そんな第4話目です。
「私は賛成ですよ。そこのシスターさんがバレットの世話をすることは」
突如としてかけられた言葉にみんなの目が向けられる。
そこにいたのは金髪にイギリス海軍大佐の階級章を着けたコートを羽織った少女である。
ナギサは彼女をみてあっとなにかを思い出したような顔を見せたが、ミネとサクラコは突如現れた無もしれぬ人物に頭にクエスチョンマークを浮かべている。
「あの。どちら様でしょうか……?」
思わずサクラコが突っ込んでしまう。
それを聞き、少女の方もハッとして声を上げる。
「ああ、申し遅れました。私、ウェルロッドMkⅡといいます。気軽にウェルロッドとでも呼んで下さい」
少女ウェルロッドMkⅡはサラリと名乗ってみせるとナギサの方をちらりと見た。
”久しぶりだね”
「お久しぶりです」
「ええ、お久しぶりです指揮官、スプリングフィールドさん。ナギサさんとご一緒でしたか」
そう軽く告げる彼女にナギサの頬に汗が伝う。
「あら、お知り合いですか?」
スプリングフィールドがにこりと笑い返す。
「ええ、茶会に呼んでもらう仲ですよ。今日も茶会の招待をもらいましてね。にしても今日は大所帯ですね……これじゃ茶葉が足りませんよ」
ウェルロッドMkⅡはナギサの方を注視して答える。
ここでナギサの緊張は最高潮に達し、汗がダラダラと溢れる。
「あらあら……」
すべてを察したスプリングフィールドは微笑を浮かべ野次馬に徹するようだ。
同様に先生も一歩引いてこの
なおサクラコとミネは気づいたのか気づいてないのかよくわからない。
「では、淹れますかね…と言いたいところですが、もう一杯目を召し上がっているようですね。では私も淹れてもらいましょうかね?ナギサさん?」
「……申し訳ありませんでした」
「よろしいです」
ついにナギサがダブルブッキングを謝罪した。
先生が事情を聞くとどうやらウェルロッドとの茶会自体は結構前から決まっていたが、最近のゴタゴタでキャンセルの連絡を忘れていたのが真相らしい。
その後ウェルロッドは茶会に参加し、この一件は無事幕を閉じた。
余談だが、ウェルロッドの分の紅茶は、ティーパーティーのトップがペコペコと腰を低くしながら淹れて出したそうな。
「で、どうしてあなたはサクラコさんに彼女…バレットM82A1を預ける方が良いと……?」
ウェルロッドが紅茶を軽く味わってから、ナギサは彼女が割って入ってきたときのあの言葉の心を正す。
「ああ、それは……単純にあなたたち二人が合いそうだからですよ」
「ですが宗教関係者ですよサクラコ様は!」
ミネ団長の言うこともごもっともであり、これを破らない以上ウェルロッドの発言はただの戯言にされてしまう。
「ぶっちゃけ彼女宗教にトラウマがありますが、それ自体もグリフィン時代のはじめですよ。別にP7の頭に弾丸を撃った経験もありませんし、グリフィン時代は宗教関係者の護衛任務もこなしたことありますしね。おそらく今回は見知らぬ土地に事情もわからず一人きりということで、ある種のパニックを起こしてしまったのでしょう」
「そうですね……この話は一理ありますよ。確かにP7さんは無事でしたね」
スプリングフィールドもその意見には賛同した。
先生もこくこくと頭を縦に振っている。
「それはわかりました。ですがなぜサクラコ様なのですか!?もっとあるんじゃないですか!?」
「えぇ!?それはひどくないですかぁ!?」
”うん、まぁ、言いたいことはわかるけど、言い方がね。うん”
「ええ、流石にその言い方は語弊を生みますよ…」
「……あぁ…申し訳ありませんでした」
「……いえいえ。確かにミネ団長の言い分もわかります。ですが彼女は私が預かりたいです。彼女自身少し浮き世離れした話し方をするんじゃないかなと思うんです。私のように……」
ミネが落ち着いてからサクラコが話し出す。
”まぁ、確かに彼女は少々浮き世離れした言動はあるね”
「やはりそうでしたか……なにか似た雰囲気があったものですから」
「それがどうしてシスターフッド預かりになるのですか?」
「浮き世離れしていると怖がられるんですよ。私みたいに……まぁ、最近は無事誤解も少々は溶けてきたのですが……それが彼女のストレスになってしまうのなら…私のもとにいたほうがいくぶんかは過ごしやすいかなと……それに彼女が望めばの話ですが、少しずつでも浮き世離れした発言を減らし人間関係づくりの一助にでもなれればとも思いますし……」
ナギサの疑問にサクラコがしみじみと返す。
その声には彼女の苦労がにじみ出ている。
”で、ウェルロッドはどうだい?”
