YAMA育ちが行く人理修復の旅【現在一部五章完結済み】 作:柳瀬塔矢
ジキル邸・・・帰還!
「眠い!てことで寝る!何かあったら起こせ、巡回の時まで寝れば多少は動けるようになるだろ」
てことで就寝!スヤァ・・・
「・・・アイツ、あんなにハイテンションだったか?」*1
「あはは、眠くなるとどうしてもテンション高くしないと起きてらんないんだってさ」
「そうか。まぁおまえ達も少しは休んでおけ。聞けば、こちらへ来てから休みなしなんだろう?根を詰めても良いモノが仕上がるとは限らない。執筆であれ、聖杯探索であれ、適度な休息が必要だ」
「そうですね。良い機会ですしここは一旦ちゃんとした休息としましょう、先輩」
「そうだね」*2
「それでは、休みついでに聞いておけ。*3俺やあの魔本・・・仮名称で
そういえば魔本状態で倒してるからナーサリー・ライムと呼ぶこともなかったし自称【アリス】なのもわからないって言うね。
「話す機会が無かったが、俺もナーサリー・ライムも共に
「そういや、オレもそんな感じだったな。*4ジキルはマスターでもないし召喚の儀式もなかった。気付けば霧の中にいた。何だ、サーヴァントってのは自然に湧くのか?」
「いやそれはどうだろう?」
「はい。本来、ありえません。英霊が自然発生的に現界する───と言う意味では、僅かですが記録は幾つか存在しています。しかし、その際には人格を持った存在にはならないはずです。そして、サーヴァントとして現界する英霊は、必ず召喚の手順によって座から呼び出されるものです」
『それはどうなのかしら?確かにこれまで巡った三つの時代でも、サーヴァントは召喚されていましたが、抑止力による召喚や自然発生・・・つまりは偶発的な現界をしたサーヴァントも存在していました。*5しかしその場合もせいぜいが一騎。こんなに大量に発生するとしたら・・・』
「なら、帰結は一つだろうな。霧は
「そういうことに・・・なりますね。確かに、理論的な帰結です。矛盾はありません」
「現実の多くには必ず理屈が付くものだ。理屈が通用しないのは恋くらいだろうよ。想像力を働かせろ。それで大抵の物事は予想できるし、時には予測へ至る」
しかしそんなアンデルセンをモードレッドは笑い飛ばすのだった。
「はは。恋だ?ガキが生意気言いやがって」
「恋も知らんガキに言われたくはないな。俺は童貞だぞ。愛も恋も、完全に理解しているとも」
「・・・はあ?ん。あれ?それ、理屈になってないよな?んん?」
「ん?確かに理屈に・・・」
「忘れたか、俺はアンデルセン。物語るが故にこそキャスターに区分された英霊だ。剣と戦いが剣士の本文であるなら、文字と言葉、怠惰と苦悩と愛と恋は作家の本分だ。即興詩だろうと無茶な締め切りであろうと、本気になれば全てこなしてみせる。それが作家だ。中でも俺は創作作家。想像力でオレに敵う奴はそうそういまい。弁論も知らない素人如きに口で負けるものか。休む気がないなら、*6深夜の哨戒でもするがいい」
「あー、まあ、そうだな!あの【P】あたりを押さえて吐かせれば全部解決だ。*7じゃ、オレは見回りに行くぜ。シティエリアを端までぐるっと見回ってみるか」
「あ・・・先輩っ、モードレッドさんが行ってしまいます」*8
「何もしないより行動しよう。それに柳星にばかり負担を掛けさせてはいられないからね」
「はい!」*9
「人を乗せるのがうまいね、君は。*10でも礼を言うよ。彼らは少し堪えていたようだし」
「どうという事もない。読者を感動させる手間に比べればこんなもの。たかが
「うん?」
「俺が見せたのはマッチの火に現れた幻かもしれん。理屈が繋がっていても、それだけでは妄想と変わらん」
「想像力を働かせるんだろ?なら───」
「バカかおまえは。あんなもの、言葉の
「・・・複数での見回りってのも、な。変な気分だぜ。普段はひとりでやってたからなぁ。ま、楽ではあるから構わんが・・・と。早速か・・・ん?壊れた?」
「所長。なにが起こったか計測できてましたか?」
『ええ。どうやら柳星の仕掛けてた自動迎撃魔術が作動してるようね。*11貴方達の周囲に現れても・・・というよりもマシュ、貴方を起点に作動しているようです』
「へえ。アイツ、変に気が効くんだな。まあヘルタースケルターまでは対処できるか分からねえし話が変わりそうだけどな。あいつ、強いからな。今回の現界で楽しみながら戦えるのはアイツだけだ」
『私たちが遭遇したのはまだ一度だけでしたが、確かに強力・・・ええ。確かに彼1人よりもマシュとの連携を必要としたので強力なのでしょう。しかし、かなり移動しても見掛けませんからそんなに数は居ないのでしょうね』
「言われてみりゃ、アレが数いるところは見たことねぇな。せっかくなら歯応えのある奴がいいし、今夜あたり、出て来ねーかなー」
「そう言うこと出るよ」
「お、そうか?」
「もう少し移動しましょうか。シティの端までは、まだ距離がありますね。あ、いえ。地図情報を確認しただけで・・・ロンドンに対しての土地勘がある訳ではないんですが」*12
「ま、何か出れば、出た時の話だ。あー・・・でも、あれか。出てくるのが敵とはかぎらないのか?」
『そうですね。事実として、貴方は私たちと協力してくれています。アンデルセンにしてもそうですね。しかし、ナーサリー・ライムやジャック・ザ・リッパーは敵でした。彼らもきっと魔霧から現界したサーヴァントだったのでしょう』
「搦め手の奴ばっかりじゃなくて、たまには真正面から戦うような奴が来て欲しいな、オレは」
「確かに遠距離相手だと俺達は何もできないしね。肝心の柳星は今寝てるし。他の方法だとどうしようって感じだし。距離詰めて殴るくらいしか思いつかないや」*13
「だろう!?あ、そういやアイツの本気ってどんくらいなんだ?いまだに底が見えた気がしなくてな」*14
「あー・・・これまでの特異点攻略で一番強かった一撃ってなんだろ、マシュ」
「そうですね・・・あ、ローマの最後の一撃じゃないでしょうか。隕石を使っての一撃が一番強いかと。それ以外だとオケアノスの時の宝具祭りでしょうか。どちらが強いのか、と聞かれると確かに分かりませんね」*15