ドールズ・アーカイブ   作:あっぷる⤴ぱい⤵

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タイトルから展開がある程度読めるってこういうことなんやな。

私事ではございますが、二日三日多分投稿できません。
平にご容赦を……次話は第一話でほのめかしたとある部活と人形の話にしようかと考えております……部長さんは近々新衣装も出るそうですし……


レッドウィンターとスオミ

サクリ、サクリと雪を踏みつける音のみが響く。

白銀の雪原をランタン片手に歩くのは水色の防寒服に身をまとった少女である。

そして、しきりに無線機の周波数を弄り連絡を取ろうとするがいかんせんうまくいかない。

 

「無線が繋がらないッ……」

 

スオミ自体寒さにはすこぶる強いがやはり前から猛烈に吹き付ける吹雪には辛いものがある。

 

「ビバーク*1しますか……」

 

とりあえずスッコプで軽くかまくらを作りビバーク。

雪のテントに体を入れ、夜が開けるのを待つ。

じっと中から吹雪が止むのを待つ。

視界がひらけたら新たな希望が見えることを期待して……

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

日が昇ると吹雪も止み、視界がひらけた。

だがしかし、中々建築物は見えない。

それでもスオミは進み続ける。

手にはコンパスと愛銃。

光明差し込まない中、雪原を一歩踏み出した。

 

そんなこんなで歩くこと一時間ほど、ついにスオミに光明が差し込んだ。

 

「……建物が見えました!」

 

トウヒの木以外なにもない雪原ではく、うっすらではあるが建物のような影が見えた。

そう決まれば足取りもすっごく軽い。

サクリ、サクリがサクリサクリとスルスルと雪原を歩いていく。

そして、近づいて建物をはっきり視認できるようになって、スオミは膝から崩れ落ちた。

 

ココーシュニクにクーブ、ボーチカ。

あの忌々しきロシア風の建築様式である。

よりにもよってロシアの都市である。

 

「クソがッ!!」

 

思わず叫んでしまった。

あの憎きロシアの都市で救援を要請するくらいなら自身の愛銃でメンタルモデルを砕いてやる!と思っていたら遠くに人影が見えた。

最近アップデートした資格モジュール彼女の目が捉えたのは白のロングスカートに青のコート。

そして人生で二人と見たことのないアップテール。

戦術人形たちの頼れるママ。スプリングフィールドである。

 

「神はまだ私を見捨ててはなかったのですね!」

 

雪に埋めていた手を抜き、一目散にスプリングフィールドに向けて走っていった。

足音もサクリサクリではなくサクサクサクサクといったペースである。

 

「スプリングフィールドさんッ!!」

 

そう叫ぶとスプリングフィールドがちらっと振り返った。

スプリングフィールドの視界に入ったのは雪に映える金糸の髪。

いくら焦って走ってきてもこの雪の中一切バランスを崩さず駆けてくるのはさすがフィンランド人形である。

 

「ハァ…ハァ……スプリングフィールドさん!」

 

「どうしたんですか?スオミさん?」

 

「ここどこですかぁ!?」

 

「どうどう」

 

彼女は泣きじゃくってスプリングフィールドにくっつく。

これを見てスプリングフィールドはどうします?と横でおそらく一切スオミの視界に入ってなかった先生に問いかけた。

 

”まぁ、とりあえずレッドウィンターに行こう。スオミはこっちでおぶるよ”

 

「いえ、剥がれませんのでこのまま歩きます」

 

”無理はしないでね”

 

張り付いたスオミが増え、二人は雪の道を歩く。

にしてももう少し舗装しても良いのでは……?

