インペルダウンから脱獄したルーファン一行は、大宴会を行うために音楽の都として栄えるエレジアへと向かっていた。
「お?見えてきたよー!綺麗な島だぁ!」
「ほぉ、あれが音楽の都か。既にいい音色が聞こえるなぁ。」
「長かったねぇ。ほかにも船が停まってるなぁ。海賊旗も見える。」
島が見えてきたことで喜ぶトビアに目を閉じて音楽を既に楽しんでいるフィリース。
そして、他の船が停泊していること告げたクイチは海賊船も停泊していることを続けた。
「お前ら!ここにはお披露目と同時に大宴会を目的に来てるんだ!問題は起こすなよ!」
「向こうから突っかかってきたら、ぶちのめして良いんだろ?」
「まずは、船長である俺を通してくれよ。そこいらの下等な海賊共と同じなんて止めてくれよな。」
「俺も注意しておくさ。馬鹿が騒がないように見張っておくよ。」
ルーファンが忠告を行うが、ゼンが先に手を出さなければ暴れてもいいと意見するも再度、ルーファンが告げたことでやれやれと頭を振るゼンとルーファンに同意してプレリアも周囲に気をかけておくことを告げた。
しばらく船が進み島に近づくにつれて停泊している船の海賊旗の詳細が分かるようになる。
「あの旗は…赤髪海賊団の船か?優秀な奴らだと聞いとるのぉ。ダーラララ!」
「赤髪?」
海賊旗を見てベルゼが海賊団の名前と評価を告げ、ルーファンが聞き返す。
「海賊王の船に乗っていた見習いだな。昔、一度だけ会ったことがある。」
「なんだフィリース。知り合いの船か。なら問題は起きないな!それに海賊王のクルーか…誰が乗ってる?師匠が言ってた奴らか?」
ルーファンの問いにフィリースが代わりに返事をし出会ったことがあることを告げると、ルーファンは知り合いであることを知り、安堵しその後に発した言葉は小さく周りの者は聞き取れずに居たがクイチだけが無言で頷いていた。
「3日3晩戦った仲だ。」
「「敵対関係かよ!」」
が、次に発したフィリースの言葉にルーファンたちが一斉にツッコミを入れる。
「俺が“白ひげ”の船に乗っていた時に一度だけあったことがある。向こうは海賊王の船に乗っていた。そういえば赤い鼻の奴と一緒にいたなぁ。」
「海賊王の船に!?そりゃ、大物だなぁ。いや、見習いだったなら対して強くないのか?だが、今や海賊団を率いてるってことは確かに優秀なんだろう。」
フィリースが当時の状況を思い出しながら懐かしみ、アルマロトが相手の素性に驚愕しながらも自身で勝手に納得する。
「いやいや、フィリース!あんた白ひげの船に乗ってたのか!?そっちも驚きだよ!」
「昔の話だ。知られていると思ってたんだが知らなかったのか。」
だが、ゼンはフィリースが白ひげの船に乗っていたことに驚愕を浮かべ、フィリースが平然と答える。
「フィリースが白ひげの船に乗っていたのは有名じゃったぞ。何年前じゃったかなぁ…。17年程前か?突如、白ひげ海賊団の2番隊副隊長として名乗りを上げ、当時はだいぶ新聞で話題になっておったぞ。まぁ2番隊隊長のほうがより話題になっていたがな。ゼン…お主もしかてだが、新聞を読まんじゃろ?」
「新聞なんて誰が読むんだよ。あんなもの読まなくても聞けばいいだろ?それに聞かなくても周りが騒いで勝手に聞こえてくるぞ?…いや待て、17年前?そんぐらい前は確か…俺はビッグマムの所で捕らわれてて…それからは、海軍本部を襲いまくってたからなぁ。俺じゃなくて新聞読ませなかったビッグマムが悪いだろ!」
ベルゼが当時の賑わいを告げ、ゼンに新聞を読んでいないことを確認すると新聞は読んでいないと宣言するが、捕らわれていたため情報を得られなかったとビッグマムに対する怒りを露にする。
「落ち着け。それにしてもうちは驚く出来事をたくさん経験しているんだな。突けばまだまだ面白話が聞けそうだが、藪を突き過ぎると命にかかわるからな。今は音楽を聴いて心を休ませようじゃないか。」
プレリアが興奮するゼンを宥めながら、皆が秘めている話に興味を持つがすぐさま他人の心を暴こうとするのを止め、本来の目的へ話題を戻す。
「そうだぞ、お前ら。話があるなら海賊団を結成してからだ!家族に秘密は付き物だろぉ。話してぇ時に話せばいい。この先、時間は沢山あるんだ!」
「そうだね。ちょうど着いたし楽しもう!大宴会だぁー!」
ルーファンが宣言するとクイチが船を飛び降りてエレジアの地を踏むと走り出す。
その後を続くように船を降りるルーファンたち。
島に居た者たちは降りてきた異形の集団を見て遠巻きでヒソヒソと話し始めたり、嫌な顔をして離れて行く者と別れる。
そんな中、近づいてくる4人の人影にクイチが気付く。
「嬢ちゃん。ちょっと良いか?何しにここへ来た?」
「おい、ヤソップ。聞き方が悪いぞ。すまないな、嬢ちゃん。嬢ちゃんらはアレだろ?インペルダウンからの脱獄者。そして国を一つ消した…違うか?」
「お頭も変わらねぇよ。俺たちが聞きてえのは、この国に攻め入るために来たのかの確認だけだ。」
「随分と化物たちが出てきたじゃないか。それも国を一つ潰して来たとくれば誰だってアンタらを警戒するさ。」
近づいてきた人物、ヤソップと呼ばれた人物はクイチに対して国へ来た理由を聞き、赤髪の人物も同じように問うが警戒心をむき出しにしながらのため、言葉が強くなっている。
その二人に続いて肉を片手に簡潔に問う人物と、銃を背負い煙草を吹かしながら近づいてきた人物が正直に答える。
「何よ!あんた達!まず、誰?名乗りなさいよ!見た目変だけどこの国の兵士とか?」
上からの言葉に苛立ちながらクイチが反論すると背後から声がかけられる。
「随分と口が偉くなったものだな。赤髪。見習いごっこから海賊ごっこか?うちの仲間に対して偉そうにするなよ。」
「ふ~む?所詮は情報ということか?新聞ばかりじゃと正しいことも誤りに考えてしまうのう。ゼンが新聞を読まない訳じゃな。」
「おい、ベルゼ!今、馬鹿にしたな!?さらっとヒデェこと言ったぞ!…まぁ、いい。こいつらが赤髪海賊団?確かに優秀だが…中身はダメだな。」
「国を消して欲しいなら、正解だな。まぁ、向こうの言い分も分かるさ。俺たちが船から降りてきたら誰でも警戒するのは当然だろう。強者の特権…という奴だな。」
クイチの元へ合流したフィリースが喧嘩腰に問いかけると続くようにベルゼが答えさらっとゼンを馬鹿にする。馬鹿にされたことに反論をするゼンだが、すぐに赤髪海賊団のほうへ顔を向けて実力を測る。
最後にプレリアが、どちらの対応も正しいと主張するが最後に言葉を付け足す。
両者の間で険悪な空気が流れ始めた所に陽気な声がかかる。
「お前ら!言ったはずだぞ!問題を起こすなって!?それよりも見ろよ!漁師のおっちゃんが旨い魚を分けてくれたんだ。ここにはお祝いを兼ねた大宴会に来たって伝えたらなぁ、この魚をくれ……あぁ?そのツラは…テメェ!!」
「ルー?どうした?知ってた顔か…って!!待て!止まれ!」
笑顔で駆けつけたルーファンの腕には大小様々な魚が入った布が抱え込まれていた。
だが、ルーファンの笑顔はつかの間に鬼の形相へと変貌し魚の入った布を落とし、武器を両手に持ち赤髪の男に斬りかかる。
慌てて抑え込もうと動いたフィリースだが一瞬遅く二人の斬撃がぶつかり合った。
「しつこい奴だなぁ!?【二刀流『極意』
「お前なんて知らんよ!!ぬぅ!」
ガギィィィーンッ!ビリビリッ!
ドオォーーンッ!
