狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです 作:ron3studio
大体1ヶ月ぶりの更新らしいですよ奥さん。
大変お待たせしました、色々あってやる気が死んでました。ごめんちゃい。たぶん次の更新も間隔開くと思います、気長にお待ち頂けると幸いです。
お気に入りの数が600件を超えてました!本当にありがとうございます!
(何故、私がここに居るのだろうか)
狩人が姿勢を正し直立不動で立つその空間は、龍門の統治者、ウェイ・イェンウがいる部屋だった。
狩人は何故かケルシーに連れられこの場所におり、それを見たウェイもまた、彼を追い出すことは無かった。
(本当に何で??我、ただの一般ロドス職員*1ぞ。脅し要因には使えんぞ)
これにはしっかりとした要因があり……ウェイが個人的に狩人を見てみたいと、事前にケルシーに伝えていたからであるが……まあ狩人本人がそれを知る筈も無く。ただただ自分の場違い感に震えている現状である。
(ん?アーミヤに……ドクターもいるのか)
直立不動の狩人は顔を動かす事なく、目だけを開いた扉へと向け、入って来た人物を確認する。
狩人の位置はケルシーの真後ろであり、まあ……形だけの護衛感を出している。ちなみにだが、建前上は狩人はケルシーの護衛、としてここにいる事になっている。その必要は全く無いが。
(話が再開し始めた……感染者、か)
アーミヤにドクターがケルシーの両隣に腰掛け、話が再開される。
それは今後の龍門の感染者への対策についてであり、レユニオンが大きく絡んでいる事だった。
「勢力の拡大には物資のみならず、戦力となる人員。すなわち、感染者の確保が必要不可欠です。ここではその両方が、一度に大量に手に入る」
「龍門はレユニオンにとって、格好のターゲットと言えるでしょう」
(龍門がウルサスほどの感染者に対する差別が強くはないとは言え、無いわけではない。それはスラム街の形成という形で出来上がっており、既にレユニオンが付け込む隙は大いにある……いや、もう付け込んでいるだろうな)
(どっちにしろ、龍門でも一波乱起きるだろうて。どれだけ対策を講じようとも、無駄な時は無駄なのだ)
———
「おめでとう客人たちよ。龍門の門は開かれた、君たちを歓迎しよう」
ウェイのその言葉が、ロドスと龍門の契約が成立した事を示していた。
(あ、ようやく終わった?早くロドスに戻ってMon3trと遊ぶなりなんなりしたいのだが)
「ああ……ハンター、という名だったかね。君は少し、残ってもらえると助かる」
(なんで????????)
そうしてケルシーたちが退出していく中で、狩人はただ一人残された。
扉が閉まり、この部屋にいるのはウェイと狩人の二人のみ。
「さてと……君も座ったらどうかね?」
「……私の口からは有益な話は出来んぞ」
「構わんさ……君の事については少々耳に挟んでいる。ロドスという企業でも異質な存在……その強さについても」
「ほう、ロドスのことを知っているのか。あの企業は良い所だ。もし龍門近衛局から"
「その様なことは滅多に起こらないがね」
「で、何が言いたい」
「単刀直入に言えば、君のことをスカウトしたい」
「断る」
「ほう……君の望むものは大抵用意出来るが、それでもと?」
「私の居場所はあそこだ。私がこの大地にいる理由は彼女だ。私が望む物は彼女の平穏だ。私は、同じ過ちを繰り返さない為に、側に居続ける。故に、貴公の提案は不要である」
「もしもだ、力づくでもと言った場合は?」
