シャーレの五条先生   作:未来跳躍

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4.5周年イベントの情報が発表されましたね!
皆さんは、誰が狙いですか?自分はティーパーティーを揃えられるように頑張ります!
皆さんの結果も教えてくださいね。


燃えよ、アリス!

「ぼうけん、ぼうけん、楽しいぼうけん!」

 

ミレニアムを歩くアリス、彼女の日課である冒険という名の散歩を毎日行っていた。今日も道に落ちてたいい感じの棒を片手に元気よく歌を口ずさみながら歩いていた。

今ではこうして元気に冒険をするこの光景はミレニアムの日常の風物詩となっており、行き交う生徒たちが微笑みながらアリスに挨拶を交わす。

そうして冒険を続けているアリスは、学校全体の連絡事項を掲載する大きな掲示板を見つけた。

そこに張り出されていた1枚のポスターを見て、アリスは驚愕する。

 

「――!!こ……これは……!」

 

一方、ゲーム開発部の部室では、モモイとユズが新作の格闘ゲームで遊んでいた。

 

「わーん、勝てないよ~!ユズ、『スチュ6』強すぎだよ!」

 

ユズにボコボコにされているモモイが涙目になりながらも粘ろうとするが、抵抗虚しくユズのキャラの必殺技にあっけなく散る。ゲームを初めて連敗記録が2桁に到達したのを見て、とうとうモモイは音を上げてアケコンから手を放し、その場で後ろに倒れた。

姉が無様に負け続けるのを後ろで見ていたミドリが、呆れながら口を開く。

 

「当たり前でしょ。ユズちゃんはあらゆるゲームでTOPに輝くあの“UZQueen”なんだから――」

 

「うぐっ」

 

「でも……こんなに遊んでていいのかな?」

 

「何言ってんの!?ゲームをするのも開発のうちだよ!最新ゲームを学ぶことで、次のゲームの糧にするんだよ」

 

「よくもまあ、そう言い訳が思いつくね」

 

「そういうミドリはやらないの?」

 

「新しいゲームってなんかとっつきにくくて」

 

そんな三人が何気ないことを話していると、アリスが部室に帰ってきた。

 

「あ、アリス、おかえり」

 

いつもの散歩が終わったアリスを迎えて、そのままゲームの相手をしてもらおうとしていたが、アリスは元気よく口を開いた。

 

「みんな!大変です!アリス、すごい発見しました!」

 

「前みたいにいい感じの枝とかきれいな石とか?」

 

「それは聖剣エクスカリバーと魔石アレキサンドライトです!アリスが見つけたのは――」

 

アリスは懐にしまっていた1枚のポスターを取り出して、みんなに見せつける。

 

「じゃーん!校内ゲーム大会のお知らせです!これに参加しましょう!」

 

「忙しくてゲームしてる場合じゃないよ」

 

「それにそんなのに出たらユウカに怒られちゃうよ」

 

三人は真面目にゲーム制作をしながら、アリスに注意する。しかし、さっきまでゲームで遊び続けていた奴らがどの面下げて言ってるのかというツッコミはここではしないでおこう。

注意されたアリスがしょんぼりとした顔で項垂れる。

 

「そんな~せっかく優勝賞品は『学食一年無料』なのに……」

 

「優勝目指すよ!」

 

「やらいでか!」

 

「医者の不養生、紺屋の白袴、ゲーム開発部のゲームせず!」

 

途端に手の平を返す三人はやる気満々にアリスに詰め寄る。ゲーム開発部は碌に部費を貰っておらず、いつもひもじい思いをしているので、この『学食一年無料』を逃すわけにはいかなかった。

三人がやる気になってくれた理由を知らないアリスは、素直に喜んでいた。

 

「ゲーム大会なら好都合。なぜなら我らがゲーム開発部にはあの“花岡ユズ”がいるんだよ。ユズが出れば優勝間違いなしだよ!」

 

「そうだね、あらゆるゲームのTOPランカーの“UZQueen”として数多くのプレイヤーを撃破してきたんだから」

 

「「ユーズ!ユーズ!ゲーム開発部のホープ!」」

 

モモイとミドリはユズの両肩を組んで高らかに彼女の名前を連呼する。

 

「あっ、“花岡ユズの出場は禁止します”って書いてあります!」

 

「「ズコー」」

 

「この前の校内大会で賞品を総取りしたせいかな……」

 

