ドールズ・アーカイブ   作:あっぷる⤴ぱい⤵

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後日談のような何か。
ティーパーティーとプラスαの話。


蒲公英と茶会

例のビナー戦から数日後。

スプリングフィールドはエンジニア部による板金修理の名を借りた魔改造を終えた先生のセダンを運転していた。

横にはちょこんとダンデライオンが座っている。

先程引き取りに言った車でハイウェイを駆けるが、前みたくパトカーが後ろから追い越してくるようなこともなく、クロノスのカーラジオをBGMに快適なドライブである。

 

目的地もなんの因果か前と同じでトリニティ総合学園である。

 

トリニティのインターからは大通りを飛ばすだけでトリニティ総合学園である。

 

だからか道に迷うこともなく、スプリングフィールドはトリニティへ着き、車を駐車場へと止める。

そのまま向かうところはティーパーティーが茶会をする庭園である。

 

「スプリングフィールドです」

 

「ダンデライオンです」

 

「身分証の提示と銃の提出をお願いします」

 

「どうぞ」

 

「はい」

 

「………スプリングフィールド様とダンデライオン様ですね。どうぞ。ナギサ様がお待ちです。こちら問題のないためお返しします」

 

門番の生徒から預けた銃を返される。

例の暗殺未遂からか随分警備が厳しくなったようで茶会一つとってもこの有り様なのはスプリングフィールドとダンデライオンにとってみては面倒くさい以外の何物でもないようである。

内心まだグリフィンの社長に会いに行くほうが楽ではないのかと思いながら奥へと行く。

 

「遅くなりました」

 

「申し訳ないです〜」

 

「いえいえ、まだ時間までは十分ありますよ」

 

見事に手入れされた壮観な庭園を眺めるように造られたバルコニーのガーデンチェアへと二人は腰掛ける。

もうすでにティーパーティーの顔役の三人のナギサ、ミカ、セイアは揃っているようである。

二人が腰掛けると、ナギサが自慢の茶葉を二人に振る舞うべく、慣れた手つきで入れた紅茶を二人の前に出した。

 

「ありがとうございます」

 

「ございます……」

 

軽く礼を告げ話の前に一口呷る。

スプリングフィールドは取っ手に指を入れることもなく右手で優雅にティーカップを口に運ぶが、こんな格式張ったアフタヌーンティーなんぞ経験がないダンデライオンはぎこちない手つきでスプリングフィールドの方をチラチラ見つつティーカップを口に運ぶ。

その後苦かったのかミルクを加えてもう一口飲んだ。

 

「純正のアールグレイですね。色良し味良し香り良し。非常に美味しいです」

 

「……純正品だから美味しいです」

 

約一名情報を食べているみたいな感想だが概ね美味しいと言う反応である。

そんな反応を見た後、今回の茶会のホストであるナギサがティーフーズと呼ばれるよくアフタヌーンティーでみる三段重ねの皿に乗せられた食べ物たちの中の最下段、セイボリーとか言うサンドイッチの乗った皿を隣のミカに渡す。

その後ミカは自身の皿にサンドイッチを乗せ、セイボリーの皿を隣のセイアに渡す。

セイアも慣れた手つきでサンドイッチを取り、スプリングフィールドへ回す。

スプリングフィールドもさっと取り、セイボリーの皿を横に控える固まった同行者へと渡す。

 

そんな同行者は横に座る淑女の真似を見事に決め、上手いことナギサへと皿を戻した。

 

「エッグサンドですね。パンも薄くさすがティーパーティートップの茶会ですね」

 

「……そうなんです?……美味しいです」

 

また情報を食った奴がいるがコレも愛嬌。

可愛いものである。

こんな具合に軽く紅茶を楽しんでミカが切り出した。

 

「さて、紅茶も楽しんだし、本題にいくじゃんね」

 

「ですね。そのためにお二人をお呼びしましたからね」

 

「まっ、ナギサはそこの淑女に自身の紅茶を美味いと言わせたかったようだがね……」

 

「それは言わない約束ですよ!」

 

良かったねナギサ様。

美味しいって言ってたよ。

 

「んんッ!で、前置きはそのくらいで単刀直入に行きましょう。正直、戦術人形の皆様も先生……あなたがたにとって指揮官でしたか……その指揮官をあなた達戦術人形は狙っていたりします?例のネゲヴさんの告白からミカさんがやれ先生が取られると繰り返しているので、はっきりさせたいです」

 

さっきまでの和やかなムードから一転、場は静まり返る。

その空気の中スプリングフィールドが口を開く。

 