「貴公ほどの物が目先の利益に釣られて動くとは思えんがな。ロドスとの契約は私を抱え込むよりも大きな利益となるだろう。だが……そうだな、貴公の言う通りの前提で考えたとして。はて、私に勝てるとでも?」
「……」
「確かに貴公は強いな。さっきの近衛局のリーダーを務める者よりも強いだろう。それがどうした、その程度で私を抑え込めると?今この場で試してみるか?」
「いや、やめておくとしよう。野暮な事を聞いてしまった、すまない」
「良い。野心を持つのは人間として当たり前のこと、この程度はお互い軽い冗談で済ませれる。そうだろう?さて……帰っても良いか?」
「引き止めてしまって申し訳ない」
「ではこれにて」
狩人は立ち上がり、そのまま立ち去る。
部屋に一人残ったウェイはボソリと呟く。
「ケルシー君……君はどうやら、予想よりも恐ろしい存在を抱き抱えているようだ」
———
「疲れた……Mon3trとロスモンティスと遊んで癒されたい……なんであんな奴と話さにゃならんのだ……うぅ、Mon3tr、ロスモンティス……」
夜道をトボトボと歩く狩人はブツクサ文句を言いながらロドスへと戻っていた。もはや彼にとってMon3trとロスモンティスは、可愛らしい娘の様な存在なのかもしれない。
まあ、猫は可愛いって言うし?若干1匹(?)猫なのか怪しい生物だが。あとケルシーは別枠らしい。
———
翌日
「ここに居たのか」
「ハンターさん、来てくれたんですね」
アーミヤとドクターがBSWのメンバーと合流し、龍門のスラム街での捜索を始めようとした時、ふらりと狩人が現れた。
「ケルシーに言われてな。まったく……人使いが荒い」
「まあまぁ、それだけ信頼されてるんですよ」
はぁ、とため息を吐きながらそう言う狩人は、しかし目元は緩んでいる。やはり、頼られるのはやぶさかでもないのだろう。
「なら良いが……さて、一応聞くが目的は?」
「ミーシャ、という人物の保護です。特徴は……」
「良い、さっきのが聞こえておった。にしても……近衛局の方からも保護の命令が来ているのか?何ともまあ……胡散臭いというか、訳アリというか」
「アーミヤさん、この方は……」
「ん?あぁ……貴公らとは初対面だったな。では自己紹介をしよう、私はハンター。ロドスの"一般オペレーター"だ、よろしく頼む」
リスカムとフランカに対し、狩人の一礼をしながら自己紹介をする狩人。だが、一般オペレーターという部分だけは妙に力が籠っており、それを聞いていたアーミヤは首を傾げた。
ちなみにだが、彼が何故そこに力を込めたのか……エリートオペレーターになるのが嫌だからである。
恐らくここでエリートオペレーターである事を勘違いされると、何処からともなくそれを聞き付けた妙に距離の近い
「エリートオペレーターって言われたもんね、嘘つくのはいけないよね」などとほざきながらルンルンで各所を巻き込みながら、手続きを始めるだろう。
そうなれば彼に逃げ道など無いだろう。現状、狩人がエリートオペレーターになっていないのは本人が強く拒否しているからで。周りは皆さっさとならないかな……と思っている。
故に、彼はそのような事の芽は撤退的に潰していくのだ。まあ……多分何処かで特大ガバ*2やらかして、その努力が水の泡になるだろうが。
「よろしくお願いします、私はリスカム。こっちはフランカです」
「よろしくね〜」
「良き関係を築ける事を願おう」
名前を言い合うくらいだが、それが問題になる事はない。
そも、荒事に身を置く者たちにそういった事は不要で、更にはお互いか既に協力体制……つまり一時的ではあるものの仲間だと理解しているのだから、呼び方を知れたらそれで充分だと。
「では、ミーシャさんを探しに行きましょう。ドクター、はぐれないように気を付けてくださいね」
