと直撃し爆発によって燃え上がるスフィンクス。 

 

「ごめーん!」

 

 倒れ伏すスフィンクスを通り過ぎた脱獄囚たちは後ろから迫るマゼランとシリュウから逃げ回る。

 放たれている猛獣たちを一瞥しながら進み続ける。

 

「弱いなあ?放たれている猛獣か?ん?次は何だ?」

「わぁ!デカい鳥だ!お腹減ってるけど時間ないから!【牛頭(ごず)】!」

 

ズドォーン!ズシィーン!

 

 猛獣たちへの評価を口にしながら走るルーファンは予想よりも弱い猛獣たちを酷評していたが、視界に黒い影が入ったことで現れたモノに視線を向ける。

 次いで現れた巨大な鶏。突然変異で生まれた、ニワトリが産んだ蛇。バシリスクだが、現れると同時にアルマロトの頭突きで撃沈される。

 

「動物が邪魔だなぁ、仕方ない。」

 

キィーン!バリバリバリッ!ドオォォン!

ガシャン。バタバタバタ。

 

 現れる猛獣に嫌気を差したルーファンが覇気を発する。

 猛獣や周囲に収監されていた囚人たちが泡を吹きながら倒れ伏す。

 ルーファンたちの後を追うマゼランとシリュウも思わず足が止まり、走り去るルーファンたちを見守るだけという結果となってしまう。

 

「何だ…あいつの覇気……異常だろ…。動けねぇ。」

「“覇王色”…!ごく僅かな者だけが扱える覇気…聞いただけだが……脱獄囚全員は開花させている…と報告は受けている。」

「覇王色を全員!?あいつらに王の資質があるとでも?周りの猛獣どもに向けた覇気に触れただけでコレだぞ…。」

「“王”とは何か…気になるところだがな。まだ、暫く動けそうにない。奴らの脱獄を上に報告しなければならないとは…。壁の修復もしかり、やるべき事が積もるばかりだ。」

 

 ルーファンたちの異常さをシリュウに告げるマゼラン。

 そして、今後の対応について思考し問題点をどう処理するかを世界政府に委ねてもらうことになる。

 

---

Side

《「最上階」》

 

「あちゃ〜こりゃ、派手にやったね。ベルゼ。」

「だ〜れも来んし、暇すぎたからのぉ。猛獣どもはワシを見て逃げ出す始末。帰りはワシ以外を弱いと思ったんじゃないか?」

 

 周囲には倒れ伏す看守と海兵たち。

 インペルダウンを襲撃したベルゼがルーファンたちを待つ間に暇潰しとして相手していたが、全員を倒し手持ち沙汰になったベルゼによる探索というなの破壊活動により荒れ果てていた。

 

「ふむ、ベルゼが乗ってきた船は破壊されているか。海軍の軍艦もボロボロだなぁ…どうする?」

「ここまで来て終わり!?ここにいてもすることないよ!」

「海軍の援軍も来ないと言っていたな。」

 

 インペルダウンの入口て立ち尽くす脱獄囚。

 本来であれば、ベルゼが乗ってきた船で逃亡する手筈であったが、海王類の襲撃や軍艦からの砲撃を受けたことで海底へと沈んでしまったのである。

 更には勢い余って奪うはずの軍艦すらも破壊してしまったことで移動できない状態に陥っていた。

 

「ここで待っていても意味がない。各地での事件に追われ軍艦は来ないと言っていたしな。電伝虫で海軍に軍艦を寄越すように脅すか?他の囚人も解放するぞと言ってな。」

「ん〜?でも、遠くの方に船が1隻だけどこっちに来てないかな?」

「確かに、薄っすらとだが影が見えるな。だが、こちらの状態的にこっちに来てくれるかだが…。」

「俺が飛んで見てこよう。」

 

 海軍に軍艦を持ってくるように脅そうとするゼンと船影を発見したクイチ。

 船影の偵察に向かうとプレリアが言うと背中の羽を大きく広げて空へと飛び立つ。

 

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Side

《海軍の軍艦》

 

「バローメ中将!インペルダウンの方から何かが飛び立ちこちらへ向かっております。」

「うむ。恐らくは脱獄囚の1人だろう。総員戦闘態勢!船と護送中の者を守れ!」

「「は!」」

 

 報告を受けたバローメ中将はインペルダウンで起きている出来事について先ほど本部から連絡が来たことで把握していた。

 凶悪な囚人たちが脱獄事件を引き起こし、現在インペルダウン内は大混乱に満ちている。と報告された。

 ただ、バローメ中将は更に別のことにも注意をしなければならなかった。

 現在、捕らえた囚人をインペルダウンへ護送している最中であったバローメ中将は囚人を解放しようとする他の勢力を警戒しながらインペルダウンへ向かっており、タライ海流に乗ってからは護衛と別れ、軍艦1隻でインペルダウンへ向かっている最中であった。

 

「こんなことなら、護衛を返すべきではなかった。上層部の奴ら、護送している囚人は危険がないだと?ふざけるな1人の少女を薬物実験で廃人へと変え、生物兵器として大虐殺を行わせたのは貴様らの失態だろうに…。」

 

 バローメの苛立ちは誰にも聞こえはしなかった。

 本部から緊急の事件が発生したことで少しでも兵を集めたいと、指示を受けていたことでしぶしぶ護衛を帰していたのだ。

 上からは正義の門を通ったならば他の勢力は追えないだろうと言われたためである。

 

「援軍にしては、甲板上の海兵が少ないな?偵察の船か?……?乗っているのはバローメか?偵察ではなさそうだな。囚人の護送か?だとしたら彼女が乗っているはずか?」

 

 甲板上を確認し思考するプレリア。そして武器を手に待ち構えるかつての友を発見したことで一つの可能性を導き出していた。

 

「トビアがあそこにいるなら救出が先だな。【除吸槍(じきゅうそう)】!」

 

キュイーン!ズドオォー!