ルーファンとシャンクスの武器が触れずに衝突し強力な覇気がせめぎ合い、行き場を失った衝撃が周囲へと拡散される。
「テメェが何故ここに居る!?次の標的はこの島ってか!それとも俺が逃げたと聞いて待ち伏せかぁ!?」
「おいおい。いきなり斬りかかられて、驚いているというのに間髪入れずに質問攻めか。悪いが俺はお前を知らないぞ。あぁ、新聞などでは見たことはあるぞ。随分と有名人らしいな。……だが、気に触る言い方にこちらも少々気が立っている。」
「俺を知らねぇ?ふざけるなよ!お前の遊びが一番堪えたぞ!」
「だから言っているだろ。お前のことは知らないと、何度でも言うぞ。」
何度も激突するルーファンとシャンクスの持つ武器と武器が衝突するたびに怒声と冷静な声がかけられる。
「……本当に知らないのか?そっくりさんだと?双子か?確かにあいつのような見下した感じは感じねぇ。人違いだったみたいだな。すまねぇな。」
「ふぅ、見た目通りの強さだなぁ。せっかくの娘の大事な場だってのにこれ以上はぶち壊される所だったよ。」
「娘…?あいつにゃ…居ないよな。そりゃあ、すまなかった!いやぁ、憎い顔のアイツにそっくりでよ。この通りだ。」
だが、次第にルーファンの勘違いで会ったことが分かったことで両者は武器を納める。
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Side
《エレジア 音楽ホール》
「ルファファファファ!おい、シャンクス!お前いける口だなぁ!釣りのおっちゃんがくれたこの魚の塩焼きがうめぇぞ!」
「お!本当か!俺にもくれ!ん〜!美味い!酒が進むなぁ!」
「いやぁ、それにしても師匠が言ってた通りのヤツだなぁ!本当に悪かったな!」
「いやいや、まさかおでんさんを知ってるとはな!海は広いようで狭いな!」
船長の二人組が仲良く酒を飲む様を眺めるのはフィリースとプレリア、ヤソップとベックマン。
他の者たちは既に出来上がって眠る者や大食い対決を行ったりと、思い思いに過ごしていた。
「本当にさっきまで、殺し合ってた仲かよ…。酒を呑み交わせば友達ってか?」
「いいじゃないか。互いに殺し合いに来たわけじゃないんだ。娘さん…だったか?大事な場だと聞いているが、具体的にはどうなんだ?この国ってことは歌に関する系だろ?」
「あぁ。この国で英才教育を受けれるって話だったが俺達と一緒にいると言ってくれてなぁ。ありがたい話だが断っていたところだ。だが、代わりに歌を披露する事になってな。準備やらをしていたら船が近づいて来てると報告を受けてな。海賊旗を掲げていなかったが乗ってる巨体が目に見えてな。話題の凶悪な脱獄囚と分かれば警戒しに行くさ。」
「ははははは!そりゃ、悪いことをしたな!海賊旗を掲げていないのには訳があってなぁ。船長が大宴会の際に発表してくれることになってたのさ。つまり今はまだ無名の海賊団だ。」
「ほぉ、無名ってのが一番怖いねぇ。何処の誰とも分からないやつに襲われる身としてはたまったもんじゃないな。」
ヤソップが楽しげに飲み食いをしながら話に盛り上がる2人を見て呆れ、プレリアが答えながらも赤髪海賊団がこの島にいる理由について聞き返す。
ヤソップが国に居た理由を説明しながら、突如現れた船とその船に乗る人影について応え、フィリースが船に旗を掲げていない理由を告げる。
そしてベックマンが怖い怖いと脅えるような仕草をし、四人は笑い出す。
場所は移って女性が集うテーブルでは、クイチとトビア、ティリアに加えて小さな少女が楽しげに話していた。
「ねぇねぇ、ウタちゃん。何でそんなに歌が上手いの?秘訣ってある?私も歌を歌うのに憧れてるの!今は下手っぴだけど何れはこの海でも、有名な歌手になりたいんだ!」
「トビアさんは綺麗な声なんだから、すぐに上手に歌えるようになるよ!それにしても、みんな姿はバラバラだけど可愛いんだから皆で歌を歌おうよ!」
「まぁ、ウタちゃんも将来は私達みたいな大人になれるわよ!でも、海賊はあまり向いてないんじゃない?」
「こら、クイチ。駄目でしょ。ウタちゃんは赤髪海賊団の音楽家なのよ。うちにも欲しいわね。トビアさんが歌を勉強したら凄い音楽家になりそうね。2人とも。音楽家の卵ね。」
先ほど、シャンクスから紹介されたことで女性同士のほうが気が楽だろうと女性同士で会話をしだしたクイチたちはあっという間に仲良くなり、シャンクスの娘であるウタにメロメロであった。
そしてトビアに至っては音楽家を目指すための師匠のような存在となり、今も一緒に歌を歌い練習をしていた。
クイチはウタに対して将来を描かせながらも海賊には向いていないのではと問うが、すかさずティリアが叱りウタとティリアの将来を思い描き微笑みを見せる。
さらに違うテーブルでは、運ばれてくる食事を騒がしく食べる者たちの喧騒が飛び交っていた。
肉を片手に空いた手でさらに食事を口へ運ぶルウと並ぶアルマロトは負けじと食事を口へ運ぶが、限界に達して椅子にもたれかかる。
席の反対では静かに食べるゼンと共にドクロのバンダナを着けた人物ライムジュースと左目の上に斜めでついた傷跡がある人物ホンゴウの3人が静かに会話をしていた。
「ほぉ。インペルダウンではそんな事が会ったのか。やはり、政府は情報の操作をしていたか。だがまぁ、出た奴がなぁ。インペルダウンに居るはずの奴が別の場所にいつの間にか移されてた何て信じるのは少ないんじゃないか?」
「政府にとっちゃ、信頼のほうが大事だからな。金を回して世経に情報操作を依頼するのは珍しくもない。だが、あそこの社長はたまに爆弾情報を載せるから面白い。いつか消されてもおかしくはないが、情報を持っているのはモルガンズのほうだ。自分が消されるなんて情報は筒抜けだろう。」
「ほぉ、俺は新聞を読まないからなぁ。意外と読んだほうがいいのか?奴の情報とか載ってないか?ん〜。まぁ、気が向いたら読むか。」
「はははっ!それは読まないやつのセリフだぞ。誰か探してるなら手伝うぞ?」
「ガラララ!それは大丈夫だ。教えたらお前らも命を狙われるぞ!インペルダウンに居たおかけで何とか命が繋がってたが、今となっちゃ出て正解だ。頼もしい奴らとも出会えたしな。上の戦力も確認できたし、数で来られねぇ限り大丈夫そうだ。」
ライムジュースが新聞に載っていた情報が何処まで真実なのかを確認したところ、情報操作が行われていたことに納得する。
何れも新聞に載って世界を恐怖に陥れた人物たちが、インペルダウンへ連行されたことに世界中が喜びあっていた。
それが世界で最も脱獄不可能とされたインペルダウンから人知れず運び出され、脱獄されたことに対して政府への怒りの声が上がっていた。
更には海兵の一人が町中で真実を話してしまったことで世界政府が情報操作したことが瞬く間に広がり、インペルダウンから脱獄者が出たことに対して恐怖していた。
そして、ゼンが探している人物を探すのを手伝うと伝えたホンゴウであったがゼンは自身が探している人物を知れば命を狙われると警告しながらも頼もしい仲間が出来たことを告げながら、刺客の強さに対して酷評する。
大宴会はアレやコレやと盛り上がる。
そしてウタが歌を披露するため酔い潰れて眠っていた者たちも起き始める。
そして、全員が揃ったことを確認した突き出た頭にヘッドホンとサングラスを着けた人物が前に歩み出て喋りだす。
「皆さん、お集まり頂き誠にありがとうございます。このエレジアの国王をしております。ゴードンと申します。赤髪海賊団の方には既に紹介しておりますが、後から来られた方々にはまだご挨拶が出来ていないためこの場をお借りし致します。」
「これはご丁寧に。ゴードン王、お初にお目にかかる。この集団を率いるウィスコール・ルーファンです。この度は私の仲間であるティリアが招待状も持っていたので我々の海賊団の結成の祝いも兼ねてこの島へやってまいりました。」
「えぇ、ストンヘンジ王国のことはお聞きしました。既に地図からは消えてしまいましたが…国民の方を助けていただいたとか、同じ民を導く者として感謝致します。既に何名かストンヘンジ王国から来た者がいますので、彼らからは海軍の砲撃から家族を救ってくれたと非常に感謝されておりましたよ。」
「ルファファファファ!この国に来ている者も居たのか!元気であるならば結構!住んでいた国が無くなるのは辛いが新たな生活に手を貸してあげて欲しいゴードン王。」
「えぇ、もちろんです。この国に来たならば常に音楽が鳴り響く生活をお約束しましょう!」
国王ゴードンとルーファンが互いに紹介を行い、エレジアへやって来たストンヘンジ王国の元国民が感謝していたことを告げるゴードンに、エレジアに来ていたことを知ったルーファンは驚きながらも国民を手助けしてほしいことを伝え、それを了承するゴードン。
「ゴードン王、少しいいかな?せっかく皆が集まっているので少々私からもお伝えしたいことがあるのだが。」
「おぉ、もちろん。お披露をしたいそうだね?まぁ、海賊のお披露目を喜ぶのもどうかと思うが、海賊にも色々あるのはよく知っている。君たちは喜べる海賊団ということさ。」
「ルファファファファ!それはありがたい。器の大きな国王で何よりだ。では、お披露目と行こうか。とまぁ言っても、我々の海賊団名を告げるだけだがな。あぁ、次いでに我々の目標も告げておくか。」
ルーファンがゴードン王にお披露目の場を貰ったことに感謝しながら前へ進む。手で場所を示しながらゴードン王は自分が話した場所へルーファンを招く。
ルーファンが皆の方へ顔を上げると高らかに宣言する。
「私はウィスコール・ルーファン!この、“トリックスター海賊団”の船長だ!そして、皆の後ろに居る異形の者たちが私の仲間だ!海賊団結成の場にいる皆は我らのことを世界に広めて欲しい!この名こそが、我々の生きた存在証明となるように世界を轟かせるぞぉ!!」
「「「おおぉぉ!!!」」」
ここに新たな海賊が誕生した。
その名はトリックスター海賊団。
後に四皇すら凌駕し、世界の真の支配者であるかのように世界各地で大事件を引き起こす大海賊団として君臨する。
新たな海賊団として結成された者たちは高らかに叫び、歓喜する。
そして、控えていたフィリースが一つの旗を掲げる。
右目にウロボロスの紋様が描かれた髑髏にバックに天使と悪魔の翼が描かれ、周囲を12の異なる髑髏が描かれた海賊旗。
トリックスター海賊団の象徴とされる海賊団にとっての宝。
海賊旗を受け取ったルーファンか再度掲げたことで周囲からは歓声が響く。
「本来ならば祝ってはいけないのだろうが、今は大宴会!それにウタちゃんも来てくれた!皆、今宵は歌い踊るとしよう!」
新たな海賊団の結成を祝いながら、傍に控える部下たちに指示を飛ばすと情熱的な音楽が流れ始める。
海賊であろうと、なかろうと皆々が手を取り合って踊り始め、楽器を手に演奏を始める。
歌う者もいれば、手を叩きリズムに乗るものなど皆それぞれの楽しみ方で祝い始める。
「そうだ。ウタちゃんの歌を国全体に響かせるようにしよう!」
国王ゴードンはそう口にすると準備に取り掛かる。
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Side
《エレジア「地下資料室」》
エレジアの地下に、音楽が響き渡る。
不気味な天井画が怪しく動き出すと、中から数枚の古びた紙が浮遊して飛び出してくる。
紙は一人でに飛び、歌のする方へ…ウタの下へと飛び去っていく。
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Side
《エレジア「ルーファン一行」》
「あぁ〜?なんらぁ?」
「どうした、ルー?酔い過ぎだぞ風に当たってきたらどうだ?」
酒を呑み眠りについていたルーファンがゆっくりと起き上がり、辺りをキョロキョロと見回してから自身の右手に視線を向ける。
おかしな行動をするルーファンに対してフィリースが酔い過ぎだと注意して風に当たってくることを勧めたとき。
「いっでえぇぇぇえ!何しやがる!この呪いめ!」
優雅な音楽が優しく響く室内に突然ルーファンの絶叫が響き渡る。
そして皆が驚きルーファンに顔を向ける。
「どうした!?ルー!痛みが出たのか!?最近はなかったじゃないか!しかも今はマズイぞ!」
「いや…大丈夫そうだ……。こいつ、俺を起こしただけか?」
慌てるフィリースだが、その言葉には意味深な発言が含まれていた。
だが、フィリースを落ち着かせるルーファンは問題ないことを伝え、疑問に思う。
右手を見たルーファンは蠢く痣を凝視する。
痣はルーファンの右手を這い回り時々髑髏のような模様を浮かべては移動する。
ルーファンとクイチ、フィリースがかつて訪れた空から降ってきた古代国家。
当時の状況を思い返しながらルーファンは強くなり続ける右手の痛みを我慢する。
「アイツは…起きないだろうな?ここではマズイ。先に船を出すか?」
「よく分からんが…起きなさそうだ。何かを伝えたいのか?」
「ルー大丈夫?呪いが動き出したって聞いたよ。一応、出航準備をバーエルに頼んでおいたよ?」
「……そうだな。万が一だ。この国に迷惑はかけられない。」
「ゴードン王…それと赤が…いや、シャンクス。すまねぇな。ちぃっと野暮用でな。俺達は先に帰るとする。また、用があったら会いに行くぞ。」
ルーファンとフィリースが会話をしている所に駆けつけたクイチが混ざり、船を出せる準備をバーエルに頼んであると告げる。
そうしてルーファンは少し悩んだが、島を出ることに決めゴードン王とシャンクスのもとへ挨拶に行く。
「大丈夫か?右手の噂は多少は聞いてるが何分専門家じゃないもんでな。呪いらしいが動き出すとマズイのか?」
「出来れば、せっかくの大宴会なので居てほしいのですが何やら深い事情がありそうですな。」
「呪いが動くと寝てる奴が起きると、だけ言っておこうか。すまないな。また、大宴会を、開くときは呼んでくれ!今度は美味い酒を持ってこよう!ウタちゃんも、ありがと…うな…!?ん!?待て!ウタ!何を持っている!?嫌な気配がするぞ!」
別れを告げながらもルーファンの心配と事情を聞くシャンクスとゴードン。問いに対して簡潔に説明するルーファンが大宴会で楽しげに歌っていたウタにお礼を告げよう顔を向けた時、ウタが手に持つ古びた紙から嫌な気配を感じ取る。
すぐさま、ウタに注意を行うが時既に遅く。
ウタの口から歌が歌われる。
【ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᚲ ᚷᚨᚺ ᛉᚨᚾ ᛏᚨᛏ ᛏᚨᛏ ᛒᚱᚨᚲ…】
歌い出すと同時にウタが纏う雰囲気が変化したことで思わず武器を手に取ろうとするルーファンであったが、異変に気づく。
ホールに居る気配が明らかに少ないことに。
ルーファンは謎の現象に対して戸惑うが、これはウタの悪魔の実によるものであることを後で知ることになる。
ルーファンはウタの歌で眠りについていたことで、ウタワールドの中に居た。
だが、ここで右手の呪いであるパンドラが現実の世界で“起きた”ことで、無意識にルーファンが抑え込もうとした結果、ルーファンが一時的に現実の世界で起きることが出来、多少の異変とウタの持つ紙に気づくことが出来たのである。
ウタワールドに閉じ込められたルーファンは禍々しい気配のする存在へと顔を上げる。
城は崩れゆっくりと起き上がった怪物の目がルーファンを捕らえると赤く光り光線が移出される。
「はぁ!?レーザー!?何なんだよコイツは!何処から現れやがった?他のヤツらは?」
光線を避けるルーファンはすぐさま状況の整理へ移る。
周囲を見回して気配のする方へ目を向けると土塊の塊が盛り上がりを見せていた。さらには蒼い炎を浮かべた巨大な髑髏がゆっくりと立ち上がろうとしていた。
ズゴゴゴゴゴォ!