「分かった……気を、付ける」
そんなこんなで、ロドスから3名、BSWから2名の計5人はスラム街を歩き始めた。
———
スラムにある無数の建物。その一つにアーミヤらは立ち入った。
その建物の中には、座り込むウルサスの少女。
その人物は正しく、アーミヤ達が探していたミーシャであった。
「む、貴公。ミーシャか?」
「ッ!」
「まあ待て、何も貴公を殺そうという訳では無い」
立ち上がり、逃げ出そうとしたミーシャを静止させる狩人。
「え?」
「貴方のことを保護しに来たんです。私はアーミヤ、ロドスアイランド製薬の者です」
(いや、急に保護しに来たとか言っても怪しまれるだけであろう。それは悪手だぞ、アーミヤ)
ドストレートに怪しまれる事を言ってしまうアーミヤに、心の中でほんのり小言を言う狩人であった。
———
「おっと、角からアーツが」
なんだかんだでミーシャを説得した後、ペンギン急便からの応援であるエクシアと合流し路地を進んでいると、通路の角からアーツが飛来してくる。
「何処もかしこも敵だらけ……とは言ったが、はて。そこまでして張り巡らせる必要はあるのかと……思わざるを得ないな」
アーツを避け、後ろにいるアーミヤらにそう問い掛ける狩人。その前には、レユニオンがゾロゾロと出揃っていた。
「やあレユニオン諸君ら、今日はお日柄も良く、少々日向ぼっこするには丁度良いとは思わんかね?」
敵対しているのを忘れているかのように距離を詰め、目前で煽りとも取れる発言をする狩人に対し、レユニオンの術師は無言でアーツを放つ。
「挨拶にしては物騒だな。ではお返しだ」
アーツを軽々と避け、術師へと近付きそのどてっ腹にとある物を押し付ける。
それは獣狩りの散弾銃*3、無強化なので火力こそ期待出来ないが、至近距離、というか密着状態で放たれる散弾の衝撃は恐ろしい物だろう。
「おっと、耐えれなかったか」
密着状態の散弾を腹にモロに受けた術師は気絶し倒れ込んでしまう。
それを見た構成員は後退りするも、狩人がじりじりと距離を詰める。
「なに、ほんの少し夢を見てもらうだけだ。安心したまえ」
今回の狩人は一味違う。なんせスラム街であるのとミーシャがいるので普段の血ブッシャア!のモツ抜きなどは出来ない、一般人が見てみろ、トラウマになんぞ。という訳で、素⭐︎手⭐︎*4。言うなればビスト神拳ならぬヤーナム神拳かもしれない、まあミコラ神拳*5もあるし、ヤーナムのだってあってもおかしくはないだろう。たぶん。
狩人の鍛え上げた筋力60……65だったかな、その程度まで上げた剛腕で制する時である。
「フンッ」
ステップで敵の懐に潜り込んだ狩人が一閃、手刀で一人の意識を刈り取る。首をこう、ゴキッとなりそうなレベルで打ちつけたが、まあ
「セイッ」
次の敵には横っ腹に振りかぶった手刀をお見舞いし、痛みに悶え頭を下げた所に追い討ち。
モツ抜きではなく、後頭部を掴みそのまま狩人の膝と熱烈なキス。なんちゃって膝蹴りをしもう一名甘い夢へと送り届ける。
「援護します!エクシアさんはミーシャさんとドクターを!」
「おーけーい!」
アーミヤの援護により狩人一人では時間が掛かる人数も徐々に減り始めた。
「危ないな、トゥ!」
黙ってやられる理由もない構成員が狩人へと攻撃をするが、狩人がそれに当たる訳も無く。回避して敵の背後に回り込み、両手で背中をズドン。
体勢を崩した敵にモツ抜き……ではなく後頭部に全力グーパンをブチ込む。
「ラスト、ヘァー!」
アーミヤの援護と狩人の手刀により最後の一人となった構成員。
彼は抵抗する間もなく、狩人の手刀により意識を奪われてしまった。
且〈ギャアァァァァァァァ!