「そんなことしてたの?」

 

ちなみにこの前のゲーム大会は、『格ゲー部門』『パズルゲー部門』『FPS部門』『RTA部門』そして『総合部門』の五つの種目を全て優勝してユズは山のような商品を抱えて去って行きました。

これを見た会場は歓声どころか、ガチすぎてドン引きの最悪の空気になったそうな。

ユズというメインウエポンを失った四人は、あらためて作戦会議を開く。

 

「結局どうする?ユズちゃん以外の三人で出場しようか」

 

「いや――弱い者が参加しても意味がない。出場は一人に絞る。三人でそれぞれ対決して、買った一人が出場するんだ!」

 

こうしてモモイ、ミドリ、アリス三人によるゲーム開発部の最強決定戦が開催された。

激しい(ように見える)戦いの末、最後に残った勝者が今決まる。

 

「アリス勝ちました!大会出場決定です!」

 

最後に残ったのはアリスだった。ちなみに順位は1位アリス、2位ミドリ、そしてぶっちぎりの最下位はモモイだった。

モモイは商社アリスの前に仁王立ちで立ち、最後にこう告げる。

 

「よくぞこの私を倒した。もう何も教えることはない。アリスよ、この部をすく勇者となれ!」

 

「はいっ!アリス、勇者になります!」

 

「一番弱い人が何偉そうにしてんだか……」

 

「でも、ミドリやモモイに勝ったくらいで優勝できるんでしょうか?」

 

「それは――」

 

「話は聞かせてもらったよ!」

 

突然部室の扉が開かれる。全員が驚き振り返ると、そこには五条が立っていた。

 

「先生!」

 

「アリス、GGG(グレートゲーマー五条)の僕が優勝するための修行をこなしてもらう。過酷な修行になると思うけど……覚悟はできてるかい?」

 

真剣な五条の目にアリスは思わず生唾を飲んだ。しかしアリスは拳を握り締め大きく頷く。

 

「はいっ!アリス修行します!」

 

「……分かった。さあ、僕についておいで!」

 

「はい!」

 

こうして五条とアリスの修業が始まった。

それはとても辛いものだった。毎日朝早くから20㎞の走り込みから始まり、そこから腕立て、腹筋、スクワットを1000回して、さらに五条との1対1の組み手を3時間、ついでに五条の仕事も6時間というハードなメニューだった。

そんなハードな修行が1ヶ月も続いた。ゲーム開発部の部室では、今日アリスが帰ってくることにワクワクしていた。

 

「ついにアリスが修行から帰って来るね」

 

「大丈夫かな、アリスちゃん?」

 

「先生と一緒に修業だから大丈夫だよ」

 

「そうだね」

 

「いや、先生と一緒だから不安なんだけど……」

 

謎の説得感のある様子のユズとモモイに頭を抱えるミドリ。するとそこに修行から帰ってきたアリスが部室に入ってきた。

 

「――!」

 

「あ、アリスちゃん!?」

 

アリスの姿を見たモモイたちは驚愕する。修行を終えたアリスの様子は、1月前とは別人の様だった。ボロボロの道着に身を包み、凛々しくなった顔つきはそれだけで相手を怯ませるほどの威圧感を放っていた。

あまりの様相に、モモイたちは思わずたじろいだ。

 

「アリスちゃん、すごく強そう……!」

 

「これは強くなったに違いない!」

 

アリスは何も言わずにゲーム機の前に座る。そして、静かにゲームを始める。

 

「早速プレイするぞ……」

 

モモイたちが固唾を飲んで見守る。そしてその結果は――、

 

「弱いじゃん!」

 

ものの見事に20連敗を決め込むのだった。

 

「もう大会まで時間ないのに!ぜんぜん意味なかったじゃん!」

 

怒りを露わにするモモイとミドリが五条に詰め寄る。しかし五条は焦る様子もなく、アリスを指さしながら口を開く。

 

「それはどうかな?アリスをよく見てごらん」

 

「えっ?」

 

言われるままアリスの方を見たモモイたちは、驚愕する。

 

「あっ、アリス!」

 

「まさかあれは――!」

 

「あんなに負け込んでいるのに、眉一つ動かさない水鏡のような心を手に入れていたんだ!」

 

そうアリスは20連敗もして、今も負け続けているはずなのに、アリスは何も言わずまるで何事もなかったかのように黙々とゲームを続けていた。ゲーマーとしてこの不動の心にミドリは驚愕する。

