ドールズ・アーカイブ   作:あっぷる⤴ぱい⤵

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お盆なので記念SSをひとつまみ。
※死ネタを多分に含みます。きつい方はブラウザバックの方をお願いします。


想い出のあの人

「そういやこの月の13日から数日は百鬼夜行ではお盆と言うらしいですよ〜」

 

ある日のアビドス廃校対策委員会。

廃校対策の話もそこそこに、アビドス廃校対策委員会の面々と404小隊の二人は雑談に興じていた。

そんな中ノノミがそんなことを言った。

 

「お盆?」

 

「はい、なんでも死者が帰って来る時期らしいですよ~」

 

シロコがぽかんとした顔で聞き返すとノノミが返した。

それに付け加えるようにUMP9が口を開く。

 

「あれだよね。ナスとキュウリに木を刺すやつでしょ?100式が言ってたね」

 

「悪魔の降臨でもするのかしら?」

 

そんなUMP9にUMP45はクスリと笑って返す。

確かにそれだけ聞くとなんかやばいことに聞こえる。

 

「それは精霊馬と言って、それに乗って死者が返ってくるらしいですよ〜」

 

これですよ~と言ってタブレットで画像をみんなに見せる。

そこにはスタンダードなやつから芸術作品と言っても過言ではない凄まじいものまで幅広く載っていた。

 

「こんな具合にキュウリとナスで色々するんですよ〜」

 

「ん、面白そう。やってみよう」

 

「いやでもこういうことに使うなら食べない?」

 

シロコは食いついたがセリカはどこかやりたくない様子で答える。

そんなセリカにUMP9がニヤついた顔でセリカの顔を覗き込んだ。

 

「へぇ~もしかしてセリカは芸術センスに自身がない感じ〜?」

 

「……やってやろうじゃねぇかよこの野郎!」

 

どこかの野球の上手い芸人を想起させる返答と共にセリカを乗る気にさせた。

アヤネも45も面白そうと特に反対することもなく話は進み、あとはそこで眠たそうな顔をしているおじさんだけである。

 

「ん、ホシノ先輩はどう?」

 

「おじさんは〜……賛成だよ〜」

 

全会一致ということでノノミを中心にお盆の準備を始めるアビドスの面々+αであった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

それから数日経ち、盆の入りである13日となった。

アビドス廃校対策委員会の居城でもある会議室には小さいながらも盆飾りがしてあった。

アビドスの校章が意匠された提灯に、マコモのゴザや蓮の葉、鬼灯(ホオヅキ)、水の子*1などが飾られ、みんなが作った精霊馬が飾ってあった。

 

「はい、こんな感じですね」

 

そんな飾り付けをしたのはミモリ。

盆に詳しいということで、先生が連れてきたのだ。

彼女にも彼女の盆があるはずだが、快諾してくれたのには頭が上がらない。

 

”ありがとう。ミモリ”

 

「いえいえ、こうして他自治区の方に百鬼夜行の文化を知ってもらえて嬉しいです」

 

うーん…清楚!

 

「にしても45がこんなことをするとは〜…メンタルがついにイカれたのかしら?」

 

「あら、私にも死者を弔う心ぐらいはあるわよ。あなたこそ非科学的なものは信じないかと思ってたわ」

 

そしてミモリと共に404小隊の残りのメンバーもやってきた。

まぁ、たまの小隊大集合である。

そしてシロコが無理やり引っ張ってきたクロコもいる。

 

「いや~ありがとうね〜ミモリちゃん」

 

ホシノがアビドスを代表してお礼を言う。

その後ろでシロコが口を開いた。

 

「ん、お礼の金銭は少し待って。すぐ銀行から持ってくる」

 

”それは……口座からお金を降ろすのかな?”

