前話をまずは読んでからこちらを読むと楽しめます。
スプリングフィールドが先生たちの元へ戻ってきた頃、先生のシッテムの箱が震えた。
”もしもし”
”………わかった。ありがとう”
しばらく相槌を打ちつつ先生は誰かと話していた。
最後に一言お礼を言うと電話を切り、スプリングフィールドたちへと向き直った。
”コルト・ウォーカーから情報が上がってきた。ことは思ったより深刻らしい。トリニティにおける権力構図を変えるかもしれない”
真剣な顔で先生がそう告げるとセイアが息を飲んだ。
やはりティーパーティーの三派閥の一角の長を務めるセイアにはのしかかるものがあったのだろう。
”ということで、ウォーカーから人を一人派遣してもらった”
「やぁ指揮官」
そう言うと扉が開き、ふらりとジャックダニエルの瓶が見えたと思ったら、アイパッチをつけた女性がやってきた。
M16A1である。
「コルト・ウォーカーに雇われてあんたらのサポート役を任されたM16A1だ」
そうあっけらかんと言い放つとソファに腰掛けた。
「この人は?」
そうセイアが尋ねた。
”M16A1だよ。酒カスだけどやることはしっかりやるし、面倒見のいい子だよ。酒カスだけど”
「おいおい指揮官。こうみえても休肝日は設けてるんだぞ」
「健康診断の一日前に禁酒することを休肝日とは言いませんよ」
「おいおい、スプリングフィールドまで固いことを言わないでくれよ」
ここで先生たちは確信した。
こいつ酔ってると。
多分ここに来る前にコルト・ウォーカーと呑んでいたのだろうか?そんなことを思っているとM16がまた口を開いた。
「スプリングフィールド!ジャックダニエルをくれ!」
「うぁ……酔っぱらいだぁ……」
マルティニ・ヘンリーが露骨に引くとM16は「お?」とでも言わん顔でマルティニ・ヘンリーをみた。
「いいか。酔ってるとはここに二本のジャックダニエルが四本に見えたら酔ってると言うんだ。覚えとけよ〜」
「そもそもジャックダニエルの瓶は一つだけよ…」
ああこいつ本格的にダメだというところでM16の後頭部に冷たい感触が当たった。
上を見るとスプリングフィールがスクリュードライバーを突きつけていた。
「M16さん。ここにはジャックダニエルはないので……代わりにカクテルでもどうですか?例えば……スクリュードライバーとか?」
一度後頭部から狙いを逸らし、キュィィィィとスクリュードライバーを回転させる。
「……ヒュッ」
一発で酔いが覚めたM16は荷物を置き、自身はソファからすっと降りてきれいな土下座の体制をとった。
素早い身のこなしである。
「大変申し訳ありませんでした」
「よろしい。報告をお願いしますね」
それだけいうとすっとスプリングフィールドもスクリュードライバーをしまった。
「さて、先生本題だ」
さっきまでのふにゃっとした酔っ払いはどこにいったのか?
いまソファに座っているのは片目をアイパッチで隠した頼れる姉貴である。
その姿を見てみんな彼女の話に耳を傾け始めた。
◇◆◇◆◇
「なるほど……話は随分深刻のようだね」
「そうだ。首長サマ。あんたも寝首を掻かれるぞ」
「……私。どうなるの……?」
「このままじゃかのジャパンのセンノリキュウなる人物と同じ末路だな」
取り繕わずM16がそう言うと起き上がっていたマルティニ・ヘンリーは再び先生の膝枕に沈んだ。
M16からの報告は多岐にわたった。
ティーパーティー三派閥の動向はもちろんのこと、救護騎士団に正義実現委員会、シスターフッドの動向。そして派閥の影でじわじわ動く数多の陰謀まで今のトリニティを丸裸にするような情報量であった。
”やはりフィリウスだね”
「ああ、この一件一番気をつけなければならないのは桐藤ナギサのフィリウスだ。パテルは聖園ミカの失脚で内部分裂、サンクトゥスやフィリウスに取り込まれる派閥もある。サンクトゥスはまぁ、マルティニ・ヘンリーを害することはないだろうな。なにせ己の派閥のトップはこいつと随分懇意にしているようだからな。むしろ派閥に取り込むことを狙うわな」
ティーパーティーもこの一件では数多の思惑が動いている。
同時にティーパーティー傘下の正義実現委員会にも各派閥から圧力がかけられているようである。
シスターフッドはいい意味でも悪い意味でも歌住サクラコを中心として一枚岩であるため、そのサクラコ本人がトリニティを転覆させる意思がなければ毒にはならない。
まぁ、彼女の場合言動が随分誤解されやすいため要監視であるが。
救護騎士団は政争からは一歩身を引いているためこちらはそこまで脅威ではない。
懸念は団長の暴走程度である。
「さて、とりあえずまぁ、こちらとしても随分依頼料に色をつけてもらえるらしいから今、ウィンチェスターが潜入している。影の動きはあいつに言えばやってくれるだろう」
「ウィンチェスターさん一人ですか?」
「ああ、まぁなんとかなるだろう。ということで……まずは味方を作りたいわけだ。政治屋共はまず敵だ。そして武力組織の正実はダメだな。自警団と言う手もあるが信用はできない。セイア様に指揮官。いいところ知ってるか?」
”補習授業部とかは?”
