正義と悪の溜まり場“三大裏勢力”   作:石嶋 天冬

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外伝:ゴッドバレー事件

 

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Side

“海賊島”ハチノス 港

 

「おい!お前ら船を出すぞ!さっさと動け!!」

「グララララ!騒がしいぞロックス?」

「どうした?そんなに慌てて、みっともねえな。」

 

 凄まじい表情を浮かべたロックスがすれ違いざまにニューゲートたちへと命令しながら走り去る。

 するとロックスの後を遅れて歩いてきたファルバウティが説明を行う。

 

「ルックック!さっき傍受した通信を聞いてから…ああなっちまった。」

「通信?何を聞いた?」

「ん?あぁ、西の海のゴッドバレーって島でだな天竜人の“人間狩り”が始まるらしい。そこに莫大な財宝と共にシャッキーも居るとか…」

「「「何だとぉ!?」」」

「海賊界の大事件だぞ!!傍受した通信なら他の野郎共も動いてるはずだ!遅れるなぁ!ロックスに続けぇー!!」

 

 ファルバウティからの説明を受けたニューゲートたちは船へと走り始める。

 リンリンに首を掴まれ引きずられていくファルバウティは抵抗虚しく連行されるのであった。

 

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Side

西の海 ゴッドバレー

 

「おれに続けロックス海賊団!!」

 

 上陸したロックス海賊団が各々の目的のために動き始める。

 ニューゲート、ステューシー、グロリオーサは冷静に事の確認を行い、シキとリンリン、キャプテン・ジョンは宝を得るために動き出した。

 そんな中、ファルバウティは荒れる戦場を他所に静観していたが暫くしてから島の中央へと足を歩み始めた。

 

 島のあちこちで戦闘が繰り広げられる中、ファルバウティは燃える大地の中で膝をつく子供と杖を付き子供を見下ろす老人を発見した。

 

「ぼくにい……かのちからつ……のなら………くは“ニカ”の…うに…………」

「だから消えるんだお前たちは」

 

 子供は何かを呟き、老人が言葉を発すると激怒した声が辺りに響く。

 

「サターン!!貴様が何故ここにいる!!」

 

 “五老聖”ジェイガルシア・サターン聖と遭遇したファルバウティは激昂しながら歩み寄る。

 

「ふむ。」

 

ギィンッ!バガァン!

 

「グヘァ!そのウザい力をやめろ!!」

 

 サターン聖がファルバウティを一睨みすると突然ファルバウティが頭を押さえながら倒れ込む。

 

「……貴様。何者だ?記憶にないぞ。」

 

 倒れたファルバウティは頭を押さえながらも謎の力を使うのを止めるように怒鳴るが、驚いた表情を浮かべたサターン聖はすぐさま思考し始め正体を問う。

 

「ルックック!当然だ!俺の名は…いや、今世ではアダマス・ファルバウティとでも呼ぶと良い!!腐った椅子から降ろしてくれる!」

「……今世?アダマス…?消されたゴミの仲間か?……なるほど、奴隷種族か。混ざり物とはな。どちらにせよ、お前のような奴は消すに限る。」

「俺を消すか?やってみろ!」

 

 言い争うファルバウティとサターン聖は睨み合いを続け、ファルバウティが動きを見せた瞬間、サターン聖との間に影が飛び出す。

 

「おじさん、逃げて!!僕は力を得たんだ!助かってね!」

「小僧?いや、くまか?何しやが…」

 

 ボロボロのファルバウティとサターン聖の発した奴隷種族という言葉を聞いて勘違いを起こした後の“暴君”バーソロミュー・くまによって同じく逃亡途中の奴隷だと思われたことで、掌の肉球を押し付けられる。

 

ぷにっ、ぱっ!

 

 押し付けられると同時に意識を失ったファルバウティは姿を消し、後には小さな風の渦が巻き起こった。

 

「……バッカニアの奴隷。余計なことを。得たばかりの力で何処へ飛ばした?」

「……僕には分からない。だけど今!ここよりかはいい場所だよ!」

 

ヒューン!ドガァーン!!

