遊戯王GX 〜伝説の龍を従えし決闘者〜   作:ハクハクモン

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様々な作者様の小説を読んでいたら書きたくなったので、ほぼ一日で書き上げてみました。
できる限り見直しはしていますが、おかしなところがあればご指摘ください

あ、コメントも待ってます(上目遣い)


異形との邂逅

「ペンデュラム召喚かぁ」

「なんていうか、また面倒くさそうなのが追加されたね」

 

とある町にある一軒家に住んでいる俺ーー亀崎賢司(きざきけんじ)と弟ーー亀崎慎志(きざきしんじ)は、リビングで新しく始まった遊戯王ARC-Ⅴを見ながら溜息混じりに話し始めた。テレビでは今まさに主人公が相手に勝った場面が流れていた

 

「まあずっと同じシステムでやってく、ってわけにはいかないか」

「そだね。でも、俺はちょっとついて行けなくなってきたかも……」

 

遊戯王デュエルモンスターズーーー長いこと続いているこのシリーズを俺たちはずっと見続けていた。というのも俺は純粋に好きなシリーズだから、慎志はデュエルモンスターズを辞めた後もただなんとなく見ているだけ、という理由だが……

 

「ん〜……。やっぱり俺はシンクロ時代が一番かなぁ。それにライディングデュエルとかめっちゃカッコよかったし」

「そう?俺はGX時代から辞めてたからそれぐらいで十分だと思うけど」

 

遊戯王の放送が終わったのでそれぞれの部屋に戻る。慎志は学習机に向かって勉強を、俺はヘッドホンでニ○ニコ動画を聞きながらPSPを起動、タッグフォース6を始めた。

 

俺たちが遊戯王を初めて知ったのは、近所にある駄菓子屋にあったカードダスだった。特に考えることなく百円玉を入れて回すと出てきたカードは、好奇心をくすぐるのには十分だった。

ルールも特に知らない俺たちは、お小遣いを貰うたびにそれを買いに行っては新しいカードが当たればその都度喜んでいた。その後、小学校でできた友達からルールを教わったり知らないカードを見せてもらったりと、どんどん遊戯王にのめり込んでいった。

 

友達がいらないからと貰ったカードでデッキを組んで、初めてデュエルをしたのもいい思い出だ。確かその時の切り札は『密林の黒竜王』で、『メテオ・ブラック・ドラゴン』が普通に召喚できると思っていたんだっけな。その友達に「どっちがサンダー・ボルトを先に当てられるか競争な!」と言われてパックを買いまくったこともあった。

 

そして、俺が当時住んでいたところから引っ越しをする前日ーーー

 

「これやるよ!だから俺のこと忘れんなよ!」

 

その友達が譲ってくれた一枚のカードーーー

 

それは俺が遊戯王に完全に嵌るには、十分すぎるカードだったーーー

 

 

 

ウィーン……

 

PSPから聞こえた音で、俺の意識は現実に戻ってきた。画面に意識を向けるといつの間にかデュエル中の場面で、若干不利の状態だった。相手の場には『終焉の王 デミス』と伏せカードが一枚。対するこっちは自分の場だけでなく手札もない。ライフはどっこいどっこいなのでまだ余裕はあるかな、と考えてドローする。引いたのは『和睦の使者』……これならまだ粘れると思って伏せてターンエンドした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

もうすぐ深夜の0時に差し掛かろうという時間。慎志は未だに勉強をしており、俺は複数あるデッキを弄っていた。中学時代まではこっちでも少しの間はデュエルがてきたが、時が経つにつれて彼らとの交流もなくなっていってカードで遊ぶような歳を過ぎてしまっていた。まあ今もできる相手は仕事先にもいるんだがいつでもできるわけじゃない。気づけば、新しいパックやストラクチャーデッキが発売されるたびにそれを買うというコレクター紛いの趣味に変わってしまった。本当は昔のようにデュエルをしたいのに……

