ドールズ・アーカイブ   作:あっぷる⤴ぱい⤵

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今日は4月16日ですね!
そう!あの日です!!
今年の怪文書メールも楽しみですね!


HK416と例の日

別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。花は毎年必ず咲きます。

                               川端康成

 

とある日。

先生とスプリングフィールドはカレンダーを見て思わず戦々恐々とした。

 

”そう言えば今日は4月16日だねスプリングフィールド”

 

「で、ですね。キヴォトス時刻で4月16日です」

 

先生はおもむろにシッテムの箱を持つとモモトークやらなんやらのメールツールを見るが変なメールは届いていない。

 

”ここはキヴォトスだけど…来ていると思う?”

 

「わかりません…ですが私がここにいる以上はこちらにいる可能性も低くはありません……」

 

”アロナ。誰から送られてきたかわからないメールはない?”

 

「いえ、特にはありませんよ先生!どうかしたんですか?」

 

シッテムの箱のメインOSのA.R.O.N.Aことアロナは元気よく答えるが先生がビビっているのが気になる様子である。

 

「肯定。今日の先生並びにスプリングフィールドさんは何かにおびえている様子。どうかしましたか?」

 

同じくプラナもこんな具合に心配してくれている。

それを見て先生はぽつりぽつりと話し始めた。

 

”私がまだキヴォトスに来る前、グリフィンで指揮官として働いていた頃毎年4月16日になると一見のメールとともにプレゼントが送られてきたんだ”

 

意味がわかると怖い話でも話すのかという風に話す先生に対しシッテムの箱のOS二名は少し怖くなった。

それを見てスプリングフィールドはそんな紛らわしい話し方する先生をたしなめる。

 

”確か6年前がアイスクリーム4個にロリポップを16個。5年前は上級訓練資料を200枚に、アイスクリームを10個。4年前、3年前、一昨年は5年前と同じ。去年は上級訓練資料200枚にアイスクリーム10個、それとコイン10枚がプレゼントされたんだ”

 

普通の話し方に戻った先生にアロナがプラナも気になるであろう疑問を投げかけた。

 

「送り主は誰なんですか?」

 

”HK416という人形だよ”

 

「疑問。先生はここに来る前は戦術人形から慕われ、同時に戦術人形を大事にしていた指揮官だと聞いていますが、そんな先生なら戦術人形さんからの贈り物に怯える意味がわかりません」

 

そのプラナからの疑問に対し、先生は一息ついてから答えた。

 

”プレゼントは嬉しいんだけどね……いかんせんメールの内容があれ何だよね。いわゆるヤンデレというかなんというか。去年はツンデレ風味だったけどさ、それでもまぁ、いわゆるヒェッってなるタイプのヤンデレ感のあるメールだから、開けるのが少し怖いんだ”

 

「なるほど……バッチリわかりましたよ!つまり今年はキヴォトスにいるけど送られてくるかもしれないから身構えているわけですね!」

 

「そういうことなんですよ」

 

「わかりました。なら差出人不明メールは一度私が目を通して大丈夫そうなら先生に見せましょう!」

 

”大丈夫だよアロナ。別に416は私に危害を加えようとしているわけじゃないしね”

 

そんなことを言っているとモモトークに一件のメールが届いた。

メールの話をしていたばかりに先生たちは息を飲んだ。

 

「どうやら水羽ミモリさんからのようです」

 

差出人がわかれば一安心。

それにメールの差出人は大和撫子として名高いミモリである。

これには先生も安堵の息である。

 

”ふぅ……どれどれ?”

 

先生が内容を確認するとどうやら修行部にも戦術人形が増えたから様子を見に来てほしいらしい。

なんでも部長のツバキとよくお昼寝をしている娘らしい。

 

”なるほどね……今日はまぁ、仕事も少ないし顔を見に行こうかな”

 

「わかりましたでは車を回しておきますね」

 

そう言うとぱっぱと二人して車に乗って百鬼夜行連合学園へと足をのばした。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

ビルが並ぶ近未来チックのD.Uを抜け、百鬼夜行につくとだんだん瓦葺き屋根が増えてきた。

100式や64式が語るいわゆる日本建築が増えてきた。

そんな道を走り、ついた先は修行部が待つ教室の前。

 

”やぁ、待たせたね”

 

「お待ちしていました」

 

出迎えたのは件のメールの送り主の水羽ミモリ。

うん、清楚、瀟洒、淑女。

 

「そちらの方は?」

 

”ああ、彼女はスプリングフィールド。シャーレで仕事を手伝ってもらっているんだ”

 

「スプリングフィールドです。よろしくお願いしますね」

 