 

先生がひやひやしながら聞く。

それを聞きシロコはサムズアップして答える。

 

「ん、銀行を襲う!」

 

「はいお説教ですよ〜」

 

「ん、まって言い訳をさせてほしい」

 

もがくシロコはノノミに襟首を掴まれ引きずられていった。

そんな様子を見てミモリの口からはアハハと言った乾いた笑いが溢れた。

 

「では、あとは明日にでも念仏を唱えられれば良いのですが……まぁ、これはなしでいいですよ。ただ、故人を偲んで皆さんで宴会でも開いてください。その方が故人も喜びます」

 

まさに大和撫子と言わんばかりの話を終えてミモリはアビドスの面々に見送られ、先生とともに百鬼夜行へと戻った。

先生はまた戻って来るが、しばらくは少女だけの宴会である。

 

「では、女子会と行きますよ〜」

 

ノノミがそう言うとみんなで隣の部屋から料理を持ってくる。

どれもスプリングフィールド謹製の絶品である。

それらをレンジなどで温めて出す。

もちろん天下のスプリングフィールドがレンジで味がグッと落ちる料理を作るわけがなく、どれも出来立てと遜色のない味わいである。

 

「うへ〜……乾杯だよ〜!」

 

乾杯の音頭は押し付けられたホシノがとり、みんなでグラスをぶつけ合う。

そして料理へと箸を伸ばす。

ノンアルコールのシャンパン風炭酸飲料なんかも並び、卓に並ぶチキンやポテトを見るとクリスマスパーティに見えなくもない。

下手に盆にちなんだ質素な料理ではなく、みんなが楽しめるチキンなどを並べたのはスプリングフィールドの名采配と言えよう。

現にみんな料理に舌鼓を売っている。

 

「そういや、ホシノ先輩の先輩はどんな人だったの?」

 

しばらくあーだらこーだらと何気ない話を続けていると、シロコが弔う意味も込めそんなことをホシノに尋ねた。

ホシノもうへぇ〜と例の鳴き声を出してから、思い出すようにしみじみと口を開いた。

 

「うーん……ユメ先輩は底抜けのバカでドジだったね〜」

 

「偲びなさいよ!もっとあるでしょ!」

 

思わずセリカが突っ込むがそれもそうである。

 

「でもね〜……すっごい熱心にアビドスの復興を思っていたんだよ〜。だから、いい先輩だったんだよ〜」

 

さっきの悪評を話すときよりも、しみじみに、思い出すようにすっとした笑顔で言った。

言い終わるといや~似合わないことを言ったね〜とグラスを煽った。

そしてその恥ずかしさを誤魔化すためにも向かいで一人だけ黒ビールを飲んでいる45へ話しかけた。

 

「そういえば45ちゃんは誰かいるの〜?お盆に返ってくる人は」

 

「私かしら?いるわよ」

 

45はあっけらかんと返す。

 

「誰ですか?」

 

アヤネも気になったようで問いかける。

もちろんアヤネ以外も気になっている様子で、404小隊以外の面々は45に目線を向ける。

 

「私には、UMP40っていう姉貴分がいたのよ」

 

そんな視線に晒され45がビールを煽りながら話した。

すこし酔いが入ったようで、頬を赤くして影の刺した笑顔で口を開く。

 

「40はすごかったわ。あんな環境に身をおいて私をサポートしたのだから」

 

「あんな環境?」

 

「それは聞かない約束よ。それ以上聞いたら風穴が開くわよ。セリカ」

 

UMP45という機密性の高い人形なだけに踏み込んでは行けないところも多い。

セリカからすればふとした疑問だったが、地雷も多い。

 

「まぁ、それは置いといて…彼女、いい人だったわよ」

 

「45がいい人呼ばわりとは…彼女相当の聖人ね」

 

416がへッといった顔でそんなことを言ったが華麗にスルーして話は続く。

 

「40はまぁ、まだ戦術人形として未熟な私を育てた姉さんみたいな面もあったり、MP5をからかって喜んでいる年頃のイタズラ少女の面もあったわ。そして少し影の刺したダークな面もあったわ。要はぱっぱと語れないぐらい表情がコロコロ変わる姉貴分だったわね」

 

黒ビールのアテのプレッツェルをちぎって口に入れる。

そして黒ビールで流し込んでから口を閉ざした。

 

「少し話しすぎたわ。あとはそっちで話してちょうだい」

 

そう言うと冷蔵庫から黒ビールの瓶を取り出すとお盆の祭壇へと置いた。

そしてグラスにとととと注ぎ入れた。

 

「おじさんも置いとこうかな〜」

 