ガシャガシャガシャガシャ!
「ベルゼ!ゼン!お前ら無事だったか!他のやつは…見当たらないな。」
巨大な土塊は徐々に人の形へとなり、言葉を発する。
「ダーラララ!ルーファン、何だコイツは?人が気持ちよく寝てたってのによぉ!【
ドドドドドッ!ズガアアァァァーン!
「ガシャシャ!同じくだぁ!飲んで騒いで眠るまでが宴だろぉ?起こすなよぉ!ピエロ顔ぉ!【
ガシャガシャガシャ!ドゴオォォーン!
巨大化したベルゼとゼンは互いに寝ていたところを起こされたことで浮遊するピエロ顔に対して攻撃を行う。
ベルゼが大地を抉りながら腕を振り上げたことで、巻き上がった土砂がピエロ顔に降り注ぎ、ゼンが巨大な骨の腕をピエロ顔の顔に向けて放つ。
「あぁ?何だぁコイツ。硬さだけは一丁前だなぁ。」
「それにしては硬すぎないかのぉ。見たことない…いや?何処かで聞いたような…?はて、何処じゃったかなぁ?」
ピエロ顔を殴りつけたゼンは直ぐにその硬さに気付くと文句を言い始め、ベルゼが何処かで聞いたことがあると考え込み始める。
「ベルゼ、思い出せそうか?コイツは厄介な気がするぞ。それに、俺は寝てたはずで…そうだ。ウタが嫌な気配のする紙を持っていたから止めに入ったら、アイツがいたんだ。」
「嫌な気配のする紙?ん〜、わからぬなぁ。寝てたらアイツが居た?嫌な紙、寝てた……ウタ?歌か?!そうじゃ、アイツは魔王とか言われておったか?古い魔王は条件が揃えば現界する。それも魔王は現実世界と歌の世界に現れると聞いたことがある。」
ルーファンがベルゼにピエロ顔の正体について問うが直ぐに思い出せないベルゼにルーファンが大体の経緯を説明したことで、ベルゼが曖昧ながらも思い出したことを話し出す。
「魔王だぁ!?御伽話しの存在だろ?じゃあ、アレか勇者とか英雄にしか倒せないとかか?あの硬さはそうゆうことか?」
「いや、ゼン。確か…魔王は現実世界と歌の世界での同時攻撃でのみ…倒せたはずじゃ。わしゃの考えが正しければ、わしゃらの本体…とでも言うのかのう。そっちは寝ておるはずじゃ。わしゃらの精神は歌の世界に閉じ込められているはずじゃ。」
「コツが寝てる?いや、コツは起きて…まぁ、いい。同時攻撃でしか倒せないと言っても、タイミングが分からんだろ。」
話を聞いていたゼンが驚きながらもピエロ顔は倒せないのかと問い、ベルゼが攻撃を当てる方法を伝える。
同時攻撃で倒せると分かり安堵したゼンであったがすぐに重要なことに気付く。
頭を抱えて悩み出すベルゼとゼンにルーファンが声を掛ける。
「……上手くいくかは分からないが、一つ手があるぞ。パンドラを解放して現実世界の俺を起こし向こうのピエロ顔を叩く。」
「パンドラを解放?そりゃあ、危険なんじゃなかったかの?話は聞いているが、フィリースが手痛いめにあったと聞いとるぞ。」
「制御できない力を使うか…。ん?こっちで適当に殴ってたらどうだ?向こうにもピエロ顔は居るんだろ?赤髪の奴らも居るし、時間は掛かるだろうが上手くいきそうじゃないか?」
ルーファンが呪いを解放するか提案したが、話に聞いてる通りなら危険だと止めるベルゼであったが、ゼンが攻撃し続ければ倒せるのではと提案する。
「確かに向こうの方が手数はあるだろうな。…だが、オレの問題は今俺の精神が此処に居るってことは、向こうにおいてある身体は無防備ってわけだ。最悪の場合……向こうにはピエロ顔と俺を相手にしている可能性もあるが…!!」
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Side
《現実世界 エレジア》
ルーファンがウタの持つ紙に警告をした直後、不気味な歌が響くと同時にウタを包みながらピエロ顔の怪物が現れる。
現れた怪物は瞳を赤く照らすと光線を放ち、島が燃え上がる。
「トットムジカ…!!何故だ!?城の地下に封じていたはず!!誰かが封印解いた?」
ゴードンが慌てながらピエロ顔の正体を説明する。
ドサッ
「ん?おい!ルーファン!!どうした?おい!起きろ!!」
「ね、寝てる?あれ?こんな時に何寝てるんだ!」
「いや、恐らくは起きれないはずだ。アレはそうゆう力の使い方をする。アレは歌の魔王トットムジカ。ウタウタの実の能力者がトットムジカが封じられた楽譜を歌うことで現界する怪物だ。ルーファン君は恐らくは歌の世界でトットムジカと会っているはずだ。」
倒れたルーファンに駆け足で近づくフィリースとクイチ。
心配して顔を覗いたクイチがルーファンが寝ていることに気づき、ゴードンが寝ている理由を説明する。
「アレが魔王?いや、そんなことより歌の世界にルーファンが居るだと?ここに居るじゃないか。どうゆう事だ?」
「大変!ベルゼとゼンも起きない!他の皆は船を動かしに外に居るけど大丈夫かな?ちょっと見てくる!」
「あぁ、すまない。説明が不足していたね。ルーファン君の精神が歌の世界に捕らわれているということだ。おそらくはベルゼ君とゼン君もだね。ウタウタの能力は歌を聴いたものを眠らせて歌の世界へ招くんだ。おそらくはウタちゃんが能力で眠らせてしまっていたのだろう。」
ルーファンの状態をゴードンに聞くフィリースと外に出ていた仲間たちを確認しに外へ向かうクイチ。
ゴードンが説明していなかったことを伝え、原因を予測する。
「いや、ルーファンはさっきまで起きて……ん?何でルーファンは起きていたのに歌の世界へ送られるんだ?」
「すまない。そこが私も引っかかる所でね…。何故起きていたのに囚われたのかが分からないんだ。申し訳ない。」
フィリースが疑問を述べるがゴードンも起きていたルーファンが歌の世界に捕らわれていることがわからずにいた。
「おい!フィリース!そろそろ手を貸してくれないか?俺たちだけじゃ、手が足りないんだ!」
考え込んでいたフィリースとゴードンに対してシャンクスが声をかける。
フィリースたちがルーファンの事に対して悩んでいた際にトットムジカは攻撃を繰り出していたが赤髪海賊団が抑える形で何とか最小限の被害で収まっていた。
「悪かったな。船長不在ですまないが、オレたちも手を貸す!」
フィリースがシャンクスに放たれた光線を防ぎながら横に並んでピエロ顔と対峙すると足元見る。
「島よ。俺の指示に従え!【
フィリースの足元が意思を持ったかのように動き出すと大量の土塊がトットムジカへ向けて伸びて拘束する。
土によって拘束されたトットムジカは光線を放ち拘束を破壊すると光線をデタラメに打ち始める。
「まずい!あの数は無理だ!耐えるしか…」
「吾輩に任せろフィリース!数には数だ!【
大きな足音と共に駆けつけたペルフェオルが降り注ぐ光線に対して腕を突き出すと、腕が白く変色しバラバラに崩れると手裏剣状へと折りたたまれると勢いよく光線へと向かって衝突し空中で爆発が発生する。
「助かった!みんなも来てくれたか。あの怪物を倒して眠っているルーファンとベルゼ、ゼンを助けるぞ!」
「なんだ?アイツは眠らせてくるのか?厄介だな。」
「いや、アイツにはもう眠らせる力は無いはずだ。とにかくさっさと倒すぞ!」
フィリースが集った仲間たちを見て指示を飛ばす。
プレリアが話を聞いて誤解するが、すぐさまフィリースが訂正し目的を告げる。
「皆さん!トットムジカを倒すのは少々厄介です!先ほどフィリース君には告げましたが、ヤツは現実世界に現界すると同時に歌の世界にも現れます!そしてヤツは同じ箇所に同時に攻撃しなければ攻撃が入らない!歌の世界のルーファン君たちはこのことを知らないはずです。トットムジカを倒す方法がありません!」
各々が動きだそうとした所にゴードンが声をかけて静止させると赤髪海賊団とトリックスター海賊団に倒し方を説明する。
そして倒す方法が思い浮かばないと頭を抱えたゴードンが地面に膝をついた時、トットムジカが叫び声を発した。
「〜!!!!〜????!!!」
全員が叫び声を上げるトットムジカを見あげると、トットムジカに右手を押し当てている異形の人物が目に入る。
「えぇ!?ルーファン!!??起きてるよ!?寝てるんじゃなかったの!?」
「ま、まさか。そんな馬鹿な!だが、アレはルーファン君だ。ベルゼ君とゼン君は何処に……。」
「あ、アイツは!!お前ら気を付けろ!ルーファンの宿すパンドラが目覚めているぞ!アレはルーファンじゃない!呪いだ!」
トットムジカと対峙しているルーファンに驚くとクイチとゴードンであったが、フィリースがすぐに異変に気付き警告する。