「水羽ミモリです。こちらこそお願いしますね!」

 

うーん……淑女と淑女で絵になる。

そんなことを先生が思ってると奥へと通された。

奥では眠り姫こと春日ツバキともう一人の部員の勇美カエデがぐっすり布団で寝ていた。

いつもの修行部の光景である。

カエデはさっきまでムシクイーンで遊んでいたのかカードが枕元においてあった。

いささか朝っぱらからぐっすりというのもいただけないが…まぁ、それはいいだろう。

 

が、しかし今日はいつもと違った。

布団の膨らみが3つあったからである。

ツバキ、カエデと誰かいるわけである。

そのもう一つの膨らみはすっぽり頭まで隠して布団の中にいる。

 

”この膨らみが増えた人形?”

 

「そうですよ。もう一人いるんですけど、今はおつかいに行ってもらってますよ」

 

”そうなんだ。中見てもいい?”

 

「どうぞ。いつも部長と一緒に眠っているんですよ」

 

そういうミモリの声を横目に掛けふとんをめくるとそこには癖っ毛の銀髪にグリーンのコートを着崩した少女が丸まって眠っていた。

 

”……Oh”

 

思わず先生は言葉を漏らしてしまった。

そこにいたのは404小隊のスナイパーにしてドルフロの環境をとったGr G11である。

そして先生が漏らしてしまった理由はこの娘がいたからに他ならない。

 

「お知り合いですか?…随分驚いていらっしゃいますが……」

 

”うん。指揮官時代の部下の人形だよ。それはそれとして…もう一人おつかいに言っている人形って銀髪のロングヘアの娘?”

 

「そちらもお知り合いでしたか!そうですよ。確か…『HK416』そうです!その人ですよ」

 

先生とスプリングフィールドが声を合わせてそういった。

まさかまさかの伏線である。

まさかシャーレの会話がフラグだったのかと思っていると。ドアから聞き慣れた声が響いた。

 

「ミモリさん。遅くなったわね。言われたもの買ってきたわよ」

 

ボーボボで嫌と言うほど聞いたツッコミボイス。

咲-saki-で聞いた小鍛冶プロの相方のボイス。

 

振り返ると銀髪の髪にちょこんと乗った黒のベレー帽。

HK416が立っていた。

 

「あら、指揮官いたのね。それにスプリングフィールドまで」

 

”うん、よ、416も来ていたんだね”

 

「ええ、私も数日前に気づいたらいたわ。話は後で聞かせてもらうわよ」

 

そう言い残すとそそくさとミモリとともに買ってきたものの整理を始めた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「なるほどね……だいたい事情はわかったわ。なら私もしばらくここにいることにするわ」

 

「てっきり416さんのことですし帰る方法でも探すのかと思いましたが…」

 

「それも考えたんだけどね。まぁ、この人たちに恩もあるし…それに指揮官もいるようだしね」

 

”ヒェッ”

 

「アハハ……416さんたちが恩義を感じる必要はないですよ。私達もたくさん助けていただいてますから」

 

湿度が高くなったような気がしなくもない。

しかしまぁ、それでもミモリの声はカラッと透き通るような響きである。

それは置いといてしばらく後、先生とスプリングフィールドは416と無理やり叩き起こされたG11にキヴォトスの話をしていた。

それも一段落ついたようでG11はそそくさと布団に戻りまたぐっすり眠った。

そのため今は寝ている娘たちを除き、ミモリ、416、先生、スプリングフィールドで卓を囲んでいた。

 

「で、45とナインはアビドス高等学校にいるのね」

 

”そうだよ”

 

「なら暇なときにでも様子を見に行くわ」

 

”そう。なら近いうちに物資を届けに行くからついてくる?”

 

「お願いするわ」

 

話はいかにも雑談と言った風に進んでいく。

とりとめのない話。

修行部の近況や先生たちの話。

そんな時間がゆっくりと過ぎ去っていく。

そう、ゆっくりと過ぎ去っていく。

だんだんと粘度を増しつつ。

 

「そう言えば……指揮官」

 

光のない目で416が語りかける。

 

「指揮官……今は先生でしたね。なんでも先生になってから随分はっちゃけているようですね……。

 

とある筋の情報によりますと……なんでも混浴に脚舐め、ペットプレイに添い寝。

まぁ、数えればキリが無いですね。

ミモリさんにはレジャーシートの上で弁当を食べさせてもらったとか。

ツバキさんにはYES/NO枕。

カエデさんとは仲睦まじくカードゲームに興じていたとか……まぁこれはいいでしょう。

まぁ、あの(AR-15)と同じような声でいちゃつかれたら私、歯止めが効きませんよ……

聖職者が聞いて呆れますね」

 

すらすらとでてくる言葉にここにいるみんなが固まる。

あのミモリすら言葉を失い露骨に引いている。

底冷えする気配を感じつつも416は止まらない。

 

「そんな指揮官は忘れてしまったようですね、五年前の話を……

五年前の今日。指揮官に送ったメール。しっかり保存していますか?