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「すすすすいませんでした!!!」

 

なんとかかんとかレッドウィンターについた一行はとりあえず適当な飲食店の個室に入った。

ピタリとスプリングフィールドに張り付くスオミに店員はにわかに引いていたが気にしない。

 

そして、個室でゆっくりできるという所でスオミが現状に気付いた。

それからは速かった。

顔は熟したリンゴの如き色に染まり、体は一泊のオーバーフローによるフリーズを経て、焼き切れる寸前の思考モジュールが弾き出したとおりに土下座を敢行した。

 

「いえいえ、スオミさんは基地にいた頃からあんまり甘えてくれませんでしたから、嬉しいですよ」

 

スプリングフィールドはこの一件に着いて何も思ってなく、むしろ嬉しいと思っている。

先生もかわいい一面が見れたと嬉しそうにしていた。

その優しさはスオミを安心させ、焼け切れそうに鳴っていた思考モジュールを始め、体を構成する全てのパーツが急速に冷却されていった。

 

「……お恥ずかしいところを…ありがとうございました!」

 

”可愛かったよ、スオミ”

 

「指揮官!………ところでここはどこですか?」

 

スオミは気になったことを口に出した。

それが地獄の門を開くとは知らずに……

 

「レッドウィンターの飲食店ですよ」

 

「レッドウィンター?もしかしなくてもあの忌々しきソ連の阿呆の建築物が経っている町ではありませんよねぇ!」

 

”あります”

 

「うわぁぁぁぁん!」

 

「どうどう」

 

スオミが一目散に逃げ出そうとしたところをスプリングフィールドが華麗に確保。

捕まったと知るやいなやスオミは今度は先生に引っ付いた。

 

「ひぇぇぇぇ……こんなところに肌を触れさせてたまるかァ!」

 

そのまま先生をガッチリホールド。

これでは先生は身動きが取れない。

 

「先生、そろそろレッドウィンター事務局に出向く時間ですよ」

 

”そうだね……どうする?”

 

「仕方ありません…任せてください」

 

そう言うとスプリングフィールドは諭すようにスオミへと声をかけた。

 

「いいですかスオミさん。貴女は確かに大のロシア嫌いです。その根底は冬戦争でしょう?その歴史から彼らを嫌うのはわかります。ですが、ここはキヴォトスのレッドウィンターです。ロシアでもソ連でもないのですよ。冬戦争は一切関係ありませんよ。なのに貴女がレッドウィンターのことまで嫌ったら、レッドウィンターの人は何もしていないのに嫌われたことになりますよ。ソ連は一方的に決めつけてフィンランドに進行。スオミさんは一方的に決めつけてレッドウィンターを毛嫌いしている。何が違うのですか?やっていることに差はあれど根本では同じではありませんか。それでも貴女はここはロシアだと決め打ちするのですか?」

 

諭すように、だが叱るように彼女は言葉を紡ぐ。

突きつけられた言葉の刃はスオミのメンタルを揺るがすには十分すぎるものだった。

 

「……頑張ってみます。ここの人たちと交流してみます」

 

「そうですか!嬉しいです」

 

「あの野人どもといっしょにはされたくありませんので!」

 

動機は何であれ、彼女は一歩踏み出そうとしている。

それを応援しない先生がどこにいるだろうか?

 

”じゃあ、私とスプリングフィールドはレッドウィンターの事務局っていうところに行ってくるから、スオミは町を見回ってみたら?ここって独裁名乗っている割には結構自由だよ。それに何かあったら事務局を訪ねてもらったらいいし。このシャーレのパスがあればまず門前払いもないと思うしね”

 

そう言ってスオミに渡されたのは”シャーレがこの者の身柄を保証する”と描かれたパスであった。

これさえあれば不審者扱いはまず無い。

 

「わ、わかりました!頑張ってみます!」

 

そう言って少女は立ち上がった。

そして、小さいながらも大きな一歩が踏み出された。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

先生たちと別れ、スオミは店の前で一人になった。

手元には先生からもお小遣いでいくらかのお金もある。

行動するには十分である。

 

とりあえず彼女はてこてこと通りを歩き始めた。

 

「右を見ても左を見てもロシアです……」

 

いざ決意はしたものの今まで自身が毛嫌いしていたモノに触れるということは生半可なことではない。

とりあえずロシア色の一切ないエンジェル24を訪れた。

 