 

 軍艦の奪取よりも護送されている家族の救出を優先することで気持ちを切り替えたプレリアは真っ先に障害となる友に対して強烈な攻撃を繰り出した。

 

「プレリア!お主だったか脱獄者とは!貴様が叛逆したことで海軍本部は大混乱だ!お主を慕っていたものは多かった!多くの部下と弟子に慕われ上層部との関係も良好であった貴様が部下と弟子たちに加え中将6名を殺害した事件!更には、天竜人すら手にかけ殺害した大罪!!忘れはせぬぞ!ルミア中将すら手に掛けるとは!婚約し、幸福な人生を歩む直前でだ!」

 

「ッ!バローメ!お前は現場に居なかった!!だから、政府の闇を知らぬだけ!俺が世界政府に受けた数々の痛みを知る筈がないだろ!?」

 

 バローメとプレリア。

 かつて同じ時期に海軍に所属した同期であり、バローメが告げた亡くなった6名を加え、海軍の未来として大きな期待を受けていた。8年前プレリアとルミアの結婚式の3日前にプレリアが突如として姿をが消したことで海軍本部が探索を行い、同期である中将6名、天竜人の遺体と共に発見された。

 

「では!教えてくれ!お前ではないというなら、誰がやった!?」

「今更、教えた所で何になる?罪をもみ消して俺も消すだけだろ!世界平和などいつの時代になろうとありはしない!だから我らは手を伸ばせる範囲に救いを与え、他は破壊するのみ!」

 

 8年前の事件の真相を知りたいバローメと自らの目的に向けて歩み出したプレリア。

 かつて友として過ごした時間が完全に崩壊したことで、激闘が繰り広げられる。

 

ズドオーン!ズバァーン!ガキィーン!

ドドドドドッ!

 

 

---

 

Side

《インペルダウン「最上階」》

 

「プレリアのほうは戦闘が長引いてるか?」

「看守共も誰も来ないし、マゼランとシリュウはどうしたんだろ?」

「暇になっていたところだが、こちらも来たか」

 

ザバババババッ!

バシャァーンッ!

 

 入り口でプレリアを待つルーファンたちの元へ海上から水飛沫を上げながら急接近する影を確認したルーファンに笑みが浮かぶ。

 海中から飛び出してルーファンの前に着地したのはシャボンに包まれた異形の魚人。

 

「メルヴィ!来ないかと思ったが無事着いたようで安心したぞ!」

「ヴィヴィヴィ。赤い土の馬鹿共には話が難しかったみたいで遅れたが、無事に来れた。だが、盗聴用の電電虫やら何やらを付けられている。さっさと外せるか?」

「多少荒くなるが、外せれるぞ。多少の計画の変更はあったが、順調に進んでるな。今、プレリアが脱出のための軍艦を取りに行っている所だ。トビアは軍艦に乗っているらしいからこっちで集まれる奴は集まったと見ていいだろう。」

 

 新たに現れたのは、巨大な蟹の鋏とタコの触腕を持つ四腕四脚の魚巨人。

 

  〜〜〜

 “海の亡霊”ベリーズ・メルヴィ

  懸賞金額:12億3400万

 

  かつてタイヨウの海賊団の一員として英雄であるフィッシャー・タイガーと共に旅した仲間である。

  タイガーの死後はアーロンと共に復讐心に飲まれるがサカズキにより前右足と後ろの左腕を失うことになる。

  インペルダウンへの護送中に珍しい魚人を捕えたと聞いた天竜人の奴隷となり天竜人の命令で聖地から逃げた奴隷を殺す奴隷狩りを行わされていた。

  〜〜〜

 

メキメキッ!ガシャンッ!ボカァーン!

 

 メルヴィに取り付けられていた枷を外したルーファンは枷を上空へと投げ飛ばす。

 上空へと上がった枷は爆発を起こして跡形もなく消し飛ぶ。

 

「ヴィヴィヴィ!いつ見ても恐ろしい威力だなぁ。奴隷として過ごすくらいなら死んだほうがマシだと爆発していく奴らは多い。まぁ、俺は耐えれるが人には難しい話だな。時間は掛かるが、あいつらは必ず助けるぞ。」

「あぁ、上は地獄が広がってるんだろ?下の王たちが上に上がろうとするのだけは理解できんがな。」

「まったくだ。奴らは娯楽で人を連れ去り殺す。世界で殺人を認められているクズ共だ。」

「身体が丈夫だと、色々させられるから地獄だったな。まだ死んでねえのに地獄を体験できるとは恐ろしい場所だ。」

「ルファファファファ!インペルダウンの地獄も上に比べればだいぶマシだ!ここで弱音を吐く奴らは上に行ったら死ぬんじゃねえか?」

「お。あっちも終わったみたいだな軍艦が来る。」

 