「これで全員、ヨシ!」
ほんのりはしゃいでる狩人さんであった。
「ちょっと〜、私たちの仕事は〜?」
「少し貴公らの分も残しておけば良かったか?すまんな」
「楽できたからいいけどね」
「いやぁ〜、お見事!おつおつ〜」
「あなたも戦いなさいよ……って、私が言えたことじゃないか」
呑気におつおつ〜なんて言うエクシアに対して、そんな小言が漏れ出てしまったフランカだった。
———
レユニオン構成員を鎮圧し、避難させていたミーシャとドクターに合流した狩人ら一行。
アーミヤはミーシャの様子を気にかけ、エクシアは高台に登り足をブラブラさせ、リスカムとフランカ、そして狩人は何やら考え込んでいた。
「どういう事〜?まるで待ち構えてたみたいじゃない」
「そうなのかもしれんな、今分かるのは……我らはレユニオンに狙われている、という事実のみだ」
「ねー、なんかまた敵さん来てるけど〜?」
「動きが早すぎる……」
「どうする、うさぎちゃん?」
「……なるべく戦いは避けたいです」
敵の増援がこちらに来ている、のならば居場所が既に割れているという事で。アーミヤ達はすぐにでも移動をしなければならない状況であった。
そして保護対象のミーシャのこともある、今の彼女にこれ以上の体力を消耗させるようなことは避けるべきだと、アーミヤは判断した。
「でも、安全なルートなんてどこに……」
現状、ここスラム街は既にレユニオンが浸透しきっており。スラムでの正規、もしくはそれに準ずるルートは既に安全とは言い難い状態である。
「はーい!そんな時はお任せー!敵さんが予想しないようなレアルートがあるよ」
元気溌剌に通れるルートがあると言うエクシアがぽちぽちと携帯機器を操作し、アーミヤにその地点までの地図情報を送る。
「本当ですか!」
「うん、ちょっと安全か見てくるから……皆は一先ずそこを目指してちょ」
「はい」
「んじゃ、後でねー!」
「気を付けて……!」
そうして、意気揚々と走り出したエクシアを見送ったアーミヤたちも、動き始める。
「では、行きましょう。皆さん」
「レアルート、と言ったが……人が通れるのだろうな……?」
敵さんも予想しないレアルート、という発言に少し、いやかなり……不安を覚えている狩人だった。
流石にルートとして提示するんだし、通れるだろうと自分に言い聞かせながらアーミヤたちの後ろを追い始めた。
———
「貴公」
「……あ、わたし……?」
「うむ。流石にこの呼び方では分かりにくかったな、すまん」
「気にしないで……それで、私に何か……?」
「貴公、何かレユニオンに恨まれるようなことをしたか?」
「え?そ、そんな事出来ないよ」
「まあそうよな……では、何か思い当たる節は?」
「無い……」
「むむぅ……では、自身の親族が何かやらかした等は?あの手の組織は何かと恨みがましい。当人でなかったとしても、恨みを晴らすために近しい者を殺そうとするのはあり得ん事でもない」
「それも、ない……弟は居たけど、小さい頃に離れ離れになった……」
「そうか、急に聞き出してすまんな。休憩もそろそろ終わりだ。苦しいかもしれんが、踏ん張りたまえ」
———
「で……ここがあの、ほら……なんだったか。赤いサンクタが提示した場所か?」
「はい、エクシアさんによれば、ここの2階と」
「……敵が潜むにはお誂え向きな建物だな。警戒は緩めずに入るとしよう」
「そうですね、行きましょう」
毎度恒例の如く、狩人を先頭にし建物内へと侵入する。
建物内は異様に静まり返っており、コツコツとアーミヤたちの足跡だけがやけに煩く響く。
「気配、一人だ」
そうして目標の部屋へと繋がる扉前まで近付いた時、狩人が静かに告げる。それを聞いたリスカム、フランカはすぐさま武器を構える。
「では、1番乗りは盾待ちに任せるとしよう」
「分かりました……下がって」
ここで一つ。別に狩人が死んでも問題ねぇじゃんと思ったそこの貴方。大体の場合はそうですね、大体の場合。
今回ミーシャの保護という任務をロドスは受け持っており、ここ越えてしまえば無事任務達成という状況ならば、彼が一番先に突入したであろう。
