狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです   作:ron3studio

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「我ら血によって人となり、また人を失う……はて、その"血"とやらは何なのだろうな?」

「そのままの意味か?それとも、人が人であろうとする"意志"か?」

「もし意志だと言うのならば、人は意志によって人となり、その意志を持って人を失う……これが正しいのかなんて誰にも分かりはしない。私にも……分からない」

「しかし、この考えが間違いだとは言い切れない。故に、見知らぬ者よ」

「かねて(意志)を恐れたまえ。それは人を、人か、人ならざる存在へと左右する物だ」




「ヤーナムキャンプファイアーと近しいものを感じる。くっせぇ」

 

 

静かな病室に、足音が混じる。

コツ、コツ……と病人へと近付く。

 

「……スヤスヤと寝ておる」

 

「これで貴公は晴れて、人として生きる権利を得た。その日を越せるかも分からぬ恐怖、明日がどうなるか分からぬ恐怖とは無縁の場所で、生きる権利を得た」

 

「生き別れの弟とも再開し、安定した環境で再び生きて行けるようになった。何と幸運な事か」

 

「龍門から狙われていたのも、ここでは関係ない。血筋がなんだ政治的に重要だなど……ロドスにとっては関係のない話だ」

 

「鉱石病に罹患しているとは言え、貴公はまだ子供だ。この先の人生、生きれる限界まで生きて人生を謳歌し、そして人として死にたまえ。ここなら、それが出来る」

 

「弟共々、元気に過ごす事だ」

 

 

———

 

 

「さて……ただの一般人が龍門、レユニオン双方から重要目標と定められる筈がない。龍門はまぁ……政治関連か?当人もくしは親族が政治での手札となるのだろう。だが、当人がそれ程の存在ならばウルサスが手放すか?なら……親族。親か」

 

「ふぅむ。それならウルサスがミーシャを手放して、龍門が保護を目的とするのも頷ける。ウルサスは子供に利用価値無しと判断し、龍門は利用価値があるのではと判断した……と言った所か?」

 

「では……レユニオンが狙っていた理由は?龍門と同じく政治的な手札としての利用を期待してか?もしくは……スカルシュレッダーの姉だったからか?感染者云々に煩いあの組織ならありえん話ではないが、チェルノボーグでの、リーダーであるタルラの様子……」

 

「あれは感染者の事などどうでも良い振る舞いであった。どうも末端と頭の食い違いがある」

 

「それに、何故チェルノボーグを陥落させ龍門へと侵攻する?それは感染者の立場を更に悪化させる悪手であろう」

 

「末端組織員の行動……リーダーの振る舞い、組織としての行動……最早あの組織は、掲げている理想など形骸化しているのだろうな」

 

「陥落させたチェルノボーグを何に利用するのかも懸念点だ。拠点として利用?ならばあそこまで破壊の限りを尽くさんだろう。なら……他の何かだ」

 

「……最悪の利用方法としては、大質量の兵器としての利用。移動都市は周囲へこの移動都市が自国の物であると発信する機能がある。その機能と都市自体を掛け合わせれば……対処すれば敵対判定を出す自爆兵器と」

 

「この方法が使われてしまえば……ウルサスと龍門、いや。炎国との戦争に発展するだろう」

 

「そうはなって欲しくないが……どう転ぶかは分からん。精々、そうならんようにと祈るしかないのがもどかしいな」

 

 

———

 

 

ロドスの一室、そこでケルシーは表示されるモニターを見つめながら腕を組んでいた。

 

「フロストリーフ!フロストリーフ!応答しろ!」

 

「何があったんですか?」

 

「例の移動都市に送った偵察隊の通信が途絶えた」

 

「え」

 

「前回の報告を最後に、応答が無くなった」

 

「そんな……!」

 

入ってきたアーミヤが何事かと聞き、それを説明してる最中、一つの通信が入る。

 

『……ここには、来るな。この廃都市には—』

 

「フロストリーフ!」

 

それは応答が途絶えた偵察隊からの通信であり、ノイズも走り内容も救援を否定し。更にはそこには近付いてはならない存在がいるような口ぶりだった。

 

「ケルシー先生!私、ドクターと行きます!」

 

「廃都市に送った全ての偵察隊を帰還させろ」

 

「はい!」

 

アーミヤは駆け出し、救援へと動き出す。

それをずっと、聞いていた者が一人。場違いな安楽椅子に揺られ目を瞑っていた狩人にケルシーが声を掛ける。

 

「ハンター、今回もアーミヤたちに同行を頼めるか」

 