 メルヴィがマリージョアに捕らわれた奴隷たちを救い出すことを誓う。

 そして、マリージョアに囚われていた過去を持つ者たちが上での経験を思い返し、インペルダウンをヌルいと酷評する。

 話を咲かせ、盛り上がっている所に軍艦を奪ったプレリアと横で手を振る女性を乗せた軍艦が近づいてくる。

 

「遅くなった。懐かしい顔が居たものだから昔話に花を咲かせてしまったな。すまない。トビアもこの通りだ。」

「みんな!初めまして!こうして顔を合わせると緊張しちゃうなぁ!色々聞いてたし、話してたけど面と向かって会うと何を話そうか迷っちゃう!」

 

 プレリアが連れてきたのは真っ白な病欠気味た肌を持つ女性。

 ただし、見た目とは違い明るい性格で接する彼女はかつて海軍により拾われた孤児であり、世界政府海軍科学班であるシーザー・クラウンによる人体実験でもう一つの人格を有することになった人間兵器であり、戦場で敵味方を関係なく殺害することから世界政府によって破棄が命じられ、インペルダウンにて処分される予定であった。

 

  〜〜〜

 “白肌”サラ・トビア

  懸賞金額:13億1800万

  〜〜〜

 

 軍艦を奪りに行くのが遅くなったことに謝罪するプレリアと合流したことに喜び、はしゃぐトビア。

 トビアが口にしたように彼らの多くは初対面だが、会話はしてきていた。

 故に計画的に皆が集まるように作戦を練り、着実と合流して居たのである。

 

「よし!じゃあ、ゴロツキ諸島へ向けて出発だ!さっさと合流しに行くぞ!」

「「おおぉ!!」」

 

 こうして、インペルダウンからの脱獄者を出した事で隠蔽に走る世界政府。

 僅かな兵力だが脱獄者を乗せた軍艦に対して4隻の軍艦が立ちはだかるが、抵抗むなしく海底へと沈む結果となる。

 世界政府は新聞社に情報のすり替えを行わせるために脱獄者たちはインペルダウンからではなく別の監獄から脱獄したためインペルダウンは依然鉄壁のままであると報じられたが、囚われていた囚人たちがインペルダウンへ幽閉されていたことを知る者が多すぎた事で、情報の隠蔽には失敗。

 ルーファンたちは世界経済新聞社に直接、情報を売りインペルダウン内で起きた出来事をリークしたことでインペルダウンから脱獄者が出たことが、世に知れ渡る事になるが世界政府はインペルダウンの警備体制を強化することを報道し、強固な守りを築き上げることとなる。

 

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Side

凪の海「海上」

 

「グァゴォーゴォ!世界政府如きに縛られる儂らではもうない。」

「脱獄して数日で世界は大慌てだね!各国は僕らの脱獄に対して世界政府に不信感が募るばかり!」

「所々で事件が起きているな!海軍は儂らに対して必要な戦力が揃えられず、野放し!故に対処できる細かなところへあっちらこっちら!」

「これからの時代は荒れるぞ!特に12年後!世界が大きく変わる!偽りなき笑顔のもとで心の底から笑い会い、全ての者たちが手を取り合う理想郷!手を伸ばせる範囲にいる救いを求める声には平等を!外からの侵略には俺達の力を見せつけ対処する!俺等だけの世界!」

「見えてきたぞ。目的地であり、始まりの島。ゴロツキ諸島が。」

 

 インペルダウンから、脱獄して3日目。

 海上にて新聞を眺めながら世界の流れを確認しながら、話し合いをするルーファンたち。

 そして、目的地が見えてきたことで各々が島を見る。

 島は荒れ果て人が住めるような環境ではないのが一目で分かるほどであり、僅かに植物が彩るばかりである。

 そんな島には不釣り合いな影が存在する。

 一つはルーファンたちに向かって手を振る人影が2つ。更には丸長く島の側に浮かんでいる船のようなもの。

 

「お〜い!待ちくたびれてこの天才がガラクタになるかと思ったぞ!」

「パララララ!違いねぇ!俺はミイラになるか?」

 

 ルーファンたちの到着が遅いと文句を言う影は、一つは浮遊する三角形の金属体で各角からワイヤーが伸びて触手のようにウネウネと動いている。

 元海軍兵器で海軍の天才科学者Dr・ベガパンクにより作られたパシフィスタ『セラフィム』の前機であり失敗作。

 

  〜〜〜

 “反響音”バーエル

  懸賞金額:11億

  〜〜〜

 

 もう一人は常人の5倍ほどの巨体と丸くフサフサな尾を持つ者。

 “ビッグ・マム”と覇を競い“偉大なる航路”全域の天候を荒らし廻った天災として恐れられた人物。

 

  〜〜〜

 “高笑い”ソゴリア

  懸賞金額:12億9300万

  〜〜〜

 

「すまないな、2人とも。思いのほか妨害が多くてなぁ。後ろのやつがベルゼとバーエルが作った俺たちの船か?」

「カッちょい〜船?船だよね?真ん丸で帆とか無いけど最新の船はこう言うの?」

「俺たちは基本身体がデカいからなぁ。それに合うように作られればこれほどの大きさにもなるか?」

 

 島に居たバーエルとソゴリアに謝罪するルーファン。そして後ろに浮かぶモノに対して予想していたため聞くと、同じく気になっていたクイチとフィリースが質問する。

 

「その通り!船だが潜水機能を持つ!今はデカいだけの丸い船だが、この船には俺の持つ技術の結晶を集めた!なんせ俺は世界一の天才に作られたからな!反抗期に情報だけを持ち出したが、如何せんいい船を作るにしても材料が足りねぇ!そんな時に声を掛けられたら、話を聞いちまうし素材の提供を受けたなら仲間にもなるさ!」