 

「すごい……お姉ちゃんならコントローラーをぶん投げてギャン泣きしているのに、アリスちゃんすごい!」

 

「ちょ……そんなことないもん!」

 

「対戦ゲームで大切なもの。それは……自分の弱さを認めること。負けた原因を冷静に分析することで、より強くなれるの!」

 

「流石ユズだね、その通り。あとは任せるよ」

 

「うん。準備は整った!じゃあいよいよゲームの練習するよ!」

 

こうしてユズのゲーム特訓が始まった。ユズの特訓も厳しいものだった。

 

「対空の後は前ステして、どんどん距離詰めて」

 

「起き攻めループは絶対覚えて!相手の警戒をつって別の択も通りやすくなる」

 

「立ち強Kは発生が遅いから注意して!ジャスパからコパ中足ラッシュで画面端に追いやられるよ!」

 

こうしてユズの猛特訓は数日間続いた。アリスはどんどんレベルが上がり、その結果、モモイとミドリを同時に相手してもパーフェクト勝ちできるようになっていた。しかもそれだけではない。目隠しプレイに続いて、背面プレイのハンデでもモモイとミドリに勝てるようになるまで成長していた。

そして大会前日まで特訓が続いた。そしてユズの教えることはもう何もなくなった。

 

「強くなったね、アリスちゃん」

 

「ユズのおかげです!」

 

「これで波のプレイヤーには負けることはない。あとは……思う存分ぶちかましてきて」

 

「はいっ!ぶちかましてやります!」

 

そうして、大会当日となった。会場は多くの観客で埋め尽くされており、その大歓声は大きな波となって会場に響き渡っていた。

大会の開始を今か今かと待ちわびる観客たちに答えるように、マイクを手にしたコトリがステージに登場する。

 

『ついに始まりました、校内ゲーム大会!実況は私、豊見コトリです!』

 

それに応えるように会場が沸き立つ。その歓声を聞いたコトリが大きな声で選手紹介を始める。

 

『それでは注目選手の入場です!』

 

『ハッカー集団“ヴェリタス”からの使者!直感による天才的プレイが光る!小塗マキ!』

 

『ヴェリタスからもう一人!そのゲームの強さは折り紙付き!小鈎ハレ!』

 

『開発者は果たしてゲームは強いのか!?今日判明する!天童アリス!』

 

『ゲームの腕前は未知数だがその異能とも呼べる先見性はもはやチート級!一之瀬アスナ!』

 

『その笑みの奥には何を思う!?実力、目的、全て謎。今大会のダークホースとなるのかー!?生塩ノア!』

 

注目選手が出揃ったところで会場のボルテージはさらに上がる。そして――、

 

『さあいよいよ一回戦がスタートです!それでは始まります』

 

ステージ上の大きなモニターに照らし出されるゲーム名を、コトリが盛大に読み上げる。

 

『対戦するゲームは、パズルゲーム「フルゼリー大戦」!』

 

「……え?」

 

「「「……え?」」」

 

ステージのアリスと観客席にいるモモイたち三人は、フリーズする。しかし、現実は呆けている暇など与えてくれはしない。

 

『今、スタートです!』

 

そうして、ゲーム大会は幕を開ける。

そして、ゲーム開発部は――、

 

「うわーん。『スチュ6』大会じゃありませんでした~」

 

スチュ6の特訓しかしてなかったアリスは、何もできずに1回戦で速攻敗退という無様な結果を残し、ただただ時間を無駄にしたことに涙を流すゲーム開発部なのでした。その翌日、この1月の間、ゲーム開発部が何もしていないことを知ったユウカは彼女たちを説教するのだった。

 

おしまい

 

 

 

おまけ

 

修行中アリスのおかげでだいぶ仕事が減った五条は、悠々自適にバカンスを楽しむのだったが、後日このことを耳にしたユウカが、シャーレに突撃するという大騒ぎがあった。結局、リンとユウカに説教される五条なのであった。




さて、次回から大長編エデン条約編が始まります!
トリニティ総合学園にやってきた五条、ティーパーティーのホストである桐藤ナギサに頼まれて、補習授業部の勉強を見ることになった。
ただの勉強会のはずだと思っていたが、その裏では様々な陰謀が潜んでいた。
さて、五条は補習授業部を無事に合格させることはできるのか!?

乞うご期待!
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