「私はただ浮き世離れした二人をくっつければいい具合に好転すると思っただけですよ。よく言うでしょう?変人に変人をぶつけるといい具合に回ってゆくと。AK-12とRPK-16が同じ隊にいるでしょう?それと一緒ですよ」
思ったより論理もクソもない話だが、確かに一理あると先生は頷く。
あの変人にサイコパスをぶつけ、ワンコとメスゴリラを加えればそれだけで叛逆小隊の誕生である。
ちなみにこれ遠回しにサクラコが変人だとディスっていることになるが、本人は気づかずなかったのかスルーした。
「どうしますか?ナギサ様?」
この場における最高権力者はナギサであり、彼女がノーを突きつければこの話の実現も難しくなる。
「私は反対しません。ですが、シスターフッド自体の了承が欲しいです。シスターフッドに彼女を預けてしまうと、同じ組織に襲撃の被害者と加害者が揃ってしまいます。そこから新たな火種が生まれるおそれもある以上はシスターフッドの生徒全体の了承が欲しいです。そして何より…彼女自身の意思も尊重しなくてはなりません」
”M82A1の意思については私の方から聞いてみるよ”
「お願いしますね」
何より大事なのはM82A1がどこに行きたいかである。
彼女がシスターフッドを強く拒めはこの話自体が流れるわけである。
というわけでひとまず彼女の意思次第ということでこの話は終え、ウェルロッドが来た本来の目的への茶会へとみんなの意識は切り替わった。
◇◆◇◆◇
翌日、先生は病室でM82A1と向き直っていた。
目的はもちろん彼女の処遇についてだ。
”……というわけだけどわかった?”
「つまり、私は誰かの元へ預けられるわけですね」
”うん。君はやったことがここまで大きくなってしまったから野放しは世間が騒ぐんだ。だから窮屈かもしれないけど、君は誰かの元へいかなければならないんだ。すまないね”
「いえ、誰かの下に入れることはありがたいです。メシア扱いもされませんし」
実際彼女のメンタルはグリフィンにいた頃から誰かの指揮下で動くことを好む傾向にあった。
そのため誰かの預かりになること自体は反対どころか大手を振って賛成である。
”で、どこに行きたい?一応リストもあるし、雰囲気を感じたければこっちで案内もするけど”
A4の紙数枚をホチキス止めした書類を先生から渡される。
M82A1はそれらをペラペラと目を通した後、少し悩んで口を開いた。
「このシスターフッドがいいです」
この発言には先生も思わず目を見開いた。
まさかまさかの大穴である。
”どうしてだい?ひどい言いようだけど、ここはよりはいいところがあるんじゃない?”
「いえ、ここがいいです。確かにここは私に恨みを抱く方も多いと思います。ですが、そんな方に今度こそ私は向き合います。
”違う向き合い方があっても?”
「はい。私は今度は逃げません」
真紅の双眼に睨まれこれ以上は無駄かと思い、先生はそれ以上言うことはなかった。
ただ、彼女らの意見も聞かなくちゃいけないとだけ伝えた。
”じゃあ、また来るから。何かあったら救護騎士団の人に伝えるか、モモトークで知らせて。ある程度融通は聞くからね”
そう言い残し、先生は病室を去る。
まだまだ関係各所への根回しは済まなそうだ。
◇◆◇◆◇
さらに数週間後のトリニティ。
無事病床から解放されたM82A1は先生とともにシスターフッドの大聖堂へと向かっていた。
理由はもちろん顔合わせである。
あの後根回しを済ませ、シスターフッドやティーパーティー、そしてM82A1と被害者たちの了承をしっかり取った上での顔合わせである。
作戦よりも骨の折れる根回しを済ませて先生は疲れた顔一つせず大聖堂へと向かっていた。
”この先にシスターフッドのみんながいるけど、大丈夫かい”
「大丈夫です。腹は括りました」
扉の前で一息ついてから合図と共に、案内役の生徒に扉を開けられ、歩き出す。
「…………」
「シスターフッドの代表。歌住サクラコです。よろしくお願いしますね」
中央まで歩いてサクラコと向き合う形に立つと、サクラコが気さくにも挨拶をしてくれる。
だが、そんなことはM82A1の頭に入らずただ今は人形であることを感謝した。
「………バレット、M82A1です。こちらこそ、お世話になります。そして……大変申し訳ありませんでした」
なんとこさ言葉を紡ぐ。
ここで一度、M82A1がシスターフッドの生徒の方を向き直り、頭を下げる。
その時彼女を射抜いた視線は嫌悪でも、敵意でもなく、ただ、驚嘆と同情であった。
「このバレットさんはシスターフッドで預かり、生活を共にします。もちろん皆さん因縁がある人もいるでしょう。ですが、彼女もある意味では被害者です。ですからどうか、神に使えるものとして彼女に手を差し伸べてあげてほしいです」