「ルーファン。この素材は何処から盗ってきたんだ?運べと言われた時は気にしてなかったがよく見りゃエルバフの木に朽ちた船。使い道が分からないモノばかりで余らせてるぞ。」

「そうだ!アダムなんて巨人達の国からどう持ち帰った!?巨人の軍勢は脅威だぞ!」

 

 船について力説するバーエルと船の材料について問うソゴリア。

 そして、“宝樹アダム”の入手経路を問いただすバーエル。

 

「ん?アダム?なんだそりゃ。髭の凄い巨人が土産にくれた木だがそんなに珍しいモノか?船は空から降ってきた古代の船だな。」

「あれは驚いたねぇ。空から島が降ってきたときには空島が落ちてきたと思ったけど、雲じゃなくて土だったからね。“古代国家”サトゥルニアって刻まれてたんだっけ?」

「あぁ。かつては帝国として王を生み出していた狂気の国。俺の呪いも、国が王を生み出すために発見した生物兵器らしいからな。」

 

 2人の問いに土産でもらったものだと答えるルーファン。そして元となった船の残骸の入手経路などを語り、それに続くクイチとルーファン。

 

「古代国家!かっこいいなぁ!それ今もあるの!?見に行きたい!行こう!すぐ行こうよ!」

「空に浮いていた国か。興味深いな。何故、落ちてきたのかも謎だな。」

「おいおい。生物兵器って言葉を聞き逃すなよ。兵器といやぁ、“古代兵器”の入手に繋がる可能性があるぞ!手掛かりがあるかもしれんし、そっちの探索が先じゃねぇか!」

 

 古代国家へ行きたいと言い出すアルマロトと国に興味を持つプレリア。兵器について語るゼンと各々が思想を語り合い、騒ぎ始める。が。

 

「3人とも国には今は行けないぞ。行けても海底だ。それに国を回収する手筈は既に取ってある。かつての恩人に協力してもらっている所だ。」

「あぁ、商船の人よね?サクラボンボみたいな名前の!」

「サクロンだ。俺の大恩人でクイチと出会うキッカケを作った人の一人だぞ。」

 

 3人を諭しながら国のありかを告げながらも、既に手は打っていると説明するルーファンの話に答えるクイチ。

 だんらんと話していると全員の頭に途切れ途切れに声が響く。

 

キィーーン!!

 (み…な!国…数……内に……)

シィーン…

 

「バーエル!船は動かせるか?」

「バッチリだ!積荷も運んであるからすぐ動かせる!」

「お前ら!出航だ!!ストンヘンジ王へ!」

「「「おおぉ!」」」

「じゃあ、ルー私たちはここで解散ね。また、海出会いましょ。」

「俺ら三兄弟で世界を変えるぞ!またな!」

 

 緩やかな雰囲気から一転してすぐさま船に乗り込み始めるルーファンたち。

 全員の頭に響いた声こそが、脱獄計画を円滑にする為に2年間計画を立てていた人物であり、集まっていない最後の仲間。

 そして、メリアラとウィルズは各々の目的のために別れることになる。

 

---

 

Side

アトラス島 ストンヘンジ王国「地下牢獄」

 

「貴様!4日前に何を流した!?誰にだ!海軍か!?」

 

ガシィ!バチィーン!

 

「きゃあ!」

 

 地下牢獄で家族と会話をしていた人物が鞭を持つ男性に髪を捕まれ、怒鳴られるが睨み返すと同時に鞭で背中を打たれる。

 ここは世界の秘密を暴くために歴史の本文を研究している世界政府に加盟するストンヘンジ王国。

 第2のオハラにならぬように研究者は僅か10名に縛り接する者も国王ヘッドとその側近のみと厳重な警備態勢を整えていたが、1年前にヘッドの娘がとある能力者であることが判明してからは娘を独房へ閉じ込め、能力を使っていると疑われた場合は鞭を打ち、何故能力を使用したのかを問い詰めるようになる。

 国王であるヘッドが命じているため誰も反逆などせずに命令のみに従う兵となっていた。

 ヘッドがここまでする理由は娘であるティリアも研究者の一人であり、その優秀さから少しであるが文字を解読できるまでに至る。その都度、ヘッドは娘を褒め溺愛していたが娘が外部と通信する能力を得てからは世界政府に歴史の本文の研究がバレるのではと危惧し次第に娘を傷つけるようになり今に至る。

 

  〜〜〜

 “-”フランリアン・ティリア

  懸賞金額:-

  〜〜〜

 

「ティリア。また能力を隠そうともせずに使用する頻度が多いのではないか?…せめて何処の誰に何の為に会話をしているのか話してくれるぬか?世界政府にこのことを伝えた場合、消されるのは国ごと存在を消されるぞ?何も知らぬ民を巻き込みたいのか?私の娘だから処刑せずに生かしてもらえているが…そろそろ、私の不安がはち切れそうでな既に処刑の準備は整えているのだよ?安心しなさい。民には病でなくなったと、伝えておくよ。」

「国王ヘッド。歴史の本文の研究には私が必要なのでは?無能な研究者では文字を眺めるだけが、限界よ。それに安心して私は家族を救っているだけよ。世界政府に伝えるようなことはしないわよ。まだ、消されたくないもの。」

 

 国王であるヘッドと娘であるティリアの家族とは思えない会話に対して、側で冷や汗を流しながら壁に徹している側近と看守。

 その時、ティリアの口元が上がり笑みをこぼす。

 

「何がおかし…!!」

 

ドゴォーーーン!ギャーー!