私は言いましたよ指揮官”忘れないでくださいね。私が、私がいればそれで十分ですよ。”と。

指揮官にはこの完璧な私がいればいいんですよ……私だけが……

スプリングフィールドもあの忌々しきM4も45もナインもG11も私達の”完璧な”世界には不要なんですよ!」

 

そう言うととうに光の消え失せた眼の奥が先生たちを飲み込んだ。

コールタールの如きドロリとした黄緑の眼は先生を捉えて離さない。

 

「ですから、これからはずぅぅっと一緒ですよ。そして、指揮官の何もかもは私のものですよ。し・き・か・ん……!!」

 

 

――――――――――――

 

―――――――――

 

――――――

 

―――

 

 

「ハッ!!」

 

先生がベットから飛び起きた。

カーテンの隙間からは朝日が漏れ出している。

先生の頭はその光を受け徐々に回り始める。

 

「………夢。なのか……?」

 

首筋に謎の不快感を感じた先生はそっと撫でてみると手には汗がべっとりついた。

それを見て先生はうへぇとなりながらものそりとベッドからおり、ウォーターサーバーから水を一杯飲む。

 

「嫌な夢だったな……」

 

随分趣味の悪い夢だと思いながら先生は顔を洗いに行く。

まさか416に限ってそんなこと……彼女はいわゆるヤンデレよりもユウカみたいな小言を言いつつもなんやかんや世話を焼いてくれるお母さんみたいなタイプだと思いながらスーツを着る。

 

そして先生は朝ご飯を作っている最中のため、シッテムの箱に来ていたメールには気づかなかった。

 

 

先生。ミモリです。朝早くにごめんなさい。

最近、修行部にも今話題の戦術人形さんがやってきました。

なんでも先生には随分お世話になったそうです。

私達も戦術人形さんのお二人も先生と会いたいので、近い内に顔を出してもらえると嬉しいです。

 

添付されていた写真はため息をつきながらHK416がG11の眠る布団を引っペ返しているがG11が布団にしがみついて抵抗している様子が映っている。

 

 

『指揮官。忘れないでくださいね。戦績も指揮官も、全部わたしのもの。すべて手配するから指揮官は何もしなくていいんですよ』




☆4月16日(ドルフロ)
古より伝わる怪文書の日。
最近はHK社まで悪ノリを始めた。
定期的に公式が送ってくる怪文書の中でも純度の高い怪文書が読める日。

☆怪文書:公式(ドルフロ)
一覧はここ
作者の記憶に残っているのは、

「秋分」特別プレゼント(TAC-50、2019年秋分)
謎の手紙(ネゲヴ、2019年)
「夏至」特別プレゼント(G41、2020年夏至)
世界宇宙飛行の日(UKM-2000、2021年世界宇宙飛行の日)
『カツ丼パック』販売中止のお知らせ(カリーナ、2021年)
春目覚めて、月満ちる。(PA-15、2022年ホワイトデー)
4月16日に送られてくる怪文書'S

ぐらいですねハイ。
指揮官たちも記憶に残っている公式怪文書はだいたいこのあたりではないでしょうか?
気になる人は上のリンクから飛んでください。
純度の高い怪文書がたっぷり読めます。

☆カエデの声(ドルフロ)(ブルアカ)
416の嫌いなAR小隊のメンバーの一人ST AR-15の声と同じ。
両者の声優は加藤英美里さん。

ハイ。
怪文書です。
HK416といえばオカン派とツンデレ派とヤンデレ派が日夜血で血を洗う争いをしているかもしれませんが、みんな違ってみんないい。
人の数だけ416はいるということで今回はヤンデレチックな416にしました。
他の416が見たけりゃ書いてください。
ちなみに416ヤンデレ概念のすべての始まりは韓国版のヤンデレチックなローカライズだったりする。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。

次回は筆が乗り次第。

ここから評価!

地獄で会いましょう、ベイビー。

ぶっちゃけブルアカとドルフロやっている?

  • 両方やっている!
  • ブルアカはやっている!
  • ドルフロはやっている!
  • 昔両方やっていた!
  • 昔ブルアカやっていた!
  • 昔ドルフロやっていた!
  • 両方やっていない!
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