「……良いとも。友人の頼みを聞くのは当然故な、にしても……ロドスの抱えるオペレーターが来るなと言う程の存在とは、一体何者だろうな?」

 

「分からない。だからこそ、十全な戦力を動かす必要がある。これがただの徒労で終わればそれで良い。だが相手を見誤り、被害を更に拡大させることは避けなければならない」

 

「同意だ。では、行ってくる」

 

「アーミヤと、ドクターを頼んだ。ハンター」

 

「任せたまえ。頼られた以上、きっちりと仕事は果たすとも」

 

澄まし顔で椅子から立ち上がり、アーミヤを追い掛ける狩人だが。内心面倒だなと思っている、だが……ケルシー好き好き狩人さんはケルシーから頼られたら断れないのだ。チョロい。

 

「ふぅむ。早速この特製火炎瓶の出番か?」

 

廊下を歩く狩人がポーチから取り出したのは、何の変哲もない火炎瓶にしか見えない物であった。

 

「恐らく、廃都市に潜んでいるのはレユニオン……その幹部もいる可能性が高い。どいつも厄介だったが……一番は氷のアーツを操るコータス。足を止められるのが致命的過ぎる。アイツでなかったら良いのだが……そうだった時は気合いで何とかするしかないか?もしくは……コレを使うか」

 

「どっちにしても、気は抜けんな。つまらんよりは良いが」

 

揺らされチャポチャポと音を鳴らす瓶を仕舞い、アーミヤたちと合流を急ぐ狩人だった。

 

 

———

 

 

「それぞれの各小隊に——」

 

アーミヤが各小隊の面々に説明を行っている間、少し離れた位置に居る狩人は源石によって崩れた家屋の数々を観察しながら思考に耽っていた。

 

「(……ここも荒らされてるのか。天災の被害と、人為的な物か。実に惜しいな……この規模ならば、一時的とは言え住み心地の良い拠点になったろうに。とは言え、この状態でも十分拠点になりうるか)」

 

「——この都市は先のチェルノボーグ事件の時に——離脱した———ウルサス政府からは既に破棄——」

 

思考に耽りつつも、会話の内容を聞くことには少しのリソースを割いている。そして拾った情報を再度自身の中で捏ねくり回す。

 

「(破棄、か。こうも被害が大きくなれば、破棄するのは当然か。ウルサスからしてみれば、都市一つが無くなった所で痛くも痒くもないのだろう。……はぁ、嫌な予感が既にしてるわ。あー、あの白いコータスが居ませんように)」

 

「——皆さん、急ぎましょう。ハンターさん、移動を開始しますよ」

 

「あぁ、了解した」

 

「(龍門近衛局からも応援が来たのは有難いが……さて、どこまで使えるのだろうな。どうせ感染リスクの高いエリアに近付けば非感染者である事を理由に離脱か何かするだろうて)」

 

 

狩人を先頭にし、移動を開始するアーミヤら。

廃都市となったこの地は静寂と、破壊の痕に包まれており、嫌に不気味な雰囲気を漂わせている。

 

「(……気温がおかしい。季節もある、夜間なのもある、だが……ここまで冷えるか?いや……この一帯のみ気温が下がっている……?)」

 

ここまでレユニオンとの接敵もなく、人の気配も一つもなく。橋を越えればその先に目標地点がある距離まで近付き、狩人はアーミヤらとペースを合わせるために橋の手前で立ち止まる。

 

「目標地点はもう少し先ですね……」

 

「アーミヤ」

 

「そうですね……ここからは私たちだけで行きます」

 

「え?」

 

「(こちらの方から言い出したか。まあ……そうだな、アーミヤはそう言うか)」

 

「この先はオリジニウムが特に多く——」

 

「(ん?人?……あの後ろ姿は、レユニオンの—)」

 

「待て!」

 

「チェンさん!?行ってはダメです!」

 

狩人がその後ろ姿を視認したと同時に、チェンが声を荒げ走り出す。

背後からは何処かに身を潜めていたレユニオン構成員が現れ、ホシグマと近衛局兵士と交戦を開始する。

 

「一体何処からだ?とりあえず……排除が先決か」

 

「アーミヤ代表!ここは我々が引き受けます!どうか隊長を!」

 

「分かりました!必ず連れ戻します!ハンターさん、行きましょう!」

 

「……了解した」

 

狩人がレユニオン構成員を殺そうと動き始めようとした時、ホシグマの提案によりチェンを追う事を優先事項とし、アーミヤが進み始めた。

狩人も当然それに追従する形となり、後ろはホシグマらに任せて前へと進んだ。

 