だがしかし、ここはまだ道半ばであり。更にはミーシャ以外にもドクターの護衛も必要である。ここで死んでしまった場合の、護衛の人数が減ってしまいミーシャも守れず、ドクターも死亡という最悪のリスクを考えリスカムを先頭に立たせたのである。
「……え?」
扉を開け、リスカムを先頭に突入した。
が、そこにいたのはレユニオンでは無く、チョコスティックをポリポリと食べるループスの女性であった。
「遅かったな」
「テキサスさん!」
室内には数々の倒れ伏したレユニオン構成員、そして部屋の中央にある机に座っていたループスの女性は、ペンギン急便の社員のテキサスであった。どうやら事前に敵を排除していたようで、狩人としては戦闘の手間が省けたのでありがたい限りであった。
「食べるか?」
「ぁいえ、結構です」
「そう」
ポリポリとチョコスティックを食べながら、近付いてきたアーミヤに袋を向ける。それを見た狩人がペンギン急便のメンバーは自由だな……と思ったり。
「これは……?」
「先客だ」
「それより、どうしてここに?」
「エクシアから連絡があったんだ」
「あら、気が効くじゃない」
「このレユニオンという奴ら、後続部隊は更に大所帯の様だ。今までコソコソしてた連中、もう大っぴらに集団で動いている」
「やはり、レユニオンはスラム街を利用して龍門内部に勢力を作っていたんですね……」
「で、奴らの狙いはミーシャと来た」
「けど……本当に私何もしてないよ」
「詳しい理由が分かれば苦労はせん。龍門の方からも保護の命が下る程で、しかし本人は何も思い当たる節が無い。となれば……本人の持つ知識や情報云々よりも、存在が重要なのかもしれんな」
「まあ、後であの隊長の可愛い顔を突っつきながら聞いてみましょう」
「かわ……いい……?」
フランカのちょっとした発言に、結構首を傾げる狩人であった。
はて、あれはどちらかと言えば可愛いと言うよりも美しいと呼ばれる部類……なのでは?と。
「ん……エクシアから安全確認が来た。行こう」
テキサスが立ち上がり、部屋から移動しようとしたその時。
フラッシュバンが窓を突き破り室内を白へと染め上げた。
「敵襲!窓を警戒!」
間髪入れずにスモークグレネードが投げ込まれ、室内は瞬く間に煙で充満する。
そして窓ガラスが割れ入ってくる複数の足音。間違いなく、レユニオンの襲撃であった。
「……無闇に攻撃も出来ん。ドクターは良いが……ミーシャが離れた場所にいたのがマズいな……」
素早く机を遮蔽物にし隠れた狩人は顔を歪ませながら呟く。
武器を取り出せはするが、護衛対象が至近距離にいる場面で大半がサイズの大きい、小回りも余り効かない武器たちを振るうわけにもいかず。
スローイングダガーも用意こそしてはいるが……手元が狂ってミーシャに当たりでもすれば大事である。
「チッ、また素手でやらねばならんのか」
ミーシャの近くに敵らしき気配を感じ取った(この場合、何をどう考えても敵でしかない)狩人は遮蔽物にしていた机から飛び出しミーシャを守る為に駆け寄る。
室内であるが故に近付くのも一瞬で、煙のせいで見辛いが、確かに狩人は敵を視認した。
「ミーシャ、伏せていろっ!」
ミーシャの前に立つ敵に対して攻撃を仕掛ける狩人。
だが、その敵の体格が小さく素早い動きにより全て避けられてしまう。しかし、ミーシャからは少しずつ距離が離れていき、敵をミーシャから離すという一先ずの目的は達成していた。
「この手の敵は慣れん」
敵が大きく下がったことにより、互いの距離が離れ睨み合う形となる狩人。ジリ……と靴が床に擦れる音が鳴り、それを合図とするように狩人がポーチに入れていたスローイングダガー*6を敵に向かって投げるが簡単に避けられ、再び睨み合いの形に戻ってしまう。
「援護する」
狩人と敵が睨み合っていた横、煙の中からテキサスが割り込む。
源石剣による縦、横、縦切りの連続に、突きの全てを避けた敵は、しかし入り口前まで後退を余儀なくされた。
「敵の増援まで来たか、撤退だ!」
未だ煙の晴れない室内に銃声が響く。ほぼ盲撃ちであるそれは、当たりこそしないが確かに敵の動きを阻害し、撤退の時間を稼いだ。
———
一旦、敵から逃れた一行は階段を登っていた。
どう考えても行き着く先は屋上で、そこに逃げ道があるとは到底考えにくいものであった。
「……ねぇ、上に逃げ道なんてあるわけ?」