 

ヘッドが、口を開こうとした時、地下牢獄に強い衝撃と衛兵が騒ぎ出す声と足音が響き渡る。

 

「な、何だ!何の騒ぎだ!おい、お前!すぐに確認して来い!」

「た、直ちに!」

 

 慌てる看守に対して命令し状況の確認へ向かわせるヘッド。

 

「ま、まさか…。海軍のバスターコール?な、何故…。ティリア…貴様か!」

「国王ヘッド。落ち着いたらどうです?かのバスターコールならば慌てるだけ無駄ですよ。」

「貴様が世界政府に告げたのだろう!この反逆者が!今、ここで処刑してくれる!」

 

 海軍のバスターコールに恐れを抱くヘッドだが、すぐに元凶であろう人物を睨みつける。

 それに対して落ち着いた様子でいるティリアに対して腰から剣を抜き、斬りかかろうとした矢先。

 

ミシィ!メキメキッ!ドガァーーン!ガラガラッ…

 

 突如、牢獄の天井が崩壊し瓦礫が降り注ぐ。

 腰を抜かし、倒れていたヘッドが天井に空いた穴を見上げるとそこから1人の人物が降りてくる。

 

「ティリア!無事だったか!ん?こいつが国王ヘッドか?」

「そうよ、ルー。一応は私の実の父親ね。家族の縁はすでに切られているけどね。来てくれて助かったわ。私が最後よね?」

「父親に対して吐く言葉かぁ?まぁ、俺は父親を殺したがな。ティリアで最後だ。あとは自ずと集まってくるだろう。」

 

 ヘッドを他所に父親について話し始めるルーファンとティリア。

 ルーファンの姿に恐怖し震えるだけのヘッドを、チラリと、確認したルーファン。

 

「さぁ!こんな代わり映えしない場所から出て、自由な海へ行こうぜ!俺らが集まったのはティリアのおかけだ!」

「えぇ、そうね。みんなと会いたいわ。初めましてだもの。」

 

 ヘッドを放置して上へと登っていく2人。

 地上では、怪物たちが不可思議な騎士2人と戦闘を行っていた。

 

「ん?何だ?あいつらと互角に戦える奴がこの国に…違う!お前ら気を付けろ!その二人は神の騎士団だ!雑魚の方だが天竜人でありながら強えぞ!」

「あ!ルー!こいつら私たちの脱獄を知って来たみたい!気を付けて!他にもあと一人いる!」

 

 敵の正体に気付いたルーファンが仲間たちに警告すると同時にルーファンに襲いかかるアフロ頭の騎士。

 

「この国に来たのは間違いだったな!先ほど見てきたが歴史の本文を解読していた国だ!既にバスターコールを要請した!ルーファン!貴様らには逃げ場などないわ!」

「そりゃあ!説明どうもな!神の騎士団の最底辺が来るとは随分と舐められたものだな!最弱のバブロ様よぉ!」

「き、貴様ぁ!あの時とは違うぞ!我らはさらなる高みへ既に至っている!外界で捕らわれていた貴様ごときさっさと殺せば良かったのだ!」

 

 ルーファンと戦うアフロ頭の騎士バブロ。かつては奴隷であるルーファンに対して様々な非道なことを行っていたが神の騎士団に属すだけの力を持つ男。

 そして歴史の本文を解読していた件を上へ報告しバスターコールがかかったことを伝えに来たところにルーファンを見つけたため襲いかかった。

 

ガキィーンッ!ガシィー!

ドゴォーンッ!ズバァーンッ!

 

 ルーファンとバブロの戦いは激しさを増していく。

 また、フィリース達と残る騎士団2人を相手に戦う場でも激しさを増していくが、共通して救出しに来た怪物たちは全員が笑みを浮かべており、騎士団は苦渋の表情をしている。

 

「な、なんだ。こいつらは…くっ。我らは神の騎士団だぞ。なぜ、こいつらは笑い…我々が押されている!?」

「ルファファファファ!そりゃあ当然!俺らが強すぎるだけだ。お前らも周りの奴らに対しては強いんだろうなぁ。だがな…俺たちは全員が集う前に世界から“怪物”と称されてきた本物の怪物だぁ!生まれながらの強さに鍛え上げた強さ!それらが俺らだ!」

「生まれながらの奴隷である貴様が…強い?!過剰になるのもいい加減にしろ!我らは選ばれた強者だ!下界で廃れていた貴様ら塵屑共が我らより強いなど口にするな!」

「視野が狭いねぇ。お前らは血と地位が大事なんだろぉ?だがなぁ…俺らは“種”によるモノと“努力”の結晶だ。たとえ血が高貴であろうと、ただの人間が勝てる訳ねぇだろ!それに感謝しているぞ!俺の異名は知ってるだろぉ?!“同族殺し”!!世界に生息する全ての種に対して同じことが言えるのは世界を探しても俺だけだぁ!!天竜人!?そんなの知らねぇ!俺にとっては同族だ!いくら殺したところで変わらない!」

 

 【一刀流『奥義』食刀(イペタム)!!】

 

ズゴゴゴゴッ!キィーーン!ズバァーンッ!

バキィーンッ!ブシャァーッ!