「(ホシグマ殿なら……死にはせんだろう。あの実力者を倒す程の力を持った者はそう現れん。特に雑兵だらけのレユニオンはな)」

 

 

———

 

 

チェンを追い、進んだ先には倒れ伏したレユニオン構成員。

そしてその先には息を荒くしたチェンがいた。

 

「ふむ中々やるではないか、隊長殿」

 

「チェンさん……」

 

「君たちか。すまない……少し、自分を見失っていた」

 

「ご無事で良かったです」

 

「あれは」

 

「いや、奴がここに居る筈がない」

 

「だとしたら、私が見たものは何なのか気になるがね。さて……どうする?隊長殿、ここはオリジニウムが多いぞ。ふとした事で"感染者"になれるが……退避した方が賢明ではないか?」

 

「……」

 

「言い方が悪かったな。貴公の部下が待っておる、戻ってやると良い」

 

「だが……君たちはどうする。このレユニオンの数、明らかに敵の罠だぞ」

 

「罠であったとしても、行くが。ロドスが仲間を見捨てる事はせんだろうし……レユニオンに負ける程弱くはない」

 

「……分かった。では私は自分の部隊に戻る、後で合流しよう。気を付けろよ」

 

「はい、チェンさんも」

 

 

そうしてチェンと別れ、当初の目的地へと再度進み始めるアーミヤら一行。進めば進むほど、狩人の嫌な予感は大きくなっていた。

 

「ハンターさん、さっきのは……」

 

「しゃしゃり出てすまんな。あの手の者には強めに言う方が良い事もある。ふむ……」

 

「そう、でしょうか?」

 

「個人的な意見、だがな。アーミヤ、もうすぐか?」

 

「はい、位置情報はこの辺りの筈ですが……どうかしましたか?」

 

「いや……少しな」

 

3人はゆっくりと歩を進めていく。

先頭を歩く狩人が足を止め、建物の壁をなぞり始める。そしてそれを見たドクターも、壁を見る。

 

「貴公もようやく気付いたか?おかしいだろう?」

 

「ドクター?」

 

「……」

 

「やはり、あのコータスか」

 

アーミヤが二人のする事を首を傾げながら見ていると、曲がり角からレユニオン構成員が飛び出てくる。

 

「居たぞ、ロドスだ!」

 

「!ドクター、下がってください!」

 

「私が前に出る、アーミヤはドクターから離れるな」

 

「はい!」

 

数としては二人、だが油断は許されない。

万が一すらもないだろうが、自身がミスをした際にリカバリーが効くようにドクターの近くにアーミヤを誘導し、真っ向から狩人が敵を迎え撃つ様に立つ。

 

「さぁ……ん?」

 

今一度月光の聖剣を握り直した所で、狩人の視界の端に何やら人らしき物が映り込む。

 

「おぉ?」

 

その人らしき物……ではなく人は窓から飛び、レユニオン兵の後ろへと着地。素早い斧槍捌きで瞬く間にレユニオン兵を制圧した。

 

「お見事、私の出番は無かったな」

 

「フロストリーフさん!」

 

「来るなって、言ってもアーミヤには無理だよね」

 

「当たり前です」

 

合流出来たフロストリーフとアーミヤが会話しているのを横目に、狩人は今し方出来たレユニオン構成員の亡骸をゲシゲシと蹴っている。

死亡確認も兼ねてなので、全くの無意味ではない。

 

「これ……隠しておいた方が良いか?痕跡を残すのは……いや、既にバレてるから残そうが残さまいが変わらんか」

 

結局出た結論は隠さないでいい。そらそう。既にバレてるんだから隠した所で、でしかない。

そんな事をする暇があるのなら、残りの二人を速やかに回収してロドスへと帰還する事に注力した方が遥かに良いだろう。

 

「ん?何やら分かりたくない気配がするぞ」

 

「っ!?隠れて」

 

狩人が気配を感じとり、その方向へと顔を向けた瞬間。フロストリーフも気付き咄嗟に建物の中へと入り込む。

 

「こっち」

 

フロストリーフの後を追い、室内へと身を隠す。

程なくして、狩人からしてみれば不快の対象でしかない声が外から聞こえてきた。

 

 

「きーつーねーちゃーん。どぉこに隠れたのかなぁ〜?」

 

 

「メフィスト……!」

 

「うんうん、気持ちはよーく分かるぞ、アーミヤよ。今は耐えるのだ、正直今すぐにでも殺しに行きたいが、今は耐えるのだ」

 

「そこまでですか……」

 

 

「出てこないのならぁ、一分毎にお友達の指を折っていくよ〜?」

 

 

「タダのハッタリ、落ち着いて」

 

