「そう言えばDIGITALVOICE第三弾はどうするの?ユーザーからは楽しみにしているって言われているけど」
ある日のヴェリタス。
特にやることもなく、クラッカーをかじりながらマキがそんなことを言った。
その一言にヴェリタスの面々⋯⋯主に作成を担当したコタマとハレは少し思案した後コタマが口を開いた。
「やろうとは思っているんですけど、いかんせんボイスアクターがいないんですよね」
「チヒロ先輩じゃダメなの?」
「もう断られてます〜⋯⋯なんでも恥ずかしいからと」
「あぁ⋯あの先輩見た目によらず恥ずかしがり屋なとこあるもんね」
マキも納得だともう一口クラッカーを口へ運んだ。
第一弾はハレ、第二弾はマキと来て、音響関係の問題でコタマは無理、そしてチヒロは出演拒否とくればヴェリタスで残っているのはヒマリだけである。
「じゃあヒマリ先輩にやってもらうの?」
「まぁ、そうなるよね〜」
ハレが笑いながら返す。
その声にはあの人なら多分断らないだろうという自信も見え隠れしている。
「じゃあ、今からヒマリのところに行く?今なら特異現象捜査部の部室にいるはずよ」
そんなだらけているヴェリタスの面々にチヒロがそんなことを言った。
まぁ、ひましてるなら動けという実にお母さんらしい行動である。
「じゃあ、いってくるよ〜」
ハレは行くかとのそっとゲーミングチェアから立ち上がると、マキも私もとハレの後をついて行った。
コタマはチヒロが持ってきた作業があるため部室に居残りである。
◇◆◇◆◇
廊下を歩いている最中、突如としてマキがハレを物陰に引きずり込んだ。
「ちょちょっとなにすn!⋯⋯⋯」
「ハレ先輩⋯少し黙ってって」
そして素早く口を塞ぐ。
しばらくした後マキが通路をちらりちらりと首を動かしてから、ユウカの後ろ姿を確認した後、ようやくハレの口から手が離された。
「ハァハァ⋯!一体急にどうしたの!?」
ようやく体の自由が戻ったハレがマキを問い詰める。
そんなハレの問いにマキはぽつりぽつりと話し始めた。
「いやぁ~⋯⋯この前モモイとコユキと一緒にちょちょいといたずらしたの。予算増やすためにちょいと帳簿を書き換えるやつね。まぁ、すぐバレて計画はおじゃんだったけど⋯⋯」
「ハァ⋯⋯それでユウカから逃げ回っていると⋯⋯」
「アハハ⋯⋯⋯」
「だからさっきは隠れたのね。ユウカの声がしたから」
「うん、少し違うような気もしたけど、ユウカに見つかったらまた説教だからね」
ハレはまたかと言う感情を隠しもせずにハレと向き合う。
そんなハレは内心、お前もよく怒られとるやろがい、と思ったのはここだけの話である。
人影もなくなったし、改めて特異現象捜査部の部室へ向かおうとしたところ、またユウカの声が近づいてきたため、再び身を隠す。
しばらく息を殺すが、靴音は響き、二人の心臓は跳ねる。
「あの⋯⋯どうしました?」
靴音は離れるどころか近づき、ユウカの声とともにぽんとマキの方に何かが触れた。
「ピィィ!!」
触れるとともに響くマキの叫び声。
それに釣られユウカの声も小さく叫びを上げる。
「ゆ、ユウカ⋯⋯⋯」
マキは振り返ることもなく立ち上がる。
そして立ち上がるや否や彼女は走り出した。
ユウカの止める声がするがマキは振り返ることもなく走った。
その早さたるやものの数秒でハレは見失ったほどだ。
そんなマキを見失ったハレはハァとため息とともに、振り返った。
◇◆◇◆◇
走りに走ったマキはハァハァと息を吐いて物陰に隠れた。
ここまで走ればいいかと思い、一休みである。
同時に近くの自販機で潤いを求める喉を宥めるために、ポケットからスマホを取り出したところ、彼女の視界に影がかかった。
「やぁっと見つけた。来てもらうわよ」
聞き慣れた、そして最も聞きたくない声が響いた。
「ゆ、ユウカ⋯⋯どうして⋯⋯⋯」
あの距離を息一つ切らさずついてきたのか?と思えるほどの落ち着いた声色である。
いくらなんでも多少は息が上がるはずである。
「どうしたもこうしたもないわよ。ほら、今回は長いわよ」
「ぴぇぇぇぇ」
こうしてマキの逃亡撃も終わりを迎え、ユウカに引きずられどこかへと消えていった。
◇◆◇◆◇
さて、あのあとハレはエンジニア部の部室にいた。
最近のエンジニア部は戦術人形のメンテナンスや研究でいつも以上に忙しく感じられた。
「へぇ〜⋯エンジニア部の広報をしているんですか?」
「はい。動画サイトの方に作品の紹介動画を上げていたり、ブログの方もやっていますよ」
「お陰でウチで作ったものもいままでより売れるようになったんですよ。ありがたいかぎりですね」
「いいなぁ⋯⋯うちはそういう広報できる人いないから⋯⋯うちの広報もやってもらえません?SCRさん」