その時、トットムジカの光線を受けて近くに飛ばされてきたルーファンがフィリースたちへ顔を向ける。
「はぁ!?何だよアレは!姿はルーファンだが…あの顔に模様は!」
「アレがルーファンの中に宿る呪いだ。普段は右手に封じられているが、ルーファンの意思が弱くなるとああやって出てくる。」
「どうするんだ?空飛ぶ魔王とおっかない顔をした船長って最悪じゃないか!」
「フィリースはアレ止めたことがあるんだろ?止められるか?」
「止めれてもルーファンの意思がないなら無意味だ。一応止めた方法だが罠にはめて海へ引き込んだだけだ。能力者であるルーファンは動けなくなって同時に呪いも動けない。だがルーファンは水中でも呼吸が出来る!元に戻るまで待ち続けてようやくもとに戻った。」
「それだけか!?向こうの世界にいるルーファンを連れ戻さないと行けないんだろ!?」
ソゴリアが模様で埋め尽くされたルーファンを見て驚愕し、フィリースが説明を行う。
普段は大人しいメルヴィですら慌てた様子でフィリースへ問いかけアルマロトがフィリースへ聞くがかつて呪いを封じた方法では肝心のルーファンの意思が戻らないため呪われたままであることを告げる。
「どうするんだよ!あれ!今、敵が二人って認識でいいんだろ!?」
「ルーがああなったら、止める方法がない。諦めて歌の魔王とやらを倒してルーファンの意思を戻す方が可能性がある。それに、あぁなったルーファンは敵であり味方だ。上手く誘導することが出来れば魔王を倒せるはずだ。」
「しゃあなしやで!!動き封じたるから叩き込め!【
ルーファンを起こすことよりも歌の魔王を倒すことに決めたトリックスター海賊団の動きは早く、真っ先にソゴリアが行動を起こす。ソゴリアの腕が不可視の風となると強風となってトットムジカを包み込む。
暴風の中に閉じ込められたトットムジカは暴れるがすぐさま動きを封じられる。
「それに賭けるしかないか。仕方ないなぁ!…グフゥグルルッ!!【
「船長が向こうで暴れていることを願うか。…キシィキシィ!【
ソゴリアが動いたことでアルマロトとメルヴィがトットムジカの元へ走り出すと同時に、姿が変化する。
アルマロトは巨大化し大猿へと変化、メルヴィは巨大な蟹へと変化し両者は一斉に上空へと飛び上がり巨大な腕と鋏をトットムジカへと振り下ろす。
それに合わせてソゴリアがアルマロトとメルヴィに風を纏わせて落下の速度を上げながら、トットムジカを閉じ込めていた暴風が解除されたことで渾身の一撃がトットムジカの脳天に直撃する。
「デカいの相手にするのにはデカい攻撃を当てればいいんだから!【
「トビア合わせるぞ!【
「我はああゆう奴を相手にするの苦手だぞ!【
次に動きを止めたトットムジカの周囲に白い煙が立ち込める。
トビアが生み出した煙はトットムジカに纏わり付くと、プレリアが魔王の攻撃で燃えさかる炎を収縮し始め魔王へと撃ち込んだ。
煙に触れた火球は大規模な爆発を発生させると、バーエルが被害を抑えるために音の防壁を周囲へ張り威力を魔王へと向ける。
燃え上がる炎に包まれた魔王は自身を封じる暴風が消え去ったことで、炎を消すために暴れ出す。
「待ってろよ、ルーファン!魔王ごときに臆する我らではないわ!!【
暴れる魔王の腕を捌きながら魔王を切り刻むフィリース。
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Side
《歌の世界》
ウタの歌声にて眠りに付いていたことで歌の世界へ閉じ込められた世界で怪物同士の戦いが巻き起こっていた。
辺りは崩壊し、完全な荒野へと変貌するほどの攻防が僅か数分の間で起きていた。
魔王は笑い、対峙する三人は永遠と思えるほどの攻撃を続けたことで疲弊し、体のあちこちに傷跡が残っていた。
山の巨人は土砂を降り注がせて断続的に攻撃し続け、巨大な骸はただひたすら魔王へと殴りかかる。
怪物同士の戦いから少し離れた所で覇気を溜める異形は閉じていた眼を開けると魔王を睨み微笑みを浮かべる。
「ダララララ!確かに少しずつではあるが攻撃が当たっていないか?傷が目に見えて増えてきたぞ!」
「ガシャシャシャシャ!永遠に殴れるサンドバッグは無いことが証明されたなぁ!さっさと倒れろやぁ!ピエロ顔ぉ!!」
「お前ら!ちょっと離れろ!!デカいの撃つぞ!昔、リンリンに教わった遊びを見せてやるよ!!エルバフに伝わる巨人族最強の“槍”【
魔王へ攻撃を続けるベルゼとゼンであったがルーファンの纏う覇気に脅威を感じ取ったことで素早く魔王から離れる。
正面に立つルーファンを見据える魔王と睨み合うルーファンであったが、ルーファンが刀に纏わせた覇気を解放しながら武器を振るうと巨大な衝撃波が発射される。
衝撃波が魔王へ直撃すると魔王の肩から腰が消し飛ばされる。
魔王は絶叫を上げながら姿が崩れ始めると、ルーファンとベルゼ、ゼンの視界がぼやけていく。
「ふぅ、向こうも上手くやったみたいだね…これで悪い夢が覚めるかなぁ…。」
薄れていく意識の中、ルーファンたちは笑っていた。
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Side
《現実世界》
歌の世界でルーファンたちが歌の魔王へ攻撃している中、現実世界では変化が起きていた。
各々が魔王へ攻撃を行い、徐々に傷跡が増え始めたとき静観していた呪われたルーファン突如動き始めたのである。
誰もが警戒してたが、誰もその初撃が捕えられず巨大であったはずのペルフェオルの胴体が両断されていた。
上下に分かれたペルフェオルは倒れこみ巨大な土煙を上げながらその巨体を土へ沈めこみ動きが無くなる。
「ペルフェオル!!!」
「なんや!今の動き!?見えんかったぞ!魔王よりデカいから狙われよった!」
「全員、ルーファンに気を付けろ!動きが速すぎる!呪いの奴…何をしやがった!?」
倒れこんだペルフェオルを心配しながらも動き続けるルーファンを捕え続けるトリックスター海賊団と赤髪海賊団。
動き続けるルーファンを警戒することで魔王に対する攻撃が止み、それを好機とみた魔王は攻撃を激化させていく。
「魔王の野郎…ふざけやがって!俺らが攻撃止めた途端、元気になりやがって。」
「ルーファンの奴も動き続けるだけで攻撃してこないぞ?何をしてやがるんだアイツは。」
「私がルーファンを止めてみます!!皆さんは魔王へ攻撃を続けてください!メルヴィとバーエルは暫く私を守ってくれる?」
「甲殻類の鉄壁さ。見せてやるよ。」
「我のソナーに捕えられない奴はいないぞ!もう逃がさんぞ!」
周囲を動き続け攻撃する隙を見せない呪われたルーファンを止めるためにティリアが動く。
残るトリックスター海賊団と赤髪海賊団は魔王へと攻撃を再開し、メルヴィがティリアを守るようにルーファンとの間を動き続け、バーエルが音波を出しながら動き続けるルーファンを捕捉し続ける。
「精神が奪われているなら…【
ティリアが能力を発すると同時に、動きを止めるルーファン。高速で動き続けていたことで勢いよく倒れこむルーファンの元へメルヴィが巨大な鋏を叩きつけて動きを封じる。
「ははぁ!止めたぞぉ!…おぉおぉ!?馬鹿力野郎がぁ!!」
「まだ動くよな!!脳でも振るわせとけや!【
メルヴィの鋏を持ち上げて立ち上がろうとするルーファン。
すかさずバーエルが振動を発生させ、ルーファンの脳を揺らす。
脳が揺れることで動きが鈍るルーファンに対してメルヴィが巨大な鋏で挟み込む。
「さっさと、魔王倒してくれんと俺らが持たんぞ!」
「うぅ…。呪いが強くて一瞬動きを封じることしか出来ないわ…。」
「魔王もボロボロなのに…向こうのルーファンたちは元気に暴れてそうやなぁ。」
現実世界に居る者が多い中、魔王への攻撃が上手くいっていないのには訳があった。
エレジアにいる人々を守りながら戦っているため、本来ならば無視できる攻撃を防ぐ必要が出来るためそちらにも意識を向けなれけばならなかった。魔王の光線は無差別でありながら時には狙いをすまして撃ってくるため一つ一つの軌道を予測する必要があった。避難した国民はクイチ、バーエル、ネミールによって頑丈なコタンカル・ラックル号へと誘導されていた。
順調に誘導されていく人々を他所に呪われたルーファンを抑え込むメルヴィが絶叫する。
「ぐぅっ!…ぐわぁあああっ!」
メキメキッ!バキィーン!