「弾薬に手榴弾……聞いていた通り物騒な品揃えですね……」

 

少々のカルチャーショックに悩んでいた所、ポンと肩に手を置かれた。

 

「ピィッ!!」

 

「うぉ!どした!?」

 

スオミが奇声と共に後ろを振り返ると茶葉色の髪の毛に記者の装いをした少女が立っていた。

荒槇ヤクモである。

 

「どうどう……大丈夫ですか〜?随分周りを気にしていたので……もしかしてなんかやらかしてます〜?」

 

ニヤッと記者らしき笑みになった彼女を見てスオミは非常に緊張していた。

自身の気を必死に落ち着かせ、眼の前の親切に声をかけてくれた少女に礼を言おうとした。

 

「…あっ、あの……」

 

「ん?その首にかかっているパスって〜……やっぱりシャーレのパス!関係者ですか〜!?」

 

スオミが言葉を発する前に彼女が間延びした口調ながら強めの口調で訊いてきた。

 

「は、はいっ!シャーレのパスです!」

 

「ということは先生のことは知っていると〜?」

 

「し、指揮官のことなら多少は……」

 

「指揮官……もしかしなくても〜…戦術人形さんですか〜?」

 

「うへぇ!?なんで知ってるんです!?やはりロシアのピロシキ野郎は怖いです!」

 

再び彼女の思考モジュールは再び大混乱の局地に陥った。

思わずスオミは手にしていた愛銃、スオミKP/-31をヤクモへと向けた。

 

「どうどう…落ち着いて〜落ち着いて〜………深呼吸〜深呼吸〜……」

 

なんとかヤクモはスオミをなだめた。

スオミがふぅと息を吐いた所でヤクモが切り出した。

 

「とりあえず〜…喫茶店入りません?」

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「ふむふむ………わかりました〜!いい記事がかけそうです〜!」

 

喫茶店に入ってからもスオミは随分混乱していたがヤクモは巧みに緊張や混乱を解きほぐし、彼女と対話した。

ひとえに彼女の特ダネを求める心意気からである。

同時にスオミの事情やロシア嫌いな気持ちなどディープなことも聞き、寄り添った。

始めこそはスオミ自身内心ピロシキ野郎とかシベリアの野蛮人とか思っていたが随分彼女に絆されたようで今は友人程度の距離感で話ができている。

 

そして、今までスオミが語っていたのは先生が先生になる前までの話、つまり指揮官時代の話である。

特に先生のパーソナルデータ、中でも女性の好みや性癖などは重点的に訊かれていた。

 

「あっ!それと……見てください」

 

スオミが端末をいじると一枚の写真を見せた。

写真には右下にR-18との表記のある本が写っていた。

 

「前、MDRさんが流していた先生のオカズです」

 

すごいのをぶっこんできた。

中身はどうやら褐色肌の女性の脚を舐める本らしい。

 

「ほほう!次号は売れる予感がピンピンしますね〜!」

 

思わぬ収穫にヤクモの頬も緩んでいる。

写真データを送ってもらった所でスオミは一言切り出した。

 

「あの…私指揮官と合うまでにここを観光したいのですが……どこかおすすめとかあります?」

 

「オススメねぇ〜……うーん……あっ!最近温泉が見つかってね〜…そこから源泉を引っ張ってきている銭湯があったはず……」

 

「で、では案内してもらえませんか!?」

 

スオミはヤクモ相手なら大体の人に接するような接し方ができるようになった。

これだけでも随分な収穫である。

その後、スオミとヤクモは銭湯へと向かった。

あっ、227号温泉郷じゃないよ。

あそこはすでに夢の跡だからね。

 

さて、ブルアカやドルフロで過酷をしている先生や指揮官諸君には非常に申し訳ないが、お風呂シーンを書くとR-18に引っかかる恐れがある。

あとは言わなくてもわかるな……カットだカット!

そんなに過酷シーンを見たけりゃ書け!

ドルフロ×ブルアカ作品はマジで見かけたことがないのよ!