 

「さって。寝るか……と、その前に」

 

デッキホルダーからプロテクターに入った一枚のカードを取り出してそれを眺める。十数年以上経った今、そのカードは擦れてはいるもののあの時に貰ったままの形を保っていた。

 

俺は無言でそのカードを眺め続けた。そのカードは未だ輝きを失っておらず、部屋を照らす光を受けて名前と絵柄を輝かせている。

『物には魂が宿る』と昔から言われているが、だとしたらこいつは俺のことをどう思っているのだろうか?己を飼い殺す人間?己を大切にしてくれる人間?それとももっと別のことを思っているのか……

 

「んなアニメとかじゃあるまいし」

 

苦笑を漏らしてカードをホルダーに戻す。軽く伸びをして時間を確認すると、0時へのカウントダウンに入ろうとしていた。俺はヘッドホンを外してパソコンをシャットダウンさせると眼鏡を外し、部屋の電気を消してベッドに横たわる。明日は仕事だから早く起きなきゃならん。変な時間に寝ると簡単に寝過ごす自分の体が恨めしい。

 

「あ〜あ。仕事とか怠いなぁ……」

 

寝る前のお決まりの台詞を呟きながら、俺は眠りについたーーー

 

 

机の隅にある『幻の召喚神(PHANTOM GOD)』の箱に収まっている、三枚のカードがそれぞれ光っていることを知らずにーーー

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

慎志 side

 

気がつくと、俺は兄である賢司の部屋にいた。しかしすぐにここは現実ではないと確信した。何故ならベッドがある場所に、昔使っていた二段ベッドがあるからだ。

 

「……?」

 

少しすると、二段ベッドの下の段とすぐ近くにある椅子に人影が浮かび上がってくる。その二つは何かしているのか、楽しそうにしていた。よく見ると何か紙のような長方形の物を使って遊んでいるようだった。俺はそれが何なのかすぐに分かった。

 

「……懐かしい」

 

理解してふふ、と小さく笑った。それはかつて遊戯王で遊んでいた自分と賢司だった。いつも賢司がデュエルやろう、と誘ってきて自分はそれに応じていた懐かしい過去。ころころと使うデッキを変える賢司にはいつも対応に追われて苦労していたな。時にデーモン、時に破壊デッキ、はたまたブラック・マジシャンとお前はドラ○もんか、と言いたくなりそうになったこともある。だがそれでも互いの勝率は五分五分だったけど。

 

「あ、負けた」

 

勝負は賢司の勝ちのようだ。だけど負けた自分は悔しがらず、気にしていない風だった。

それにしても確か自分が使っていたデッキは、テーマなんてないごちゃ混ぜデッキだったはず。よくそんなもので勝てたな、と改めて自分に感心した

 

「まあもうやることはないけどね」

 

アニメのGXが終わるのとほぼ同時に、俺は遊戯王をやめた。理由は単純、やる時間がなくなったからだ。高校受験を控えた自分は勉強をしなければならなくなった。そうなれば周囲は勉強に集中させるために、自分への接触を必要最低限に絞ってくる。例に漏れず、賢司もデュエルに誘ってこなくなった。当時の自分は有難いと思っていたが、受験が終わった後も友達と遊びに行ったりで賢司とデュエルすることは自然となくなった。そして自分が持っていたカードど借りていたカードを賢司に渡して、自分はデュエルモンスターズから引退した。

 

「できるなら、またあの時みたいにやりたいけどさ……」

 

分かってる。そんなのは叶わないと。もう自分たちはカードで遊ぶような歳じゃないんだから……。

 

暗転していく景色の中、慎志の意識も闇に包まれるように沈んでいったーーー

 

 

慎志 side end

 

 