呪われたルーファンを捕らえていたメルヴィの巨大なハサミが音を立てながら破壊され、自由となった呪われたルーファンは空中へと飛び上がりながら覇気を纏い始めるが突如現れた巨大な白い手が降ってきたことで激突し地面へと叩きつけられる。
「ペルフェオル!!無事だったか!?」
「身体ぶった斬られたのに無事なんか!?」
「はぁ…はぁ…。何とか無事だ。薄く…伸ばした紙の中に隠れていたら突然…ぶっ叩かれてな…武装色を纏っていたことでふっ…ふっ飛ばされるだけですんだんだ…。」
呪われたルーファンを地面へと叩きつけたペルフェオルの手はすぐさまバラバラに崩れると呪われたルーファンを包み込み綺麗な球体を形成して呪われたルーファンを捕らえる。
そこへ駆けつけたソゴリアがペルフェオルを心配しながらも球体の中で暴れるルーファンへの視線は外さない。
ペルフェオルは息をつきながらも自身に起こったことを説明する。
「メルヴィは腕壊されて暫く再生に時間がかかるはずや。うちで頑丈なのはメルヴィとペルフェオル…ベルゼとゼンが居ればもっと守りは堅かったんやけどなぁ。」
「起きないからなぁ。ルーファンみたいに呪われてねぇかな?そしたらこっちでも起きれるだろ?あ…駄目かぁ。暴れられると困るなぁ。うん。暴れるのはルーファンだけで十分だ。」
「はぁ…はぁ…。そろそろ拘束解かれそうだ。覇気を練っているからデカいのが来るんじゃないか?」
「あぁ…ルーファンの中の覇気が高まってきてるぞ。こりゃあマズイ状態だ。さっさと魔王さんを倒さんと……。」
「ねぇ!ペルフェオル!その球体動かせる!?ルーファンの攻撃を魔王に当てさせよう!!そして、僕たちも魔王へ総攻撃しよう!あの覇気を撃った後ならルーファンもしばらく疲れるんじゃない!?」
ソゴリアが冷静に今の状態を分析しながら、寝ている人物たちへ視線を向ける。
トリックスター海賊団の中で頑丈な二人が眠りについているためメルヴィとペルフェオルが攻撃を防ぐことで何とか耐えていたが、守るよりも攻める方が得意であるペルフェオルの一時離脱によってメルヴィへの負担が大きくなった事で、メルヴィも満足に動けない状態へとなってしまった。
アルマロトが寝ているベルゼとゼンを起こす方法を考えながらも寝ていたほうが安全だと判断し、再度頭を抱えながら考え込む。
すると呪われたルーファンを拘束しているペルフェオルから拘束が解かれそうなことを聞かされたことで、魔王へと顔を向けるソゴリアであったがそこへ、考え込んでいたアルマロトが勢いよく頭を上げてペルフェオルへ質問する。
呪われたルーファンが練っている、攻撃を魔王へと向けることは出来ないかと提案し、呪われたルーファンの攻撃に合わせて魔王へ総攻撃を仕掛けるという。
「球体を動かすか…。厳しいが……やるしかないか。吾輩が魔王の方へルーファンを運ぶからお前ら、赤髪海賊団にも総攻撃することを伝えておけ。ルーファンの攻撃が合図だ。」
「よっしゃぁ!僕にしてはいい考えだったでしょ!?赤髪海賊団には僕が伝えてくる!!皆も準備よろしくね!」
「はぁ…上手くいく保証はないだろ…。魔王の方へ向けてもこっちに撃たれたら終わるぞぉ…。」
「やるしかないやろ。魔王の動きをまた止めてやるからしっかり頼むぞ!【
ペルフェオルが考え始めるが頭を振って端的に指示をすると球体を掴み魔王の元へ駆け出す。
駆け出したペルフェオルに続いてアルマロトが赤髪海賊団の元へ向かい。
メルヴィが愚痴をこぼしながら泡だらけの壊れたハサミを掲げながらやれやれと頭を振ると魔王の方へ歩みだす。
魔王へ急接近したソゴリアが自身の両腕を変化させ雲を生み出すと荒れ振るう豪雪が魔王へ襲いかかる。
ソゴリアの攻撃によって視界が真っ白になった魔王は所構わず攻撃し暴れ始めようと身体を動かそうとするが、そこで自身の身体が凍りついていることに気付くも時すでに遅く凍り付いていく魔王。
「ははぁ!魔王といえど天候の前には手出しできないだろ!?自然の恐ろしさを味わっとけぇ!!」
「グァゴォーゴォ!流石はソゴリアだなぁ!!十分時間が稼げている!!ほらルーファン!敵はアイツだ!!空からお前を見下してるぞ?」
魔王を凍結させ動きを封じたソゴリアが、自然の脅威を語り魔王の元へやって来たペルフェオルが球体を地面へと置き、呪われたルーファンに敵は空を浮かぶ魔王であると説明する。
呪われたルーファンは初めペルフェオルを凝視していたが、空に浮かぶ魔王へと目をやる。
そっとその場を離れたペルフェオルが球体を解除したと同時に呪われたルーファンが上空へと飛び上がると刀を構える。
「【
呪われたルーファンが刀に纏わせ溜め込んだ覇気を解放する。
刹那、解き放たれた覇気は斬撃と化して魔王へ直撃すると魔王の肩から腰が両断される。
絶叫を上げる魔王の姿が崩れ始めると、取り込まれていたウタが解放され更に上空へ飛び上がっていたルーファンの身体に浮かび上がっていた模様が消えると二人が落下し始める。
落下するウタをシャンクスが受け止め、ペルフェオルがルーファンを受け止める。
「何とか…無事に済んだか?」
「魔王を倒したら普通は世界平和が訪れるもんだ…。だが、現実は戦場の無惨な姿が残るだけだ…。あらかた救えたと思っているが、全ては無理だったな。」
「得るモノなくして失うものあり…か。海賊団の旗揚げにしては轟く悪名になるだろうな。」
「すまない。少し良いか?その話なんだが、今回の事件は俺たち、赤髪海賊団がやったことにしてくれないか?」
魔王を倒せたことでフィリースが状況判断を行い、アルマロトがおとぎ話と現実の違いを突き付ける。
プレリアが今回の事件で得るモノはないが失った者は多いと語り、世界に悪名が轟くなと呟く。
トリックスター海賊団が集って今後について話している所へ、シャンクスが声を掛け今回の事件は赤髪海賊団が招いた結果にしてくれないかと提案に来る。
「なんの冗談だ?今は船長も意識を戻さず、うちは満足に動けない。手柄欲しいならくれてやる。」
「ちょ、プレリア!言葉が過ぎるぞ!赤髪もどうゆうことだ?ちゃんとした説明があるんだろ?赤髪海賊団が全てを負うってことは俺たちの戦いがなかったことになる。」
「あぁ。今から訳を説明する。一つはウタのためだ。」
「ウタちゃんの?確かにあの子にとっては今回の事態は…自分が招いてしまったと思う可能性もあるわね。」
シャンクスの提案に苛立ちを隠さずに話すプレリアを止めに入るアルマロトはシャンクスに理由を問う。
今回の事件を赤髪海賊団が背負う意味はウタのためであることを告げるシャンクスの意図を組んだトビアが説明する。
「そうだ。まぁウタは強いが…まだ子供だ。ウタはエレジアに置いていくことにする。ゴードンさんにはさっき頼んできたところだ。君たちにはゴードンさんと一緒にウタの面倒を見てほしくてな。随分と仲良くなってくれたみたいだな。俺たちは安心して預けられるもんだ。」
「…船長の意思が戻らない時に決めるべきことではないが、女性陣からの視線が痛い。今回の事件は赤髪海賊団が引き起こした。まったく国を壊滅させるとはとんだ大悪党だな。さっさと何処かへ消えて欲しいモノだ。」
「はははっ。すまないなフィリース。大悪党は次なる獲物を求めて消えるとするさ。」
シャンクスがその場を去ると、トリックスター海賊団は暫くその場に留まり沈黙する。
「ん?探知に何か引っかかったな。船…海軍の軍艦だな。まだ暫くは大丈夫そうだが、船を置きっぱなしにしてたら赤髪海賊団のせいに出来ないな。裏に回り込ませて水中に隠しておくか。」
「そうだな。まだ起きないルーファンたちは船に運んでおくか。」
「いったん全員船に行くか。海軍が赤髪海賊団を追うのと島の調査で分かれるはずだ。調査はさっさと切り上げるだろう…見た目で判断できるからな。海軍が戻り次第、ウタちゃんのとこに行って見るか。」
静まり返っていた所にバーエルが海軍の接近を探知すると船を隠すために船の方へと移動を始める。
ペルフェオルがベルゼの巨体を持ち上げ、プレリアがルーファンとゼンを両肩に担ぐと身を隠すためにバーエルの後を追い始める。
砕かれた腕をさすりながら海軍の行動を予測したメルヴィが今後のことを口に出し、無言で頷き歩き始める面々。
船の方へと向かうと避難していた国民たちが出迎えるも島の状態が分かると泣き崩れる者が大半で残る者は下を向いたまま項垂れる者たちであった。
「お前ら、島は見るからに終わった。…どうする?近くの島まで乗せてってやろうか?」
「乗せていくって…言い方も悪いし、ウタちゃんたちはどうするんだよ。置いていくのか?」
「暫くは海軍が島を見て回るはずだ。俺達が出歩くのは面倒だろ。その間、こいつら乗せたままってのも変だろ。飯も少なぞ。」
フィリースが国民たちへ提案をするとアルマロトが不満をもらすが、メルヴィが説明したことでしぶしぶ納得したアルマロトは何も言わずに船へと乗り込む。
それを呆れながら見ていたペルフェオルは身体を小さくして船へとベルゼを運んでいく。
そんなトリックスター海賊団の側へベックマンが近づいてくる。
「お前たち、何処か行くのか?」
「あぁ、避難民たちを別の島へな。その間に海軍が島の探索を終えて帰ってるはずだ。そしたら戻ってウタちゃんとゴードンさんに今後のことを聞く予定だ。」
「なるほどな。近くに軍艦が来てるらしい。今から出ると発見されそうだが、軍艦をいくらか沈めていく。そしたら島の裏手から向かってくれるか?」
「いや、大丈夫だ。俺たちの船は潜水航行が可能だ。島を出たら潜って下を通って行くから気にするな。もちろん、お前たちとは逆側に進んていくから砲撃とかの心配はしなくていいぞ。」
「それなら、いいか。頭にも伝えておくよ。それとウタのことを頼んだぞ。」
「あぁ。任せとけ。まぁ、ずうっと面倒見るのは出来ないがたまにはお前たちが会いに来いよな!」
ベックマンとフィリースが予定を共有し合う。
別れた後はそのまま船を動かして潜水を開始し海中を進み始める。
海上では海軍のものと思われる船影と離れていく船が一隻。
それを確認したことでバーエルは離れていく船とは逆に舵を切り進み続ける。
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数日後
太陽が水中を照らす中、一隻の潜水船が壊滅した島へと向けて進んでいた。
