ドールズ・アーカイブ   作:あっぷる⤴ぱい⤵

7 / 55
長編SSもこれでラストです。


終幕と彼女らの想い

「ティーパーティーフィリウス分派副首長並び、そのものに連なり、クーデターを画策した者全員の聴聞会での厳正なる審議を望む!」

 

M16のよく通る声が聴聞会の場に響いた。

その衝撃的な内容はこの場の皆を揺らした。

さっきまでのセイアたちの疑惑なんて忘れ、M16の言葉に耳を傾けた。

 

「ということで、このクーデターを画策してるフィリウスの副首長サマだがな………」

 

「被告弁護人!!ここはあなたの言っている戯言の審議の場ではありません!!席につきなさい!!」

 

言わせるかと言わんばかりに陪審員が吠えた。

 

「いいのか?証拠は上がってる。その態度改めなきゃ情状酌量の余地なしになるよ」

 

「何の証拠があるというのですか!?」

 

M16はその言葉に耳を貸さず、テープを流し始めた。

内容は驚くべきことにフィリウスの副首長と被告追求人、陪審員が話している場の録音で、話していることはナギサの暗殺、そしてセイアとマルティニ・ヘンリーに罪を被せ、ティーパーティーの権力をフィリウスに集中させる計画である。

 

「まっ、こんな具合にこの二人と今も傍聴席でこの話を聞いている副首長サマは暗殺を練っていたわけだ。パテルは聖園ミカの失脚で立場的に弱体化。サンクトゥスは百合園セイアを潰せば間違いなく弱体化。そして、マルティニ・ヘンリーを潰せば新興勢力をも潰せる。シスラーフッドも救護騎士団も政争からは一歩引いている。こうなればフィリウス一強の時代が来るだろう。まさに天下を取れるわけだ。そうだろう?」

 

「それが君たちの目的か……」

 

「そんなことで巻き込まないでほしいわ……」

 

セイアは冷めた目で、マルティニ・ヘンリーはくっだらないと言わんばかりの目を彼女らを見る。

 

「そんな録音信用できません!」

 

被告追求人が吠える。

録音はさっきのUMP45の一件で確かに信用を失っている。

こちらも合成ではないかと……

 

「なら被害者に訊こうか?入ってくれ」

 

きぃぃと扉が開き入ってきたのはまさかまさかの人物だった。

 

「桐藤ナギサです」

 

先生の腕に抱かれ、いわゆるお姫様抱っこの姿勢で入ってきたのはこの一件の被害者に当たる桐藤ナギサ。

おそらく病み上がりにかこつけて抱っこしてもらったのだろう。

後ろからムッと睨みつけながらセリナが車椅子を押してきた。

傍聴席では某パテルの魔女様が今にも飛びかかりそうである。

そんな彼女を見てセイアとマルティニ・ヘンリーも衝撃的な目つきでナギサを見ていた。

M16はそんなナギサを見て若いね〜と言わんばかりに先生に近寄り耳元で一言。

 

「おいスケコマシ。M4の気持ちにはちゃんと応えろよ。アレの餌食になりたくなければ、な」

 

お姉ちゃんとして妹の想い人に釘を指していた。

つんつんと例のケースを指さしながら。

トリニティ総合学園を更地にできるほどのケースを指さしながら。

そんな先生の首筋には脂汗が走っていた。

 

「さて、ナギササマ、二三訊きたいが……その前に車椅子に座ってくれ、な」

 

「いえ、大丈夫です」

 

パッとナギサが断る。

そんなことを知るかと言わんばかりにM16が続けた。

 

「先生、座らせてやってくれ」

 

”う、うんわかったよ”

 

とりあえず役得を味わっているナギサを車椅子に座らせて、先生は立ち去ろうとしたところナギサが袖を引っ張った。

それを見てまた空気が重たくなったが気にしない。

 

「で、ナギササマ。いい気持ち味わってるところ悪いが例の像の完成式典からどうしていた?」

 

「紅茶を飲んでから気分が悪くなり……パタリと意識がなくなりました。目が覚めたらどこかで横になっていて……それからはどんどん弱ってくばかりで……いよいよ意識すらも怪しくなったところで爆発音が聞こえ……その後は意識がなく、起きたら救護騎士団のベッドにいました」

 

記憶の混濁があるのか思い出すように、ゆっくり言葉を紡ぐ。

一通り聞いた後、M16が口を開いた。

 

「飯や薬はどうした?」

 

「パンとスープを一日おき?ぐらいに…薬は知りません。もらった記憶はありません」

 

「ナルホドな……知り合いとは会えたか?」

 

「副首長と、そこの陪審員です……」

 

「ホントだな?」

 

「ええ……」

 

その一言を聞いたM16はパンと両手を叩いて声を上げた。

 

「このナギササマがいたのは彼女の別邸の地下だ。それもワインセラーの下段、一番右の樽から行ける通路の先の部屋だ。まさに隠し部屋だな。普通に別邸を歩くだけじゃ行けないところだ。なのにどうして副首長サマはそんな部屋に行けたのかなぁ?」

 

煽るようにそう言い、更に続ける。

 

「そしてほらそこの救護騎士団のピンク。例の鑑定結果の発表を頼む」

 

「……ピンクじゃありません。救護騎士団の鷲見セリナです」

 

ムッとM16をジト目で睨みつけるセリナ。

不満をぶつけ言葉を続ける。

 

「……ナギサ様に提供されていたスープを鑑定したところ、シアン化化合物が検出されました。

量自体はキヴォトス人には害がないと言い切れるレベルの量ですが、毒物で弱りきっていたナギサ様には十分に効果があるものです」

 