だからだれか書いてぇ!

 

閑話休題……

 

「どうでした〜?」

 

「フィンランド式サウナとは……レッドウィンターはすごいですね!あの熱風にヴィヒタ、キンッキンの氷風呂。何もかもがフィンランドを想起させます!ありがとうございます!」

 

スオミはすっかりレッドウィンターが好きになっていた。

最大の理由はやはりフィンランドサウナである。

銭湯にはもちろんサウナもあったため、入ってみた所、70℃程度の温度に20%程度の湿度。

まさしくフィンランド式サウナである。

スオミはそれを随分気に入ったようで上機嫌も上機嫌、自身のレッドウィンターへの偏見を消し去る勢いでレッドウィンターが気に入っていた。

 

「いや〜…想像以上の喜び……紹介した甲斐がありましたね〜」

 

ヤクモとしてもつまらないと言われるよりかは褒めてもらったほうがよっぽど嬉しいためこちらも期限は良かった。

 

”スオミ〜迎えに来たよ〜”

 

っと、お迎えが来たようである。

色々終わらせた先生たちがやって来た。

 

”ヤクモ、久しぶりだね”

 

「あっ、先生。久しぶりだね〜」

 

四人はしばらく世間話に華を咲かせた。

なかでもスオミの成長ぶりには先生もスプリングフィールドもとても驚いていた。

そしてもっと驚いたのはスオミがここにいたいと言ったことである。

 

先生たちもまさかそこまでなるとは思っていなかったようで思わずおでこに手を当てて熱が無いか確認までした。

 

「まぁ、ヤクモさんが面倒を見てくれるらしいですし…いいんじゃないですか?」

 

”だね、よろしくね。ヤクモ。そして頑張ってね、スオミ”

 

「はい!」

 

「よろしくされたよ〜」

 

そう交わして先生とスプリングフィールドはシャーレへと戻っていった。

その二人の顔は随分と嬉しそうで、雪を踏む音も随分と軽かった。

 

後日、レッドウィンター出版部から発行された雑誌”レッドベア”は過去一の売上を叩き出し、キヴォトスの各地からレッドベアを求め長蛇の列ができたそうな。

なんでも表紙にはでかでかと”先生の指揮官時代に迫る!夜の過酷のお供とは!?”と描かれていたそうな。

それを呼んで日焼けサロンに走ったものや肌に茶色のペンキを塗りだした者がいたとかいないとか……

*1
要は野宿




☆レッドウィンター事務局(ブルアカ)
我らが同士チェリノの居城。
定期的に革命を起こされる所。

☆出版部(ブルアカ)
レッドウィンターのプロパガンダ雑誌”レッドベア”の編集や、知識解放戦線や工務部と言った反チェリノ体制派の印刷物の印刷を請け負ったりしている。
良く言えば中立、悪く言えば節操なし。
なおスオミ加入後はスオミが不定期に書いている、先生の秘密やフィンランドサウナ情報、ヘヴィメタルの楽しみ方やオススメ曲を乗せる”スノウエルフの小話”が編集部の大事で大きな資金源となったそうな。

☆MDR(ドルフロ)
コタマとノドカとコユキを足して三で割らなかったヤツ。
どんなヤツかは上を見ればわかるだろう。

☆スオミのロシア嫌い。
実は設計者の悪ふざけのプログラミングが原因。
許さねぇ…I.O.P、許さねぇ…陸八魔アル……

スオミってドルフロではそれなりの性能のサブマシンガンという評価だったけど、ドルフロ2になった途端本国ではtier0に居座ってるんだもん。
10年って月日は人をここまで強くさせるんだなって思った。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。

次回は筆が乗り次第。

ここから評価!

わたし、お利口で待ってました

ぶっちゃけブルアカとドルフロやっている?

  • 両方やっている!
  • ブルアカはやっている!
  • ドルフロはやっている!
  • 昔両方やっていた!
  • 昔ブルアカやっていた!
  • 昔ドルフロやっていた!
  • 両方やっていない!
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