狩人さんが今度はテラの大地に赴くようです   作:ron3studio

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「そういえばさー」

「どうした」

「ハンターってケルシー先生からのチョップとか避けないよね」

「あー……うむ、まあ、事実としてはそうなるな」

「なんか歯切れ悪いね」

「いやぁ、避けたいのは山々なのだがね。なーんか避けれんのだよ。体は避けようと動作を起こすのだが……なんかこう、こう……」

「こう、じゃ分かんないよ?」

「なんか避けれん」

「えぇ〜?」

「私にもよく分からん。もうそういう物だと割り切った方が良いのではないかと最近思い始めた」


「命綱無しのバンジージャンプはスリル満点であった」

 

「はぁ……ケルシーも人使いが荒いな。廃都市に行った後の次は龍門に向かえと、少しは休ませて欲しいものだ」

 

「ハンターが休む必要なんてあるの?」

 

「無い。ただ面倒なだけだな」

 

「えぇ……」

 

「ハンターさんは非常に頑張ってくれましたから、この騒動が解決すれば長期休みを取るのも良いんじゃないですか?」

 

「とは言っても、1人で休みを取った所でな。いっその事ケルシーを連れて旅行にでも行くか?」

 

「それなら私も行きたーい!」

 

「却下だ却下。休みの日にまで暑苦しいフェリーンの面倒は見たくない」

 

「(お休みの日には結構な頻度でなんだかんだでブレイズさんの飲みに付き合ってあげてるのに……?)」

 

「(単純にケルシー先生と2人っきりが良いってだけじゃないのソレ)」

 

「……なんだね、2人とも。目が何とも言えん感じになっておるぞ。……にしても、ブレイズの飛び降りる癖はどうにかした方が良いのではないかね。毎度地面を崩落させられたら困る所ではない」

 

「あれはあそこが脆かっただけだから!」

 

「助かったのは事実だからこれ以上は言わんが……」

 

「まあまあ、一部を除けばブレイズさんはとても頼りになる人ですから」

 

「その一部って何!?すっごい気になっちゃうんだけど!」

 

「「酒癖の悪さ(だろうが)(ですね)」」

 

「うっ……えっと、その……あ、アハハ」

 

「身に覚えアリ、という事だ。良い相手が見つかれば少しはマシになるのかねぇ。どっちにしろ、貴公も良い歳であろう、節度という物を覚えたまえよ」

 

『もう直ぐ投下ポイントです、ご準備を!』

 

「アーミヤ、急いだ方が良い」

 

「ですね、ドクター」

 

『ハッチ開放!』

 

「アーミヤちゃん、行くよ」

 

「はい! 所で……ハンターさんはどうするんですか?」

 

「そりゃあ、ブレイズにどうにかして貰う—」

 

「ハンターは自分で何とかして!出来るでしょ!」

 

「いや、無理だが?」

 

「ダイジョブダイジョブ、アーミヤちゃん、しっかり掴まっててね。それじゃ、ドクターは指揮よろしく!」

 

「ああ」

 

『投下ポイント、3.2.1.0!』

 

「ダァァァァァイブ!」

 

「……マジで行ったぞあやつ」

 

1人取り残され、暫し唖然とする狩人。

ブレイズのアーツによって引き起こされる目潰しの煙を見ながら、どうしたものかと悩み始める。

 

「君は、飛び降りないのかい?」

 

「やったら死ぬわ。この高さだぞ」

 

「じゃあ、ここから援護?」

 

「大した援護にならん。どうにか降りる他無い」

 

狩人の遠距離攻撃手段と言えば……左手の銃全般。シモンの弓剣、月光波、秘技……意外と多くはあるが、その全てにおいて射程距離が足りない。

銃全般、そもそもが体勢を崩す事を主眼に置かれている故に威力が期待できない物が多い。それにここまで距離が離れていればそれは更に顕著になるだろう。大砲などの例外はあるが……水銀弾の消費がカス過ぎて一度の援護射撃で終わる。却下。

シモンの弓剣、月光波……どちらも距離が離れ過ぎて届かない。

秘技、以下省略。

 

狩人はうんうんと頭を悩ませ、飛び降りて派手に建物の床を崩落させるブレイズを見やる。

 

「狙撃手の姿が出たか、ふぅむ」

 

素直に飛び降りれば、どう足掻いても落下ダメージで死ぬ。

獣のカレルを付けていればワンチャンあるかもしれないが……今の狩人にカレルを付け替える暇は無かったので、そんな希望はない。

 

「……そういえば、人間は高高度から落下しても"クッション"になる物があれば生き残ったケースもあるらしいな」

 

「そうなのか?」

 

「何処かで読んだ。何処ぞの企業社員様が飛行装置から放り出され、落下した所に木々があったお陰で生き残った……とな」

 

「木々がクッションになった、のか」

 

「うむ。幸い、今回は高度があるとは言え高高度、では無い。それに……」

 

「それに?」

 

「ほれ、あそこに丁度いいクッション(変異した感染者)があるではないか」

 

「アレを?」

 

狩人が指差したのは、自我を失った獣同然の存在、体表から源石が痛々しく突き出ているメフィストの家畜共であった。

 

「それしか方法は無い。これ以上高度を下げて被弾しました、墜落しますは冗談にもならん」

 

「君のやり方も冗談にならない気がする……」

 

「そこは目を瞑れ。では、ペチャンコになるかならないかの運試しをしてくるとしよう」

 

そう言い残し、狩人はダイブを決め込んだ。

ミスれば死、成功すればヒーロー着地さながらのカッコいい着地になるだろう。それでも足の骨は折れるが。仕方のない代償、という奴だ。きっと。

 