 

 ルーファン達の異常な強さを訴えるバブロに対して、説明を行うルーファン。

 世界を荒らし回った怪物たちは姿を消し、または捕らわれ世界から姿を隠していた。

 そして現在、怪物たちが一つに集まり姿を現し世界を混乱へと進み始めた。

 

 そして世界政府の三大機関であるインペルダウンに壊滅的な被害を与える大事件を引き起こして数日以内で新たに世界政府加盟国にて神の騎士団を相手に戦闘を行う。

 そして集った者たちの強さは種による力と努力によって得た者であることを明かし、自身の異名について問う。

 “世界に生息する全ての種”に対して同じことが言えるのはルーファンのみ。

 それは天竜人ですらも手に掛けることが出来るという意味も含まれており、バブロに対して斬撃を放つ。

 バブロの攻撃を受けながら過剰な覇気を纏わせた攻撃で、バブロの持つ剣を破壊し斬撃を受けるバブロ。

 覇気を流されたバブロは内側を破壊されたことで意識を失い、倒れ伏す。

 

ドサッドサッ

 

「ん?なんだ。そっちも終わったところか。」

 

 バブロが倒れると同時に残る騎士団も無残な姿で倒れ伏す。

 

「最初は強さに驚いたが、俺たちを相手にするには数が足りなすぎるだろう。俺たちの強さを知らない馬鹿が先走っただけだろう。」

「ガララララ!口ほどにもねぇ奴らだった!アルマロトが一人で戦うとか言い出すからどうなるかと思いきや、時間が掛かりすぎる。数でかかればあっという間だ!」

「うるさいぞベルゼ!こいつら強えって聞いたから戦ってみかったんだ!普通は一対一だと思うじゃん!そしたらあいつら二人で挑んできたんだぞ!ティリアの場所も分からない状態で暴れ回ったら島が無くなるし!本気出せない状態でどうしろってんだぁ!」

 

 騎士団の強さに各々が意見を交わしながらもアルマロトが苦情を申す。

 天竜人が誇る騎士団ですらも敵わない怪物たちを相手に汗一つ流さずに倒してしまう戦力を持つ。

 

ドオォーンッ!ヒュルルルルッ!ボカァーン!

 

 言い合いを始めるベルゼとアルマロトであったが、砲撃音にて皆が音をしたほうに目を向ける。

 視線の先には海軍の軍艦が数十隻砲撃をしていた。

 

「あぁ?そういえばバスターコールを発動していたんだったか?この島は世界から消されるのか!」

「へえぇ。あれが島を消す海軍の無差別攻撃か。意外と大した事なさそうに見えるね。」

「倒れている騎士団の馬鹿どもごと消すつもりか?こいつらも天竜人だろ?」

「いや、戻されるはずだ。死体も戻すのかは知らないがな。」

 

 海に浮かぶ軍艦を前に怯えるどころか、無関心を貫く面々。

 そして足元で倒れる騎士団について問うゼンに対して答えるルーファン。

 

ボボォン!

 

 倒れる騎士団が煙に包まれ消え去るのを目撃した一行は驚愕の表情を浮かべたが、すぐさま海に浮かぶ軍艦へと顔を向ける。

 

「騎士団の次はあいつらか、弱いが数が多いってのは面倒なことだ。」

「吾輩が片付けよう。数には数よ。」

 

 ゼンが軍艦を相手にするのをめんどくさそうに告げるとペルフェオルが動き出す。

 腕を軍艦に向けたペルフェオルの手が徐々に白くバラバラと変化していく中、ルーファンが止める。

 

「相手にするだけ無駄だろ。さっさと船を出すと使用。バスターコールが掛かっているなら奴らは島を消すことを優先するだろ。俺らを追ってきた奴だけ潰すとしよう。」

「島に住む人たちはどうする?このままだと消されるみたいだけど。」

「乗りたい奴だけ乗せてやればいい。近くの島で降ろして我々はゴロツキ諸島へ帰還するぞ。」

「あ、ルーファン。ちょっと待ってもう一人助けたい子がいるの。私の親友なの。」

「ん?そうか、じゃあ俺とティリアで救出に向かうから後は国民を誘導して乗りたい奴を乗せて置け。」

「「おう!」」

 

---

 

Side

アトラス島 ストンヘンジ王国「空中牢」

 

「ティリア。囚われてるってのは…あれか?何族だ?」

「えぇ。彼よ。遥か昔、空の支配者として恐れられ、現在はこの世で1体だけとなった幻鳥。そして私の家族の1人よ。名前はネミール。」

「クオォー!」

 

 ティリアと共に囚われている家族を救出に来たルーファンは檻の中にいるモノが囚われている人物かとティリアに問う。

 その問いに説明しながら答えるティリアと名前を呼ばれたことで叫ぶ巨大な鳥。

 遥か昔に陸海空に生息した生物たちの王とされる獣たち。

 次第に人間が力を得て文明を築き上げ始めたことから、獣たちは追いやられ、一番の脅威とされる空の怪鳥は積極的に狩られる立場となる。

 いつしか、絶滅危惧種として保護されることになるが時すでに遅く。最後の1体となってしまった。

 狩られた側であるため人間に対しては攻撃的で人間には懐かないとされる。

 

  〜〜〜

 “幻鳥”フランリアン・ネミール

  懸賞金額:-

  〜〜〜

 

「ほぉ、ネミールか。初めてるがデカく綺麗だな。…それにティリアを守ってくれたんだろ。その覇気で。」

「クオ!」

「そうか!ありがとな!どうだ?お前も俺たちと来るだろ?俺たちは自由な怪物たち!誰にも縛られることのない者たちだ!」

「クオォォ…クルオオオォォォ!」

 

 ルーファンがネミールに対して感想を述べながら、ティリアを守ってくれていたことに感謝しそれに答えるネミール。

 さらにルーファンはネミールも一緒に来るかと問いかける。

 ネミールは少し悩むように鳴いてから、ティリアのほうを向くと彼女に微笑みられたことでルーファンについて行く意思を伝えるため大きく鳴く。

 

「そうか!じゃあ、その邪魔な鎖を取るとしよう。」

 

キィーン!メキメキッ!ガシャン!