 

 くまが飛ばした方角に聳える山に何かが衝突し、土煙を上げた。

 

「精度は悪いようだな…。」

「あぁ!山に…!」

 

 くまが土煙を見ながら、頭を抱えるなかサターン聖は土煙を眺めていた。

 そして、サターンの頭に声が響く。

 

『おい、サターン。』

『これは、イム様。どうされました?』

『代われ…。』

『御意。』

 

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Side

ロックス海賊団 vs サターン聖(イム憑依)

 

 サターン聖が激しい破壊に新しい何かが生み出されそうであることを危惧しイムへ報告したことで、サターン聖の身体を依り代にゴッドバレーへとイムが降り立つ。

 そこへロックス、ニューゲートと能力を手に入れたカイドウが集う。

 

 ロックスとイムが戦う中、後からやってきたリンリンにロジャーとガープが合流すると各々がイムへと攻撃を放った。

 

「【拳骨衝突(ギャラクシー・インパクト)】!!」

「【神避(かむさり)】!!」

「【深淵の呪い(パンデモニウム)】!!」

「【(りゅう)】~!!」

「【威国(いこく)】!!」

「【破空阿(はくあ)】!!」

 

ドドドドン!!

バリバリ!!バリバリ!!

ズドォ・・・ン!!

 

 6人の攻撃を受けたサターン聖の身体はボロボロになるも依り代としているイム様は遠くの森を走るエリスと幼いティーチを発見する。それを止めるべくロックスが追撃を行うが、【黒転支配(ドミリバーシ)】を受けたロックスが動き出した。

 

 ニューゲートとロックスがぶつかり、その衝撃の一撃で山が崩れ始める。崩れた山の下敷きになっていた者がいるとは誰も知らず。

 

「吹き飛ばされて、山に埋まったから出てきたってのに…強者が集った方へ向かおうと山をさっさと離れなかったからか?…。衝突した勢いで山が崩れるなんて誰が想像できる…。」

 

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Side

ロックス(悪魔の姿) vs ロジャー&ガープ

 

 黒転支配を受けたロックスが悪魔化したことで自身の意志とは関係なくイムの命令によって島全ての命を破壊するように行動していたが、ロジャーとガープに留められ戦闘を行っていた三者だが近づいてくる覇気を感じ取った。

 

「この覇気は…怪物がこっちに来てるぞ!どうするんだガープ!」

「ちっ…。それ何処じゃないってのに…。」

「あぁ…。ロックスの野郎…アレどうしたんだ?」

「俺が知るかよ…。ったく!手を貸すのは今回だけだぞ!ロジャー!」

 

「貴様らぁ!俺様を無視するとは!容赦しねぇぞ!!」

「怪物!!いったん待て!今はロックスを止める必要がある!」

「ロックスだぁ?…な!!その姿は!!“アイツ”もここに来ていたのか!奴はどこだ!」

 

 障害となる木々をへし折りながら現れたファルバウティにロジャーは暴走し続けるロックスを指さしながら答える。

 ロックスの姿を確認したファルバウティは驚愕の顔を浮かべてロックスの状態について把握しているかのような口ぶりを発すると原因となったであろう者を探し始めた。

 

「これを知っているのか?どうすれば止まるんだ!」

「解除は出来ない。強制的な契約だからな、抵抗出来なかったなら受け入れるしかねぇ。中々殺すのも大変だがな。」

「殺す!?ロックスを殺すしかないのか?こんな奴でも止めたいんだ!」

「殺せば治る…いや、無理だ。諦めろ。…手伝ってはやるよ。どうする?コイツを放置するか殺すかだ。」

「…ちっ!分かったよ!ロックスの相手をしてやるよ…。」

 

 舌打ちをしながらも状況を冷静に判断したロジャーは共闘することを了承しロックスへ反撃し始める。

 

 そしてロジャーとファルバウティの会話を聞いていたガープは何も言わずに戦闘を始め、戦況は激化していく。

 息を切らすガープに対してロックスは傷だらけになりながらも襲いかかる。

 