「ふぅむ……副首長サマと陪審員サマはどうしてか、ナギササマの知らぬ地下室で、自身の身体を蝕むスープを飲まされているナギササマを尋ねていた。納得のいく理由がほしいところだな」

 

そうM16は締めくくると先生に下がるように言った。

その際またもナギサが車椅子ではなく、先生の腕に抱かれて下がっていった。

また周りに空気が重たくなった。

幾人か傍聴席から呪いを飛ばしてそうな気配がする。

 

「というわけだ。被告弁護人からは以上だ」

 

M16は言うだけ言って席へ戻った。

マルティニ・ヘンリーもセイアも自身の席へと戻った。

向かいにはカッと睨みつけている被告追求官が写る。

まだまだ聴聞会は続く。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

「では最後に被告人による自己弁護を」

 

その後も聴聞会は続く。

状況は被告追求官側が押されている。

やはり、M16がもたらした事実が傍聴人たちの頭をよぎり今ひとつ被告追求官側は信用をえられない。

そんな中でも淡々と聴聞会は進み、最後の自己弁護の時間になった。

セイアとマルティニ・ヘンリーは証言席へ立った。

 

「私からは言うことはない。ただ、因果応報という言葉だけは胸に留めておいてほしい」

 

セイアが自身に言い聞かせるように冷たく告げる。

 

「私は権力闘争とかわかんないけど、血に塗れたクーデターは大変よ。だって鉄血も世界の覇権を握るために世界に喧嘩を売ったけど一民間企業に潰されるのよ。そんなものよ、クーデターってものは。

それと、私は元はクレー射撃のテスト用人形だった。

第三次大戦の傷跡も癒えない世界だったけど、クレー射撃場の中だけではこのキヴォトスでみんなが持ってる銃が人殺しの道具からスポーツ用品になった。

それがクレー射撃って言うものよ。みんなが銃を使って平和に遊ぶスポーツなのよ。

決して政治の道具なんかじゃないわ!

それだけは覚えておいてちょうだい」

 

マルティニ・ヘンリーはまっすぐ、陪審員たちをその目で射抜くように言った。

ふたりとも言う事を言ったため被告人席へ戻った。

 

「では審議に取り掛かりますのでお待ち下さい」

 

陪審員たちが別室へ移動する。

次戻るときは判決が決まったときである。

 

「ねぇ、M16。ありがとね」

 

「ん?」

 

「私からも礼を言おう。ありがとうと」

 

「それならそこで大岡裁きされているスケコマシに言ってやれ、あの男が私達にお願いしたんだ。助けてくれってな」

 

そうM16はミカやナギサたちに引っ張られている先生の方を指さした。

 

「ハァ、クレー射撃を政治の道具にはしないでほしいわね」

 

「すまなかったね、ティニー」

 

「セイアが悪いわけじゃないけど、よく考えなくても狙われるわね、私。セイアと仲が良くて、振興派閥のトップに勝手にされたし。そりゃ狙われるわ」

 

「まぁ、なるべくしてなったな。コレに懲りたら、もう少し大人しくやれよ」

 

「わかったわ。ビジネスというのも難しいわね」

 

セイアもマルティニ・ヘンリーも自然な笑顔で後ろで自身を弁護してくれた彼女と雑談に花を咲かせている。

審議を待つ被告とは思えないほどである。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

あれから一時間は立っただろうか。

例の陪審員を除いた残りの陪審員たちが戻って来た。

いよいよ審議である。

マルティニ・ヘンリーとセイアも証言席へと立った。

 

「マルティニ・ヘンリー、百合園セイア両名の判決を言い渡します。両者証拠不十分にて無罪!」

 

その一言が来ることがわかっているようにM16はどこかに隠し持っていたジャックダニエルを煽った。

そんなM16の眼の前ではいつの間にか被告追求官が消えていた。

何かあったのだろう。

だが、今は知りようがない。

と、M16がジャックダニエルを飲みつつ法廷をぐるりと見回す。

補習授業部の面々や、わざわざミレニアムからやってきたC&Cの面々をはじめとしたミレニアムの生徒たち、そしてナギサとミカに先生。

みんな彼女らの無罪に喜んでいる。

同時に安堵を浮かべている。

 

「被告弁護人」

 

そんな彼女に声がかかる。

陪審員席からである。

 

「ここでは飲食は禁止です。酷いようだと退場を命じますよ」

 

「おっと、失礼」

 

まだ勝利の美酒にはまだ早かったようである。




☆M4の気持ち(ドルフロ)
MOD3になると復習爆撃魔になるけど、指揮官への恋心も残ってるはずなんだ……!
だって某支部で見たもん!そういうSS。

☆第三次大戦(ドルフロ)
2045年、世界は核の炎に包まれた……!
みたいなやつ。
ここにコーラップス液を混ぜることでドルフロの世界観が出来上がる。

ようやく終わりました。
まだまだSS書き見習いが書いた文なのでどこかでまた加筆修正をしてより良いものにしていきたいですね。ハイ。
あと後日談を一話書いて短編SSへ戻ります。
このキャラこんな口調じゃないとか、こんなキャラじゃないとかそんなご指摘お待ちしてます。
なおあまり強く言わないでくれると嬉しいです。
コメント、出してほしい人形や生徒、出してほしい人形と生徒の組み合わせとか待ってます。

次回は筆が乗り次第。

ここから評価!

ぶっちゃけブルアカとドルフロやっている?

  • 両方やっている!
  • ブルアカはやっている!
  • ドルフロはやっている!
  • 昔両方やっていた!
  • 昔ブルアカやっていた!
  • 昔ドルフロやっていた!
  • 両方やっていない!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。