船の頂部にある海賊旗は海中で揺らめきながら旗をなびかせる。
「お、そろそろだな。エレジア跡地だ。島には2人だけか?海軍の調査は終わったみたいだな。よし、浮上を開始するぞ。」
「それにしてもまだルーファンだけが起きないな。」
「このまま眠るだけの船長にならないよな?もう3日だぞ。」
島に近づいて居るのを探知したバーエルが周囲の安全を確認すると、船が海面へと上昇しだす。
そこへ目覚めていたゼンが未だに寝たままのルーファンを小突くと、プレリアが寝たまま船長にならないかを不安になりながら問う。
「身体の方は問題ない。意思の方もティリアとネミールが確認してる。起きるのを待つしかない。」
「フ"ィ"ー"!!ル"ー"寝た"ま"ま"に"なっ"ちゃ"う"のぉ"?!」
「落ち着け!クイチが騒いでもルーは起きんぞ。メルヴィもこう言ってるだろ?……お?クイチが騒ぐから起きたか?寝坊助め。」
「うぅ…んぅ?」
メルヴィが寝たままのルーファンの状態を告げティリアも状態を確認していたことを報告するとルーファンの元で座ったままのクイチが近づいてきたフィリースに泣きつく。
泣きつかれフィリースはクイチを離しながらも聞いていたルーファンの状態を告げていると、寝たままのルーファンが声を上げたことで文句を言いながら起床を告げる。
その場に居た、クイチとフィリース、バーエルにゼン、プレリアとメルヴィの6人の顔が笑顔になりルーファンを取り囲む。
「ん〜?何だぁ?騒がしいなぁ。…何だお前ら、人の寝顔を覗き込んでたのか?悪趣味だなぁ。」
「ルー!!よがっだぁ……。3日も起きないから心配だったんだよぉ。」
「まったくだ。ルーファンお主体調の方は問題ないか?外傷とか特にないが、3日も寝てたんだ。何かあったら教えてくれるか?」
「飯ならちょうど作ってるはずだ。今は昼時だ…のはずだ。海中だがらよく分からんが、さっきバーエルが浮上すると案内してたから、飯は地上で食べるはずだ。」
「心配させるなよ船長。それと寝起きで悪いが色々と報告がある。まぁ、簡潔言うと魔王は倒したがエレジアは壊滅。今はエレジアの避難民たちを近くの島へ送り届けた帰りでエレジアへ戻ってきたところだ。」
起きたルーファンは覗き込む面々を不思議に思いながら、泣きつくクイチを見てある程度を察するとメルヴィが状態の確認を行い、プレリアが昼食を作っていることを告げ、現状を伝える。
そして、フィリースが起こっていたことを簡潔に説明しする。
「みんな、心配をかけたみたいだな。悪かったな。身体の方は問題ないな。腹が減ったがまぁ、飯を作ってるなら問題ないだろ。それにしても3日も寝てたのか。エレジアが壊滅したことにも驚きだ。……赤髪海賊団はどうなったんだ?エレジアを離れたのにまた戻るのか?」
足の上で泣くクイチの頭を撫でながら答えるルーファンは3日も眠っていたこと、エレジアが壊滅したことに驚くと魔王と言う言葉に疑問を持ち聞き返し、更に赤髪海賊団のその後と一度離れたエレジアへなぜ戻るのかをフィリースに問い返す。
「そうだな。まずエレジアが壊滅した原因だが魔王によるものだ。ルーファンとベルゼ、ゼンは歌の世界でピエロ顔と戦ったんだったな?そいつが歌の魔王トットムジカだ。」
「そうらしいぞ。あのピエロ顔はベルゼの話し通り魔王だったらしい。流石にベルゼは名前までは知らなかったらしい。つまり俺らは勇者様ってことだ。」
「そっちは善戦だったらしいがこっちは国民の避難やらルーファンの呪いの影響で上手く動けなくてな。ペルフェオルが一番怖がってたぞ。古い昔に王を生み出す国家があったと。何でも空の彼方で王が生まれては地上へと攻め込んでいたらしい。」
「ほぉ、弱かったと思ったが守るべきものが多いと確かに倒しづらいだろうな。あのレーザーは強いぞ。それに危惧してたことが起きたんだな。呪いが目覚めてたかぁ〜!歌の…世界?でベルゼたちに起こしてみたらどうだろうって相談してたんだが、なにぶん起こし方がわからないからなぁ。起きてないと思ってたがな。後でペルに謝りに行かなきゃな。」
ルーファンの問いにフィリースがゼンへ確認を取りながら答えるとゼンが勇者になれたと胸を反らしながら誇らしげに宣言する。
それを放置して話を進めるフィリースへ言い返そうとするゼンであったが空気を読んで黙り込む。
話を続けるフィリースがペルフェオルがルーファンの呪いに痛い目にあったことを告げながらもペルフェオルの古い知識にかつてルーファンが話した呪いに似た力で王を誕生させていた国家があったと報告する。
報告を聞いたルーファンはピエロ顔を思い出しながら自身の中にある魔王像と照らし合わせたが、頭を振ってかき消した。
そしてピエロ顔のレーザーの威力を評価し、戦場となった場の状況を思い浮かべ現実世界のほうが戦いづらかったと話しペルフェオルに謝罪することを告げた。
「次に、赤髪海賊団とエレジアへ戻ってる訳だが…似たものだからまとめて話すと、エレジアの壊滅は赤髪海賊団が背負って一般人のゴードンとウタちゃんを残して壊滅したことになってる。赤髪海賊団と別れ際にウタのことを気にかけてやってほしいと言われててな。しばらく海軍がエレジアの調査をしていたから避難させていた国民たちを近くの島へ送って海軍がエレジアを去るまで海中に潜伏していたんだ。」
「ルーファンが起きなかったらウタちゃん悲しんでた筈だよ。魔王が出たのはウタちゃんの悪魔の実の能力が関係してるんだって。」
「ウタウタの実の能力者が封じられた楽譜を歌うことで魔王が解放されるらしい。恐らくは小さいあの子のことだ。心に深い傷が出来てしまってるはずだ。」
「なるほどな…。シャンクスにはまだ聞きたいことが沢山あったが、何れまた出会えるはずだ。それにしてもウタちゃんの能力で解放されてピエロ顔が出て来てたのか…。もしかして呪いは教えてくれてたのかもな。あの時、俺はウタちゃんの歌で寝てたのに一瞬だが起きれてたからな。厄介な呪いだと思ってたが…良いとこもあるじゃねぇか。」
フィリースが事の顛末をルーファンへ伝えるとクイチが頭を上げてウタについて告げる。
補足するようにプレリアが説明しながらウタの心情を察して告げた。
ルーファンは頷きながら、シャンクスに聞きたいことを内に仕舞、ウタの能力で魔王が出てきたことに驚愕する。
そして、自身の右手を見つめながら優しく左手で撫でると喜んでいるかのように痣が動いていたように見えた。
「エレジア跡地着いたぞー!」
そこへ、艦内に取り付けられた音を運ぶ管からバーエルの声が届く。
「お、着いたか。久方ぶりの外みたいだから、行くか。」
「ルーファンが起きたことも伝えなきゃね。」
「いやぁ、ティリアかネミール辺りが既に気付いてるだろ。みんな外で待ってるんじゃないか?」
ベッドから降りて外へと歩き出した一行は、今は姿が見えない仲間たちの行動を予想していた。
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Side
エレジア 王城跡地の一室
「おや?何の影だ?」
「……ゴードンさん、どうしたの?」
「あぁ、ウタちゃん。海中に何か影が見えてね。」
「…どれ?あっ…!」
「あ、待ちなさい!走ると危ないよ!ん?あの旗は…そうか、彼らが戻ってきたのか。」
一室でピアノを弾いていたウタと外を眺めながら曲を聴いていたゴードン。
ふと海へ視線を向けたゴードンが海中に動く影に気付き声を出すと、ウタはピアノを引く手を止めて窓際へと近づいてくる。
ゴードンが自身が見たものを告げ指を指すと影が盛り上がって、とある旗が浮上する。
旗を見たウタは外へ駆け出すと、ゴードンが楽器に躓きそうになったウタへ注意しながら、影へと視線を戻すとつい先日まで共に居た海賊団の旗であることに気付くとウタの後を追い歩き始める。
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Side
エレジア 湾岸
「ありゃ〜。こりゃ酷いねぇ。見事に燃え尽きて何も無いや。」
「ゴードンさんとウタちゃん無事かなぁ?まだ島にいるのかな?海軍と一緒に何処か行ってたりして。」
「大丈夫。居るみたいだよ。走る影とその後ろを歩く影の2つが近づいてきてるよ。」
島の状態を確認したネミールが島の状態を見たまんまのことを報告すると、トビアが大事なことに気付き慌てるがバーエルが近づいてくる影に気付き答える。
「トビアちゃん!何処行ってたの!?他のみんなもいる?」
「わぁ、ウタちゃん元気いっぱいだぁ!」
走ってくるウタを屈んで受け止めたトビアは思わず倒れそうになるが、バーエルが支えたことでウタを抱きしめる。
「ウタちゃん皆はおるでぇ!今、船の中やけどもうすぐ出てくるぜ!」
「ウタちゃんは大丈夫かい?……これは?知らされてない?」
バーエルが皆んなが船に居ることを伝え、ネミールが心配するが最後の方の言葉は小さくウタには聞き取れなかった。
「良かった。あ…。シャンクスたちは…居るの?」
「え?シャンクス?あれ聞いて…」
「待て待てトビア。みんなが揃ってからか話し合おうじゃないか。バーエル、さっきら面白そうなことしてたろ?変な音を鳴らすやつ。」
「な!?ネミール!天才の発明だぞ!変な音とは嘆かわしい!音波のメロディだ!ウタちゃんはには分かるはずだ!聴いてくれ!」
〜♪〜♪
ウタがシャンクスについて聞いてきたことでトビアが告げようとしたが、すぐさまネミールが話を遮って話題を摩り替えると察しながらも発明を変なモノ呼ばわりされたことで騒ぎ出し、ウタを味方に付けるため腕に取り付けられた金属棒を取り出しぶつけ合うことで音色を流し始めた。
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Side
コタンカル・ラックル号 船内
外へ向かっていたルーファン一行は船内に残っていたティリアとペルフェオル、アルマロトと合流して外を目指していた。
「ペル!ごめんなぁ!俺が悪かった!」
「何度も謝るなよ。船長何だからもっと強くなって欲しいものだがな。部下に謝り続ける船長とは情けないぞ。」
「やかましい!俺の気が済むまで謝ってやる!止めても無駄だぞ!」
「心配して損したや。こんなに元気なら、適当に飯を作ったのに。」