「敵に追撃されたら終わりでは?」
「目的地に到着する為なら、どんな道でも通ってみせる。これがペンギン急便の信条の一つだ」
「ど、どんな道でも……」
「嫌な予感しかせん。おぉゴース、あるいはゴスム……我らにマトモな道を授けたまえ……」
「何を言ってるんですか、ハンターさん……」
テキサスのどんな道でも通ってみせる、という言葉を聞いた狩人が謎の呟きをしたり、それを聞いたアーミヤが困惑したりと。ここだけ見ればとても平和な空間である。実際は敵から逃げている最中だが。
そうして屋上へと繋がる扉をテキサスが蹴破り、アーミヤらもそれに続く。
「おーい!こっちこっち!おーい、皆ぁ!ここから飛ぶよ!」
「……飛ぶ」
これには流石のドクターも言葉を漏らしてしまった。
誰が飛ぶなんて予想していただろうか。
「あの、まさかとは思いますが……あっちに?」
「いぇーい!ビンゴォ!」
「……嘘であって欲しかったぞ……」
屋上にて待ち構えていたエクシアが提示したルートに、アーミヤは変な声を出してしまい、フランカは頭を抱え、リスカムはマジかーみたいな顔をし、狩人は項垂れた。
「こんなの、誰も想像できないでしょー?アタシって完璧ぃ!」
「!追撃です」
「ちょっと、どこが完璧なのよ」
「そら来るわな」
「いやぁ、想定外だなぁ。テキサス、何で全員やっつけて来なかったんだよ〜」
「そこまで頼まれてない」
「くぅ〜!よし、んじゃま。行くっきゃないってことで!」
「飛んだ……」
『皆も早くー!』
「本気なの……?」
「私が敵を—」
「良い。アーミヤもミーシャを連れて向こうへ行け。足止めは私が務めよう」
「で、でも」
「つべこべ言わずにさっさと行きたまえ。人の善意は有り難く受け取っておいた方が得だぞ」
「……分かりました、お気を付けて!」
1企業のCEOに殿を務めさせるなんて事は流石に無しよりの無しな選択肢なので、狩人が殿へと立候補しアーミヤも比較的安全な内に、向こう側へと退避させる。
「さて……」
一人協調を欠き突っ込んで来た敵へと散弾が放たれる。
至近距離で恐ろしいまでの衝撃を喰らい、体勢を崩した敵の腹目掛けて腕を振り抜く。内臓を引きちぎり、周りへと撒き散らす。
「これで邪魔者は居なくなった。私の好きにさせて貰うとしよう」
ルドウイークの聖剣を取り出し、鞘に剣を納め大剣へと変える。
腕に付着していた血と臓物が、腕から聖剣へと垂れ落ち。そして剣先へと流れる。
「狩りの始まりだ」
———
「ふぅ……あれだけ時間を稼げば充分離れられただろう。さて、アーミヤたちと合流せねばな」
多数の敵を相手取り、更なる増援が来たところで屋上から逃げた狩人はテクテクと狭い路地を歩いていた。
「ここで合流か、ふむ……対して時間も掛からんな。少し歩いていくとしよう」
通信機器でアーミヤから合流地点を通達された狩人は、その地点へと向かって歩き始める。
「……全身返り血なまま行くのはよろしくないな」
ふととある考えが頭をよぎった狩人は歩を止め、少し考えた後に無言で下着を以外を一気に脱ぎ去ったかと思えば。一瞬にして返り血の一つもない狩装束へと身を包んでいた。
「これでよし。さぁ行くと……ハッ!目元を拭くのを忘れていた。危ない危ない……」
危うく目元だけが返り血まみれなヤバい奴、な状態で合流しかける狩人であった。
ちなみにウェイのスカウトの話はほんとーに軽いジャブみたいなもん。
なんか噂になってる奴おるしなぁ……いっぺんくらい見ときたいよな、あわよくばウチに来てくれるとええかな。
くらい。狩人さんの執着に結構引いた。
狩人さんが色々と自由にし始めるのでケルシーがケルケルします。ついでに啓蒙も増やしてくるかもしれない。
そういえば皆様、エンドフィールドのβテストの参加資格貰えましたか?自分はps5のテクニカルテストの方応募して、ありがたい事に参加資格頂きました。28インチ4k対応HDR機能付きのモニターが火を吹く時よぉ!
ふと思ったけど、この作品のルート的に狩人さんずっとテラに居座るでしょうし、もしかしたらタロIIにひょっこり顔出しする……かもしれませんね?
そういや今回のアンケート、なんか地底に入れた人多いっすね、もしかして俺がサボってるの分かってた?アハ。