 

———

 

 

「待った待った待った待った!それはマズイマズイマズイ!」

 

飛び降りてクッションに着地できる様にと集中していた狩人の視界に、赤い光が入り込む。それはあのチェン隊長の持つ武器から発されていて、狩人の第六感が非常に煩く警告を出していた。

 

「アーミヤ!今すぐに攻撃を止めさせろ!頼む!私が飛び降りてる!」

 

『ハンターさんですか?風の音が凄くて聞き取れません!』

 

「攻撃を止めてくれぇ!!!巻き添えで死ぬ!!!」

 

『なんですか!?』

 

アーミヤに通信を入れるが、ダイブを決め込んでいる狩人は風に包まれていて、そのせいでアーミヤには何も通じていない。

哀れ狩人、貴公はここで死ぬのだ。

 

「巻き添えなんかで死んでたまるか!」

 

これで狩人の格好が派手に目立つ物であればアーミヤもチェンも、ブレイズも気付けたのかもしれないが。彼の格好は暗く、現状の薄暗い天気にかなり馴染んでしまっている。

更には不完全ながらも赤霄を抜刀したチェンは目の前の敵に集中していて、アーミヤ、ブレイズらも敵から目を離す事は無い。

 

「ふんぬぅ!!!」

 

「はぁっ!?」

 

「「ハンター(さん)!?」」

 

赤霄を振り抜き、赤い龍が敵を喰らわんと顕現したその時、上空から降ってきた狩人が赤く照らされる。

 

「回避ィィィィイ!」

 

べちゃりと潰されたクッションを気にする事もなく、赤霄の範囲から逃れるべく横へと飛び込んだ。

 

 

———

 

 

「は、ハンターさん……?」

 

「……」

 

「まさかそうなるなんてねー……」

 

アーミヤは言葉を失い、チェンはまさかの事態に絶句する。ブレイズは顔を引き攣らせている。

家畜を失ったメフィストは錯乱し、ファウストが撤退しようとしていた。

 

「全力斉s—」

 

「逃す訳無かろうがァ!」

 

瓦礫の中からのそりと起き上がった狩人が、ファウストに向けて勢いよく飛び膝蹴りを喰らわせる。

 

「ガ……ッ!?」

 

「お前もじゃクソガキ!」

 

「ぶべっ!?」

 

ファウストに飛び膝蹴りを喰らわせた次は、パニックになっているメフィストの腹へ拳をめり込ませる。

 

「足"……ッ!足がっ"……!」

 

バキバキに折れた足のまま跳び膝蹴りをし、見事な体勢からグーパンまで決め込んだ狩人は遂に耐え切れずに崩れ落ちる。

激痛と碌な仕事を果たせない状態の足でよくそこまでしたものである。

 

「い、生きてる……」

 

「ハンター!そこ危ないよ!」

 

「す"まん、助か"る"」

 

狩人へと放たれたステルス狙撃兵の攻撃をブレイズがアーツで撃ち落とし、狩人はその隙に輸血液を太腿へと突き刺して回復する。

 

「チェン隊長殿、今のは気にするな。完璧な事故だからな!」

 

「そ、そうか……」

 

「……さぁて、ここまでだな?レユニオン幹部2名様よ」

 

輸血液で体力を回復させ、息を吐き、ゆらりと立ち上がり、光を纏わぬ聖剣を突き付ける。

足は完全に回復しきり、さっきまでの慌て具合が嘘の様である。

 

「まだだ!」

 

「爆発、仕掛けていたか……!」

 

ファウストが懐に手を潜り込ませ、何かを押したと同時に展望テラスの四方から爆発が巻き上がる。

 

「逃さんと言ったであろうが!」

 

爆発の衝撃で体勢を崩しかけるものの、直ぐに立て直し追撃を掛けようとした狩人へと狙撃手の妨害が入る。

 

「鬱陶しい!」

 

時間を稼がれ、グライダーで飛び立ったファウストらに向けて月光波を撃つものの、急いで放った月光波はファウストの乗るグライダーの一部を損傷させるに止まった。

 

「チッ、逃した」

 

フラフラと軌道を描きながら姿を消していくファウストを苦い顔で睨む。

狙撃手の方もだが、あのクソガキは放置しておくとあのアーツを使って今以上の大惨事を引き起こす可能性が高い、出来ればここで殺しておきたかったと。

 

「いや、あれならばそう距離は稼げん、追撃は容易いか」

 

「ハンターさん、ブレイズさん!チェンさんも、こちらへ急いでください!崩落します!」

 

「今向か——あ」

 

「ハンターさぁん!?」

 

体の向きを反転させ、走っても大丈夫そうな場所を選んでアーミヤらの方へと駆け出したが……しかし運が悪かった様だ。踏みしめた床が崩れ落ち、ハンターもそのまま下へも落ちていった。

 

 

———

 

 

『ハンター、生きてるかい?」

 

「生きておる。瓦礫のベッドで寝た事はあるか?寝心地最悪だぞ。あぁ……そういえば貴公はつい最近まで石の棺で寝ておったな」

 

「それとこれは、かなり違うと思う」

 

「かもしれんな」

 

『元気そう、ですね……あはは』

 

「輸血液使ったからな、体力はピンピンよ。生憎、瓦礫のせいで動けんが」

 

「すぐに回収に向かいますね」

 

「頼む」

 

「ハンター!大丈夫ー?」

 

「何処かの誰かさんの無茶振りに答えたらこうだ」

 

「生きてるから良いじゃん!ね!」

 

「……そうだな」

 





ケルシー先生にはドが付く程弱い狩人さん。

はい、大変お待たせしました。また失踪します。
それでは。
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