「アルマまで!船長命令だ!うまい飯を作ってください!」
「どんな命令だ!美味い飯はいつも作ってるだろ!!文句かぁ!?」
出会ってすぐに土下座をしたルーファンの頭をすぐさま手で押さえたペルフェオルは気にしていないと、笑いながら返したが謝りたらないルーファンが隙を見せるたびに謝りだすことに若干の苛立ちと呆れを見せていた所へアルマロトが呟くとルーファンが命令を下すもアルマロトがすぐにツッコミ喧嘩腰になる。
「あ、ルーファン。ネミールから話が、ウタちゃんは事件のことを記憶してないみたいよ。犯人は赤髪海賊団がやったと思ってるけど、どうするかって?話を合わせたほうがいいでしょ?」
「ん?なるほどなぁ。じゃあ、俺らは赤髪海賊から攻撃を受けて反撃して海へ逃げだした赤髪海賊団を追っていたが、心配になって戻ってきたとかでいいんじゃないか?」
「それだったら、俺たちと赤髪海賊団で戦闘が起きてエレジアの壊滅に俺たちも関与している感じになるんじゃないか?」
「ん〜?難しいなぁ。」
「あ、ネミールから追加の情報よ。赤髪海賊団はエレジアの宝を盗むためにウタちゃんを利用してエレジアへやって来た。ただ、そこで問題が起きた。私たちが来たこと。それで邪魔になる前に酒で酔わして宝を奪って逃げ出したことになってるみたいよ。その後の私たちのことを聞いてないから心配してたみたいよ。」
「ほぉ〜。じゃあ、酒に酔った俺達は赤髪海賊団にコテンパンにやられ、反撃しようとしたが……エレジア内で戦うのは危険だから海へ出た。ってことにするのはどうだ?」
ティリアが能力でネミールから受けた報告を共有する。
そして辻褄を合わせるために話し合いをしていくが、上手くまとまらずにいた。
「まぁ、いいか。行って話を上手く刷り込ませるか。ティリア悪いがみんなに共有して置いてくれ。」
「えぇ、分かったわ。此処に居ない人達に送っておくわ。」
「頼んだ。じゃあ、行こうか。」
情報の共有を指示したルーファンたちは歩き出した。
ティリアは情報を共有しているらしく、時々頷いたりしている。
そんな中、ルーファンはどうしようかと考えるのであった。
「あぁ!ティリアちゃんにクイチちゃん!みんなも!無事みたいだね!よかったぁ。シャンクスたちにやられたって聞いたけど大丈夫だった?」
「ルファファファファ!ウタこそ大丈夫か?俺たちの事なら心配するな!みんな頑丈な種族だぞ!心配されるほど弱くはねぇぜ!」
「私たちは強いんだから。さっきは油断しちゃったけどウタちゃんもシャンクスとルーファンが出会い頭に喧嘩したの覚えてるでしょ?ルーファンはあれよりもっと本気出せるから!」
「いやぁ、それはお互い様だろ…。」
トビアと話していたウタがルーファンたちが出てくるのを確認すると、女性2人の元へトビアの手を引いてやってくる。
女性たちで集まるとウタが心配するように全員を見回すとルーファンと視線を合わせる。
視線があったことでルーファンはしゃがみ込むとウタの頭をワシャワシャと撫でながら、平気だとアピールをすると皆も一様に笑顔をウタへ見せながら腕を回したりする。
そしてクイチがルーファンの強さを思い出させる話をして本気を出したルーファンはもっと強いぞと言い放つ。
それに小声で答えるルーファンであった。
「すまねぇなぁ。本当だったら本気出して…こんな結果にはならなかったはずなんだがなぁ。俺達がもっとしっかりしてたらウタを悲しませずに済んだはずだ。」
「ルーファンが謝ることじゃないよ。シャンクスたちが悪いんだ!でも…」
「でも?どうした?」
「……海賊はもう嫌い。」
強さをアピールしていたルーファンであったが、ウタに頭を下げ謝罪する。
本来であればルーファンは呪いに起こされて事態にもっと早く気づいていれば止めれたはずだと思い返しながら、赤髪海賊団に対して敵意を抱くウタを見ている内に、申し訳ない気持ちへとなっていた。
そんなルーファンの気持ちには気付かないウタは赤髪海賊団を徹底的に悪へと変えていた。
その、言葉に対しても心を悩ませていたルーファンは続くウタの言葉を聞いたことで、悲しい表情を浮かべた。
「そうか。…そうだよなぁ。あんなことがあったら…海賊は嫌いになっちまうよな。ウタは……俺たちのことも嫌いか?」
「おい…ルー。意地悪だぞ。」
「あ…。ごめんなさい。ルーファンたちは大好きだよ。嫌いなのは赤髪海賊団だから!!」
ウタに対してエレジアにて海賊団を結成させたトリックスター海賊団のことをどう思うか問うルーファンの言葉に、フィリースが注意をすると、思い出したウタは申し訳なさそうに頭を下げて謝ると赤髪海賊団が嫌いであると告げた。
真相を知り、赤髪海賊団が罪を被ったことを共有されているトリックスター海賊団は全員が黙り込み下も向いていた。
ウタは顔を合わせようとしない皆に気づく。
「ほ、本当だよ!皆のことは大好きだよ!あ…えぇっと……。」
「ルファファファファ!悪いなウタ!気分が沈むようなこと言っちまったみたいだ!コレが最後の謝罪だ、悪かった!そして今後のことを話そうじゃないか。ウタはこの後どうするんだ?ここでゴードンさんと共に過ごすのか?」
黙り込んでしまいそうなウタを元気づけるために、ルーファンが笑いながら謝罪すると、今後について聞き始める。
すると今まで黙っていたゴードンが前へと歩み出して話し始める。
「ウタちゃんとはここでしばらく生活してみることにするよ。ウタちゃんの持つ音楽の力はまだまだ伸ばせるからね。何も無いが音楽は無から生み出すことも出来るからね。城を探せばまだ使える楽器も出てくるかもしれないからね。」
「ほぉ〜。そうかぁ。お、そうだ!じゃあ。ウタ!約束をしよう!」
「約束?」
「そうだ!俺達はもっと強くなる!そしてウタを守れるぐらいの大海賊になるぞ!代わりにたくさん歌を聴かせてくれ!」
「そうね。赤髪海賊団なんてけちょんけちょんに出来るぐらい強くなってやるわ。また、戻ってきてもいい?」
「分かった!歌をいっぱい考えておくね!!待ってるからね!約束忘れないでね!」
「あ、じゃあウタちゃんにお願いがあるんだけどいい?」
ゴードンがウタと共に島に残って生活することを伝えるとルーファンは頷き、そして何かを考えついたかのように約束を提案する。
ルーファンたちは強くなることを誓い、ウタには歌を聴かせてもらうように言い、ティリアが赤髪海賊団よりも強くなってやると拳を握ってパンチをする仕草をした後、戻ってきてもいいかを聞く。
笑顔で答えるウタは歌をいっぱい練習しておくことを伝え約束を忘れないでねと皆の顔を見渡す。
すると、クイチがウタにお願いしたいことがあると伝える。
頭を傾けながら頷くウタを見たクイチは喋り始める。
「私たちは、トリックスター海賊団を結成したんだけどね。今後は仲間が増えていくはずよ。その時にウタちゃんが誰が居たか忘れないように仲間を表す名前というか私たちの総称を考えて欲しいの。考えてくれる?そしたら、私たちはそれを称するたびにウタちゃんとの約束守れそうだけどなぁ〜?」
「おぉ!カッコいいなぁ!確かに海賊の中には最高幹部や幹部を色々な呼び方を付けてるのが居るよな?俺らの総称かぁ。ウタのセンスが光るぞぉ〜?」
「えぇ〜!!そうしょうって?ここにいる皆のことを呼ぶの?トリックスター海賊団じゃダメなの?」
「おいおい、ウタ。トリックスター海賊団は俺たちを含める全ての仲間のことだ!それを更に分ける呼び方だな。現にここに居ない仲間もじつは居るんだぞ?驚いたか?訳があってここに居ないだけだがな?そいつらは部下になりたいらしいから、分けるという意味でも重要なことだな。」
クイチがウタにトリックスター海賊団の後の最高幹部になるであろう周りにいる仲間たちを見回しながら、総称を考えてほしいと告げる。
それに乗っかる仲間たちとウタのセンスはどんなものかとニヤニヤ顔でウタを見るルーファン。
突然の出来事に理解が追いつかないウタはトリックスター海賊団では駄目なのかと問う。
するとルーファンの口から驚くべき事実が判明する。
トリックスター海賊団の仲間は他にもおり、エレジアには訳があって来れていない者たちがいることを告げるとウタは、驚き頭を悩ましながら案を考え始める。
「え〜?ここに居ない人達もいるのぉ〜?ん〜〜?どうしよう。え〜と、ルーファン……、ルー……、カレールー?」
「おい!ウタ!それは怒るぞ!」
「そうだぞ。カレールーだとルーファンの要素しかないだろ。」
「反対だぁ!僕たちのことを呼ぶ呼び方がいいよぉ!」
ウタがルーファンの名前から連想させていくと食べ物になっていきカレールーと口にしたウタにすぐに却下を言い渡す。
そしてフィリースやアルマロトも反対だと抗議する。
「ん〜?じゃあ、トリックスター海賊団だがら…トリック…罠とかトラップみたいもの?ん〜?スターだと…星、宇宙……。」
すぐさま別の案を考え始めるウタは口に出しながら答えていく。
それを見守る面々は次は大丈夫そうだと、頷きながら見守り続ける。
「宇宙は空?…空にいるのは…天使?あ!大天使でいいんじゃない?みんな大きいじゃん!私にとっても天使様だよ!」
「大天使ぃ〜?そんなに良いやつじゃないぞぉ?」
「何か可愛らしい名前だなぁ〜。」
「女性陣見ながら天使だと俺達はついでの天使見たいじゃないかよぉ。」
空を見上げながら、考え込んでいたウタが大天使はどう?と聞いてくるが、男性陣が多いトリックスター海賊団からは否定的な意見が流れてくる。
頬を膨らますウタが、再度考え込もうとした所にルーファンの呟きが聞こえてくる。
「天使かぁ。確かに昔は天使みたいに普通の人生歩んでたなぁ。何処かで翼でも失って堕天でもしたのか?…ルファファファファ。墜ちちまった天使かぁ…情けないねぇ。」
「ふ、天使じゃなくても足を踏み外して落下したのは事実か。」
「ん〜、そうだねぇ。みんな何かを失って集ってるからね。」
「失っていたからこそ、ティリアの能力で集まれたんだがな。」
「グァゴォーゴォ!大陸から海に落とされてた吾輩らしいなぁ。」
「失った?じゃあ、失った天使たちで【
ウタがルーファンたちの呟きからヒントを得て好評であった天使を元に失った天使たちとして失天使はどうか問う。
「ルファファファファ!!良いなぁそれ!失天使か!カッコいいなぁ!失ってきた俺たちにはいい名前だな!」