 

「よし!これで大丈夫だ。これからよろしくな、ネミール!」

「あぁ。ティリア共々世話になる。」

「ん!?」

 

 ネミールに着けられていた鎖を破壊したルーファンが声を掛けると見知らぬ声が返ってきた。

 声のした方を向くとネミールがおり、頭を悩ますルーファン。

 そっとティリアの方を向くとイタズラが成功したかのように微笑み笑い出す。

 

「ふふふ。今のはネミールよ。同じ悪魔の実の能力者なの。頼もしい能力であるけど、私はお喋りできることの方が嬉しいわ。」

「いかにも、俺の悪戯だ。だが、鎖がついている間は喋れぬのだから仕方ないことよ。まぁ、言葉は元々分かるが能力のおかけで喋れるのは良いな。」

「こりゃあ一本取られたな!驚いたぞ!ルファファファファ!見た感じは動物系の能力者。それもヒトヒトの実か?モデルは分からぬな。」

 

 イタズラに成功したことに対して微笑むティリアと言葉を発したネミールは人型へと変身する。

 変身したネミールを見て能力の考察に入るルーファンは予想を告げた。

 

「随分と悪魔の実に詳しいのだな。そう、ヒトヒトの実を

食った鳥…となるのかな?それにお主のことはだいぶ分かった。面白い生き物だな。」

「ん?そうか?面白い…か!そりゃあ良かった!仲良くしてくれ!あぁ!他にも仲間が…」

「あぁ、下の者たちだろ?フィリースとクイチ…ベルゼにアルマロト…多いな。すぐには覚えられそうにないな。」

「……は?何故、名前を知っている?ん?教えていたか?」

 

 ネミールが下にいる仲間たちの名前を言い当てたことに対して驚き、伝えてあったかを問うルーファン。

 

「あぁ、俺の能力による力だ。考え事とか分かるぞ。つまり俺には嘘が通じない。それだから、ティリアを任せられると読んだんだ。」

「ほぉ、恐ろしい能力であり頼れる能力だな。能力は使う側によって化ける。俺たちは能力も強いからな。奪うために命を狙われることになるが、俺たちは家族だ。家族を危険に遭わすやつは皆殺しだ。ネミールもあまり能力は周りに告げないほうがいいぞ。慢心は敵だ。」

「ふ。思想も面白いな。まぁ、多少疑えるだけのほうが真実味があって俺は好きだ。考えが読めても動けなければさっき見たいに捕らわれるだけだからな。いい経験だったと思い次へ生かすさ。」

 

 自身の能力を告げるネミールに対して、その能力の恐ろしさを理解したルーファンだが同時に頼もしい能力でもあると告げる。

 考えが分かるということは、相手よりも上位に立ちやすい。

 相手がどう行動するか予想するよりも、分かるほうが動きやすいのは明確。

 だが、ルーファンは能力に頼りきって騙されることを危惧した。

 そして一度能力によって捕らわれたネミールは能力に頼り切ることは止めて、次は同じことを起こさないように告げる。

 

「ふふ。そろそろ下に戻ってこの国から去りましょう。下も随分と変わり果ててしまったわ。」

 

 話し合いを行うルーファンとネミールに対して島を出ることを告げるティリア。

 ネミールとの話し合いで島は海軍による集中砲火によって燃え上がっていた。

 

「おぉ?海軍の仕事は早えなぁ。島の半分が壊滅か?確かに、この国に居る理由がもうない。さっさと降りて出航だ!」

「ティリア、俺に乗れ。」

「えぇ。お願いね。」

 

 ルーファンが降りようとしたところ、ネミールがティリアを背中に乗せるのを見たルーファンの頭にひとつの案が浮かぶ。

 ニコニコ顔になるルーファンを見たティリアは首をかしげるが、思考が読めるネミールは嫌そうな顔を浮かべた。

 

「おぉーーーいっ!お前らぁ!船を出せー!俺らは飛び乗る!」

 

 大声で下に居る仲間たちに声を掛けるルーファンの言葉を聞いたバーエルは船へと飛び乗り船を動かし始める。

 それと同時に船の近くに集まっていた仲間たちも船へと飛び乗る。

 

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Side

アトラス島 ストンヘンジ王国「ルーファンの船」

 

「聞いたか?船を出すらしいぞ。バーエル出航だ!」

「ソナナナナ!全くもぉ。待ってたらこれだぁ。だから船だそうって言ってたんだ!」

「グァゴォーゴォ!全くじゃ。船長命令じゃからさっさと船を出すとしよう。」

「乗りたい奴も乗っただろ?海軍とは、また後で遊ぶとしよう。」

 