「でも、無事を確認しないと……あれ?動かない」

 

「見て、此処では通信不能だ」

 

「凍りついてる……これが原因ですか」

 

「(ほぼ確定してないか?)」

 

「行ったみたい。アイツなんかより、もっと恐ろしい奴が此処にはいるんだ。ついて来て」

 

「(もう確定してるよな?アイツだよな?凍らせて来たコータスだよな?)」

 

メフィストをやり過ごし、フロストリーフが移動を開始する。アーミヤらもそれについて行き、広場と呼ぶであろう広い空間に面した建物の柱の裏に隠れている残り二人のメンバーと合流する。

 

「メテオリーテさん!」

 

「アーミヤ!来てくれたのね」

 

「ふむ……こっちは比較的良いが、向こうか」

 

アーミヤと会話するメテオリーテを一瞥し、特に問題はないとしてもう一人の方を見やる。体を縮こまらせ、ガクガクと震え、何かをボソボソと喋り続けている。

 

「……おい、聞こえるか」

 

「いゃ……いや……」

 

「かなり悪いな、これは」

 

「ドクター、ハンターさん、ジェシカさんの方は大丈夫ですか?」

 

「大丈夫とは言えんな。かなりの錯乱状態にある、このままではマトモな戦力としては期待できないだろう。それに、体温の低下も著しい。そこの二人もそうだろうが、今すぐにでもここを離れるべきだろう」

 

 

「ロドスの虫ケラたち!そろそろ出て来て一緒に遊ぼうよぉ?仲間が来たのもちゃあんと分かってるんだよ?まあいいさ。それより、ちょっと見せたい物があるんだ」

 

 

燃え盛る。

レユニオンが殺した人間を集めた"オブジェクト"が燃え盛る。

 

「実に悪趣味な……ヤーナムとどっこいどっこいか。くっさいのなんの。よくもまあ……あんなに笑えるな、頭がイカれてる奴はとことんイカれてる」

 

古い時代から人間に安らぎと光そして文明へと一歩を与えてきた炎は、しかし今はそれらとは程遠い、歪み醜い獣性を伝えていた。

 

「この臭いは……」

 

「人間だろうな。あの情緒不安定で気狂いのガキだ、嬉々としてやるだろう」

 

「なんて事……」

 

「アーミヤ、見るな」

 

「大丈夫です。もうあの時の、弱い私じゃありません」

 

「アーミヤ……」

 

「どんな惨劇であろうと、私は見届けなくてはいけないんです。私に、向き合わせてください」

 

「……分かった」

 

「アーミヤ、遠くからだが……援護はする」

 

「ありがとうございます、ハンターさん」

 

アーミヤがメフィストの前へと出ていく。

狩人はそれを見ながら思考を早める。

 

「(あの数……こちらの戦力では相手取るのは厳しいな。それにあのガキのアーツもある、何処かで撤退の隙を見つけるか何かをせねば……)」

 

「(あのコータスもいるのがほぼ確定している。ここに私たちがいるのがバレている以上、増援として来るだろう。私の弱点は既に露呈している、奴が現れるという前提として……現実的には死角からの一撃必殺が求められる)」

 

「(今はまだ、出なくても大丈夫だろう。何かあれば、アーミヤを回収して隠れる、そうしよう)」

 

異常なまでに何かに怯えるジェシカを都度気にしながら、アーミヤの援護は出来る様にとシモンの弓剣を取り出して構える。

 

「この距離では、致命傷には至らんだろうが…………嫌な予感は、つくづく良く当たる。クソが……」

 

突如として雪が降り始める。不自然に、まるで何者かの襲来を知らせているかの様に。

 

「マズイ!」

 

「フロストリーフ!?」

 

「ドクター、ジェシカを見ておけ。錯乱した者が何をしでかすか分からん」

 

「分かった」

 

「この状況で撤退出来るかも分からんが……最悪は私が何とかしよう。動けるようにしておけ」

 

 

「ようやくお出ましか!この舞台の真の主役に拍手を!西部氷原の悪夢、スノーデビルのプリンセス」

「フロストノヴァ」

 

 

「……退屈はせんな、これは」

 




えー、後書きで色々とぺちゃくちゃ喋りたいことはンマ〜いっぱいありますが。

お ま た せ (白目)
あ け お め こ と よ ろ()

苦情は感想にどうぞ(本当にお待たせしました。誠に申し訳ございません)
あっ16章来ますね、pvに映ったMonちゃんカッコかわいいね、頭撫でたい

続きは早急に出します。

狩人さんの敵キャラとしての情報とか見たい人……います?

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