「あ、ルーファンは別だよ!」
「ファ?何でだ!?俺は堕天使とか言わないだろうな?」
「堕天使もカッコいいけど、ルーファンは船長何でしょ?失天使たちをまとめる失天使長ね!」
「ほぉ。失天使長かぁ。頂点みたいでカッコいいなぁ。」
「それで、皆もただの失天使じゃなくてね。く、くら…い?位見たいなのが天使にはあったはず。」
それに対して皆が賛成の意見を挙げているとウタが更に船長であるルーファンは束ねる長として失天使長と付け、更に位を付け始めた。
〜〜〜
トリックスター海賊団
船長 / 失天使長
“同族殺し”ウィスコール・ルーファン
種族:自称 異種族(混血種)
懸賞金:13億6660万
悪魔の実:ジュツジュツの実 (超人系)
あらゆる術を行使する能力。
副船長 / 失天使1位
“残鬼”フィン・フィリース
種族:鬼の妖族
懸賞金:12億7400万
悪魔の実:シジシジの実 (超人系)
無機物に対して絶対の命令権を持つ能力。
指示を受けたモノは生きているかのように動き出す。
戦闘員 / 失天使2位
“水刀”夜刀クイチ
種族:黒猫のミンク(人間族との混血種)
懸賞金:14億9600万
悪魔の実:なし
戦闘員 / 失天使3位
“監獄襲い”バアル・ベルゼ
種族:人間族
懸賞金:13億2500万
悪魔の実:ヒトヒトの実 モデル“ダイダラボッチ”(動物系“幻獣種”)
ダイダラボッチへと変身する能力。
自然系のように崩れた身体を再生する能力を持つ。
船大工/科学者 / 失天使4位
“反響音”バーエル
種族:PX-S(初期段階セラフィム)
懸賞金額:11億
悪魔の実:ソナソナの実 (超人系)
超音波を自在に扱える能力。
反響音による探知などに優れ、音を振動させることで衝撃や斬撃を行うこともできる。
料理人 / 失天使5位
“朱牛”のアルマロト
種族:闘牛のミンク(巨人族との混血種)
懸賞金:10億7564万
悪魔の実:サルサルの実 モデル“キングコング”(動物系“幻獣種”)
キングコングへと変身する能力。
猿を使役する能力を持つ。
音楽家 / 失天使6位
“白肌”サラ・トビア
種族:人間族(天狗のアヤカシ / 妖族との混血種)
懸賞金:13億1800万
悪魔の実:パウパウの実 (超人系)
自身の体からあらゆる粉を生み出し、自在に操ることができる能力。
戦闘員 / 失天使7位
“国追い”のペルフェオル
種族:古代巨人族
懸賞金:13億
悪魔の実:カミカミの実 (超人系)
体を紙に変化させ、紙を自在に操る能力。
身体の一部を紙化させることで自然系のように攻撃を受け流すこともできる。
船医 / 失天使8位
“海の亡霊”ベリーズ・メルヴィ
種族:蛸と蟹の混合種(魚巨人)
懸賞金:12億3400万
悪魔の実:カニカニの実 モデル“カルキノス”(動物系“幻獣種”)
カルキノスへと変身する能力。
戦闘員 / 失天使9位
“全罪者”スケープ・ゼン
種族:手足首長
懸賞金:12億7200万
悪魔の実:ヒトヒトの実 モデル“がしゃどくろ”(動物系“幻獣種”)
がしゃどくろへと変身する能力。
周囲を飛び交う人魂から炎を発したり、白骨死体を地中から呼び起こして使役する能力も持つ。
狙撃手 / 失天使10位
“賊墜ち”ガトー・プレリア
種族:ルナーリア族(混血種)
懸賞金:10億1000万
悪魔の実:バキュバキュの実 (超人系)
あらゆるモノを吸込み、放出することができる能力。
吸い込んだものは自在に放出することが可能で、空気を取り込み放出する事で空を高速で飛び回ることが出来る。
航海士 / 失天使11位
“高笑い”ソゴリア
種族:小人巨人
懸賞金額:12億9300万
悪魔の実:パラパラの実 (自然系)
自身の身体を太陽や雲に変化させ天候を自在に操る。
通信員 / 失天使12位
“寝返り”のフランリアン・ティリア
種族:人間族
懸賞金:9億6700万
悪魔の実:テレテレの実 (超人系)
遠く離れた人物と会話をする能力。
自身の意思を飛ばして相手の意思を封じることもできる。
ペット
“怪鳥”フランリアン・ネミール
種族:幻鳥
懸賞金:3億5000万
悪魔の実:ヒトヒトの実 モデル“天邪鬼”(動物系“幻獣種”)
天邪鬼へと変身する能力。
周囲の心を読むことが出来る。
〜〜〜
13名と1匹+α。
新たにトリックスター海賊団として誕生したルーファンたちは最高幹部に失天使を設けた。
そしてしばらくの間はウタやゴードンと共に崩れた城の再建や歌の練習に付き合うのであった。
壊滅したエレジアに残る妙な噂。
赤髪海賊団によって滅んだエレジアの状態を確認するために近くを通った商船は妙な怪物たちが歌い踊っていたと。商船の者は亡くなったエレジア国民の亡霊が今も囚われているのではと考えていた。
そんなことを知らないトリックスター海賊団は今日も歌って踊り、ウタと笑い過ごすのであった。
2週間後〜〜
「ねぇ!ルーファン次は何するの!?また、歌作る?ルーファンは歌が下手だから、このウタ先生が教えてあげようか?」
ウタがルーファンたちの元へやってくると、今日は何をするのかを問いかけ、歌を教えてあげようかと聞いてくる。
そんなウタを微笑ましそうに見るルーファンたちであったが、中には暗い顔をしている者もいた。
そこへ、遅れてやって来たゴードンがルーファンへ言葉をかける。
「そろそろ出発の頃合いかな?海賊団結成から2週間ほど足止めさせてしまい申し訳ない。だが、おかげでこの通りだ。」
「…え?」
ゴードンの言葉に衝撃を受けたウタは驚愕の顔を浮べ、ルーファンたちの顔を見回して察する。
ルーファンたちはウタのためにもうしばらく滞在することをゴードンへ伝えていたが、ゴードンからの願いもあって今日船を出すことを決め、既に出航準備を整えていた。
「ウタ。このまま、ルーファン君たちをエレジアへ留めておくことは出来ないんだ。彼らは海賊として世界を回る者たちだ。このエレジアを拠点に…と言いたいが何も無いからね。最低限の生活が出来る所までは手伝って貰ったがこれ以上は私には返せない。ウタはルーファン君たちとエレジアで過ごしたいかもしれないが…。」
「何で!?何で出ていくの!?エレジアに何もないから!?だったら私が作るよ!トビアちゃんも歌を頑張るって…どうして…。」
ゴードンの説明を聞いていたウタであったが、突然の知らせに動揺して泣き出してしまう。
そんなウタの頭に手が覆いかぶさりワシャワシャと撫でられる。
「ルファファファファ!ウタ!勘違いするな!俺達は世界を回って…そうだなぁ。強くなったら戻って来る。今度はウタやゴードンさんを守れるぐらい強くなったぞと誇れるぐらいにな!その時までウタが泣いてたら俺達は悲しいぞ?別れのときは歌いながら!再会の時も歌を聴かせてくれ?」
「ウタちゃんがどうしてもって言うんだったら船に乗せてあげるよ?でも、海賊は嫌いでしょ?海賊の船には乗りたくないでしょ?」
「なぁに!世界は広いようで狭いのは知ってるだろ?次会うときは互いに有名人だ!俺達は海賊として!歌は、歌手としてだ!」
「有名人って…。まぁ、そうだなあ。有名人になるには他の人に見て、知ってもらう必要があるからな。その一環で世界を相手にするのが俺たちだ。」
「それに、ウタちゃんとは離れてても一緒だよ?私たちはは失天使だよ?天使のウタちゃんが付けてくれたんだ。名付け親の何処へは必ず戻るよ。」
ルーファンは笑いながらウタを撫で、今度会うときは強くなっていると話すと、歌を聴かせてくれと言う。
クイチが船に乗りたければ乗せてあげると言ってくれるが、ウタの心情を察して説明する。
そこへアルマロトが元気に互いに有名人になることを勝手に宣言し、フィリースが有名人になるために世界を周る必要を語る。
トビアがウタが考えてくれたトリックスター海賊団の最高幹部の名前を出すとウタの顔に笑顔が戻って来る。
「うぅ…。分かった。船には乗らない…。けど、私も有名人になるね。みんなも有名人になってよね!?私だけ有名人だったら怒るから!ゴードンさん、私を有名人にしてね!」
「はははっ!これは、大変だな。彼らは既にちょっとした有名人だからね。だが、任せなさい。私は音楽の都の元国王だったんだ。音楽への愛は誰にも負けないよ?」
笑顔が戻り、有名人になることを誓ったウタはゴードンへとお願いする。ゴードンもまた笑顔でウタへ答えると、ルーファンが立ち上がり背を向けて歩き出す。
「じゃあ、ウタ。しばしの別れだ。俺達が去った瞬間泣くんじゃねぇぞ?笑いながら別れたほうが気持ちがいいんだ!まぁ、時には悲しい事があっても俺達が付いてる!」
「ウタちゃんまたね!」
「くぅ〜!もう少し時間があれば城をもっとカッコよく改造できたのになぁ!次会った時に魔改造するぞ!」
「やめとけバーエル。じゃあな。ウタちゃん。」
「子供の成長は早い。次あった時が楽しみだなぁ。」
各々がウタの方へ別れを告げながら船へと乗り込むと、船の帆が広がりマストの頂部にドクロマークが掲げられる。
離れていく船に手を振るウタと船上から手を振り返すトリックスター海賊団。
「お、そうだ!ウタ!落書きにあった変な絵だが、ツボみたいでいいセンスしてたぞぉ!」
離れていく船の上でルーファンがウタと楽しんでいた落書きにあった絵を思い出しながら告げると返事が返ってくる。
「ツボじゃなぁーい!アレは麦わら帽子のマークだよぉ!新時代のマーク何だからね!!」
「麦わら帽子ぃ〜?そうだったのか!新時代かぁ、カッコいいなぁ!じゃあ次会うときは新時代でだな!」
遠ざかる船はマストが畳まれると海中へと潜水して消えていく。
赤髪海賊団、そしてエレジアにて起こった出来事にトリックスター海賊団が関与していたことを知る者は僅かであった。
「さぁ、戻るか!ゴロツキ諸島へ!その後は…船の礼を言いに行きたいなぁ。巨人族の総本山にて戦士たちの島。エルバフへ!」
※トリックスター海賊団がトットムジカと戦ってる間、赤髪海賊団は原作通りに動いているため、戦闘描写は割愛しました。
※基本的にONEPIECE本来の時系列通りに物語は進行していきます。
悪魔の実の被りが発生した場合は近い能力へ変更予定です。
既に何名か被っているので変えてあります(未登場キャラを含む)。
この後の話は、飛ばしながら書こうかと思います。