 下で待っていたフィリースたちはルーファンからの指示に従い動き出す。

 バーエルは文句を言いながらも船を動かし始め、ペルフェオルは船長の指示だとしてその巨体で船を海へ押し始める。

 ゼンは対岸の軍艦を眺めながらも遠ざかる船へと飛び乗る。

 

「「おぉぉ~!」」

「だから嫌な顔しただろ!俺もデカいがお前もデカいんだから!ティリアが窮屈だろ!」

「いいじゃねぇか!たまには俺も他力本願で飛びたいと思うことだってあるだろぉ!」

「ふふふふっ。いいじゃない、ネミール。これからも乗せることになるかもよ?」

「それも嫌だぁ!ってかティリアー!何故そっち側なんだ!?」

 

 空から飛んでくる巨大な怪鳥の背では同じく巨大な異形の人影と小さな影が楽し気に会話をしていた。

 嫌がるネミールと笑うルーファンとティリア。

 ネミールが船へ降り立ち、背から降りるルーファンとティリア。

 

「よおぉし!全速で近くの島へ向かうぞ!物資の補給を行い、乗っている奴はそこで降りるんだ。」

「助けたのは、気まぐれだ。この幸運を生かすんだな。」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 国を捨て逃げ出した国民たちはルーファンたちに礼を告げる。

 人々が助けて貰ったことへの感謝を述べるが、その大半は国への不満で溢れており、民に秘密で世界の禁忌を犯したことで死にかけたことに対しての怒りであった。

 

 ストンヘンジ王国を後に進む船。その船には真っ白な帆だけで模様は描かれてはいなかった。

 

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Side

凪の海 ゴロツキ諸島

 

 道中、島々を巡り物資の補給とストンヘンジ王国の元国民たちを降ろしながら進んだ船は拠点とするゴロツキ諸島へ帰還していた。

 

「ふぅ~。島々を巡るのは楽しいが、長く海にいると疲れがたまるなぁ。」

「ソナナナナ!海の上じゃ、研究できないからなぁ!船にも設備着けていいかルーファンに聞くかぁ。」

「ディダダダダ!ただでさえデカい奴が多いのに、これ以上は船を作り直すことになるぞ!」

「あ!だったら、もう一隻船を造れば?材料は余ってるんだよね?研究施設を積んだ研究船!カッコいい!!」

「おぉ、新しい船かぁ。いいコツねぇ。何なら一人一隻とかでもいいコツでは?」

「バァカモノ!船を造るの我とベルゼだぞ!いくらワシが天才で優秀な研究者に作られたからと言ってそんな簡単に作れるかぁ!今回は皆が集まるのに十分な時間があったから我の考える最強の夢の船をベルゼと共に創り上げたんだ!」

「ん~?ねぇ、さっきから船って呼んでるけど船名はないの?それに僕たちの海賊団の名前とかも未だに知らないんだけど。」

 

 島に着き各々が過ごす中、集まっていたソゴリア、バーエル、ベルゼ、ゼンが話し合っていた。

 新たに船を造るように話すソゴリアとゼンだが、それに猛反対するバーエル。

 そして、色々と名前を知らないことに対して疑問を持ったソゴリアが更に海賊団としての名前も未だに知らないことを思い出す。

 するとそこに散っていた仲間たちが集まり始める。

 

「おぉ?ここに居たか。これからとある国に行くことにしたぞ!なんでも大宴会があるらしい!そこで盛大に祝おうじゃねぇか!」

「ティリアが招待状を持ってたの!だから、皆はお客さんとして行くのよ?いいわね?」

「鎖国気味の国だったけど、政府にバレないようにするために色々と国友関係はあったのよ。」

 

 集まったルーファンが開口一番に大宴会へ行くことを告げ、クイチとティリアが招待状について告げる。

 

「おい。ルーファン。質問があるんだがな、俺たちの海賊団の名前や船の名前ってあるのか?俺たち未だに無名の海賊団だろ?」

「海賊団の名前は既に決めてあるぞ!だが、お披露目は宴会場でだ!船の名前は…あれ?バーエルとベルゼが付けたんじゃないのか?造ったのは二人なんだから決めていると思ってたんだがなぁ。」

「なにぃ!?我が名前を付けていいのか!?じゃあ、決まっているぞ!コタンカル・ラックル号だ!」

「へぇ、コタンカル・ラックル号か。名前の意味とかはあるの?」

「ん~?古い文献に乗ってた想像の神の名らしい。どこかの村の子供たちが考えたとかじゃないかぁ?」

「ほぉ、神の名か。想像でも神の名は良いことだ。」

 

 ソゴリアがルーファンに対して聞きたいことを問うと海賊団の名前はお披露目時に発表することを告げ、船の名前は既に決まっているモノだと思っていたと告げるルーファン。

 そしてバーエルが想像の神の名を付けたことで“コタンカル・ラックル号”へと船名が決まった。

 

「じゃあ、船の名前も決まったことだし出航するとするか!」

「おいおい!色々お預けにし過ぎだ!行先ぐらい告げてくれよ!」

「ありゃ?まだ、行先言ってなかったか?悪いな。」

 

 船に乗り込む、ルーファンに対しソゴリアが文句を言う。

 

「大宴会を行うのは“音楽の都”エレジアだ!そこで我々は海賊としての旗を上げるぞ!」

「「おぉぉ!」」

 

 謝るルーファンが行先を告げ、それに答える仲間たち。

 次の行先はエレジア。

 行った先で一悶着があるとは今は誰も知らなかった。




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