「あそこか……ファウストにアリウスのゲリラ兵、露出魔。まぁ、ここまでは安牌だな。しかしあの下江コハル、あそこが怪しい。ヘタをうてばあの娘には正実にたてつく恐れがある以上、メンタル面でキツイ。とっさでこちらの害になりかねん」
キツイようだが間違ってはいない。
どうしても正実が抑えられている以上コハルには辛い選択を迫るかもしれないおそれを考え先生も考えを引っ込めた。
「なら、うちのクレー発射装置担当の娘たちはどうかしら?」
「アリウスのお姫様か……なるほど。それならウチにもパイプがあるしいいかもな。よし、ちょっとウチのボスと話してくる」
そう言うとM16は席を立つと部屋の隅で電話を始めた。
しばらく電話すると再び席に戻ってきた。
「ウィンチェスターとは別にアリウススクワッドがつくことになった。指名手配がまぁ傷だがいいだろうということだ」
「で、明日はどう動くんだい?君のことだ私達の動きもつかんでいるんだろう?」
セイアがそう尋ねるとM16は深く頷いた。
「そうだ。で、今から明日からの動きを話すが……
◇◆◇◆◇
トリニティ…翌日。
太陽が頂点に差し掛かる少し前。
トリニティの生徒たちの姿は広場のマルティニ・ヘンリー像の近くにあった。
例の完成式典である。
めんどくさい挨拶やらなんやらをしている様子が見える。
そんな広場から離れ、トリニティの校舎の屋上には二人の人影があった。
「正実の剣崎ツルギにパテルの聖園ミカ、あんたあいつら相手に勝てるかしら?」
「厳しいも厳しいな。方やバイタル貫いても死ぬか怪しい奴。方やフィジカルギフテッド。最悪ケースを使うかもしれん」
そう指向性マイクの付いた双眼鏡を式典会場に向けるのはM16とウィンチェスターM1887。
M16は冗談めかしに背負っているケースを指さした。
「中のジャックダニエルの瓶で殴るつもり?」
「おいおい。中はジャックダニエルだけじゃないぞ。マッカランも入ってる。テネシーもいいが、スコッチも捨てがたいからな」
そんな冗談を交わしながら双眼鏡を覗くとお偉方の話が終わり、記念撮影と来た。
シャーレの先生は観客としていたが先生と像のツーショットも取られていた。
「おい、あのカメラマンの派閥は」
「そりゃもちろん。あの派閥よ」
「やっぱりか……明日にも動きそうだな」
そんなことを言っているとナギサが少し苦しそうな表情をしている。
それをみた部下がすかさず介抱に入り、壇上から降りてそのまま救護騎士団の手に渡った。
「動き出したな……」
「そうね。指揮官に報告。手筈通りに頼むわよ、M16」
「そっちもしくじるなよ、ウィンチェスター」
「私の心配より自分の心配をしなさいな。M16」
そう言うとウィンチェスターはそっと立ち上がり、トリニティの屋上から立ち去った。
「相変わらずボッチだなアイツ」
そう漏らすとM16も双眼鏡をしまい、屋上から去る。
「M4たちはどこ言ったのかねぇ。早く会いたいんだが」
自身の妹たちへの思いを呟きながら。
ティーパーティー、正義実現委員会、救護騎士団、シスターフッド、そしてシャーレ。
各々が各々の思惑を抱き、動き始めた。
決戦のときは近い。
☆アリウスのお姫様(ブルアカ)
秤アツコのこと。
由来は彼女がロイアルブラッド、いわゆる青い血のお姫様から。
詳しくはブルアカ本編で。
☆M16の酒の強さ(ドルフロ)
普通に酒豪の部類に入る。
ジャックダニエルをガバガバ飲んでいる画像がピクシブを漁ればわらわら出てくる。
ライバルとしてはモシン・ナガンをはじめとしたロシア銃人形が挙げられる。
ちなみに前話の416はビールでフラッフラになるほどよっわい。
名指しでリカーを売るなと言われてたりもするぐらい弱い。
あと二話で長編SSは終わらせる予定。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。
次回は筆が乗り次第。
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昔両方やっていた!
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昔ブルアカやっていた!
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昔ドルフロやっていた!
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