ホシノもソフトドリンクの入ったグラスを祭壇へと置いた。

その後は死者の話は程々にまたあまり重たくもない話へと話題は変わっていった。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

あの後、先生も合流してひとしきり宴会を楽しんだ。

さすがに先生は生徒たちの前で酒を煽ることはなかったが、夜に45とともに、プレナパテスと呼ばれたもう一人の自分に乾杯した。

私も呑むと言った416はUMP9にしっかり柱にくくりつけられていた。

 

そして16日の夜。

この数日アビドスに泊まり込んでいた面々はこれで最後だとアビドスの校庭に集まっていた。

 

送り火である。

 

提灯を垂らし、おがらをパチパチと燃やす。

時々木材を投入して道に迷わないように火を大きくする。

 

「ユメ先輩は方向音痴だから火は大きくしないとね〜」

 

そんなことを言いながらホシノがどんどん木を入れていく。

火事には気をつけてほしいと言う声が上がりそうである。

 

しばらくパチパチと火を燃やすと一部の生徒が眠気眼をこすり始めたので火の始末へかかる。

バケツに汲んできた水をかけようとしたところ、45とホシノ、クロコ、先生が同時に声を上げた。

 

『……待って』

 

ボソリとだが通る声で言った。

それを聞きバケツを担いでいた面々がバケツを置いた。

そしてノノミに促されあの四人以外は一度屋内へと引っ込んだ。

 

屋内から火を観察すると、四人は火の方を見て何やらボソボソと話しているようだった。

別に集団幻覚でも見ているわけでもないわけだが、皆表情は安らかで、それでいて決意に満ちた眼をしていた。

 

しばらくすると四人ともくるりと送り火から目を逸らし、バケツを手に取り消火作業へと移った。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

その日の夜、みんなが寝静まった頃、45が先生を尋ねてきた。

少し呑まないかしら?と。

先生は快諾して二人して酒瓶と共に屋上へと上がった。

そこにはクロコとホシノもいた。

 

「指揮官はウイスキーかしら?」

 

”うん、向こうの私もスコッチ、好きだと思うから。そういう45はヴァイツェンボック?”

 

「ええ、時期は違うけど、40が好きだったからね。それに酔いたい気分だわ。それにこれは度数20パー超えのものよ。すぐに酔えるわ」

 

二人してカランと酒瓶を揺らしてホシノたちの横に腰掛ける。

 

「ねぇ、おじさんたちも呑んで良い?」

 

唐突にホシノがそんなことを言ってきた。

だが、彼女たちは未成年であり、酒は飲んじゃいけないのだ。

だから先生としては許可は出せない。

 

「ほら指揮官。少しあっち向いてなさい」

 

そんな先生に変わり45が先生の眼をそらさせ、もう一つ瓶を取り出し二人のグラスへ注いだ。

 

「度数の低いやつよ。初めてにヴァイツェンボック(コレ)はきついわ」

 

注ぎ終えると先生たちは四人並んで空を見上げた。

そして誰からともなく言葉が出た。

 

「乾杯」

 

『乾杯』

 

空の果てから声が届いたような気がした。

*1
キュウリやナスを賽の目に刻んで洗米と混ぜ、蓮の葉に乗せて水に浸したお供え物。




☆先生(指揮官)の好きな酒
ただ作者がスコッチが好きだからそういう設定になりました。
公式でこんな酒が好きとか知ってたら教えてください。

☆ヴァイツェンボック
ヴァイツェンがベースのボックというスタイルのビール。
ヴァイツェン特有のバナナのようなフルーティな香りとボック特有のロースト風味が合わさりあった香りと、濃厚なコクが売り。
度数は7〜9%だが、中には20や30%のやつも存在する。
ビールに詳しい方は創造がついていると思うが30%のものはショルシュブロイで造られたものである。

はい。しんみりとした話でした。
お盆の宗教的儀礼は地域差があるので、盆飾りや送り火などのやり方が違うといったコメントは控えていただけると嬉しいです。
天国にいる三人もこのキヴォトスを見持ってくれていたら嬉しいなぁと思った今日このごろ。
そして今日だけは日頃頑張っているあの四人にもう一度会えたら良いなとか思ったり。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。

次回は筆が乗り次第。

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