「それはスナイプ的な意味では……「ないじゃんね」……でしょうね。……まぁ、狙っている娘もいると、回答しましょうかね」

 

「…あなたたちは……?」

 

「私は恋愛感情のようなモノも抱いていますが、あの人の恋路を素直に応援するくらいのことはできますよ。それに、私は今の関係に満足していますから」

 

スプリングフィールドはサラリとそんなことを言った。

これにはティーパーティーの面々も一安心……ではなく、やはり警戒がいると思い直した。

 

「私?……うーん……指揮官への恋愛感情ですか〜……それはわかりませんけど、この指揮官からもらった制服は気に入ってますよ〜」

 

自身の身にまとっている赤色の軍服をつまみながらダンデライオンがなんか卑しいことを言う。

その一言でにわかにティーパーティー側の緊張が走る。

 

「ふぅむ……君はその貰った制服を気に入っているのかい?」

 

「ですね〜」

 

「先生に服をかけてもらったことはあっても貰ってことはないじゃんね……」

 

「付き合いの長さですかね……?」

 

こしょこしょミカとナギサが何やら言っているが、ダンデライオンもどちらかと言うと新参である。

 

「戦術人形はみんなそんな服を貰うような関係なのですか?」

 

「うーん……そうだね〜。ドレス姿で仕事したり、突如幼女の素体で戦場に言ったり、フェレットの着ぐるみで書類仕事してたりする人を見たことはありますよ〜」

 

「それはキヴォトスでも見かけるな」

 

「ええ、そうですね」

 

少々ナギサがムカついたような口調で返す。

 

「そう言えばこの前スプリングフィールドさんは魔女のコスプレしてたんですよ〜」

 

ムッとティーパーティーの面々の目線がスプリングフィールドへ注がれる。

 

「ええ、ハロウィンでしたので」

 

だが一切同様せずスプリングフィールドは返す。

なんか高度な心理戦でもやってるのかとダンデライオンは珍しき純正品の紅茶やスコーン、菓子を一人パクパク食べている。

ちゃっかりしたAIである。

 

「ま、まぁ、良いでしょう……ちなみに先生と体の関係とかは……?」

 

「おそらくないかと」

 

「よかったじゃんね!まだ無垢な可能性もあるじゃんね」

 

「いや……それはわからない。先生は君達のような美麗な戦術人形に囲まれていたのだろう?なら、人形しか愛せない体になっているかもしれない………」

 

セイアの一言が真実なら生徒たちには勝利はなく、みすみす戦術人形に先生が取られる可能性も高い。

そんな憶測にミカとナギサは震える。

 

「そこのとこどうじゃんね!?」

 

「前アンジェアンジェアンジェって叫んでたし、人を愛することはできる人じゃないんですか?」

 

『アンジェ!?』

 

ダンデライオンの口から発した見知らぬ女の名前にまたティーパーティーに激震が走る。

本人は素知らぬ顔でついにスコーンを一人で平らげた。

 

「スプリングフィールドさん。アンジェとは一体誰です?詳しく……説明して下さい。今、私は冷静さを欠こうとしています」

 

ナギサからの鋭い詰問を受けスプリングフィールドは少し引き気味になりながらも返す。

 

「アンジェさんというのは指揮官の知り合いですよ。叛逆ラーメンの店主さんたちの上司でもありますよ」

 

「あの目をつぶった彼女かい?」

 

「ええ。その彼女と彼女に付き従っているクリーム色の髪の娘ですよ」

 

セイアは一人ああ、と言いたげな目を見せる。

が、しかしそんなことはハナから眼中にはない。

 

「で、先生との仲は!?」

 

「それが大事ですよね……おそらく見た限りではないと思いますよ」

 

「でも戦場にいるとコンバット・ハイっていう興奮状態に陥りやすいし、興奮すると一線も越えやすくなるってペルシカが言ってましたね〜。このハムチーズサンドおいしいです〜

 

火にガソリンの入ったポリタンクを投げ入れたダンデライオンの食欲は止まるところを知らず、サンドイッチも片付けた。

残りは三段目のペイストリー、焼き菓子や生菓子の皿のみである。

紅茶もミルクをドバドバ入れて二杯目が片付きそうである。

 

「本当にアンジェさんと恋仲とかないんですか!!??」

 

「大丈夫ですよ。先生はいまだ独身貴族、グリフィンにいた頃は定期的にヘリアンさんの合コンに引っ張られていきますが収穫無しで帰ってきていますよ」

 