サクラコが良いことを言っても頭には入らない。
先生もこれはひどいなんてことを頭の中で思い浮かべて話を聞く。
「ご迷惑おかけしますが、よろしくお願いします」
M82A1がもう一度みんなの方へ頭を下げる。
しばらくして頭を上げたのを見てサクラコが口を開く。
「では、今日はミサもありませんし、このまま歓迎会を行きましょう。立食形式ですが、わだかまりを一旦はおいてこの茶会を楽しみましょう」
テーブルには菓子やサンドイッチ、スコーンなどが並んでいる。
このままパーティーと洒落込むことができそうだ。
「で、ではサクラコ様。お色直しに行きましょう」
「で、ですね!こちらへどうぞ」
サクラコもみんなと共に茶会を楽しもうかといったところで、そばにいたシスター数名に奥へと連れてかれた。
そしてサクラコが見えなくなると、先生やシスターフッドの生徒たちはホッとため息をついた。
「……ど、どうも先生」
”あぁ、マリー……”
そんな先生にマリーが話しかけてきた。
その眼はどこか疲れているようだ。
”ね、ねぇ、なんでサクラコは……”
「言わないで下さい……バレットM82A1さんになんて思われるか………」
”う、うん。まぁ、バレット。いつもはマリーのような服装だから……今日はサクラコも少し張り切っちゃったんだ……”
「…そうですか……すごい人なんですね。彼女」
M82A1もようやく表情筋を緩め引いた顔を見せた。
その顔を見てマリーは必死に弁明する。
なんならシスターフッドの生徒数名も弁明していた。
その中には彼女に頭を撃たれた子までいる。
「……あれは一体?」
”…あれは覚悟礼装というらしいよ。なんでもユスティナ時代の正装らしい……”
「ぇぇ……確かにアレを着るのは覚悟が入りそうですね……私には無理です。やはり私じゃメシアは無理だったんですね………」
そう、ここまでマリーたちが必死に弁解し、先生たちが引いていた理由はひとえにサクラコの服装である。
彼女はなんでもM82A1へ自分たちがあなたを責任持って預かるという
だれか止めなかったのかよなんて話は厳禁である。
「そういえばM4もすごかったですね。先生。彼女は覚悟が決まっていたのでしょうね」
”……あぁ、うん……そうだね”
思わぬところでM4が被弾したがこれが功を奏したのか、え!?あの格好をしている人が他にもいるんですかみたいなノリでシスターフッドの生徒たちが話しかけてきた。
常日頃からあの覚悟のいる服装をまとっている彼女への風評被害が積み重なるが、それでもその話題を通じてM82A1とシスターフッドの距離が少しずつでも近づくのならと、先生は尊い犠牲に静かに涙した。
その後普通の服装に戻ったサクラコも合流して、特に喧嘩沙汰などもなく歓迎会はつつがなく終わりを迎えた。
途中妙に浮き世離れした二人が誤解を生みまくる発言をしていたが、救護されることもなく平和に済んだ。
そして何より、撃たれた少女ともM82A1は少しぎこちなさも残るが、それでもふたりとも笑みを浮かべて会話をしていた。
先生もこの調子で行けば彼女も馴染めるかなと安堵のため息を吐いた。
案外シスターフッドと彼女は上手くやれるのかもしれない。
☆ウェルロッドMkⅡ(ドルフロ)
実は二代目”メシア”を保護したのは彼女。
本編でM82A1との絡みはないけど、ウェルロッドがM82A1のことをメシアと知っていたのなら気にかけてたんじゃないかなぁと思った。
☆覚悟(ブルアカ)
すっごい角度のレオタードのこと。
まぁ、宗教関係者の服装じゃないよね。
☆M4の覚悟(ドルフロ)
実は腰巻きジャケットでスカートっぽく見えるだけで、立ち絵をよく見るとこちらはこちらですごい覚悟である。
こっちはまだ腰巻きジャケットで少しは隠せてるが、腰にジャケットを巻いていないサクラコ様はやっぱすげぇわ。
ちなみに角度自体はサクラコ様もM4もいい勝負。
サクラコ様はこういう場では覚悟を示してくると思う。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。
次回は筆が乗り次第。
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昔ブルアカやっていた!
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昔ドルフロやっていた!
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