何もない真っ暗な空間。左右の感覚がうまく機能しない空間。

俺にとってはもはや慣れたものだ。何故なら俺は夢を見ていない場合、いつもこの空間に来ているからだ。夢を見た場合、大体は起きた時に忘れてしまうのが殆どだろう。しかし、俺は基本的に見た夢は覚えている。螺旋階段から落ちる夢だったり母が病気で死ぬ夢だったりと、どれも俺の精神を擦り減らすには十分なものだった。むしろいい夢なんてひとつも見ていない気がする

 

「…………」

 

海に浮かぶビニール袋のようにただ何もせずにただよっている。このまま目が覚めるまでただよい続けるのもいつものことだった。

だが、今日は違ったーーー

 

 

 

 

「目覚メヨーーー」

「……?」

 

声が聞こえた。およそ人間のものとは思えない声がーーー

 

「目覚メヨ。渇望スル決闘者(デュエリスト)ヨーーー」

 

せっかく気持ちよくただよっていたのを邪魔され、若干不機嫌になりながら辺りを見渡した。しかし、視界に入るのは完全な黒ーー闇のみだ

 

「ったく、誰だ?人の睡眠を邪魔しやがって……」

 

夢の中だからか、頭に靄がかかったような感覚を抱えながら声の主を探す。しかし声の主の姿はどこにも見当たらない

 

「我ハ汝ノ手ニ在リシモノーー。然レド召喚ヲ求メラレヌモノナリーー」

 

何を言ってるんだこいつは。

俺の手にあって、召喚されたことのないやつ?というか誰なんだよこいつは。召喚したことないカードなんていくらでもいるんだが……

 

「で、あんたは俺に何の用なんだ?まさかただ声をかけただけ、だったらデコピンするぞ」

 

睡眠を妨害された苛立ちを含んだ言葉を声の主に投げかけてみるが、相手はいかにも悪役みたいに短く笑っただけだった

 

「フッフッフ……案ズルナ。用ハソレダケデハナイ。本題ハココカラダ」

 

途端、巨大な何かがすぐ近くにまで迫ってくるのを感じた。依然何も見えないが、声の主はすぐ近くーーいや、目の前にいる……!

 

「汝ーー決闘ヲ望ムカ?」

 

デュエルを……望むか?デュエルって言ったら、デュエルモンスターズしかない……よな?

 

「まあ……そりゃできるならやりたいさ。ここ十数年、まともにやった記憶もないからな」

 

俺がそう答えると、目の前で息を吐くような大きな音が聞こえた。いや、実際に息を吐いたのかもしれない

 

「ヨカロウーーナラバ、汝ノ『力』ヲ試サセテモラオウ」

「は、え、試す……?」

 

声の主がそういうと巨大な何かが遠ざかるのを感じた。いったい何なのか、と思っているといきなり足元が薄く光り始めた。

地面からは淡い光の粒子が次から次へと立ち上っていき、俺を優しく照らしている。同じように声の主も照らされているーーが、眼鏡がないからかその姿はかなりぼやけている。ただそのフォルムには見覚えがあった。

 

「デハーー始メヨウゾ」

 

瞬間、自分の目の前にデュエルフィールドを模したようなテーブルが現れた。デッキゾーンにはちゃんとデッキが置かれている。次に声の主の方から石版のようなーーよく見ればカードの裏面が描かれているーーものが五つ落ちてきた。あれがやつの手札ということか

 

「ルールは?」

「らいふハ4000ーー先攻デモどろーヲスル。ソレ以外ハ変ワラヌ」

「オッケー。それじゃーー」

 

俺もデッキトップから五枚を引いて左手に持ち直す。

さて、久しぶりのデュエル……やるとしますか!

 

「「デュエル!!」」

 

??? LP4000

VS

Kenji LP4000




この先、弟の出番は未定です(無慈悲)
記念すべき第1話、これにて終了です。
次回もまた記念すべき初デュエル回。頑張って書きますのでどうかよろしくお願いします(土下座)

最近GXを見直しましたが、初期の明日香の声ってあんなだったっけ?
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