「ホッ……」

 

一安心かという風に三人は落ち着く。

同時にスプリングフィールドへの詰問も終わりそうである。

 

「ねぇねぇふと思ったんですけど」

 

また爆弾が落とされる予感……

 

「スプリングフィールドさん。M1911さん居ますよね」

 

「ええ、いますよ。そして黙りなさい。雨のなか放置しますよ」

 

「ハイ黙ります!!」

 

もう詰問はゴメンだとスプリングフィールドが即座に釘を刺す。

しかし、それで黙るほどティーパーティーも愚かではない。

なんとかして聞き出そうとする。

 

「ダンデライオンさんは純正品?でしたっけ。純正品はあまり食べたことがないんですか?」

 

「ですね〜……なかなか純正品は手に入らないんですよ〜」

 

「……では、今度キヴォトスでも有数の高級フレンチをご馳走しますよ。もちろんすべてが純正品の……」

 

「私は今お金とかもあんまりないけど、今度ミラクル5000をご馳走するじゃんね」

 

「なら私はミレニアムで良いものをご馳走しようじゃないか。いい店を知ってるんだ」

 

怒涛の餌付けに出た。

もう三段目のペイストリーも空にしてこの茶会のティーフードのほぼすべてを己の腹に入れた彼女にとっては効果は非常に高く、むむむと頭を抱え必死に考えている。

スプリングフィールドからの罰とティーパーティーからの褒美。

この二つを天秤に掛け、ニモゲンもエリザも失格異性体すら飲み込んだAIが焼き切れるほどに考える。

そして、口を開いた。

 

「M1911さんは指揮官のことをダーリンって呼んでます!!」

 

罰から目をそむけ、純正品に飛びついた。

隣ではスプリングフィールドがにっこりとダンデライオンのコアが危険信号を出すほどの笑みをダンデライオンへと向けている。

 

「ちょっと先生に聞いてくるじゃんね!!!」

 

ミカが立つ。

そのまま扉を開け放ちおそらくシャーレに向かっていった。

 

「私も行きましょうかね。お菓子はまだありますからどうぞ」

 

「ふおおおお!ありがとうございます〜!」

 

「ああ、ぜひ食べてくれ」

 

「ならお礼に一コ教えてあげるね。指揮官は異常人形愛者。人形を人として愛する人だから本質的には人を愛する人だよ〜!」

 

「ふむ、つまり、戦術人形のあなた達にもチャンスはあると」

 

「ですです。急がないとM1911ちゃんとかに取られるかもしれませんよ〜」

 

あーもめちゃくちゃだよ。

そんなことを言いたげな目でスプリングフィールドは隣の阿呆を見た。

 

「ダンデライオンさん。あなた今日はご飯抜きですよ」

 

「え!?なんで!?私は若人の恋愛の道標をしただけだよ〜!」

 

「その道標は地獄行きなんですよッ!!帰りますよ!自体の収集をしなくてはいけませんからねッ!」

 

スプリングフィールドはこの後面倒くさいことになるなと頭を抱えつつ、コートのポッケがパンパンに膨らみ、両手でも抱えきれないような量のお菓子を抱えたダンデライオンを引きずり、車へと戻っていった。

内心、あんたこっち来てからはずっと純正品食べてるぞと思いながら。

 

無論、このあとシャーレが修羅場になったのは言うまでもなく当然の帰結である。




☆フェレットの着ぐるみ(ドルフロ)
エイプリルフールのネタ。
エイプリルフールにFive-seveNを出撃させるとSDモデルがフェレットになるアレ。

☆アンジェアンジェアンジェ(ドルフロ)
ドルフロのイベント”異性体”での指揮官の様子。
別名アンジェbot。
指揮官とKの会話で指揮官がずっとアンジェアンジェ言っていたためこんな不名誉なあだ名を貰った。

☆ダンデライオンと雨(ドルフロ)
ダンデライオンは傘ウイルスを使い自分の身を守り、アンチレイン(AR)(雨除け)小隊の中で育った。
そして名前の由来の蒲公英(タンポポ)は雨が降ると綿毛が湿り種子を飛ばせない。
偶然にしては出来過ぎているような………?
真実は羽中の胸の中。

リクエストのネゲヴとティーパーティーの絡みが書けねぇ……!!
誰か頼んだ!(他力本願)
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。

次回は筆が乗り次第。

ここから評価!

ぶっちゃけブルアカとドルフロやっている?

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  • ブルアカはやっている!
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  • 昔ドルフロやっていた!
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