そう、さっきまでのユウカの声はSCRの声だったわけである。
声帯がそっくりな二人は普段からユウカと絡んでいるミレニアムの生徒たちですら騙せるほど似ていたわけである。
そんなSCRはエンジニア部の広報担当として充実した毎日を送っているようである。
彼女の動画は徐々に人気がでてきており、さすが元インフルエンサーである。
そんなこんなでしばらく話していると、ハレが何かを思い出したかのように、ハッと声を上げた。
「そう言えば、SCRさんは動画投稿とかしていますし、声の仕事とか出来ますか?」
「声の仕事⋯⋯声優とかですか?」
「はい!今私達はDIGITALVOICEっていう⋯⋯まぁ、音声合成ソフトを作っているんですが、あなたにはその声を頼みたいんです」
思い出したことは営業のようである。
もともとヒマリぐらいに頼むかという方向性を変え、SCRにアタックしたわけである。
「⋯⋯⋯ええ、学生さんの自由研究を断る理由はありませんよ」
学生の自由研究と言うにはいささかスケールが大きいが、ひとまず許可をもらえたようだ。
じゃあ準備が整ったらまたお願いしますと、モモトークを交換したところで、ペルシカがやってきた。
「すまないね、小鈎さん。SCRを少し借りるわよ」
気だるげな目とともにやってきたペルシカはSCRを連れて奥へと消えた。
席が空いたところにウタハがやってきた。
研究の一休みといったところで彼女はコーヒーを片手に席についた。
「DIGITALVOICE。この前のミレニアムプライス銀賞の作品だったな。私もあの場にいたが凄まじい代物だね。あそこまで人に似せれるとは⋯⋯ペルシカが目を輝かせていたよ」
「ありがとウタハ先輩」
「ハハハ、そう思うなら、ウチの品を買ってくれ。⋯⋯⋯っと、そういえば、DIGITALVOICEならキャラクター設定があるのだろう?どうするんだい?」
「むぅ⋯⋯まぁ、SCRさんの身の上を面白おかしくかえるかなぁ⋯」
「なら面白い情報があるぞ、彼女の身の上だ」
「知っているの?」
「あぁ、先生から聞いたんだ。それを聞いて私達も彼女に広報を任せたんだ」
随分饒舌だが話しているのは人の過去である。
下世話な話題だが気になるものである。
幸いSCRはペルシカの元だ、聞かれる心配は⋯⋯⋯五分五分といったところか。
「で、どんななんです?」
「彼女は元はイエローエリア⋯まぁ、ブラックマーケットみたいなところらしいが、そこの果樹園で働きながら、動画投稿をしていたらしい」
「で、人気が出てしまったゆえの気づかれで、果樹園を離れ、グリフィンにたどり着いた次第ですよ」
「おっと、聞かれてましたか」
「ええ、ウタハさん。人の噂話はするときはコーラップスストームの中とかがいいですよ。あそこなら、離した瞬間旅立てますし、何より聞かれる心配がないですから」
「ハハハ⋯⋯きついジョークです」
黒のマスクの下に広がるのは笑みか怒気かわからないが、目は笑ってSCRが出てきた。
彼女はふっと一息ついてからコーヒーを淹れ直す。
「ハレさんも、そういう私の身の上が聞きたければ直接どうぞ」
「はい⋯⋯」
姿が違ってもユウカの声には勝てないなと思う昼下がりであった。
◇◆◇◆◇
あの後、SCR本人やあとでこっそり仕入れた先生からの情報で無事ヴェリタスは設定を練り上げた。
それから色々あったが、なんとかかんとか完成させた。
そしていよいよ発売されたのがDIGITALVOICE、桜桃サクラである。
ちなみにこれが発売されるまではユウカとSCRは面識がなく、ノアにDIGITALVOICEの存在が教えられたときの驚き様といったらたまったものじゃなかったとはコユキの談である。
☆SCRの経歴(ドルフロ)
イエローエリアの果樹園で働きつつ配信業をする
↓
配信業で人気が出たために気づかれし退職
↓
グリフィン入隊
↓
配信業を再開(なお本人はバレてないと思っている)
はい。一応の前日談でした。
なんかアレな出来なので、こちらもいつか書き直すかもしれません。
そう言えば最近ドルフロ2にフローレンスが実装されたのでPA-15を出したいなと思う今日このごろ。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。
次回は筆が乗り次第。
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昔両方やっていた!
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昔ドルフロやっていた!
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