 同じく刀に覇気を纏わせ防ぎきるファルバウティは同じ技は通用しないことをロジャーへと宣言したが背後に高まる覇気とガープの言葉を聞くと慌ててガープの元へ顔を向けた。目前には黒い稲妻のように迸る莫大な覇気を込めた渾身の鉄拳が迫り、防ごうにもロジャーの攻撃を未だに防いでいるため無防備の状態のファルバウティの顔に拳が直撃するとファルバウティは意識を飛ばす。

 

「崩れたな!うおおぉぉぉぉ!倒れろロックス!!【火之迦具土慧士(ひのかぐつちのえいす)】!!」

「【無限拳骨(インフィニトゥムエクスプロージョン)】!!」

「一刀流『極意』【虎杖丸(クトネシリカ)】!!」

 

 三者の攻撃が重なり強大な覇気が迸る。ロジャーは剣をもった腕を振り回し、渾身の一撃を叩き込み、ガープはの覇王色を纏った拳の乱打を喰らわせ、ファルバウティは過剰な覇気を纏わせた刀で周囲ごと捻れさせた螺旋状の刀身でロックスを撃ち抜いた。

 倒れるロックスを見守るロジャーとガープ、ファルバウティは覇気を使いすぎたことによって意識を失う。

 

 しばらくして意識を取り戻すと周囲には力尽きたロックスと神の騎士団に包囲されたロジャー、ガープが倒れていた。

 

「おい…ガーリング…。その二人をどうするつもりだ…。」

 

「ほぉ、驚いた。それだけの傷でまだ意識があったか。」

「は?面識あんのか?変な姿で気味が悪ぃぞ。」

 

「そいつらには生きる理由がある。ロックスの首だけじゃあ…気が済まねぇか?まだ、俺は戦えるぞ!」

「ッ!!!ソマーズ!マッフィー!さっさとソイツを消せ!何かするつもりだ!」

 

「遅い!アトランティス!ジェスター!ポーネ!解禁だ!暴れるぞぉ!!」

 

倒れていたファルバウティが突如大声を発すると何処からか声が響く。

ファルバウティの背面から水が勢いよく吹き出し、額に付いていた仮面は不気味に微笑み霧が吹きだすとファルバウティの全身を包むように奇形な文字の鎧が纏わりついた。

 

「待ってたよ父上!」

「待ちくたびれたぞ親父!」

「守るよパパ!」

 

ゆっくりと立ち上がったファルバウティは神の騎士団へと向き直ると刀を向ける。

 

「これは…魂の宿ったモノか…。」

「その能力はシャーロット・リンリンだったか?女海賊の能力だったろ?」

「殺して奪った…にしては早すぎる。何よりも…纏っているのは歴史の本文ではないか?」

 

ファルバウティの身体を覆う特徴的な鎧。それは破壊不可能と称される強度を誇り、世界によって調べることが禁止されている代物であった。

 

「すまないな。ただの時間稼ぎに付き合ってもらう。二人の回収が確認出来たらトンズラさせてもらうよ。騎士団様方。」

「舐めるなよ…半端者!」

 

 神の騎士団と戦闘に入ったファルバウティは倒れているロジャーとガープを守るように立ちはだかり、近づいてくる二つの気配の到着を待つ。

 ファルバウティと騎士団による戦闘は更なる地形の変化を起こした。

 

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 ゴッドバレーにて様々な事件が巻き起こるがその殆どは闇へと葬られた。

 船に戻ったロックス海賊団は各々が得たモノや失ったモノを語り合う。

 

 後の新聞には討ち取られた海賊や亡くなった海兵の記事で盛り上がっていた。

 その中のひとりに“霧の怪物”アダマス・ファルバウティの名前も載っていた。

 

 数日後、偉大なる航路の“とある無人の王国跡地”にてロックス海賊団が壊滅したという記事が書かれた新聞を読む異形の化物が自分が亡くなったことになっていることに笑う姿があった。

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